「LOST SONG」第6話、第7話感想:ルード王子の悪逆非道ぶりはノンストップ! 絶望がマッハでフィーニス闇堕ち!

回を追うごとに謎が深まる「LOST SONG」第6話、第7話のレビュースタートです!


第6話 別れの歌

戦争の最前線で再会したレオボルトとフィーニス。それを冷たい視線で見つめるルード王子。今後の不穏な展開を予感させるシーンで始まった今回のエピソード。

すっかり憎まれ役が板についたルード王子ですが、今度は宮廷楽団と一緒にフィーニスに歌わせることで歌の力を増幅。この力をもって敵軍を全滅させることを画策します。しかし、命を削って歌うフィーニスを思うレオボルトは、楽団が到着するまでに敵の砦を落とすと宣言。うーん、レオボルト、どうにもルード王子の筋書き通りに動かされているような気がします。

結果的にレオボルトの奮闘で見事に勝利。この獅子奮迅の活躍のおかげで、傭兵たちからも「お頭!」と一気に支持を集めてしまうレオボルト。皮肉なもんです。

その裏で秘密裏に進められるレオボルトとフィーニスの逃亡計画。コルテがいろいろと動いているみたいですが……。

いっぽう前回、レオボルトから「ドクター・ヴァイゼンに会うように」と言われたリン楽団一行。道中、リンはレオボルトから教えられた歌姫・フィーニスを思い、彼女が王都軍に利用されているなら助けたいという気持ちを語ります。

いよいよ2人のヒロインが邂逅するのか。

と期待が高まる中、ドクター・ヴァイゼンの家に到着。出てきたのは、杖の先にパンをぶっさし、なにやらでっかい機械を背負ったファンキーなお爺さん。

アルはえらいリスペクトしているみたいですが、どうにも偏屈な人物の様子。研究を見て大興奮しているアルを見て、言い方は厳しいけど後進を指導する気持ちはある様子。一見怒っているようでも、ちゃんとあれこれ教えてくれるところがほほえましい。

そんなヴァイゼンですが、彼は王都軍の兵器を多数発明した偉大な人物。アリュー、モニカが乗っていた軍の輸送車に搭載されていた反響装置を作ったのも彼でした。しかし、その発明はことごとくが王都軍に取り上げられ、研究施設も研究員ごと水没させられてしまったのだという……。以来、部下の墓を作る日々、研究もやめてしまったというヴァイゼン。ここにも王都軍の犠牲者がいました。

それにしてもヴァイゼンが反響兵器を保管していた箱を開けるキーワードが「フィーニス」だったのは意外。彼女の名は、歌の力であらゆる奇跡を起こすことができた存在として知られているみたいですが、リンたちの生きる世界では、フィーニスは伝説上の存在になっているようですね。それぞれの時代の間に何があったのか……。今後はその謎がストーリーの鍵となるような。

ともあれ、リン楽団は歌の力で水没した研究所を浮上させることに成功します。ルード王子が言ったように、歌と音楽の力が合わさることで大きな力を発揮するということでしょうか。異なる時代の出来事が歌を通じてリンクする構造のドラマは、「なるほど!」とうならされることの連続。

演出の妙とでも言いましょうか。

次の目的地は、王都軍が集結しているという「灰の町」。軍の目的は? そしてそこにフィーニスはいるのか? 数々の疑問が渦巻く中、ヴァイゼンはアルを助手にスカウト。リンは幼なじみとしばしのお別れです。涙、涙。

リンサイド、フィーニスサイドともに次の展開に向けての種まきの回といったところでしょうか。新たな人間関係、伏線、謎などが散りばめられ、それらは次の第7話の大きな転換点で回収されることになります。

第7話 終滅の歌

第7話はリンサイドとフィーニスサイドのエピソードが細かく行ったり来たり。

物語のテンションが上昇していることもあいまって、妙にドラマにドライブ感が出てきました。

いよいよ灰の町に到着したリンたち。灰が滞留し続ける廃墟ということで、一寸先も見えない状況。そこでリンたちは、隕石が世界に降り注ぎ一度滅ぼしてしまった、という古の伝説を刻んだ壁画を見つけます。そこに描かれていたのは、フィーニス?

そしてリンは地面に突き立てられた剣を発見。この剣は、レオボルトの?

空を見上げたモニカは、空に浮かぶ星を見て「あんなに大きかったっけな」と不穏な台詞を放ちます。何かが起きそうな、悪い予感が漂っていますね。

いっぽうのフィーニスサイド。

勝利の宴に酔う王都軍の野営地。翌日はともに逃亡する予定のレオボルトとフィーニス。2人を無事に逃すために、コルテは毒入りワインをルード王子に飲ませて、毒殺しようと試みます。

しかし、ルード王子の方が一枚上手だった! 怪しい動きを見せるコルテに、毒殺の気配を感じた王子。コルテは逆に毒入りワインを飲まされて、あえなく殺害されてしまいます!

ここからルード王子の大活躍(?)が始まります。

レオボルトを慕う傭兵たちを皆殺しにし、レオボルトも仮面を被せたまま磔に。フィーニスには、「仮面の男は脱走した捕虜」「捕虜によって傭兵たちが殺された」「これが最後の仕事だ。火葬してやってくれ」と言って炎の歌を歌わせるのです。

最後のお勤め、ということで火を放つフィーニスですが、なんとレオボルトはまだ生きていたのです! 生きながらにしてフィーニスの歌によって火あぶりにされてしまったレオボルト!

その悲劇的な光景を笑い飛ばすルード王子の冷酷ぶりは、ちょっとすごいものがあります。近年、ここまでワルいアニメキャラがほかにいたでしょうか? ここまでくると、むしろ痛快。「ここまでやるか~」と感心しちゃいますね。

ともあれ、最愛の人に手をかけてしまったフィーニス。これまでさんざんひどい目にあってきましたが、今回はさすがにやり過ぎた!

希望を見失った彼女は「終滅の歌」を歌ってしまいます。とにかく絶望感満点の歌詞なんですが、その効果はというと、空から無数の隕石が降ってくるというもの。人類に逃げ場なし! あえなくルード王子も巻き込まれ死亡! 王都もすっかり壊滅!

これがかつて世界を滅ぼした出来事の真相だったのでしょうか。

それにしても、絶望モードに入ったフィーニスの口調、声色のすごみと言ったら! 演じる田村ゆかりさんの演技力がいかんなく発揮されています。ちょっと天然の入った歌姫というキャラゆえの配役かと思いきや、むしろダークサイドに堕ちたときのギャップこそが、このキャスティングの狙いだったのではないでしょうか? そう思わせるだけの説得力と迫力に満ちた「滅びてしまえばいい」のひと言は、今回一番の見どころでした。

さて、本編ラストは再びリンサイド。ついにフィーニスの姿を、その目にとらえたリン。あのカタストロフの後、フィーニスはいかにして生き続けたのか?

そして彼女はなぜ今、また王都軍とともにいるのか?

いよいよドラマは核心に迫ると同時に、またも謎が増えた第7話でした。

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