「ひそねとまそたん」第8話感想:ジョアおばさんの正体も明らかに! 謎が次々明かされる急展開に君はついてこれるか!
毎回毎回、ラストの引きがすごいのに予告がヒドい(褒め言葉)「ひそねとまそたん」。アバンでジョアおばさんの正体がさっそく明かされる。わかりやすく伏線を張ってくれるところもいいところだ。
で、そんなジョアおばさんより驚いたのがオープニング。最初のほうに絵瑠と財投のシーンが挟まれていて、ちょっとジェラシーを感じてしまったが、まさかのサビでメロディごと分岐! シリアスな展開だが、作画と歌詞と歌声のすべてが合わさると何とも言えない感動が押し寄せてくる。あらためて音楽と絵の力というのを感じるオープニングだった。NETFLIXで視聴している方は、イントロをスキップしないよう、強く言っておきたい。
ついでに飯干事務次官あらため飯干式部官の正体も明らかになる。先週「キングダム」の一件で騙されたにも関わらず、大して驚いてない絹番の器のでかさもさすがだ。
74年に一度、国の総力をあげて行なわれる神事がマツリゴトであり、OTFは扱いを間違えると甚大な被害をもたらす恐ろしいものであると明かされる。そしてその総元締めとも言えるミタツ様が74年周期で目覚め、次の眠りにつかれる場所、臥所(ふしど)まで移動するための道案内をするのがOTFのお役目だと言う。しかもあの島自体がミタツ様そのものだったと、さり気なく明かされる新事実。あまりのさり気なさに、何を言われたか瞬時に理解できなかったほどだ。
開始5分で恐ろしいほどの新情報をぶち込んできた感じだったが、小此木さんとひそねの雰囲気は相変わらずいい感じ。そしていよいよジョアおばあさんが軍服を着て登場! これまでずっとおばさんだと勝手に思っていたのだが、74年前にDパイだったということは、めちゃくちゃおばあさんだったことが判明! 背筋がピンとしてて、お若すぎる。さらに「気をつけは?」のすごみ。そもそもCVが朴璐美さんだったので、1話からタダ者ではないと思っていたが、ここでそのすごみを出してくるとは……。飯干さんも、前半声色を変えたところがあったが、そのときの緊張感というのは、アニメならでは、声優ならではのものなのかもしれない。あげくラバウルの天女として戦時中も活躍していたパイロットの貞さんから、ミタツ様は三日三晩かけてゆっくり移動すると言われ、顔が引きつるDパイたちというのがAパート。
いつものアイキャッチが「ひそまそー、ひそまそー、ひそまそー、しゃう!」となってて、誰もが「ガンダムかよ!」と突っ込んだであろう後のBパートは、3か月後に迫る作戦発動日に向けての訓練となる。三日三晩飛ぶ訓練に出たひそねたちを、「寝落ちすんなよ」とやさしく送り出す名緒。最近は見守る的立場を取っている名緒だが、何か大きな役割が控えているのではないかと思わずにはいられない。
30~40キロという超低速で飛ぶというのは、戦闘機では不可能なのでOTFだけにしかできないお役目ということがわかり、実際の訓練では、いかにOTFと心をひとつにして、寝ながらも夢の中で飛べるようになるかというところにシフトしていく。ただOTFとの信頼関係が強いあまりに、OTFだけ残して寝るわけにはいかない!とがんばってしまうDパイたち。それが逆にOTFの飛行を乱してしまうのだった。そこで柿保飛行班長とともに「T-4 791」で出た貞さんがDパイを一喝! いわゆる「期間限定!激辛おばあさん味」のタイトル回収という感じだが、「彼らと心身一体になって飛ぶ。こんな素晴らしいことがなぜお前たちにはできない! この愚か者めらが!」と言われて、ひそねが反発。「まそたんと出会えて、Dパイとしてがんばるという夢を持つことができたんです。私はまそたんとずっと、夢の中を飛んでるんです!」
夢違いではあるが、まそたんを信頼して寝ないわけではない!と言い残して限界に達して眠ってしまうひそね。
何でも口にしてしまうひそねのいいところは、それが本心だとわかることと、その本心がとても純粋だということだろう。だから彼女が何か力を込めて言うと、心に残るような言葉になる。1話の冒頭で「自分にしかできない何か」を追い求めていた少女だが、何かを成し遂げてくれそうな、そんな予感が漂うやり取りだった。
Dパイたちがぐっすり眠ったことで、逆にOTFの飛行が安定。再び4人は同じ夢を見るのだが、そこで出てきた昔のOTFはまそたんなのか、何なのか。
しかもここで終わりかと思いきや、新キャラクターである三角棗(みすみなつめ)が登場し、小此木は神祇官所属の小此木榛人 大夫(たいふ)であると告げられる。本当にいろんなことが起こった8話だったが、巫女が登場したときの貞さんのにらみつけるような、恐れているような表情が印象的だった。果たしてあの表情の意味するものは何なのか。そしてこんなにも続きが気になるのにあの予告は何なんだ!と(笑)。しかも次のタイトルが「ギャーーー!!」っていう。続きが気になる方はオフィシャルサイトを見ると意外としっかりした予告が読めるのでぜひ。
物語の後半は、岩崎太整さんのインタビューにもあったように音楽的にも大きな変化がありそうな予感。その後半に向けて、新たに明かされた情報を書くだけで文字を使い切ってしまったが、8話はかなり面白かった。
(文/塚越淳一)
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