【インタビュー】ニューシングル「春に落ちて」が、配信スタート。鹿乃の新たなる挑戦とは!?

科学者の両親によって遺伝子操作された兄弟が、力を合わせて暮らしていく姿を描いたTVアニメ「実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-」。そのエンディングテーマとなっているのが、鹿乃が歌う「春に落ちて」だ。やさしさあふれるメロディの中に、「実験品家族」の兄弟たちの過酷な運命を忍ばせた、心に刺さるナンバー。今まで以上に、大人っぽい歌唱を心がけたということで、ファン注目の1曲になっている。
今回は、インペリアルレコードからのデジタルシングルという形でのリリース。変化の年になったという鹿乃に、話を聞いた。


「春に落ちて」は、大人っぽい歌い方を意識しました


──「春に落ちて」は、鹿乃さんにとっては初めてのデジタルシングルで、しかもインペリアルレコードからのリリースになります。

鹿乃 はい。個人的なことなんですけど、3という数字が関わるときって変化のときだったことが多くて、しかもいつも運がよかったんです。今年はメジャーデビュー3年目ということで、何か変化があるのかなとワクワクしていたら、「実験品家族 -クリーチャーズ・ファミリー・デイズ-」のタイアップのお話をいただけて、それから縁あってインペリアルレコードさんからリリースさせていただくことになりました。

──新たな環境で、面白い作品と出会ったという感じですね。

鹿乃 そうなんです。今まで主題歌を歌わせていただいたアニメはシリアスなものが多かったんですけど、「実験品家族」はシリアスとコミカルのバランスがいい作品で、原作が台湾の作品のアニメというのも新しい出会いでした。アジア圏からのファンの方がイベントに来てくれたりたくさんメッセージもくれたりするので、今度は私がアジア圏のアニメに関われてうれしく思いました。

──「実験品家族」という作品について、最初にどう思いましたか?

鹿乃 虫かと(笑)。

──はははは(笑)、たしかに。次女のアイスリがクモの仲間の遺伝子を持つ女の子なんですよね。

鹿乃 キャラを見ただけのときは、「どんな作品なんだろう? もしかして恐いのかな?」とドキドキしました(笑)。原作のWebコミックを読ませていただいたら、ほっこりとした要素もあってホッとしたんですけど、アニメのストーリーはだんだんシリアスに向かっているので、ハラハラしています。

──ほっこり系のキャラもいるし、兄弟の絆が描かれる温かい作品ではありますが、普通の人たちとは違う少年少女の話なので、重たいテーマも内包している作品です。

鹿乃 主人公のタニス君も天才とはいえ、普通の男の子なのかなと思っていたら、やっぱり天才ならではの、一般人とはかけ離れた葛藤があって。みんなどこか欠けた部分を持った家族が、それぞれを補い合っているのかなと思いました。でも、ワンちゃん(犬型になった時の長男スノー)がかわいいので、毎回の放送を楽しみにしています。

──そんな作品のエンディングテーマが「春に落ちて」です。この曲は、どのようにして制作に入っていったのでしょうか?

鹿乃 まず、以前から組ませていただいているkeenoさんに作詞・作曲・編曲をお願いしました。きれいなバラードをイメージしていますとスタッフさんに言われたので、バラードだったらkeenoさん以外あり得ないなと思ったんです。

──具体的に、鹿乃さんからkeenoさんにお伝えした要望はありましたか?

鹿乃 歌いやすくてきれいでめちゃくちゃいい曲を書いてくださいと。「ざっくりしてますね(笑)。善処します」とkeenoさんからちょっと苦笑しているみたいなお返事が届いたんですけど、上がってきた曲は本当に歌いやすくてきれいで。はかなさと繊細さがあって、これぞkeenoさん節という感じの曲になっていました。

──まさにお願いした通りの曲になっていたと。

鹿乃 「春に落ちて」というひねりが効いたタイトルも、心憎いなと。今まで私が歌ってきたkeenoさんの曲はどれもタイトルが英語だったんですけど、今回は初めて日本語のタイトルになっていて、こだわりを感じました。

──「春に落ちて」というタイトルには、いろいろな含みを感じました。

鹿乃 深読みしたくなるタイトルですよね。歌詞も考えさせられる言葉が並んでいたので、特にAメロBメロはいつもよりも大人っぽい歌い方を意識してみました。ファンのみなさんがどう受け止めてくれるかドキドキしていたんですけど、好評みたいでよかったです。

──今までとは歌い方を意識的に変えたんですね。

鹿乃 はい。楽曲のイメージに合わせて、かわいく歌うよりはきれいではかない感じがいいかなと思いました。

──歌詞の内容については、どのように感じましたか?

鹿乃 keenoさんの世界観ならではの歌詞で、私の中にはない繊細なワードがいっぱい入っているなと思いました。「悲しくなるくらいに冷たい空」とか、なかなか思いつかない表現ですよね。かと思うと、「君が想うよりもっと強く抱きしめて」というような乙女な一節もあって。メロディだけでなく歌詞もkeenoさんにお願いしてよかったなと思いました。

──出だしの「ザラつく世界には 私の居場所なんてなかった」のように、不穏な表現も少なからず入っているんですよね。

鹿乃 そういう部分も、「実験品家族」に寄りそっていると思いました。タニスたちにとっては、周りの普通と言われる世界が「ザラつく世界」に見えるんじゃないかなって。

──レコーディングはいかがでしたか?

鹿乃 メロディがスッと頭の中に入ってきたので、歌いやすかったです。メジャーデビュー以来、シングルでは、元気で前向きで、聴いている人を励ますような歌を歌ってきたんですけど、私自身は、励ますよりも励まされたいタイプなので、今回のような曲の方が自分の感覚には合っているような気がしました。

──「春に落ちて」はきれいなメロディと過酷な歌詞のギャップが、ひとつの魅力になっていると思います。しかも、オンエアでは使われていない2番になるとさらに表現が重くなっていくんですよね。

鹿乃 そうなんです。シリアスになっていくストーリーに合わせたかのように、歌詞の表現も激しくなっていくので、ぜひフルサイズで聴いていただきたいです。

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