「LOST SONG」第8~9話感想:ここまで見てきた人は勝ち組!? 後半戦に向けて、衝撃の真実が語られた!!

まさかの展開で、誰もが「これから一体どうなっちゃうの?」とびっくりしたであろう第7話を受けての第8話ですが、今回は前回以上の驚きの展開が待ち構えていました!


第8話 悠久の歌

いきなりSFチックな近未来都市の風景からスタート。そこではスーツに身を包んだヘンリーが、彼らの住む惑星・エテルジオイドについて解説しています。

あ、あれ? 違うアニメかな? と一瞬とまどったのは自分だけではないはず。しかし、そこで語られるのは、かつて隕石群が地上に降り注いだ……という古の出来事。つまり、この世界はフィーニスの終滅の歌で崩壊した後の世界だということ。

一度滅びた人類がよみがえるのにどれだけの時が流れたのでしょうか……。

今回は、そんな気が遠くなるような長い時間をさまよう物語です。

いきなりモノクロ映像のEDテーマからスタート。つまりこれまでの物語はこれで一区切りということでしょうか?

命を失う代わりにすべてを滅ぼすという終滅の歌。そんな歌を歌ってしまったフィーニスは、ただひとり生存。何があっても死ねない体になってしまいました。つまり死を失うこと、というのは人としてのあたりまえの生を全うできなくなると言うこと。

年も取らなくなった彼女は。気の遠くなるような時間をひとりで生きていくことになります。その先々で迫害され、時には暴力にさらされ、それでも死ぬことのできないフィーニス。

描かれる時代も、原始的な生活を送る時代から、中世の魔女狩りの時代、スマホをポチポチいじる女子高生たちが生きる時代とさまざまです。しかし、何らかの理由で何度も人類の歴史はリセットされ、そのたびに人々はいちから歴史を刻み直します。

数千年、いや数万年単位の繰り返しでしょうか。

それでもフィーニスは、いつか自分が育った時代がもう一度繰り返され、愛したヘンリーと再会できるのでは、という希望を胸に生き続けるのです。

しかし、ついに再開したヘンリーと瓜二つの男性は、妻子とともに幸せな家庭を築く別人だったのです。考えてみれば当たり前なんですが、その事実を目の当たりにしたフィーニスは絶望にうちひしがれ、自分には過去も未来も存在しないことを知るのです。

ここからがフィーニスのすごいところ。彼女は聖歌祭と古の歌姫の伝承を人々に語り継がせ、もう一度「終滅の歌」を歌うための準備を開始したのです。それこそ数万年クラスの歴史をもう一度歩みつつ、フィーニスが歌った精霊の歌を人々の間に浸透させたのです。その中で、かつてリンやポニーが持っていた精霊の歌の紋章も登場。これを生み出したのもフィーニスだったのです。

歌は演奏と大勢の人の声が重なることでより強大な力を発揮する……。

そう語るフィーニスは、今一度終滅の歌を歌うことを画策。そんな中、舞台は現代に。王都軍を使ってなにやら企むバズラ将軍と結託し、計画を遂行することを決意するのです。

また今回、断片的に語られてきた第1話の裏事情も明かされます。まずリンの故郷であるダンデラの村の長老・ホークレイは、かつて王都軍の名将だったこと。戦争が近づいたことで、老将であるホークレイは退陣。その後を継いだのがバズラだったこと。バズラはフィーニスの歌の力で、多大な戦果を上げていたこと。そのバズラがじゃまな存在であるヘンリーを殺そうとしたこと。リンが癒やしの歌でヘンリーを助ける様子を目撃していたこと。バズラがダンデラの村を焼き討ちしたこと……。

そんな感じで、これまで散りばめられていた謎や伏線を一気に回収しつつ、次の展開に向けて、これまた多くのヒントを提示してきた感のある第8話。感想というか、ただ起きたことをつらつらとまとめる形になりましたが、仕方がない! そのくらい多くの情報が怒濤の勢いで開示されたということでひとつ!

いやもう圧倒されるばかりです。「そうだったのか!」という驚きと「これからどうなるの!」と期待感と不安。そして今まで描かれてきたドラマのミスリードに「やられたーー!」と感心。そんな感情が入り乱れる大満足の第8話でした。

いやあ、ここまで見てきてよかった! ここまで見たら、もう最後までつきあうしかないじゃないか!!

というところで、最後にようやくOPテーマ!

つまり今回のエピソードは第7話まで描かれた第1部と、第9話から始まる第2部をつなぐインターミッションのようなものということ。主題歌の配置までも演出に組み込んだ構成はあっぱれ! ちょっと鳥肌立ちました。



第9話 郷愁の歌

というわけで、驚きの第8話を受けて、物語は第2部に突入。

リンたちはバズラに利用されている(と思い込んでいる)フィーニス救出を計画します。

いっぽうフィーニスとバズラはお互いの契約を再確認。バズラはフィーニスを歌の兵器として使う代わりに、フィーニスは衛星がもっとも惑星に近づく時に聖歌祭で楽団を従えて歌うことを約束しているようです。歌の力で世界を自分のものにしようとたくらむバズラと、歌の力で今度こそ世界を終わらせようと企むフィーニス。お互いに心から信用はしていないようですが……。

ちなみに第8話の冒頭、ヘンリーは約6万年後に衛星がもっとも惑星に近づく……と語っていました。とすると、少なくともフィーニスが終滅の歌で世界を滅ぼした古の時代からは、それ以上の時間が経っているということ。う~ん、どんだけ長い時間を生きてきたんだ。

それにしてもやっぱり「LOST SONG」が面白いなと思うのが、どんなにシリアスな状況でもコメディ要素を忘れないところ。ポニーは「兵たちの大多数がフィーニスの姿を見たことがないなら」と、モニカをフィーニスに仕立て上げ歌装兵器に潜入。大暴れして混乱させている間にフィーニスを救出する、なんて無茶な作戦を立てます。どれだけ緻密な計画なのかと思いきや、ほぼ行き当たりばっかりという適当さ! 「おいおい!」と視聴者の多くが突っ込みを入れたくなるところですが、なんかモニカもノリノリになってきて口調も妙に偉そうに。

本来なら緊迫のシーンなんですが、なんともゆる~い雰囲気。これが本作の魅力なのです。

いっぽう、リンはかつてヘンリーが使っていたとおぼしき剣を発見。黒い精霊がまとわりつくその剣に触れると、フィーニスがたどってきた記憶の世界にダイブ!

フィーニスの半生を追体験したリンは、そこで初めてフィーニスという人間を知ります。そして、自分がフィーニスが手放した「癒やしの歌」=ヘンリーへの希望が実体化した存在だという衝撃の事実を知ることになるのです!

歌の力そのものと言ってもいいリンだからこそ、どんなに歌を歌っても命を削ることにならなかったのです。

さてさて、フィーニス救出作戦を実行中のポニーたち。結果的に作戦は成功して兵器を使って王都軍を大混乱に陥れます。そしてそこに颯爽と現れたのが、現代のヘンリーたち。彼を「お頭」と慕うのは古の時代にヘンリーとともに戦っていた傭兵たち! 顔が全くおんなじです(笑)。

ここでヘンリー、「フィーニス。君を助けに来た!」とひと言。その言葉に反応するフィーニス。長い時を経てヘンリーと再会したフィーニスは、絶望の淵から抜け出すことはできるのでしょうか?

ちなみに今回のED映像は、崩壊した真っ赤な世界で歌うフィーニスの映像でした。どアップのシーンでは、なんとも言えない迫力に思わずゾクッとしちゃいます。本編だけでなく、OP、EDもちゃんと見逃さないように!

(編集部・有田)

おすすめ記事