バンドリーマーの輪が大きな円に! アニメ新シリーズも発表された「BanG Dream! 5th☆LIVE Day1:Poppin’Party HAPPY PARTY 2018!」レポート

BanG Dream! プロジェクトのライブイベント「BanG Dream! 5th☆LIVE」が2018年5月12日~13日、千葉・幕張メッセにて開催された。今回は12日に行なわれた「Day1:Poppin’Party HAPPY PARTY 2018!」をレポートする。


DAY1には「BanG Dream!」声優陣がみずから楽器を演奏するバンド「Poppin’Party」より戸山香澄役の愛美さん(Gt.&Vo.)、花園たえ役の大塚紗英さん(Gt.)、牛込りみ役の西本りみさん(Ba.)、山吹沙綾役の大橋彩香さん(Dr.)、市ヶ谷有咲役の伊藤彩沙さん(Key.)が出演。オープニングアクトは、1月のガルパライブで「Afterglow」「Pastel*Palettes」「ハロー、ハッピーワールド!」各ボーカルのバックバンドを務めた“バンドリ!第3の実演バンド”「THE THIRD(仮)」が担当した。

オープニングアクトはTHE THIRD(仮)!


THE THIRD(仮)は、ベースボーカルRaychellさん、キーボード倉知玲鳳さん、ドラム夏芽さん、ギター小原莉子さんという構成。小原さんは3月のTHE THIRD(仮)ファーストライブでサプライズ加入した新メンバーだ。今回オープニングアクトとして登場したTHE THIRD(仮)はAfterglowの「That Is How I Roll!」、ハロー、ハッピーワールド!の「えがおのオーケストラっ!」、Glitter*Greenの「Don't be afraid!」、そしてオリジナル曲の「R・I・O・T」を歌唱した。個人的にTHE THIRD(仮)単独としてのステージを見るのは初めて。Raychellさんのパワフルなボーカルの印象があったので、「Pastel*Palettes」や「ハロー、ハッピーワールド!」のような、キュートさを全面に出した楽曲はどうするのかな、と思っていたのだが、「えがおのオーケストラっ!」ではボーカルをキーボードの倉知玲鳳さんが担当するのを見てなるほどと思った。弦巻こころ役の伊藤美来さんの甘く魅力的な声質の原曲をカバーしても違和感がない、キュートな、そして声優らしい歌声だったからだ(倉知さん、小原さんは声優としても活動している)。

今回特に印象に残ったのが倉知さんのパフォーマンススタイルで、キーボードを演奏しながら足元で楽しそうにリズムを刻んだり、行進するような足取りや両手でがんばれ!のポーズを決めたりする姿は躍動感にあふれていて、演者の感情が動きからも伝わってくる。比較的シンプルなキーボードセットを使うことで、足元の動きを見せて気持ちを表現するのは新鮮だった。「Don't be afraid!」もかなりキーが高い曲だが、この曲ではRaychellさんが爽快感あふれる高音を響かせていた。オリジナル曲の「R・I・O・T」は重厚で圧倒的なパワーにあふれたナンバー。

4曲という限られた曲数の中で、THE THIRD(仮)というバンドの可能性や幅の広さを感じることができた。THE THIRDは7月17日にマイナビBLITZ赤坂で2ndライブを開催。当日はPastel*Palettesのボーカル、丸山彩役の前島亜美さんがゲスト出演するとのことだ。

最初からクライマックス感全開のPoppin’Party


スクリーンでちびキャラの香澄たちが会話をする奥、ステージを覆う紗幕の向こうでは、リアルのPoppin’Partyのメンバーが軽く楽器慣らし。紗幕で直接の視線を遮りながら、ステージ上のカメラを通して、準備をするメンバーの姿をスクリーンに流す演出は臨場感が抜群だ。会場の期待が一気に高まったところで、「ティアドロップス」でライブはスタート。1曲目としては意外な選曲だが、大橋さんは髪にピンクブラウンを入れたポニーテールで、山吹沙綾をビジュアルでも再現していることにも驚く。愛美さんと大塚さんが背中合わせでギターを響かせる姿がエモーショナルだ。



「走り始めたばかりのキミに」はアカペラ始まりで、ピンスポットを浴びた愛美さんの叫ぶような熱唱が約1万2000人の歓声を鎮め、聴き入らせる。自身のパートで、真剣な表情でドラムを叩き歌う大橋さんの姿と歌声がハッとするほど印象的。大塚さんは「ティアドロップス」で愛美さんと楽しそうに背中を合わせていた姿とは温度を変えて、クールに、そして孤高にスーパーテクニックを見せつけていた。演奏を終えた愛美さんは「最初からボルテージマックスでございますー!」と、元気いっぱいにご挨拶。

会場を巻き込んでの声出しタイムのあとは、アニメスペシャルメドレー。「私の心はチョココロネ」「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」「前へススメ!」「夢みるSunflower」という、ライブでメインを張れる楽曲を詰めこんだ贅沢な構成だ。「私の心はチョココロネ」はいきなりサビから入って、全員で合唱。「好きで好きでたまらないよ」から始まる西本さんの1番Aメロからの始まりと、アニメの印象的な部分を振り返る流れになっていた。各メンバーが歌い継ぐパートでは愛美さん以外の4人のボーカルパートも本当に魅力的で、とりわけ大橋さんの歌声がさらにうまく、輝きを増したように感じて驚いた。「STAR BEAT! ~ホシノコドウ~」では広大な会場全体に「ララララー」の大合唱が広がったりと、早くもまるでクライマックスのような空気とテンションが会場を包み込んだ。


ここでスクリーンには幕間映像として「ポピパ強化計画」が流れる。メンバーそれぞれを強化するためにさまざまなチャレンジをするという企画で、まずは大塚さんが路上ライブに挑戦。最初はブシロード社内に始まり、新宿西口、新宿南口といった路上ライブのメッカや、思い出の聖地、下北沢GARDEN前といった場所でも。「Time Lapse」を歌う大塚さんの歌唱力と表現力は圧倒的だ。山下公園では通りすがりのミュージシャンとセッション。大塚さんがかつて本当に路上ライブをやっていたという横浜駅高島屋前では、当時毎週見に来てくれていたお客さんと再会したりと、上質なドキュメンタリーのような映像だった。西本さんはパフォーマンス力を磨くべく殺陣に挑戦。マイトンファー・ニシモトンファーの使い方や、模造刀を使った殺陣を真剣な眼差しで学んでいた。

メンバーの個性が光るアコースティックコーナー


アコースティックコーナーではチーム分けをしてライブを披露。圧巻だったのが愛美さんと大塚さん(セクシー2)による「Time Lapse」。ちょっとウィスパーがかった2人の歌声のやさしい重なりが印象的だったが、時に歌声は力強くうねり、徐々にテンションを上げていく。2人が一心に情熱的なギターの響きを交わす様子は、まるで2人がギターと歌声で会話しているようだ。愛美さんが、演奏に没入しすぎてちょっとマイクを外して歌ってしまったシーン(すぐに直した)は、ゾクゾクするほどライブ感があった。


西本さんと伊藤さん、大橋さんによるユニット「ベイビー3」は「Yes! BanG_Dream!」をキュートにのんびりとアコースティックで披露。かわいらしさに特化した表現は西本さんと伊藤さんの独壇場で、キュートでどこか牧歌的な、この場ならではの「Yes! BanG_Dream!」を響かせた。時々語尾を問いかけるように上げて変化を入れる伊藤さんの歌いまわしが印象的。普段情熱的にドラムを叩いている大橋さんは、この曲では星型のタンバリンを担当。楽しすぎて(?)タンバリンの鈴が何枚も弾け飛んでいたのには本人もびっくりだ。演奏面では西本さんのベースのどこかユーモラスな響きが印象的だった。


再びステージに5人が揃うと、リニューアルされた夏制服衣裳を紹介。新しい夏制服は色味をアニメに寄せて、より自然な印象になった。アコースティックコーナーの締めは再びの「STAR BEAT! ~ホシノコドウ~」! 今度はゆったりしたテンポで、しっとりした歌声を響かせた。バンドの音とメインボーカルが抑えめな分、コーラスの存在感が増して、歌声が追いかけ合うような不思議な印象に。音数が少ない分、伊藤さんのキーボードのさらなる上達がはっきりと感じられるのも嬉しい。透明感を感じる「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」だった。

ひと足早く夏を満喫! の後半戦


再びの幕間映像「ポピパ強化計画」では、大橋さんが体幹トレーニングやストレッチに挑戦。普段から筋トレをしているというものの、普段と違う筋肉を使うトレーニングに四苦八苦の大橋さんだが、なんとか笑顔で乗りきった。スネアドラムが叩きやすくなったとのことで、一番実になった特訓になっていたかもしれない。伊藤さんは動きでも魅せるミラクルダンシング・キーボーディストを目指して、ダンスに挑戦。だんだん心が折れそうになりながらも、ダンスの楽しさと大変さを感じている様子だった。

「キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~」では幕間映像での特訓の成果を示すべく、大橋さんはタンバリンを装備、伊藤さんは肩から下げるショルダーキーボードに切り替えて身軽に。「筋肉とドラムはつながっている」と語る大橋さんはパワフルな動きを見せていた。そのままの流れで「夏空 SUN! SUN! SEVEN!」。伊藤さんはダンスの課題曲だったこともあり、サビでは特訓した振付でダンスを披露。西本さんがベースヘッドをふるう動きには殺陣特訓の成果を感じたかもしれない。大橋さんは「(「バンドリ!」のライブで)走ったりしたの初めて!」と嬉しそうに報告していた。

夏コーナーの次の曲では、大橋さんが愛美さんの近くに移動。となれば楽曲は2人のツインボーカル、武道館公演以来の「八月のif」だ。個人的には武道館では2人の背中を見る感じだったので、向かい合って手を差し伸べて歌いあう2人のキラキラした表情をしっかり見ることができたのは収穫だった。愛美さんが「私たちにはまだ夏の曲があるんですよ」と語ると、全員がハッピを着てお祭り仕様に。背中を向けて描かれたキャラクターに見せつけると、最後の夏のナンバー、初披露の「夏のドーン!」へ! スクリーンに花火が上がる中、サビでは会場中がぶん回すタオルが風を巻き起こす。熱く燃える会場で伊藤さんが「(風を感じて)心なしか涼しい」と語っていた。


本編最後の曲は「5人の輪で元気を届けたいと思います!」とのことで「CiRCLING」。歌唱前、曲名にちなんで円陣を組んだ時の、愛美さんの最高の笑顔がすごく印象的だった。伊藤さんが「輪!」のフレーズで会場も一緒に手で頭上に輪を作ってほしいとリクエストすると、西本さんから「『CiRCLING!』の歌詞もあるよ(そこでも輪を作ろう)」と提案。その場で新しい演出が生まれていくのはポピパのライブならではかもしれない。会場いっぱいに広がる「輪」たちを嬉しそうに見つめるメンバーの姿が印象的だった。

仲間からのメッセージに、思わず涙……


アンコール中には最後の「ポピパ強化計画」として、愛美さんが「お題に応じてさまざまな主人公を演じ、スター性を身に着ける」ことに挑戦。スポ根主人公として反復横跳びをしたり、「いっけなーい、遅刻遅刻!」とキュートに少女漫画の主人公を演じたりと矢継ぎ早にお題に応えていく。実はやさしいタイプのヤンキーとして、拾った子犬に「タマ」と名付けるシーンでは爆笑が起こった。

見ている側も、本人もすっかりバラエティ企画だと信じきった頃合いで、次なるお題として渡されたのはメンバーたちからの手紙。オーディションでの出会いや、2人だけでライブをやっていた頃の思い出、支えていきたい気持ちを綴った西本さん。不器用な一面もある愛美さんがいろいろ背負おうとがんばる姿が好きだと綴った大塚さん。ポピパを支えてくれる愛美さんへの感謝と、愛美さんが心を許せる存在であることを綴った大橋さん。不安だった時、愛美さんが心の支えで、どれだけかけがえのない存在であるかを綴った伊藤さん。手紙を読みながら徐々に涙声混じりになった愛美さんだったが、最後は「私はみんなに支えられてスターになれるんだと思います。私も力をつけてみんなを支えていきたいです。支え合って、ポピパはスターになるんじゃ!」と締めくくると、会場からは温かい拍手が送られた。


VTRの中の愛美さんがみずからあおってアンコールの声が広がると、再びメンバーがステージに登場。愛美さんが「みんな生きていたら悩みとか苦しいことがあると思います。それが音楽の力で少しでも解消できたら。ハッピーになれたら。この世界は、ひとりじゃないよ、という気持ちをこめて歌いたいと思います」と語った後、初披露の「Light Delight」へ。逆光の中、大塚さんが音楽と一体化したように暴れる姿や、西本さんがイントロから泣きながら演奏する姿が記憶に残った。

新情報発表のコーナーでは、Poppin’Party 両A面の10thシングル「二重の虹(ダブル レインボウ)/最高!(さあ行こう)」が2018年7月11日に発売されることや、2018年7月5日よりミニアニメ「ガルパ☆ピコ」が放送されることが発表された。そして最大のニュースは、TVアニメ「BanG Dream!」新シリーズの制作決定だろう。2019年1月に「2nd season」が、2019年10月に「3rd season」が放送される。新シリーズではサンジゲンがアニメーション制作を担当し、弦巻こころや湊友希那たち、スマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」のキャラクターたちも登場するようだ。新シリーズが発表されると5人はイェーイ!と大喜び。会場も今日一番の大歓声で祝福していた。

最後の挨拶では「こうやってたくさんの人が来てくれて、みんながいなければ成り立たないことを感じました。大きなステージはひとりでは怖くても、5人のポピパでならここに立っていいんだと思います(大塚さん)」「みんなの笑顔が見られただけで幸せです。4年目の『バンドリ!』ですが、もっともっとキラキラドキドキでハッピーな、最高の時間を、景色を、みんなと見たいと思います(西本さん)」「今日はどれぐらいハッピーになっちゃうのかなと思いましたが、皆さんの盛り上がりの中でポピパみんなで演奏して、私もすごくハッピーになりました! これからもポピパのみんなと、バンドリーマーのみんなと突っ走っていきたいと思います!(大橋さん)」とコメント。伊藤さんが「私たち、バンドリーマーさんの輪を広げたいってずっと言ってたので、『CiRCLING』の曲ができてびっくりしたんです」と語ると、会場のバンドリーマーたちは紫の光を灯しながら頭上に大きな輪を作って応える。大感激の伊藤さんは「これからもどんどん輪を広げて、大きな円になりましょう!」と宣言していた。ラストはもちろん愛美さん。「今日はどうしたら1人ひとりにハッピーを届けられるかを考えてきました。みんなの笑顔が、何よりのご褒美です! もっともっとやりたいことがあるので、これからもたくさんライブをやっていきたいです。これからも、応援よろしくお願いします!」と締めると、会場は温かい歓声に包まれた。

ラストナンバーはライブタイトルにちなんで「Happy Happy Party!」! 会場に色とりどりの無数の風船が舞う中、最高にハッピーに、Poppin’Partyらしくライブを締めくくったのだった。

【取材・文:中里キリ】

【セットリスト】
■OPENING ACT:THE THIRD(仮)

M01:That Is How I Roll!

M02:えがおのオーケストラっ!

M03:Don't be afraid!

M04:R・I・O・T


■Poppin’Party

M05:ティアドロップス

M06:走り始めたばかりのキミに

M07:私の心はチョココロネ〜STAR BEAT!~ホシノコドウ~〜前へススメ!〜夢みるSunflower

M08:Time Lapse(愛美・大塚)

M09:Yes! BanG_Dream! (西本・大橋・伊藤)

M10:STAR BEAT! 〜ホシノコドウ〜

M11:キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~」

M12:夏空 SUN!SUN!SEVEN!

M13:八月のif

M14:夏のドーン!

M15:CiRCLING

-ENCORE-

EC01:Light Delight

EC02:Happy Happy Party!

おすすめ記事