永遠の一瞬に交錯した“2人の今井リサ”!「BanG Dream! 5th☆LIVE Day2:Roselia -Ewigkeit-」ライブレポート

BanG Dream! プロジェクトのライブイベント「BanG Dream! 5th☆LIVE」が、去る2018年5月12日~13日、千葉・幕張メッセにて開催された。今回は13日に行なわれた「Day2:Roselia -Ewigkeit-」をレポートする。


DAY2にはスマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」から生まれた「BanG Dream!」Roseliaより湊友希那役の相羽あいなさん(Vo.)、氷川紗夜役の工藤晴香さん(Gt.)、今井リサ役の遠藤ゆりかさん(Ba.)、中島由貴さん、宇田川あこ役の櫻川めぐさん(Dr.)、白金燐子役の明坂聡美さん(Key.)が出演。

初日同様オープニングアクトはTHE THIRD(仮)が担当。Afterglowの「That Is How I Roll!」、Glitter*Greenの「Don't be afraid」、オリジナル曲「R・I・O・T」に加え、Pastel*Palettesの「しゅわりん☆どり~みん」をキーボードの倉知玲鳳さんボーカルで披露してライブを盛り上げた。

この5人で最後のステージを笑顔で、最高のものに。

ライブに先立ち、遠藤ゆりかさんの芸能活動引退と今井リサ役の交代が発表されていたため、「ベースの今井リサ役・遠藤ゆりか」のRoseliaは、今回のステージが最後となる。

だが今回のライブはそこを焦点にするよりも、メンバーそれぞれがキャラクターをまとってこの5人での最高のライブを作り上げ、残そうとしているように思えた。ステージを覆う紗幕にライトが当たると、浮かび上がるRoseliaの5人とバンドセット。特別なライブは「ONENESS」で幕を開けた。

ライブが始まると、遠藤ゆりかという存在のスペシャルさを改めて感じる。ソロの、ハモりのワンフレーズの存在感。ベースを奏でながら、フットスピーカーに片足を乗せてにっと笑う姿が驚くほど絵になる。「Determination Symphony」で遠藤さんは舞台下手のステージ端まで行き、少しでも客席に近くで、会場の光景を目に焼き付けようとしているようだった。最初の2曲では相羽さんと工藤さんのセッション感が印象的で、「ONENESS」では相羽さんが工藤さんの肩を抱きながら歌い、「Determination Symphony」では工藤さんの側から歩み寄っていた。

会場を見回した遠藤さんが「あったまってるね!」と、盛り上がる会場を嬉しそうに見回すと、櫻川さんが「安全に楽しめない人はRoseliaを脱退してもらうわよ」と友希那の物真似(をするあこ)で、懐かしいネタを披露した。

カバーコーナーはまず「魂のルフラン」~「Hacking to the Gate」~「ETERNAL BLAZE」 のメドレーから。「魂のルフラン」と「Hacking to the Gate」は、Roseliaが初めてステージに立った「BanG Dream! 3rd☆LIVE Sparklin'PARTY 2017!」で演奏した3曲のうち2曲。当時全力で演奏した楽曲をメドレーという形で披露していることにも、5人の成長と努力を感じる。櫻川さんも「あこたちもメドレーができるぐらい曲数が増えたんだね!」と嬉しそうだ。相羽さんが友希那として「フルで聞きたかった人は、ごめんね?」と謝ると、遠藤さんが「友希那珍しくかわいく謝るじゃん!」と返す。しかし工藤さんが遠藤さんの口からも聞きたいと無茶振りすると、遠藤さんも「フルで聞きたかった方は、ごめんね?」といたずらっぽく答えていた。

ここで相羽さんが「終わりなどないと、信じている」と歌詞を引用すると、初披露カバー曲の「深愛」へ。ダイナミックで分厚いバンドアレンジのサウンドに乗せて、相羽さんが違う道を歩む2人の間にある想いと愛情を高らかに歌い上げる。その詞の世界は5人のリサと友希那たちの関係にも重なるようで、カバー曲の中からこの曲をフルサイズで歌唱することを選んだのにも、強い想いがあったように感じる。「また会えるよねきっと」のフレーズで遠藤さんを見つめる相羽さんの眼差しから、想いが伝わる。



“終わりなどないと、信じている”

幕間には、2日目も作りこんだバラエティ映像が上映された。企画は5人のRoselia愛をクイズで試し、間違えると減点10、解答中に自身が演じるキャラクターらしさを崩すと減点1で、Roseliaメンバーの格付けをするという内容だ。ステージは本格的に、MCやトークではゆるく仲良く盛り上がるギャップが魅力の彼女たちらしい企画だ。工藤さんが、かつて自分がした「チョココロネ♡」(牛込りみの)が元ネタの物真似が見抜けず騙されたりと、見どころが多い映像だった。

ステージに衣裳をチェンジした5人が登場すると、ピンスポットがドラムセットに。櫻川さんの気迫のこもったドラムプレイに、ほかの3人の奏でる音が加わっていく重厚なライブオリジナルイントロから、なだれこむように「LOUDER」へ! それはバンドとしてのRoseliaの努力の結晶のようなパフォーマンスだ。

続く「熱色スターマイン」で客席全体の魂を込めたコールの合唱が、会場全体の温度をさらに高めていく。櫻川さんのソロパートでの妖艶な表情がドキッとするほど印象的で、同時にステージでのあこならこういうの、やってのけるよなとも感じる。クライマックスの相羽さんの「頂点へ、狂い咲け!」の叫びはもっともRoseliaらしく、妖しくも華やかな響きだった。

新衣装はスカートの後ろのひらひらの長さなど、デザインが1人ひとり違う。たとえば燐子はスカートを含めた全体的の丈感が長く、ふわりとしたシルエットが印象的だった。遠藤さんは袖口のデザインが気に入っているそうで、くるりと回って投げキッスを決めていた。

相羽さんが「一緒に演奏してきたメンバーと、ここまでついてきてくれたあなたたちに、この曲を贈るわ」と語って歌いだしたのは、バラードナンバーである「軌跡」。絆を歌う相羽さんの歌声を、ステージの段に腰掛けた遠藤さんと工藤さんが胸に刻むように聴き入り、サビでは遠藤さんの優しい歌声が相羽さんの歌声を包みこんでいった。

“ありがとう。終わらない、絆がある。”

「Re:birthday」は壮大な楽曲だが、いつも以上に印象的だったのがメンバーの表情。明坂さんが演奏の間に優しくほほえみながらメンバーに送る眼差しや、ステージ上で何度もお互いの姿を探していた遠藤さんと相羽さんの目がぴったりと合った瞬間のことが忘れられない。それはたおやかな絆をつないだその先で、それでも未来を紡ぎ続ける決意の歌だった。

ここでステージでは、700人の観客が見守る中行われた伝説のファーストライブから、今までのRoseliaの経験と思い出をMCで振り返っていく。7000人の観客が駆けつけた追加公演。熱色スターマインの初披露。アニサマで立ったさいたまスーパーアリーナのステージ。アニサマに備えての、プライベートのRoseliaお泊まり会。幕張でのプロジェクションマッピング演出。そして、今日の最高のステージ。現在に辿り着いた5人は、バンドメンバー紹介のソロ演奏で再び会場のテンションを高めると、ラストナンバー「-HEROIC ADVENT-」へ!! 「あなたの声を聴かせて!」の相羽さんのいざないに応えるように、燃え上がる会場も全力の叫びとコールを返していく。鳴り止まない「WoWWoW」の大合唱と、それを貫くように強さと透明さを増していく相羽さんのボーカル。歌い終えた後の、万感の思いを込めた観客の大歓声がいつまでも耳に残った。

アンコール前、ここで再びRoselia格付けチェック映像を上映。ここにもバラエティ色をしっかり入れてくるのは、最後まで笑顔でライブを届ける意志表示だろうか。相羽さんも「しんみりせずに、最後まで笑顔で演奏しきるのがRoseliaのライブだと話し合いました」と語っていた。なのだが、この日の格付けチェック全体では罰として画面から姿が消えるほどボケボケだった相羽さんが、リサ(遠藤さん)のベースの音色の判別だけは自信たっぷりに正解する場面はなんだかグッと来てしまった。(なお、最終結果は櫻川さん(あこ)が69点、遠藤さん(リサ)が62点、明坂さん(燐子)が33点、時々中の人があふれまくっていた工藤さん(紗夜)が29点、そしてクイズもキャラ維持もメロメロ(でも自信たっぷり)だった相羽さん(友希那)が-7点という衝撃的な結果だった)。

ステージに再び5人が登場し、アンコールの1曲目「Neo-Aspect」を歌う背後のスクリーンには、3DCGアニメーションで描かれたRoseliaのライブステージの映像が! 「BanG Dream! 」の肝のひとつであるキャラクターと演者の完全なリンクを、このタイミングのステージで見せるのが心憎い。相羽さんが歌詞に合わせて左右の瞳を隠す振付が印象的で、最後には両の瞳を見開いての熱唱を見せていた。

相羽さんが「今日のライブは永遠であってほしいから、今しかできないことをするわ」と宣言すると、遠藤さんが「私たちにとって大切なこの曲で、これまでと、そしてこれからのRoseliaを見せられたらと思います」と言葉を次いで歌うのは──Roselia初めてのナンバー、「BLACK SHOUT」。演奏する5人はまっすぐに力強く、相羽さんの髪の毛が激しく舞う。そしてそのフレーズがやってくる。

“勇気でつなぐから”

その残響が尾を引くように響き、永遠にも思える沈黙の向こう側で。光の中に現れたのは、今までの今井リサ役・遠藤ゆりかさんと、これからの今井リサ役・中島由貴さんがともにベースを携えて並び立つ姿だった。歌い終えた相羽さんから「6人目のRoseliaです!」と紹介された中島さんは「新しくRoseliaの仲間に入れていただく中島由貴です!」と挨拶。遠藤さんと中島さんは控え室では姉妹のように仲よしだったらしく、ステージでも遠藤さんが緊張する中島さんを気遣ったり、「BLACK SHOUT」でのリサの「おっけー!」ポーズを伝授したりしていた。

大観衆の前での初顔見せをやりきった中島さんをステージから送り出すと、最後の、本当にこの5人でのラストナンバー「陽だまりロードナイト」へ。ステージでやさしく肩を抱きながら歌う相羽さんたちの姿は本当に姉妹のように幸せそうだ。今日のライブではあくまでキャラクターとして歌うために、相羽さんは歌詞の中にある特別なフレーズたちにあふれる想いを込めていたように思う。「感謝を」のフレーズで、遠藤さんに向けて手を差し伸べるポーズは何より雄弁だった。

そして歌いきって、湊友希那としてのステージを全うした相羽さんは、「ゆりしー…ありがとう!! みんな、今日は本当に本当に、ありがとう!!」と自らの言葉で想いを爆発させたのだった。

ラストのMCで、櫻川さんたちは「これからは(キャラクターも含めた)11人のRoselia」と表現していた。明坂さんは心が追いつかなくて涙が出ないと語るいっぽう、涙が止まらない工藤さん。

そんな中で最後まで気丈に、笑顔の今井リサであり続けようとした遠藤さんの姿を見て、改めて今までの今井リサは、遠藤ゆりかにしか演じられないものだと感じた。だからこそ、彼女がリサの人生を引き継ぐ中島さんに向けた「ゆっきーなら、私とはまた違う新しいリサを、すごく素敵に演じてくれると思います」との言葉で、ほんの少しでも中島さんの荷物が減ってくれればなと感じたのだった。

「こんな家族みたいな場所ってなかなか作れないんだよね。この5人でバンドができて、仲間ができて、すごくすごく幸せだなと、思ってます。自分のために泣いてくれる人って、すごく貴重じゃない? だから私は、笑顔で皆さんと、Roseliaのメンバーを送り出し、送り出されたいと思います。今後も私はずっと、ゆっきーの隣でベースを弾いているつもりで、Roseliaを応援していきます。みなさん、ずっとずっと、Roseliaについていく覚悟はありますか? これからもずっと、Roseliaを一緒に愛していきましょう! 今井リサ役、遠藤ゆりかでした!」

Roseliaをベースとして支え続けた彼女は、最後まで華やかにあでやかに、笑顔の記憶を残してステージを去った。


(取材・文/中里キリ)

【セットリスト】

■OPENING ACT:THE THIRD(仮)

M01:That Is How I Roll!

M02:しゅわりん☆どり~みん

M03:Don't be afraid!

M04: R・I・O・T

■Roselia

M01:ONENESS

M02:Determination symphony

M03:魂のルフラン~Hacking to the Gate~ETERNAL BLAZE

M04:深愛

M05:LOUDER

M06:熱色スターマイン

M07:軌跡

M08:Re:birthday

M09:-HEROIC ADVENT-

-ENCORE-

EN1:Neo-Aspect

EN2:BLACK SHOUT

EN3:陽だまりロードナイト

【CD情報】

■Roselia/6th Single「R」

・発売日:2018年7月25日(水)

・価格:Blu-ray付生産限定盤 5,000円(税別)、通常盤1,300円(税別)

・Blu-ray付生産限定盤には、2018年1月に開催され、人気曲「ONENESS」のライブ初披露の場となった「ガルパライブ&ガルパーティ!in東京」でのRoseliaライブ映像を収録。

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