花澤香菜と久野美咲は“私生活でもお世話になる”ほど相思相愛!? TVアニメ「ハッピーシュガーライフ」放送開始記念インタビュー

彼女の愛は、甘くて痛い。

誰も愛したことがなかった少女・松坂さとう。そんなさとうが初めて愛した少女・神戸しお。2人の甘く幸せな生活を脅かすものは許さない。

愛のためなら脅迫も監禁も殺人さえも……。


かわいい絵柄に衝撃的なストーリーで織りなす、戦慄の純愛サイコホラー作品「ハッピーシュガーライフ」(原作:鍵空とみやき/月刊「ガンガンJOKER」にて連載中)が、2018年7月よりMBS・TBS・BS-TBS“アニメイズム”枠にてTVアニメ化された。

累計90万部を突破した大人気作品のアニメ化ということで期待が高まる中、主演を務める松坂さとう役の花澤香菜さんと神戸しお役の久野美咲さんにインタビュー。作品の魅力から、演じるうえで意識したこと、さらには2人の甘い関係までたっぷり語っていただいた。


こちらもあわせて要チェック!
【プレゼント】「ハッピーシュガーライフ」放送記念! 花澤香菜×久野美咲のサイン色紙が当たるヒトコトキャンペーン開始




もし自分だったら……と想像して演技に乗せています

――役が決まった時の感想をお聞かせください。

花澤香菜(以下、花澤) 実は以前、コミックのCMでさとうちゃんを演じる機会があったんです。その時から、独特の世界観、しかもかわいい絵柄がさらに怖さを感じさせる作品の魅力に惹きこまれていたので、アニメ化されて「(さとう役を)お願いします」と言われたのがすっごく嬉しかったです。同時に、「TVアニメになったらこのセリフはどう言おう……」と思えるものがいっぱいあってドキドキもしました。

久野美咲(以下、久野) すごく難しい役どころですが、こんなに惹き込まれる素敵な作品に関わらせていただけけることになって、すごく嬉しかったです。原作を読ませていただいて、花澤さん演じるさとちゃんと相思相愛の役柄だとわかったので、そういう関係性の役を演じられるんだと思って、嬉しさ倍増になりました。

――原作を読んでどのような印象を受けましたか?

花澤 読んでいる分にはすごく面白いんですけど、この人たちが周りにいたらやだ!と思いました(笑)。ただ、怖いのが本当に苦手な私でもこういう怖さなら大丈夫というか、面白さに変えられる魅力的なキャラクターと予想もつかない展開がすごいなと。それからやっぱりさとうちゃんを演じるにあたって「愛ってなんだろう」とも考えちゃいましたね(笑)。

久野 読めば読むほど、なんとなく共感できるシーンが結構ありました。どのキャラクターも湧き上がった感情から逃げずに向き合っているんですよね。感情にふたをしているキャラクターがあまりいないからこそ惹き込まれる面白さがあって、すごく心が突き動かされましたね。

――それぞれの役について、まずは花澤さんが演じる松坂さとうの印象はいかがですか?

花澤 一応自分の中で彼女の考えを結論づけて演じていても難しいですね。しおちゃんとのシーンはすごく共感できるんですけど、その他の人との会話は、思考回路がどうなっているのかわかりにくかったりするので。さすがに、この思考回路は自分にはないですし(笑)。

久野 最初はすごく怖いなと思ったんです。でも、しおちゃんに対する真っ直ぐな想いがだんだん純粋に見えてきて。ピュアな部分があるからこそ、いろいろな行動に発展しているのかなと感じました。いけないとか悪いとかじゃなく、さとちゃんだからこその愛情表現の仕方なのかなって。そういう意味で、すごく魅力的なキャラクターだなと思います。

――では、久野さん演じる神戸しおの印象は?

花澤 とにかくかわいくて、無条件に愛してしまいます(笑)。原作を読んでいてもそうですし、美咲ちゃんの声を聞いていてもそう思うんですよ。美咲ちゃんとは普段から仲良しなので「こうきたらこう返すよね」というのもシンクロしたりしますし、本当に美咲ちゃんでよかったなと思っています。

久野 しおちゃんはすごく純粋でいい子なんですが、辛い経験もしてきた子なんです。しおちゃんが心の奥底に抱えているものを、ていねいに演じられたらなと思いました。

――それぞれのキャラクターを演じるうえで意識している点を教えてください。

花澤 さとうちゃんは叔母さんの存在にとらわれているというか、あの環境が彼女の思考回路を生み出したんだろうなと思っていて。それを唯一忘れさせてくれるのがしおちゃんなんです。しかも、一方的な愛ではなく、しおちゃんもさとうちゃんのことを愛してくれているから満たされているんですよ。普段は怖くて無表情だったり、びっくりするような行動もしますけど、しおちゃんといる時が本当の姿なんだなと思うので、そこは大事に演じています。

久野 「さとちゃんのことが大好きで心の底から信頼している」という気持ちを一番大事に演じています。過去の辛くて苦いことを思い出して苦しくなってしまうシーンでは、全然違った空気になるように心がけています。

――どちらも裏の顔というか、普通は起こらないような経験をしているキャラクターです。ただ、非現実的ではありながらも全くのファンタジーではないということで、それをどのように演じているのでしょうか?

花澤 やっぱり「もし自分だったら」というのは考えます。人に危害を加えるのって、絶対に自分にもダメージがあることだと思うんです。物理的にも力がいるし、やってしまった後のことを考えるととても恐ろしいし。しかも、やってしまった相手がすごく親しい人だったら……と想像して、さとうちゃんに当てはまりそうなところをチョイスして演技に乗せていく、という作業ですね。幸い原作があるので、原作をよく読みながら「この時はどういう気持ちなのか」を分析してやっていますが、そうやって想像もしないとできないキャラクターだと思います。

久野 外画の吹き替えでもそうなんですけど、私は声質を生かして「子役さんがやるには難しい、小さい女の子」の役を任せていただくことがよくあります。ホラーだったりサイコだったり、家庭環境に問題があって歪んだ精神を持っている子とか。吹き替えの場合は、実際に海外の子供がお芝居しているので世界に入りやすいんですけど、アニメになるとどこか非日常感を感じてしまって。だからこそ、どうしたら自然に演じられるのかなって、いつも考えるんです。

そこで生きてくるのは、今までお芝居で演じた時の感情であったり、自分の人生で経験したことのある感情を突き詰めることなんですよね。いきなりその感情が生まれるのではなくて、場所や、関わる人、かけられる言葉、表情など、いろいろな状況で移ろいゆくものだと思うんです。しおちゃんを演じる時も、そういう気持ちの移り変わりや流れを意識してやっています。



私生活でもお世話になっています(久野さん)

――作中でさとうとしおの絆はとても深いですが、今回共演してみていかがですか?

花澤 やりやすい……やりやす過ぎる! ちょっと自慢ですけど、私たちは愛し合っているので(笑)。キャスティングをした人が私たちの関係を知っていたのかな、というぐらいです。収録後に2人でお茶をして、アフレコのこととか話し合ったりするんですよ。

久野 思っていることがほとんど一緒なんですよね。

花澤 そうだよね。「ハッピーシュガーライフ」のスタッフさんは結構演技プランを任せてくださるので、2人で話しているうちにどんどん湧いてくることがあったりします。

久野 だから共演できて本当に嬉しいです。私、初めてアニメに出させていただいた時も主演が花澤さんで。本当にずっとお世話になっています……お仕事だけではなく、私生活のほうでも(笑)。

花澤 いい響きですね。「私生活のほうでもお世話になっている」って(笑)。

久野 花澤さんは仕事のことでもプライベートのことでも悩みごとを相談させていただいている、本当のお姉ちゃんみたいな存在なんです。私も花澤さんといる時はすごく安心できるので、しおちゃんの気持ちとシンクロします。それはきっと、お芝居にも生きていると思います。

それから、さとちゃんは、台本をめくってもめくってもしゃべりっぱなしの長台詞があるような大変な役なのに、花澤さんは大変そうな素振りを一切見せずに毎回すごいお芝居で他のキャストを引っ張ってくださいます。今までも尊敬していましたけど、さとちゃんは花澤さんにしかできない役だなって改めて思いました。

花澤 (嬉しさで)ちょっとビール飲んでいいですか?(笑)いい気分になってきました!

――アフレコでの印象的なエピソードを教えてください。

花澤 第5話でしおちゃんに「大好きだよ」と言われたさとうちゃんが、うるうるしちゃうシーンがあるんですけど、演じていて私も涙が出てきました(笑)。本当に真っ直ぐ伝えてくれるし、さとうちゃんの救いになっているのを実感できて。

久野 そんな風に言っていただけて嬉しいです! 現場ではいつも両隣が花澤さんとしょうこ役の洲崎綾さんなんですが、洲崎さんがすごく明るくて、現場のムードメーカーになってくださっています。

花澤 毎回面白い話題を提供してくれるよね。

――しょうこを始め個性的なキャラクターがたくさん出てきますが、ご自身が演じたキャラクター以外で気になるのは誰ですか?

花澤 北埋川先生(笑)。私が男だったら、ああいう役をやりたいなって。あんなに変態の役、しかも先生って絶対に面白いですもん(笑)。

久野 アフレコ現場ですごいなって思うのは三星くんです。しおちゃんへの純粋な愛が重すぎて(笑)。花江さん(三星太陽役の花江夏樹さん)のお芝居も、ただ気持ち悪く演じるんじゃなくて、愛が重いがゆえの筋の通った表現をなさっていて。素敵なキャラクターだなって思います。

――さとうはしおに出会って生き方が変わりました。2人にとって生き方が変わった出会いはありましたか?

花澤 作品になりますが「ゼーガペイン」ですね。私はずっと子役をやっていて、高校生でこの作品に出会って初めてヒロインをやらせていただいたんです。アニメでこんなにしゃべるのも初めてという状態の時に、スタッフさんや先輩たちに本当に助けていただきました。この作品に関わらなければ声優としての今はないので、私の人生を変えてくれた作品です。

久野 私ももともと子役だったのですが、今までのお仕事の中で誰ひとり欠けても、花澤さんと「ハッピーシュガーライフ」に出られる未来はなかったんだろうなと思います。10歳の時に初めて吹き替えのお仕事をして、当時はただ目の前のことに一生懸命やろうという気持ちしかなくて。でも、その積み重ねがなければ今に繋がっていないですし、一緒にお仕事してくださる方たちがいなければ声優を続けていなかったと思うので、全部が大切ですし、感謝しています。

――2人にとって家族からの愛はどういうときに感じますか?

花澤 私の家族はそれぞれが自立して人生を楽しんでいる感じですけど、大事な時に背中を押してくれるのはやっぱり家族ですね。「ゼーガペイン」の後に、仕事を全部辞めるか声優としてやっていくか迷っていた時に背中を押してくれたのは母でした。最近も「地球ゴージャス」さんから演劇のお話をいただいて自分がやれるかどうか悩んでいた時に背中を押してくれて。やさしくというよりも、「やってみればなんとかなるよ」ってお尻を叩いてくれるんです(笑)。

久野 特別なことがなくても、家族と日常を一緒に過ごせることに日々幸せを感じています。一緒に朝ごはんを食べるだけでも、ほっこりしますね。



美咲ちゃんのためなら何でもできる(花澤さん)

――アニメ第1話の見どころを教えてください。

花澤 人の怖い部分や汚い部分が最初から出てくるのは見どころですね。さとうちゃんがそれを上回る精神力と言葉でねじ伏せていくので、ちょっと爽快感もありますよ(笑)。

久野 第1話で初めて「誓いの言葉」が出てくるんですけど、アフレコでもすごくドキドキワクワクしたシーンなので注目して欲しいです。私自身もオンエアが楽しみです。

――本作のキャッチコピーは「彼女の愛は、甘くて痛い」です。特に甘いと感じたシーンを教えてください。

花澤 いっぱいあるんですけど……、一緒にお風呂に入るシーンで「私の頭でつぶしちゃってかわいそうなんだもん」「胸は元に戻るから平気だよ」っていうのが、やっぱりニヤけますよね(笑)。

久野 それのどこにニヤけポイントがあるんですか?(笑)

花澤 いろいろだよ!! しおちゃんの発想とか、戻る胸があるさとうちゃん、いいなとか(笑)。

久野 私、花澤さんとお風呂のシーンをやるのは2回目なんですよ。アフレコの前日に初めてのお風呂のシーンがあった「ロウきゅーぶ!SS」のBlu-rayを見返して、予行演習してから第1話のアフレコに臨みました。

花澤 もう、愛しいですよね。覚えてくれているのがすごいですよね。

久野 嬉しかったから覚えていました!!

――印象的なセリフに「しおちゃんのためなら何でもできるんだ」というのがあります。ご自身にとって、これのためなら何でもできるものはありますか?

花澤 美咲ちゃんのためだったら何でもできるな。

久野 ふえぇぇぇぇ!!! い、いいんですか? 私なんかのために。そんなことを言っていただけるなんて、本当に嬉しいです!!

――その理由は?

花澤 好きだからです(照)。美咲ちゃんはほっとけなさがあるし、おばあちゃんみたいな思考回路をしていて、言うことが全部いいことなんですよ(笑)。一緒にいて浄化される感がすごくあります。

久野 大人じゃなくておばあちゃんなんですね(笑)。

――久野さんはどうですか?

久野 私も、花澤さんのためなら何でも……。

花澤 いいんだよ、美咲ちゃんは違うもののためにして(笑)。

久野 さとちゃんを演じるのってすごく大変だと思うんです。だから、ちょっとでも花澤さんの役に立ちたいなって。アフレコの後にご飯やお茶をする時も、花澤さんが思っていることや感じていることは共有したいなと思っているんです。

花澤 「思ってることはないですか?」とか「ちゃんとご飯食べてますか?」とか、すごく聞いてくれるんですよ。

久野 私が一番大変だった時に花澤さんは親身になって話を聞いてくださったんです。だから、ちょっとでも私にできることがあればいいなと思いながら現場に臨んでいます。

――最後に、メッセージをお願いします。

花澤 この作品は、事前に情報を知らずに見てもめちゃめちゃ面白いですし、先を知っている私も台本を読んでドキドキしていました。とにかく第1話を見ていただければ続きを見ずにはいられないと思います。原作のかわいらしいキャラクターたちがそのままに、怖いところは本当にゾクッとするような絵が出てきて楽しめるアニメですので、原作が好きな方も見逃さないで欲しいです。

 

久野 作品の中で起きていることは私たちの日常とはかけ離れたことかもしれないですけど、登場人物たちの気持ちに寄り添うことができる作品です。原作ファンの方もアニメから入る方も心を動かしながら見ていただけたら嬉しいなぁと思います。アフレコ現場ではみんなが役と向き合って頑張っていますし、スタッフさん方もすごく時間をかけてディレクションしてくださいます。ひとつひとつていねいに作り上げていますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。よろしくお願いいたします!!

(取材・文/千葉研一)

おすすめ記事