「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」第4話をレビュー、しちゃいます!:記憶の2人の座り位置

「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」第4話「約束タワー」はレヴューなしの幕間日常回……と思いきや、失踪したひかりを探し求めて、華恋(かれん)が東京狭しと駆け回るシティアドベンチャーでした。

作中で描かれた大森海岸駅といえば「しながわ水族館」の最寄り駅です。ひかりが大好きなクラゲ(……あれ、ひかり、ぷるぷるしたもの、嫌いだったのでは?)を見られる東京各地の水族館を中心に、川を渡って浅草寺、上野、月島という“おのぼりさん”御用達な観光地を巡ります。クラゲ要素以外にひかりが訪れたエリアを見て思い出す名所といえば、現在日本一高いタワーである東京スカイツリーで、背景にもちらりと東京スカイツリーが登場します。思い出の東京タワーよりも高い場所であり、敷地内にすみだ水族館を抱える東京スカイツリーに、久々に日本を訪れたひかりが興味を持ったのでしょうか。

東京を走り回る華恋に、ひかりは自分の居場所を、漠然としたスマホの写真で知らせてきます。「追ってきてほしい」「でもそれを告げていいのか、望んでいいのかがわからなくて、怖い」という矛盾した心情が透けて見えますね。実際に追いかけてきた華恋の熱意と愛情に根負けしたのか、ひかりは電話越しに華恋との会話を始めます。まるで離れていた時間を取り戻すように。

この第4話にしてのひかりの「デレ」には正直驚きました。ずっとツンツンしているのかと思ったので。しかし会話の流れを追っていくと、ひかりが恐れていたこと、防ごうとしていたものがなんだったのかが見えてきます。「あのオーディションは合格できなければ舞台少女として一番大切なものを奪われる。だから負けちゃダメ」という言葉。華恋がオーディションに参加することを防ごうとしていた理由が「華恋がオーディションに落ちて、舞台少女として大切なものを奪われることがないように」だとすれば話がわかりやすくなります。

自分との絆が華恋を舞台に引き寄せるのなら、冷たく突き放すことで危険から遠ざけようとする。それでも華恋が舞台に立って、しかも真矢に一度負けてしまったなら、今度は華恋がもう負けないようにしたい。合理的です。

しかしそれだけではなく、ひかりが華恋とかつて東京タワーで交わした、いつかスタァになる約束を大切に思うからこそ、その約束を覚えているのが自分だけだったらどうしよう、心の支えだった約束が崩れてしまったら耐えられない……という少女らしい脆さ、怯えもまた、ひかりに踏み込むことをためらわせていたのだと思います。

第4話のイメージシーンで描かれた「戯曲スタァライト」では、華恋演じる女神が星の光に瞳を灼かれて落ちていき、代わりにひかり演じる女神の立つ舞台が高みへと至る描写がされました。オーディション、レヴューで勝ち抜いた者が敗者から大切な“何か”を奪い、トップスタァへと至る残酷な仕掛け。

ですが、そこで「だったら2人で合格しようよ!」とルールを、世界を変える提案をするのが愛城華恋です。真矢と同じステージにすら立てていない力量差を自覚したうえで、ひかりに「大丈夫!」と手を差し伸べる強さ。やはり神楽ひかりと対になってこそ、華恋は光を放つスタァなのでしょう。

ただひとつ気になったのは、回想シーンで「戯曲スタァライト」を見つめる華恋とひかりの座り位置が、第1話の冒頭と逆なんですよね。ひかりが学園を訪れた際の「世界の反転」の描写と、何かつながるのでしょうか? 幸せな日常シーンに、こういうのをするっと滑りこませてくるのが憎いですね。

さて、第3話まではオーディションとひかりの登場によって変わった人間関係が描写されましたが、第4話では本来の組み合わせの少女たちの今が描かれます。門限破りの2人をかばう仲間たちが馬鹿をやる中で、真矢がノリノリで参加しているのがなんだか嬉しいです。

ひかりといる時の華恋が、双葉といる時の香子が、クロディーヌといる時の真矢が、いつも以上にかわいく、魅力的なのが印象的でした。あと、私服の舞台少女たち、いいですね! バナナイス!

(文/中里キリ)

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