「本心はどこに?と思わせながら好きなことを熱く語る和臣のギャップは威力大!」アニメーション映画「思い、思われ、ふり、ふられ」公開記念インタビュー第4弾──乾和臣役・斉藤壮馬!
「ストロボ・エッジ」「アオハライド」に続く「咲坂伊緒 青春三部作」の最終章「思い、思われ、ふり、ふられ」が、アニメーション&実写のW映画化で集大成を飾っている。
偶然出会った、全くタイプの違う4人の高校生。からみ合ったりすれ違ったり、4人4様の“思い”を瑞々しく描いたアニメーション映画「思い、思われ、ふり、ふられ」(以下、「ふりふら」)。
アキバ総研では、メインキャスト4名にリレーインタビューを敢行! 第4回は乾和臣(いぬいかずおみ)役の斉藤壮馬さんにインタビュー! ストーリーの魅力や和臣を演じるうえで意識したこと、お気に入りのシーンなどをうかがいました。
また、映画公開を記念してメインキャストを務める島﨑信長さん、斉藤壮馬さん、潘めぐみさん、鈴木毬花さんの寄せ書きサイン色紙が当たるプレゼントキャンペーンを実施。
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—— 和臣役に決まったときの率直な気持ちを教えてください。
斉藤 声質は理央(りお)のほうがイメージしやすいキャラクターでした。オーディションの段階でも和臣はつかみきれている確信がなかったので、アフレコ現場で他の3人のお芝居を聞いていく中で、新しいものが生まれるのかなという気持ちはありました。これまであまり縁がなかったタイプの役だったので、声優としてはいい意味でチャレンジングな配役をしていただき、うれしく感じました。
—— 監督からはどのようなリクエストがありましたか?
斉藤 原作から感じた和臣は朴訥とした印象で、低い声のイメージでした。イケメンボイスというよりは、等身大の男の子というような。最初のアフレコのときに監督から「あまり声を低くしないでほしい」というリクエストを聞いたときに、4人のナチュラルな会話劇をじゃましないような自然なトーンを保ちながらの低い声がいいのかなと思いました。声色を作り込むよりは、現場でのお芝居の中で感じたままに演じていく。それぞれが持ち寄ってきたものを出して、現場で調整していく形でしたね。
—— 「ふりふら」のストーリーの印象を教えてください。
斉藤 キラキラしているという意味での青春的な要素もすごくあるのですが、タイトルにも象徴されているように、すれ違ったり、青春の青さとか若さ、うまくいかないことがうまく描かれているという印象です。人生うまくいくことばかりじゃない。もちろん、幸せなシーンや素敵なシーンもたくさんあるけれど、すれ違ったり、うまくいかないことがありながらも、もがきながらがんばっているところにグッときました。だからこそ、読んでいて「最終的にはみんな幸せになってほしい」という思いでページをめくっていました。物語運びがすごく巧みで、早く続きが読みたくなる。おもしろくて魅力的な作品です。漫画好きの妹たちも、出演が決まったときはすごくよろこんでくれました。
—— お兄ちゃんにキュンとさせられちゃうわけですね。咲坂先生とはどんなお話をしましたか?
斉藤 先生ご自身も和臣については「とらえどころがないキャラクターと思われるだろうな」と感じていたそうです。本当はやりたいことがあるけれど、そこに向かっての一歩が踏み出せない和臣には、表に見えている部分と、内面にひめた思いに違いがあります。なので、感情をひとつに決め過ぎないように演じました。たとえば、悲しみを表すシーンでは、主に声に乗るのは悲しみだけど、怒りやよろこびという成分も入っている。観る人によっていろいろな受け取り方ができるようなセリフがあってもいいのかなと感じたと伝えたら、「そうかもしれない」とおっしゃっていました。
—— 斉藤さんが感じる和臣の魅力を教えてください。
斉藤 ぱっと見、何を考えているのかわからない。だからこそ、探ってみたくなるし、追いかけてみたくなる。もっとこの人を知ってみたいと思わせる要素があって、ある意味ミステリアスというのかな。独特のテンポ感がある感じもいいなと思います。朱里(あかり)がそうだったように、自分がいっぱいいっぱいになったときに、ふと肩の力を抜かせてくれるような存在、焦る気持ちやはやる気持ちが薄れていくような心地よさをくれる人だと思います。恋愛では「本心はどこにあるんだろう」と思わせるいっぽうで、好きな映画については熱く語る。純粋さ、かわいさがいいギャップになっていると思います。安心感、ミステリアス、好きなものに対する純粋さが和臣の魅力ですね。
—— 和臣との共通点はありますか?
斉藤 好きなものについて熱く語る部分はすごく共感します。今回も、モノローグ部分のセリフを自宅でチェックしているときに、実際には使われなかったのですが、和臣の気持ちになって思わず、いっぱいセリフを書き込んでしまいました。僕は家族に声優の道を志すと言ったとき、肯定的に受け止めてもらえましたが、それは本当にありがたいことだったのだと思っています。やりたいことがあるけれど、それを認めてもらえるかどうかわからない。好きな人がいるけれど、友のためを思って身を引く。そういう彼のやさしい性格にとても惹かれます。
ーー 朱里、理央、由奈にはどんな印象を持ちましたか?
斉藤 朱里は和臣と似ているところがあるなと感じました。家庭環境の影響もあり、ある意味少し背伸びをして大人のようにふるまわなければいけないようになっています。本当は感じていることを素直に表現したいと思いながら、大人のようにふるまうことが身についていて、自分のことにはなかなか気づけないという不器用さがあるという印象です。和臣と朱里は似ているところがあるからこそ、近づいたり離れたり、すれ違ったりしながらゆっくりゆっくり進んでいくというスタイルがマッチしていると思います。女性としてすごく魅力的だし、共感もします。
理央は、クールでかっこいい感じかと思えば、意外とアツさやまっすぐな思いを秘めていて。そのギャップがなによりも素敵で、10代の男の子らしいシャイな部分や若さを感じます。大人になっても、由奈をまっすぐに思う気持ちは変わらずに、もっとかっこよくなるんだろうなって想像できます。実はクールな王子様ではないのだけれど、由奈にとっては彼以上の王子様はいないと思います。
由奈は一番成長を見せるキャラクターで、「ふりふら」には由奈の成長物語的な側面もあると感じています。一見、気弱そうな女の子と思われるけど、人として最も大事な部分を持っていると思います。「私を振って」なんて由奈にしか言えないセリフだと思うし、大きく優しく受け止めてくれる人。本当にピュアな思いを届けてくれる人だし、一番かっこいいことを言ってくれる。そういう意味では、実は由奈こそ一番の王子様かもしれないと思います。
—— 4人の恋愛模様をどう感じましたか?
斉藤 自分もそうだったように、10代の頃って今よりも知っていることも見えていることも少ないから、思い込みで好意も悪意も抱いてしまう。ましてや恋をしている彼らならそれはもう大いに起こりうるわけですよね。いち読者として「幸せになってほしい」という思いが強すぎて、「もうちょっとていねいに伝えれば、うまくいったかもしれないのに」とやきもきしながら読んでいました。
—— やきもきしながら彼らの恋愛を見届けた斉藤さんが、原作でキュンとしたのはどんなところですか?
斉藤 和臣と朱里のキスに至るまでの過程がすごく好きです。100点満点だと思います。あと、実写版とのクロスCMで和臣が「じゃあ、俺のこと好きになって」というシーンがあるのですが、一体君は朝から何を言っているのだって思いました(笑)。そりゃ朱里もびっくりするだろうってね。原作を読んでいるときに和臣に感じていた「狙って言っているのか、天然で言っているのか、底が知れないぞ!」という気持ちが蘇りました(笑)
—— 和臣、理央だけでなく、我妻(あがつま)も恋愛模様にからんできます。和臣に共感する部分が多いとのことですが、我妻を加えた3人の中で斉藤さんに一番近いタイプを教えてください!
斉藤 やっぱり和臣かな。いろいろなことを頭で考えて、考えすぎて一歩を踏み出せないという部分は個人的に共感するし、似ていると感じます。理央のように不器用だけどまっすぐなタイプにも憧れます。我妻は穏やかで人間として、かなり魂のステージが上にいるタイプだと思うし、すごくいい人だなって思います。
—— もし、斉藤さんが高校1年生ったら、朱里と由奈、どちらに恋をしそうですか?
斉藤 由奈みたいなタイプは素敵だとは思うけれど、大人になってからその素敵さがよりしみてくる気がします。僕が高校生の頃は、今以上にあれこれ考えてしまうタイプだったので、ちょっとお姉さんっぽい、大人っぽい部分のある朱里にキュンとしていたと思います。大人になって由奈の素敵さがわかるようになった今でも、タイプを聞かれたら、朱里だなと思います。
—— できあがった映像を観たときにはどんな風に感じましたか?
斉藤 画がすごくきれいで、色をたくみに使っているという印象を受けました。シャボン玉や紙吹雪のような、物語の世界観に合った演出もとても素敵でした。決めどころがドラマチックになっているし、そこに僕も大好きなBUMP OF CHICKENさんの曲が映像に乗って、もう最高でした。演じているときに、ここでこの演出がきたらすごくグッとくる、と視聴者目線で感じている部分がたくさんあったので、劇場では音響効果も相まって、よりキュンとしていただけると思います。
—— 「好きだから 私をもっと がんばってみたい」というコピーがついていますが、斉藤さんはがんばる派ですか? 身を引いちゃう派ですか?
斉藤 がんばる派ですね。彼らのように複雑な状況に陥ったことはないけれど、好きな人ができたら、自分ができることをやってから、相手の判断を仰ぎたいと思います。相手もいることだから、相手次第だけど、基本的にはがんばります。
—— 理央と我妻のように好きな人が被ってしまったら?
斉藤 我妻みたいに素直に伝えるのは難しいと思いつつ、でも来年30歳になる身からすると、さすがに恋のライバルであると同時に友人でもあるので、正々堂々といきたいという気持ちではいます。実際にそうなってみないとわからないけれど、結果がどうあれ、思いきりやりきったうえで、友情が続くことが理想ですね。
——がんばるつながりで、今、斉藤さんががんばっていることを教えてください。
斉藤 今、朗読にまつわる仕事をさせていただく機会が増えています。僕は芝居の勉強を朗読からはじめたこともあり、ずっとやりたいと言っていたら、ご縁をいただけるようになりました。長い尺の朗読に挑戦する中で、まだまだ自分のスキル不足を痛感することもあります。仕事をしていく中で、常に何かしらよりよい自分を出せるように、日々がんばれていたらいいなと思っています。
(取材・文/タナカシノブ)
【作品情報】
■アニメーション映画「思い、思われ、ふり、ふられ」
公開日:9月18日(金)公開
原作:咲坂伊緒「思い、思われ、ふり、ふられ」(集英社マーガレットコミックス刊)
監督:黒柳トシマサ(「舟を編む」)
脚本:吉田恵里香
キャスト:島﨑信長 斉藤壮馬 潘めぐみ 鈴木毬花 井上喜久子 田中秀幸 久川綾 井上和彦 堀江瞬 佐倉綾音
主題歌:BUMP OF CHIKEN「Gravity」(TOY’S FACTORY)
アニメーション制作:A-1 Pictures
映画公式サイト:#
<ストーリー>
全員片思い ー あの子が好きな君を、好きでいてもいい?-
偶然出会った、全くタイプの違う【朱里】と【由奈】、朱里の義理の弟の【理央】と由奈の幼馴染の【和臣】は、同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生。夢見がちで恋愛に消極的な由奈は、理央に憧れるが、自分に自信がなく一歩踏み出せずにいる。理央はかつて朱里に想いを寄せていたが、親同士の再婚により、気持ちを告げられないまま、想いを胸のうちに抱えていた。また、恋愛に対して現実的な朱里は、率直でどこかつかみどころない和臣のことが気になり出し、割り切れない初めての感情に戸惑う。そして和臣は、ある“秘密”を目撃し、葛藤を抱えることになり…。それぞれの思いは複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違って−。
© 2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 © 咲坂伊緒/集英社
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