【Steam】スポーツの秋をおうちで満喫! PCスポーツゲーム特集
アキバ総研をご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。9月も後半になり、涼しい日も続くようになってきた今日このごろ、ついに秋が来たなとしみじみ感じている筆者です。秋といえば、「食欲の秋」「学問の秋」「芸術の秋」などさまざまな言葉がありますが、今回は「スポーツの秋」にちなんで、Steamで遊べるスポーツゲームをご紹介していきます。ちなみに筆者は、リアルのスポーツはめちゃくちゃ苦手です……。
1. マルチプレイやステージ作成も楽しめる、仕掛け満載のゴルフゲーム「Golf It!」
- 「Golf It!」(Perfuse Entertainment)
- 2017年2月18日発売(※早期アクセス)
- 価格:898円(2020年9月14日現在)
- コピーライト:(C) 2017 Perfuse Entertainment
数あるスポーツの中でも、ゴルフはゲームの題材になりやすいスポーツではないでしょうか。「みんなのGOLF」や「マリオゴルフ」など名作も多く、また、「WHAT THE GOLF?」や「ゴルフストーリー」など、インディーズでも多くの面白い作品があります。
ご紹介する「Golf It!」も、インディーズのゴルフゲームです。
本作は、ボールを打ってカップに入れ、ホールを回っていく、オーソドックスな作りのゴルフゲームです。
コースの長さは全体的に短めで、風の吹く強さや芝の向きなどの要素も存在しないため、本格的なゴルフというよりはパターゴルフ的なカジュアルなゲーム性となっています。
そんな本作は、操作方法もとても単純明快で、基本的にマウスだけしか使用しません。「みんなのGOLF」などでは、動くゲージを止めるタイミングでボールを打つパワーを決めるようなシステムとなっていますが、本作では、ずばり、そのままマウスをゴルフクラブに見立て、マウスを動かしてボールに当てるその強さで打つパワーが決まります。非常に直感的な操作なので、普段ゲームをやらないような人でも説明抜きですぐに遊ぶことができるのはうれしいポイントです。
本作の最大の特長は、コースに設置された盛りだくさんのギミックです。くるくると回転するブロックや移動する床といったアクションゲーム的な仕掛けを始めとして、川の水流にボールを乗せて進むコースや、ぐるんと縦に1回転するジェットコースターのようなコース、さらにはワープポイントや、重力を無視して壁や天井に展開されたコースなど、現実にはありえないゲームならではのギミックも多数あります。次のホールではどんな仕掛けが登場するのかというワクワク感と、ギミックをうまくクリアできたときの達成感が味わえるのが、「Golf It!」の大きな魅力と言えるでしょう。
ギミックだけではなく、ステージの見た目もバラエティ豊かです。オーソドックスな草原のコース、雪が降る白銀の世界のコース、墓地を舞台にしたホラーテイストのコースや、鳥居やお寺が立ち並ぶアジアンなテイストのコースなど、見た目でもプレイヤーを楽しませてくれます。
ゴルフゲームはひとりでストイックにベストスコアを目指して遊ぶのも楽しいですが、やはり対人戦が格別に盛り上がります。本作「Golf It!」にもマルチプレイが実装されており、オンラインでフレンドや見知らぬ誰かと一緒に遊ぶことが可能ですが、やはり気心の知れた友だちと一緒にワイワイ遊ぶのがいちばん盛り上がります。
そうは言っても、フレンドと一緒に遊ぶためにはみんなが同じゲームを持っている必要があるというハードルがあるわけですが、本作はSteamの「Remote Play Together」という機能に対応しており、なんと自分かフレンドのどちらかがゲームを持っていれば、ひとつの画面を共有し合って一緒に遊ぶことが可能となっているんです! というわけで、筆者も実際に友人と通話をしつつ、「Remote Play Together」を活用して一緒にホールを回ってみました。
マルチプレイでの対戦は、言うまでもなく、ひとりでのスコアアタックとはまったく別のゲームという感覚です。「このステージどうやって進むの?」「何このギミック!?」「惜しい!」「ナイスショット!」などなど、白熱しつつも、パーティーゲーム感覚で終始にぎやかなプレイを楽しむことができました。やっぱり対人戦は面白い!
ステージ作成機能もあり、自分で新しいコースを作ったり、ほかのプレイヤーが作ったステージを遊ぶこともできるため、これ1本で実質無限にゴルフを楽しめてしまう「Golf It!」。サクッと遊べて、友だちとワイワイ楽しめるゲームを探している方はぜひ、チェックしてみてください。
2.シュールな世界観で繰り広げられるリアル腹筋ゲーム「マイエクササイズ」
- 「マイエクササイズ」(New Deer, Atsushi Wada, Playables)
- 2020年8月27発売
- 価格:370円(2020年9月14日現在)
- コピーライト:(C) 2020 New Deer, Atsushi Wada, Playables
「リングフィット アドベンチャー」や「Fit Boxing」など、実際に体を動かしてフィットネスやエクササイズを行うゲームは、いまや人気ジャンルのひとつです。「ゲームをやりたい、でも運動不足も解消したい!」というワガママな願望をかなえてくれる夢のゲームですよね。
というわけで、ご紹介する「マイエクササイズ」も、実際に体を動かして遊ぶタイプの作品です。
「マイエクササイズ」は、さまざまな映画祭で受賞を重ねるアニメーション作家・和田淳氏が手がける初のゲーム作品。
その独特なビジュアルと、クセになるアニメーション、そしてちょっとシュールな世界観は、一度見たら忘れられなくなること請け合いです。そんな「マイエクササイズ」ですが、ではいったい何をやるゲームなのかというと、ずばり“腹筋”です。
ゲームをスタートすると、画面には太っちょ気味な少年と真っ白な犬が現れます。そしてその上部には、「スペースキーで腹筋しよう」の文字。
そう。つまりこのゲームでプレイヤーがやるべきことは、ちゃぶ台やローテーブルにパソコンを置いて仰向けに寝転び、せっせと腹筋をして、起き上がったタイミングでキーボードのスペースキーを押すことなんです。当然、ゲームにもパソコンにも、プレイヤーがちゃんとズルせずに腹筋をしたかどうか監視するようなシステムは実装されていませんので、そこは各自で、しっかりとやっていきましょう!
というわけで、ちょうどよく仕事環境がちゃぶ台である筆者も、この記事を書くにあたり、仰向けに寝転んで実際に腹筋をやりました。ちなみにスペースキーはタンッと軽く押すだけではカウントされず、長押しをする必要があるので注意が必要です。
スペースキーを1回長押しすると、もとい、プレイヤーが1回腹筋をすると、画面上の少年がアニメーションで1回腹筋をし、ボフッと犬の体に顔を埋めます。このように、プレイヤーのリアルなアクションと、画面上の少年のアクションがアニメーションで連動するような作りとなっているわけです。というか、腹筋をするたびにワンコをモフれるとは、なんてうらやましい……!
本作の最大の特徴は、腹筋を続けることでどんどん増えていく、さまざまな形の「モチベーション」です。
最初は、腹筋をするたびに犬の体に顔を埋めてモフれるという「モチベーション」。そして次に現れるのは、少年の横に座り、腹筋が一定数に達するたびに拍手をしてほめてくれる女の子という「モチベーション」。そのあとも、腹筋を重ねるたびに、アシカやクマなどさまざまな動物たちが次々に少年の応援に駆けつけて、画面をにぎやかにしてくれます。ネタバレになってしまうのでここで多くを語るのは避けますが、100回に到達する頃には、画面は相当にぎやかなことになっていました。
ちなみに、ゲームを途中で中断しても腹筋回数は保存され、次回に継続されるので、一気にエクササイズせずに自分のペースで毎日コツコツやっていくことも可能です。
エクササイズというものは、筆者が思うに、とてもつらくて孤独なものです。自分自身と戦いながら体を絞っていくのは、心がくじけて、すぐにやめてしまいそうになります。本作において、そのくじけそうな心を支えてくれるのが、少年の周りに集まってくるさまざまな「モチベーション」。次は画面にどんな変化が起きるのかという楽しみに加えて、プレイヤーの触感に訴えかけてくるような生々しさで描かれた動物たちのアニメーションが、「みんなが周りで本当に自分を応援してくれている」という、不思議なリアリティを伴うモチベーションをもたらしてくれることでしょう。
ちなみに、しばらく腹筋をしないまま放置していると、少年が静かに目をつむり、溶けます。そして犬も一緒に溶けます。なに言ってんだ!こいつって感じかもしれませんが、だって本当に溶けるんだもん! というわけで、衝撃の溶けっぷりはぜひ、ゲームを遊んで実際に見てみてください。
ただひたすらリアルに腹筋をするというシンプルなゲームでありながら、ゆるくてシュールな世界観と「そこで生きている」感覚が味わえるアニメーションが魅力の本作。体を動かすスポーツ系のゲームでありながら、アート的な側面も強い「マイエクササイズ」は、スポーツの秋と芸術の秋を一緒に楽しめる作品と言えるかもしれません。気になった方はぜひ、この秋、「マイエクササイズ」でおなかのお肉を引き締めてみましょう! ちなみに筆者は、この記事を書いた翌日、おなかがそこそこ筋肉痛になりました……我ながら、運動不足のよわよわボディ……。
3.“時を戻す力士”が主人公の個性派アクションパズル「Sumoman」
- 「Sumoman」(Tequilabyte Studio)
- 2017年3月29日発売
- 価格:1,680円(2020年9月14日現在)
- コピーライト:(C) 2017 Tequilabyte Studio
日本の国技、相撲。土俵の上で繰り広げられる力と力の激しいぶつかり合いが魅力のスポーツですが、意外とゲームにはなっておらず、筆者がパッと思いつくのは「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」にも収録された「つっぱり大相撲」と、ニンテンドー64で発売された「64大相撲」程度。最近のハードでは相撲のゲームはめっきり出ていない気がします。
というわけで、ご紹介する「Sumoman」は、相撲ゲームではありませんが、力士が大活躍するパズルアクションゲームです。
本作の主人公は、タイトルにもなっている「Sumoman(スモーマン)」こと、力士の青年です。相撲大会の途中で祖母から奇妙な知らせを受け、力士は着の身着のまま、裸にまわし姿という相撲スタイルで故郷の島へと急いで帰ってきたのですが、自分を運んでくれた船頭さんを始め、島にいる人はなぜか誰も彼もぐっすりと眠り込んでしまっています。これは異変の香り……! というわけで、この異変の原因を探るべく、力士が島を探検していくというのが本作のストーリー。ちなみに力士、1人称は「おいどん」です。さてはこやつ、昔ながらの九州男児だな……?
ゲームの内容は、左右の移動とジャンプボタンで進んでいくオーソドックスな横スクロールアクションです。力士が主人公のアクションゲームと聞くと、張り手で敵を倒したりといった格闘風の内容を想像してしまいますが、本作に攻撃要素はなく、物をつかんで動かしてギミックを解きながら先へと進んでいくような、パズル要素があるゲーム性となっています。
でも、戦闘要素がないとなると、本作に“相撲ならでは感”が存在しないのかというと、決してそんなことはありません。主人公の力士は、四股を踏みながら前進する「スモーアタック」や、四股を思いっきり踏み地面を揺らして物を動かす「スモーシェイク」など、力士ならでは(?)のパワフルな技を使うことができるのです。
力士というと、鍛え抜かれた足腰でずっしりと重々しく歩を進めるようなイメージが筆者にはありますが、本作の主人公は、なぜか足腰があまり強くないようで、重心が結構グラグラです。というのも、種明かしをすれば、本作には大ヒットインディーズゲーム「ヒューマン フォール フラット」のような物理演算が組み込まれているのです。
ということで、足腰が若干グラグラな力士は、ちょっとした段差でつまずき、ジャンプ後の着地に失敗すると、よろめいてバタンと倒れてしまいます。そして倒れたら最後、その巨体ゆえなのか、はたまた島にはびこる異変のせいで眠りに落ちてしまったのか、二度と起き上がることができません。いわゆる「詰み」です。
ですが、一度倒れてしまっても、ゲームオーバーではありません。力士は“とある特殊能力”を持っており、それを発動することでリカバリーができるのです。その特殊能力とは……なんと、「時間巻き戻し能力」。某芸人さんが言うところの「時を戻そう」ってやつです。
力士は、いつでもボタンひとつで一定の時間を巻き戻すことができ、アクションに失敗してしまった場合は何度でも直前からやり直すことが可能。これにより、ストレスなくトライ&エラーを繰り返すことができる作りとなっています。
それにしてもなぜ力士が時を戻せるのか……? ゲーム中でその理由は語られないため筆者には知るよしもありませんが、少なくともこの能力があるということは、力士、土俵では負け知らずなんじゃないかと予想できます。彼が相撲界に名を刻む伝説の横綱になるのも、おそらく時間の問題でしょう。
グラつくと倒れてしまう、力士のクセのある動きは、慣れるまでになかなか時間がかかり、最初の内は何度も「時間巻き戻し能力」を発動することになります。しかし、だんだんコツをつかんで、力士を思い通りに動かすことができるようになってくると爽快感は格別。竹でできた不安定な足場を渡ったり、映画さながらに崩れ行く地面を駆け抜けたりといったアクション性の高い場面もあるので、そこをグラつかずにスイスイとクリアできたときには脳汁がドバドバ出ること必至です。
さらに、本作にはギミックを操作したり物を動かしたりすることでクリアするパズル要素も多く含まれているため、パズルをクリアする爽快感も同時に得られます。アクション要素とパズル要素がちょうどいいバランスで混ざり合い、どちらもしっかり楽しめるという点が本作の魅力と言えるでしょう。
アクションやパズルとしての魅力だけではなく、シュールな世界観も本作の大きな魅力。ちょっと間違った日本観漂う風景を始め、ステージに点在するスコアアイテムがただのお寿司ではなく「カリフォルニアロール」であったり、ステージ中のセーブポイントがなぜか中華風の「ドラ」であったりと、ゲームではない部分の見どころやツッコミどころも多く、ゆるい気持ちで楽しめます。
歯ごたえのあるアクションパズルゲームを遊びたい方や、この独特の世界観に惹かれるものを感じた方は、ぜひ“時を戻す力士”になって、島を冒険してみてください。
運動が苦手でもスポーツゲームは楽しい!
というわけで、おすすめの3作をご紹介しました。
最初に書きましたが、筆者は運動がめちゃくちゃ苦手です。学生時代の体育の時間に、いい思い出がひとつもありません! ですが、ゲームでやるスポーツというのはリアルのそれとはまったく違う感覚で、今回いろいろ遊んでみて、爽快感や達成感を感じることができました。リアルのスポーツが苦手な方も好きな方も、この秋はぜひ、ゲームでスポーツを満喫してみてください!
- 筆者:百壁ネロ
- ゲーム買い過ぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)、「母の嘘(「悪意怪談」所収)」(竹書房)。
- Twitter:https://www.twitter.com/KINGakiko
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