業界初! 新型コロナウイルスの影響下で生まれた完全リモート制作のアニメ「ノクターンブギ」は、いかにして作られているのか──森田と純平(原作・脚本・監督)インタビュー!
現在、YouTube、GYAO!にて毎週配信されているWebアニメ「ノクターンブギ」をご存じだろうか。
本作は、「LOST SONG」(監督、シリーズ構成、音響監督、脚本)、「Occultic;Nine オカルティック・ナイン」(シリーズ構成・MAGES.と共同)を手がけた森田と純平監督最新作にして、音楽以外のすべての制作を監督ひとりで手がけている、限りなく個人製作に近い作品である。
しかも、新型コロナウイルスが拡大する中での新たな制作スタイルとして、完全リモート制作で作られた作品なのだ。
物語は、自分たちの正体を隠しながら生活するモンスターたちと人外に憎しみを抱くダークハンターの人間が暮らす、とあるシェアハウスを舞台にしており、なんてことのない日常をコミカルに描く日常ドラマである。
まったく先の見通しの立たない状況の中で制作され、道なき道を切り開き続ける本作はいかにして生まれたのか。そして、森田と純平監督は本作を通じて何を思ったのだろうか……?
完全リモート制作作品にちなんで、今回は取材もあえてリモートで敢行。新たなスタイルのアニメ制作現場の様子を、インタビューから感じていただきたい。
新型コロナウイルスの閉塞感への危機意識からスタートした制作
──「ノクターンブギ」制作のきっかけを教えてください。
森田と純平(以下、森田と) 以前から、ずっとシチュエーションコメディみたいなのをやりたいと考えていたんです。ただ、当初はいわゆる普通のアニメ制作の形で出資を募ったり委員会を組織して……と考えていたので、時間をかけながら動いていました。ところが、今年になって新型コロナウイルスで多くの人がライブに行けなくなったり、見たかった作品を見れなくなってしまって、この流れはいけない、とにかく新作を作ったほうがいいと思ったんです。
通常、作品作りには時間がかかるものですが、もうそんなことは言ってられんわ、ということでひとまず作り出したというところです。
──森田と監督は2018年に放送・配信された「LOST SONG」に携わっていましたが、その頃から企画はあった状況でしょうか?
森田と 常におぼろげながら何か面白いアイデアが何本かあって、企画書みたいなのも作っているのですが、「ノクターンブギ」もそのうちの1本でした。
──もともと実写畑ということもあってか、深夜アニメの日常系とはまた違う感触のある作品ですよね。古い番組ですけど「やっぱり猫が好き」みたいな、台本がありつつも役者さんのアドリブを重視したような番組の印象を受けたのですが、実際はどのような作品にしようとつくられたのでしょうか。
森田と まさにおっしゃった通りで、もともと実写畑ということもあってそういった番組の影響はあって、僕としては「ビッグバン★セオリー」というアメリカのコメディドラマ番組みたいなのをやりたいと何年も前から思っていて、その影響もあるかもしれませんね。だから日常系アニメの肌触りではないと思います。
──それをあえてアニメでやろうとしたのはなぜでしょうか。
森田と ひとつの理由はケレン味の部分です。僕は毎回リアリティをすごく考えてしまうんですけど、今回はモンスターなどを出したり、モンスターの世界の話をやりたいと思っていて、これを実写でやろうとするといろいろと制約があるんです。そのいっぽうで、アニメやCGキャラだと絵の時点ですでにケレン味があるというか、情報量もコントロールできるので、きっと好きに作れるだろうと思ったからです。
──本作は、バリバリ動くアニメというよりも、止め絵の連続する、声付き漫画のような作品となり、そのあたりが面白いと思いました。
森田と 僕自身もアニメーション作品とはあまり言ってなくて、ちょっとリッチな紙芝居くらいの感覚でいます。
──今回、監督・脚本など主な作業を森田と監督がすべて手がけてられて、CG協力や音楽制作という形でわずかに外部のスタッフが入っています。具体的に、監督はどの程度制作に携わってらっしゃるのでしょうか。
森田と これは本当に驚かれると思うのですが、まごうことなく完全にひとりでやっています。キャラクターのモデリングから始めて、テクスチャーとか顔も書いています。あとは本当にレイアウトからライティングからカメラワークから全部自分で引き受けています。頭おかしいことをしていますよね(笑)。CGで協力してもらったところは衣装ですね。衣装の形状とか重さ調節、重力にどのくらい影響を受けるとか、キャラクターの体に対してどう動くといったモーションまでは、正直僕ひとりの手では手に負えなかったので、そこは知り合いのクリエイターの方にお願いして作っていただきました。
──CG協力にGreat Creatorsとクレジットされていますが、これはどういう方なのでしょうか?
森田と 僕の知り合いのCGクリエイターの方です。こちらは覆面で参加してくださっている方をまとめて、そのようにクレジットさせていただいています。
──本作が室内劇となったのは、シチュエーションと台本さえあればあとはひとりで作れるからでしょうか。
森田と まさにそうですね。時間とパソコンさえあれば、ここまでのものはできます。
──では今回の作品は、具体的にどのくらいの時間をかけて制作されているのでしょうか。
森田と 正直なところ、実際に制作を始めたのはコロナウイルスが流行り始めてからで、そこから声優さんたちにお声がけをしました。やっぱり声優さんたちに協力していただけないと作れないので。ただ、皆さん、面白そうなのでやりましょうと言ってくださって、これが5月くらいですね。そして7月10日には第1話を公開していました。
──すごいスピード感ですね!
森田と 最初は1話あたり2週間くらいかけていて、今は1週間くらいで1話を作っています。
──ちなみにシリーズ構成みたいなものはあるんでしょうか?
森田と おぼろげにしかないですね。脚本を書くときも、日常で、こんなことがあったらおもしろいな。こいつ、こういうコンプレックスがあるからこういうストーリーができるな。みたいなぼんやりしたところから始めて、あとは脳内キャラクターにしゃべらせてラフな脚本をワーッと書いて、それをもう一度整えて完成くらいのペースです。
──作り始めた時はどういう心境だったんですか? 今やらないと業界がどうにかなっちゃうぞ、という使命感を抱いていたり?
森田と 僕も普段は仕事をいただいて作品作りをやっていたりするんですが、新型コロナウイルスによる自粛によって、それがもう完全になくなったり延期になったりして、こんなに簡単にものづくりの現場がなくなるんだと痛感したんですよね。
もうひとつ、たまにフォロワーさんたちとオフ会を開いたりしているんですが、そういう人たちが行きたいライブに行けなくなったり、見たい映画が見れなくなってストレスを抱えていることが感じられたんです。
こういう流れは本当によくないと思って、もう1枚絵でもいいから世にエンタメを発信し続けないと、皆さんにとっても自分にとってもダメだと思ったんです。これが一番大きいきっかけではあったと思います。
──それこそひとつの空間に仲間が大勢集まってワイワイ会話するという機会が失われている今、「ノクターンブギ」で描かれているシチュエーションが、逆説的に非常に価値のあるものになっていると思いました。
森田と それは本当に思います。もともとは、もっとリアルに現実世界とリンクさせようと思ってたんです。シェアハウスが本当にどこかにあって変な奴らがそこに暮らしてて、各キャラクターにツイッターのアカウントとかを持たせてつぶやかせたり、時事ネタに突っ込ませたりして、本当にユーザーと同じ時間を生きているようにしたいと思っていたんです。でも、今回新型コロナウイルスが流行して、そういうのができなくなってしまったんです。こういうご時世の中、密に集まっているという状況からしておかしいし。でも今おっしゃったように、世の中が人の集まれない状況になっている中で、そういう姿を見せていきたいと思ったから、「ノクターンブギ」の世界は新型コロナウイルスがない世界ということにして、それまで僕らが暮らしてきたような楽しい生活を見せたいと思いました。
──登場人物が、みんなモンスターであり、それぞれコンプレックスを抱いている、という設定が生まれた経緯を教えてください。
森田と 僕は設定マニアみたいなところがあるので、とにかく世界とキャラクターを作りこむのが好きなんです。それが実際に描かれるかどうかは別にして作りこむのが好きで、その延長で、背負っているものだったり世間とズレてるものがあったほうがきっとドラマにもなるし、彼らの生活を追っていくうえで、コンプレックスあるいは忘れたい記憶みたいなものがあるほうがコメディもふくらんでくる。これはそこまで意識したわけではないんですが、そういうコンプレックスを持っている人が見た時に、クスっと笑い飛ばして前向きになってくれるかもしれないと思って作っています。
自宅でのリモート収録に、声優陣は……
──今回の実制作は、先ほどのお話によると声優さんへのオファーから始まったんですね。
森田と はい。やはり声優さんに演じてもらえない限りはキャラクターが動かないので。
──今回はリモートでやります、という前提から説明されたのでしょうか?
森田と そうです。僕は役者さんがすごく好きなので、チームになって今までやってきましたし、役者であればあるほど演じたい人が多いと思うので、まずは自分の思いを正直に説明しました。そしてやり方としては完全にリモートですが、声優さんたちだからこそリモートでできると思いますとお話はしました。通常の役者さんだと難しいと思うんですけど、アニメでは普段から抜き録りというものをやっており、見ているほうもまったくそこに違和感を抱かない。1クールのアニメで、キャスト同士が一度もアフレコ現場で顔を合わせないようなこともざらにあるのですが、実際にみんなで集まって芝居をしているとしか思えないものを作れるというすごい技術を持っていて、それを発揮できるチャンスになると思いますと話させていただいたら、皆さんも面白そうと言ってくださりました。
声優の皆さんも新型コロナウイルスのせいで作品やアフレコがなくなっていたので、演技をしたいとう欲はあるけどできないというもどかしい状況にいたので、まずやってみましょうということになりました。
──録音環境というのは、各声優さんの環境に依存しているわけですよね。
森田と そうですね。バラバラです。それぞれやり方も全然違います。でもなんとなく「こうしてみたらいいですよ」とお話しさせていただいたり、「こういう感じで録ってるんですけど、どうですか」と相談を受けて話し合ったり。だからお互いに距離が近いし、みんなでひとつのものを作ってる感がハンパないですね。
──放送直前の生配信番組で、山下誠一郎さんが何パターンか録って提出したところ、予想しなかったバージョンの音を使われたとおっしゃってました。声優さんによって、一発でこれ! という声を送ってくる方もいれば、複数パターンとって好きなものを使ってくださいという方もいるんですか。
森田と 山下君も、複数パターンでくれる場合もあれば「これ」というキメでくれる場合もあります。ほかの方もきっと何度も練習したうえでベストなものを編集して送ってくださる方もいます。その中で、ニュアンス違いを改めてもらったり、「もうちょっとこうしたらどうだろう」と、皆さんも気にしながらやってくださっている感じですね。
──個人的には、吉田仁美さんと早見沙織さんの、blue dropsのお2人をよくブッキングしてくれたなと感激しました。キャストの人選はどのように決まったのでしょうか?
森田と もともと企画というか物語の骨子があったので、そこに誰が合うかなと考えたのと、今回の企画は僕が今までご一緒してきた方にしかお願いできないかなと考えました。というのも、リモート収録という今までにないやり方なので、信頼感がないとお互いにしんどいじゃないですか。その中でも、特に芝居の信頼が置ける人であり、キャラクターにも合う人ということで選ばせていただきました。
──すでに設定されていたキャラクターが、声優さんの演技でよりふくらむということはありますか?
森田と それは非常にあります。実際に音声データをもらう時に、さっき言ったみたいにパターン違いでもらうことがあって、「こっちのほうが面白いな」とか「こういう感じでやるならこいつはこういうキャラクターの可能性もあるな」とか、役者さんの演技でものすごく広がることがあります。
──そういう微調整は個人製作だからこそという部分ですよね。それこそひとりで全部やっているからこそ、セルアニメだとリテイクひとつでもそうとう面倒くさいところが、自分ひとりの手を動かすことで微調整ができると。
森田と そうですね。一例として、山下君が久結霧矢(きゅうけつ・きりや)っていう男子が好きなバンパイアを演じているんですが、鈴木裕斗君が演じる桜来清(おうらい・きよし)に対する反応として、僕は脚本に、新しい男の子が来たことに対する喜びを込めた、ちょっと強めの「男子!」って書いていたんです。でも、山下君は「だ~んし~♪」みたいな、ちょっとキラキラした演技を持ってきたんです。最初は脚本にあわせて、霧矢がガッと迫る絵だったんですが、「こっちのほうが面白い」と思ったのでピョ~ンとジャンプしてるコミカルな絵に差し替えました。こういう風に演技で絵を変えることもあるんです。
──実際にリモート収録された声優の皆さんは、どんなことをおっしゃってましたか?
森田と 皆さん、楽しいとおっしゃってくれて、助かったなと思っています。ただ、やっぱり宅録の苦しみはあると話はされていて、ひとりで仕事モードにスイッチを切り替えるのが大変という話は出ています。そこは申し訳ないなと思ってはいるのですが、「ここはこうなったんだ」とか演技の感想を言い合うのもすごく楽しいですし、配信後に観てくださった感想を送ってくださったりもしています。
本読みもZoomでやってるんですが、みんなでゲラゲラ笑いながら台本を読んで、みんなで「楽しいね~」って、まるで文化祭みたいなノリです。
──監督と声優さんの心の距離感が、ほかの作品よりもずっと近い感じですね。
森田と そうですね。僕自身、役者さんが好きで、とにかくディスカッションも好きなんです。「LOST SONG」の時もそうだったんですけど、アフレコの時は必ず最初に僕のトークコーナーみたいなのを設けてもらって、みんなでワイワイと今回の脚本はどうだったとか、ストーリーの予想合戦してるんです。そういうのが好きで。ありがたいことに作品が終わってからもみんなでご飯に行ったりとか、仲良くしてもらっています。そういう意味で、気心が知れて、かつものづくりに対しては真面目みたいなところが共通項な人たちが自分の周りに集まっているようなところはあるかもしれないですね。
ほぼ単独でのアニメ制作のメリット・デメリット
──役者さんとの二人三脚感がありますね。今回は監督が脚本を書いて演出して絵も作ってと、今までのアニメ制作とは違うことだらけだと思いますが、ひとりでパッケージを作ることで見えてきたことはありますか?
森田と ひとつ利点があるとするなら、すべて自分なので動きが早いことは早いんですよね。チームでやっていたら、絶対に毎週ペースではできないと思います。あんな紙芝居みたいな映像でも、おそらく僕ひとりだから成り立っている部分があると思います。ジャッジするのは自分だし、ジャッジした後に手を動かすのも自分だし。通常のアニメのように、僕が監督としてチェックしてアニメーターにリテイク出して、みたいな時間はないので、そういう意味ではやりやすい面は大きいです。
ただそのいっぽうで、チームならではのよさというのが全くありません。「こういう絵を描いてきたんだ!」「こいつ面白いな」という化学反応のようなものは全くありませんね。自分しか発信してないので。
──森田と監督は、自分が考えた世界を完全に作り上げていくタイプのクリエイターですか? それともチームで作ってきた予想もつかない成果物を、組み合わせて仕上げていきたいタイプですか?
森田と 僕はけっこう自分の世界を作りたい派かもしれませんね。あまり外にはそういうオーラは出していないかもしれませんが(笑)。
──そういう意味では、今回の企画はクリエイターとしてはなかなかできない体験ですよね。
森田と そうですね。だからめちゃめちゃ楽しいですね。
──いやらしい話ですが、制作資金はどうしてるんでしょうか?
森田と 今回は僕の持ち出しです。
──いくらこのスケールでとはいえ、コストはやはりかかるわけで、この決断は勇気がいったのではないでしょうか。
森田と そうですね。だからよく決断したなと自分で思います。
──全何話を予定しているんでしょうか。
森田と ゴールは決めてなくて、やれるならやれる限りやりたいと思っています。1クール12話くらいじゃ終わらないと思います。もしかすると、今回を機に自分にとってのライフワークが始まったような気がしますね。
──ライブ感あふれる制作ですね。本作ならではの面白い取り組みとして、Fanbeatsから広告の問い合わせができて、劇中に出稿できるという点です。こちらの反響はいかがでしょうか。
森田と まだまだ作品の認知度は低いんですけど、コアな方々はすごく面白いと言ってくれてて、先着順の枠はすぐに売り切れました。その後もじわじわと枠が売れています。
──もう映像には反映されていますか?
森田と されています。飾られている絵は全部送っていただいたものを使っています。さらに、キャラクターがそれを見てからんだりしています。
──応募は、個人でも企業でもかまわないのでしょうか?
森田と はい、どちらでもOKです。今は個人の方が多くて、ファンアートみたいなのを送ってくださったりしているんですけど、企業さんの出稿もOKです。今は映像に絵を当てはめるくらいなんですが、例えばシェアハウスのソファをIKEAさんのソファにして、キャラクターに座ってもらって「すごいフカフカだね!」みたいなことをさせることもできますし、清涼飲料水の広告を入れてくだされば、キャラクターがそれをどんどん飲んだりします。
──わははは!
森田と ちゃんと物語にも組み込みます!
──こういう試みは、従来のアニメだとあまりできなかったところかと思います。
森田と そうですね。今回は全責任が僕ひとりにかかってくるので、怖いものなしですね。もし何かあっても、僕がぶっ倒れればいいだけなので(笑)。
──現在、生活の何割くらいが「ノクターンブギ」に割り当てられていますか?
森田と 気持ちとしては「ノクターンブギ」に全振りしてるんですけど、ほかにいただいているお仕事もありますので、それが終わった後、夜中に寝落ちするまでやったりしています。
──すごいですね。まさに初期衝動のまま走り続けている感じですね。でも作品を作る人って、そういう「何か作らないといられない」テンションのまま作る時期というのがあると思います。
森田と そうですね。だから、「ノクターンブギ」をやってる時はけっこうハイになっていると思います。
──ちなみに、現在のアニメの制作現場は全体としてどんな感じなんでしょうか。
森田と やっぱり緊急事態宣言の時とかは進行がストップして、作業ができない中で進められるものだけ進めているという感じでしたね。それこそ作画関係の方は家でやれるところからやられているとか。とはいえオンラインのツールが発達しているので、わりかし連絡は取りながらやったりはしてました。
実写のほうは完全にストップした時期があって、いつ再開できるかわからないので全部ばらしになった現場というのもあります。でも、今はもうアニメも実写も、元に戻ってきてますね。
ただやっぱりアフレコが大変ですね。スタジオの中が密になっちゃうので、一度に入る人数を制限したり、ひとりずつ録ったりとか。それこそみんなのスケジュールが合うのに抜き録りになるとか。それにともなって音関係のスタッフの拘束時間もものすごく長くなったり、数時間の収録で終わっていたものが1日がかりになったりとか。その中で、やれることをやってるといったところですね。
──そんな中、「ノクターンブギ」で得たノウハウは、今後の制作に生かせそうですか?
森田と ああ~……。ひとつは今、Unityというゲームエンジンを使って映像を作っているんですけど、その知識が飛躍的に僕の中に溜まっていっています。すでにいろんなアニメ作品で、Unityでリアルタイムで映像を作っていくという手法が取り入れられているのですが、そこの部分に自分もタッチできるようになる、という具合に、自分自身のスキルアップにつながったと思います。
あとはやっぱり役者さんとのつながりですね。そういうので作品ができるんだなとか思っています。今まで通りの、ただ「物作りをやってください」ではなく、ちゃんと作品そのものを一緒に作っていくという経験を通じて、いろんなノウハウを得られたと思います。
──たとえばもっとUnityの使い方をマスターしていくと、「ノクターンブギ」もヌルヌル動き出したりとかするんでしょうか。
森田と そうですね。実際にUnityのスキルもあるので、そういうことはやろうと思ったらできるんですけど、本当に時間とお金次第ですね。
ただ、僕はなんとなく「ノクターンブギ」に関しては、あんまりアニメーションさせるという方向にいかなくてもいいかなと思っているんです。世の中には、それはもうすばらしいアニメーション制作会社さんもいるし作品もある。CGアニメもあって、そういう作品はやっぱり強いじゃないですか。そこで僕個人が戦ってどうするという思いがあって、それよりは今よりももうちょっとリッチな紙芝居を作りたいなと。より会話が面白いとか、構成がより面白いとか、Fanbeatsを使って作品を広げたりして、今までにない方向に振り切ったほうがいいかなと思っています。
──それでは、最後に読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
森田と 通常のアニメみたいに1クール、2クールとかじゃなく、できる限り続けていくためには皆さんのご支援や応援が必要になってくると思います。これからもFanbeatsでプロジェクトを立てていこうと思っています。先日まで山下君が考えたラップを、音楽制作担当の白戸佑輔さんに作ってもらうクラウドファンディングをやったりもしたんですが、もっと物語に踏み込んで、制作そのものをみんなとやるみたいな。コンテンツの予約販売みたいな感じで、みんなが見たいものを僕らが作るというシステムを作っていって、作品が広がっていったらいいなと思っています。
【作品情報】
■「ノクターンブギ」
・GYAO!・YouTubeにて配信中
・スタッフ:原作・脚本・監督…森田と純平/音楽:白戸佑輔
・キャスト;夢仲魔理…瀬戸麻沙美/久結霧矢…山下誠一郎/大噛美瑠衣…吉田仁美/桜来 清…鈴木裕斗/井戸柳たま子…早見沙織/影山狩宇…小山剛志/語り部…田代哲哉
■クラウドファンディングにより制作決定したノクターンブギのオリジナルソング
作詞:山下誠一郎 作曲:白戸佑輔
「今宵はブギ―・ラップ」
10月後半配信予定!
(C)Story Effect Co,Ltd.
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