【インタビュー】「名も無き歌で、名も無き絶望に寄り添う」。ReoNaが待望の1stアルバム「unknown」をリリース
ハスキーなボーカルと、生きるうえで感じる痛みを内包した歌詞が魅力的なアニソンシンガー、ReoNa。2018年8月にソロデビューを果たした彼女が、待望の1stアルバム「unknown」をリリースする。今までのシングルに新曲を加えた、全12トラック。「ソードアート・オンライン」シリーズを筆頭に、さまざまなアニメとタイアップしたシングル曲は、とにかくキャッチー。そのいっぽう、パーソナルな思いを歌った楽曲は、聴く者の心をえぐるような迫力に満ちている。
アルバム「unknown」の収録曲について、たっぷりと話を聞いた!
アニソンシンガーという夢がかなっている今を、実感しています
──ReoNaさんは、デビューシングル「SWEET HURT」のときに、アキバ総研に登場いただきました。あれから2年経ったんですね。
ReoNa はい、2年経ちました。今まで経験したことがないことばかりだったので、まだ2年なのかって。デビュー前とは時間の流れが全然違う気がしています。2周年を迎えて、アニソンシンガーという夢がかなっているんだなって、改めて感じました。このタイミングで、1stアルバムをリリースできたのは、本当にうれしいです。
──1stアルバム「unknown」には、今までリリースされたシングルの表題曲がすべて収録されています。この2年を振り返るという意味をこめて、まずはシングル曲についてのお話をおうかがいしたいと思うのですが、その前段階として、デビュー前にTVアニメ「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」の劇中アーティスト、神崎エルザとして歌った経験がありましたね。
ReoNa はい。いわば自分であり自分でない存在としてお歌を歌うということを、神崎エルザの歌を任せていただいたときに初めて経験しました。アニメが好きで音楽が好きという私に、歌を歌っていいよと言ってくれた存在、歌うことの理由をくれた存在がエルザです。リリースイベントやライブを重ねてきて、お歌を聴いてくれる方々を身近に感じることができるようになったんですけど、あのころはどういう方がどういう思いで聴いてくれているのか、想像することができなくて。そんなとき、エルザとして歌うことが自分にとっての助けになっていたなと思っています。
──エルザに寄り添いつつ、ReoNaさんらしさを存分に出して歌われていたように感じていました。
ReoNa 「ガンゲイル・オンライン」を作っている方々に、「思うまま、感じたままのエルザで歌ってください」とおっしゃっていただけて。自由に歌わせていただけたのが、すごく大きかったと思います。
──そして、本格的なデビューに至ります。デビュー曲「SWEET HURT」は、TVアニメ「ハッピーシュガーライフ」のエンディングテーマでした。
ReoNa “絶望系アニソンシンガー”としての、私の一歩目となった楽曲です。今回のアルバムで、より多くの人に「SWEET HURT」が届いてほしいなと思いました。
──当時のインタビューでも、自己紹介的な曲になったとおっしゃっていました。
ReoNa はい。キラキラしたメロディに、毒や痛みが含まれた歌詞です。ReoNaとして初めて寄り添わせていただいた作品が「ハッピーシュガーライフ」だった。のは、運命だったと思っています。
──2ndシングル「forget-me-not」は、TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」の2ndクールエンディングテーマです。
ReoNa 神崎エルザの「ピルグリム」と同じクリエイターさんに書いていただいた曲です(作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.)、作曲:rui(fade)、編曲:毛蟹(LIVE LAB.))。エルザが拓いてくれた「ガンゲイル・オンライン」の道から、初めて「ソードアート・オンライン」本編に寄り添わせていただいた曲になりました。もともと「ソードアート・オンライン」は見ていましたし、この楽曲を歌うにあたって、これからキリトが歩んでいく道、ユージオがたどる道を教えていただいて、物語の苦しい部分、痛い部分に寄り添えていたらなと思います。
──曲調には明るさもあるんですけど、歌詞は強く心に刺さる言葉が並んでいました。歌うときには、どんなことを心がけましたか?
ReoNa イントロのコーラスのところから、すごく考えました。やっぱり苦しい物語だからこそ、せめてエンディングでは小さな花が咲きますようにと、ひとすじの救いを意識して歌いました。アニメのエンディング映像の色合いやキャラクターの表情、咲き誇る花は、今でも鮮明に覚えています。
──3rdシングル「Null」の1曲目である「怪物の詩」はノンタイアップ曲です。これは、デビュー前にすでに存在していた曲だそうですね。
ReoNa 初めて作っていただいた私のオリジナル曲が、「怪物の詩」なんです。それまでずっと好きなアニソンや洋楽のカバーをやらせていただいていて、原曲という正解があったうえで、じゃあ自分はどう歌えばいいだろうと、自分の中の正解を探しながら歌ってきたんですけど、オリジナル曲はどう歌えばいいんだろうと、すごく悩みました。自分の中にある痛みを音楽に重ねて、誰かに向けて歌うというReoNaのお歌の最初の一歩を作ってくれた曲なので、1stアルバムで改めて、始まりの楽曲として聴いていただければいいなと思います。
──「怪物の詩」は、ReoNaさんのパーソナルな部分に、かなり踏み込んだ曲ですよね。
ReoNa この曲が生まれた経緯として、作詞の毛蟹さん自身の痛みがすごく反映されていて、それに私の中の痛みが呼応してでき上がった楽曲なんです。毛蟹さんと私の痛みが重なるなら、聴いてくれる誰かの痛みもまた、そこに重なり合うだろうなと信じて歌うことができました。
──「痛い いない 暗い 怖い」というサビの歌詞がありますが、使われている言葉がシンプルかつ普遍的で、聴く人それぞれが自分に照らし合わせることができる曲だなと思いました。
ReoNa はい。私にとっては「ただ二本の足で立っている」という部分が、痛みを感じながら、ただそこにいて歌っているという自分の原点のような気がします。
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