Morfonica念願の初単独ライブ──涙交じりの笑顔が花咲いた、Morfonica 1st Live「Cantabile」レポート!

「バンドリ!」のライブイベント『Morfonica 1st Live「Cantabile」』が2020年10月7日、東京ガーデンシアターにて開催され、Morfonica(Vo.進藤あまね、Gt.直田姫奈、Ba.西尾夕香、Dr.mika、Vn.Ayasa)が出演した。

Morfonicaはスマホ向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」に2020年3月に登場した新バンドであり、Poppin'Party、Roselia、RAISE A SUILENに続く「バンドリ!」第4のリアルバンドとしても活動している。声優自身がバンドで実際に楽器を弾き、ライブを行なうコンセプトはこれまでの3バンドと同様だ。新型コロナウイルスの影響により初ステージが中止になってしまった彼女たちだが、8月23日にコニファーフォレストで開催された「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYSのDAY3で立った初のライブステージに続き、今回ついに念願の単独ライブ開催にたどりついた。

会場となった東京ガーデンシアターは、有明に2020年7月24日に開業したばかりの新しい会場で、約8000名を収容する。観客席は4層になっており、会場のどの座席からでもステージが近いのが特徴だ。今回は観客の座席間を1席ずつ空けてディスタンスを取り、マスクを着用して発声をともなう声援はなしなど、さまざまな感染症対策を行なっての開催となった。

ギターとバイオリンが疾走するMorfonicaのステージ!

スモークがたちこめ、メンバー紹介映像が流れる中、5人がステージに登場する。衣装はキャラクターイラストのビジュアルを元にしたデザインで、アシンメトリーな飾りスカートの半分を構成する鍵盤をイメージした意匠や、肩からふわりとたなびく妖精の羽根のような薄布が印象的だ。

オープニングナンバーは「Daylight -デイライト- 」。イントロでギターとバイオリンの音と存在がぶつかり合う様子が印象的だ。「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYSで経験した初ステージと比べて、よりダイナミックに、より存在感を増していたのがギターの直田姫奈さんで、上体を激しく揺さぶりながら情熱的にギターを弾く姿は全身で音楽を奏でているようだ。Ayasaさんの圧倒的なバイオリンに直田さんのギターが食らいつくことで、バンドとしてのバランスがさらに完成度を増したように感じた。やはりMorfonicaのオリジナルな要素はバイオリンの存在で、「chAngE」の間奏で激しくも優雅なソロを奏でるAyasaさんが浮かべる優雅な笑みが、印象的だった。

今回のライブは、ライブ本編はすべてキャラクターとしてMCを行ない、アンコールではキャスト本人として話すスタイル。

最初のMCはどこか楽しげでやわらかいトーンの進藤さんの「ごきげんよう、Morfonicaです」の声でスタート。初ステージのきりっと張りつめた感じとは違うニュアンスだ。MCはギターの直田姫奈さん演じる桐ヶ谷透子がリードして各メンバーに振っていくのがMorfonicaの基本スタイル。mikaさん演じる二葉つくしがすごく緊張しているのに対して、進藤さん演じる倉田ましろは案外緊張していない様子。緊張していないというキャラクターとしての言葉と、歌唱中の進藤さんの堂々としたパフォーマンスがシンクロしている感じがいい。

カバー曲「月光花」での、落ちサビの進藤さんの力強い歌声といい、「深海少女」での転調後エネルギーを増していく歌唱といい、彼女の歌声の新たな一面を見せてもらった感じだ。

「金色へのプレリュード」はベースの音色が印象的で、西尾夕香さんが柔らかな表情で奏でる姿は広町七深そのものだ。直田さんはカメラで抜かれると、満面の笑顔を返す表情の豊かさが印象的。会場と一緒に、大きく手を振りながら気持ちをひとつにするパフォーマンスだった。

幕間映像はYouTube番組「もるふぉにかる」の番外版で、メンバーたちが“お嬢様として”ガラス細工に挑戦した。図工にはあまり自信がなさそうなメンバーも多かったが、西尾さんは普段から紙粘土をこねたりすると語ってメンバーを驚かせたほか、ガラス細工のイメージを固めるためのデザイン画挑戦では、進藤さんがキラリと光るセンスと画力を見せた。

後半戦は「ブルームブルーム」からスタート。新しい何かがはじまる予感を感じさせる楽曲で、進藤さんのキラキラした笑顔が印象的。直田さんはステージを歩き回りながら自由にギターを奏でる。

緑の光芒に照らされたAyasaさんのバイオリンソロからはじまったのは初披露のカバー曲「Nevereverland」。英詞中心の歌い出しを進藤さんが歌いきると、照明が深紅に切り替わって5人の演奏が一気に激しく荒れ狂う。激しいロックナンバーにおける超攻撃的バイオリンは、Morfonicaならではの魅力を感じさせる。

「CQCQ」はmikaさんが鮮やかにドラムを叩く手元から、ベースを奏でる西尾さんを彼方に映すカメラアングルがステージの臨場感を伝えてくる。進藤さんが想いを込めて叩きつける、少年めいた歌声が印象的だった。

西尾さんが奏でる印象的なベースからイントロに入ったのは「メリッサ」。進藤さんがリズムに乗りながら飾りスカートを揺らす振動きがキュートだ。演奏中にメンバー同士が近づくパフォーマンスはバンドの定番だが、バイオリンソロを奏でるAyasaさんと進藤さんが向かい合ったり、背中合わせになったりの組み合わせは新鮮だった。

本編ラストはライブ初披露のオリジナル曲。進藤さんが「私自身を味方に、力強く声を響かせて行け。最後の曲、聞いてください」と歌詞の一部を引用しながらつぶやくと、「flame of hope」へ。ギターとバイオリンがせめぎあうMorfonicaらしい楽曲で、直田さんとAyasaさんはお立ち台の上に並び立って互いの音を響かせた。足元から照らすライトの元、まっすぐ前を見つめる進藤さんの凛とした表場が記憶に残った。演奏を終えた5人は、優雅な足取りでステージを下りた。



キャスト自身の言葉で語られた感謝の言葉に涙……!


アンコールの手拍子と、ガラス細工に挑戦する映像の後編が終わると、再び5人がステージに登場。ライブTシャツをアレンジした衣装を着用している。アンコールの5人からはキャスト自身の素のトークで、ファーストライブを迎えることができた感謝が語られた。進藤さんの「焦がれる光を、いつかこの手に!」の言葉から、再び「Daylight -デイライト- 」へ。

アンコールの「Daylight -デイライト- 」はキャスト自身の感情と温度を感じさせるパフォーマンスだったように思える。進藤さんはイントロで元気いっぱいに観客を煽ったり、歩き回りながらニコニコの笑顔で手を振ったりと、1曲目とはガラリと色の違うパフォーマンスを見せた。

告知コーナーではMorfonica 2nd Single「ブルームブルーム」が2021年1月13日(水)にリリースされることが発表された。カップリングには「flame of hope」を収録。Blu-ray付生産限定盤にはミニアニメ「BanG Dream! ガルパ☆ピコ ~大盛り~」#14~#26を収録するほか、表題曲「ブルームブルーム」のリリックビデオを新規制作し、フルサイズで収録する。また、この日のライブ映像が特別配信されることが明らかとなった。配信の詳細は後日発表される。

ここで最後の挨拶が行なわれたのだが、特別なファーストライブということで、少し長めに紹介する。

Ayasa「最初は実感がなかったんですが、1曲目『Daylight -デイライト-』がはじまった瞬間に鳥肌がたって、みなさんとやっとここにこれたなって思いました。改めてこのメンバーといろんな音楽を奏でてみたいなと思いました。そう思わせてくれたのは常に努力を惜しまない最高のメンバーと、最高のライブを作ってくれたみなさんのおかげです。これからも輝く景色を見に行きましょう。」

mika「やっとMorfonica 1st Liveが開催できました。この半年間、いつ開催できるのかなと楽しみと不安がありました。今はみなさんに囲まれて本当に幸せです。これからも『バンドリ!』を盛り上げる一員としてがんばりたいと思います!」

西尾「ワンマンライブができた嬉しさもあり、富士急(「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYS)から1か月しか期間がなかったので大丈夫かなという気持ちも大きかったんですが、本当に楽しく演奏できてとてもよかったです。メンバー、来てくださった方、会場、全部が素敵なもので組み上げられているライブだったと思います。とにかく楽しかったです、みなさんも楽しんでいただけていたら嬉しいです。」

直田「こんなご時世の中、現地や映画館に足を運んでくださったみなさん、ほんとにありがとうございます。ライブの場に立たせてもらえることをすごく嬉しく思います。振り返ると、私とおゆちゃん(西尾さん)が初めてエレキギターとベースをさわったのが去年の夏ぐらい。パワーコードも弾けなかった私がギターソロもいただき、暴れ散らかせたのもみなさんのあたたかい拍手のおかげなんです。ありがとうございます! これからもMorfonica頑張っていきますので、あたたかく見守ってもらえたらなと思います。」

進藤「今日は会場、映画館に足をお運びいただき本当にありがとうございます。みんなの感想を聞いて、もう泣くーって思って、自分の番までは我慢しようと思っていたんですが……。私たちがファーストライブを迎えられたのは、みなさんのおかげです。本当にありがとうございます。「BanG Dream! 8th☆LIVE」の時はすごくドキドキで、もう呼吸もできないと思っていたのが、今日はみなさんの顔を見て、全然緊張せずに安心できました。拍手、本当に嬉しかったです。私、今、すっごく幸せです。また、みなさんとこの輝く景色を見られるように私たちがんばりますので、これからも応援よろしくお願いします。」

最後に挨拶の順番が回ってきた進藤さんは、抑えていた涙があふれだして、泣きじゃくりながらの挨拶だった。バンドリーマーたちのおだやかに支えるような拍手があたたかい。

先輩たちの背中を追いかけて走り続けることを誓うと、涙の余韻を残したまま最後の楽曲へ。あふれる涙を流したまま、笑顔で歌った「ブルームブルーム」。間奏ではAyasaさんがセンターに立ち、上手に直田さん、下手に西尾さんが並んでお立ち台で音を奏で、進藤さんは盛り上げ役に回った。ラストは全員がmikaさんを見つめて、キメの呼吸を揃えた。小さなセンターが声のふるえを抑えながら懸命に最後まで歌いきった姿を、このステージを見届けたすべての人が忘れることはないだろう。

特別なファーストライブは、5人が肉声を揃え、感謝の気持ちをこめた「本日はまことに、ありがとうございました!」の言葉で締めくくられた。

(取材・文/中里キリ、Photo/畑 聡)

<セットリスト>

M01:Daylight -デイライト-

M02:chAngE

M03:月光花

M04:深海少女

M05:金色へのプレリュード

M06:ブルームブルーム

M07:Nevereverland

M08:CQCQ

M09:メリッサ

M10:flame of hope

-encore-

EN1:Daylight -デイライト-

EN2:ブルームブルーム

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