ルシファーの生きざまに演じた日笠陽子も思わず涙……!「モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け」完成披露オンライン試写会レポート

ゲーム、アニメなどさまざまなメディアで展開するミクシィ・XFLAGの人気コンテンツ「モンスターストライク」(以下、モンスト)の新作劇場用アニメ「モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け」が2020年11月6日に公開された。

本作はYouTubeで展開し、世界累計4億回再生を突破した「モンストアニメ」の集大成ともいえる作品。本作は「モンスターストライク」に登場する多くの個性豊かなキャラクターの中から、「ルシファー」「アーサー」「ソロモン」「ノア」「パンドラ」が物語の中心となり、熱い戦いを繰り広げるアクション巨編。

特に注目すべきポイントは、「モンストアニメ」で仲間としてともに戦ったルシファーが、世界の敵として登場。かつての仲間と刃を交わすという刺激的な内容であるところだろう。「モンストアニメ」史上もっとも激しくも切ないバトルが見どころの本作を、劇場公開に先駆けて鑑賞できる完成披露オンライン試写会が10月23日に開催された。

ルシファーからの挑戦状として出題された、モンストアニメに関する難問を見事答えた1000組2000名のオンライン招待者に加え、抽選で当選した4組8名を会場に招待。多くのファンが見守る中、本編が上映された。

筆者も現地で完成映像を拝見したのだが、CGアニメによるスピーディーかつ大胆なアクション描写には目を見張るものがあるいっぽう、人気キャラクターたちが織り成す感動的なドラマには思わずウルっときてしまった。

そんな本編上映後、舞台には静野孔文監督、本田雅也さん(脚本)、主題歌を手がけたオーイシマサヨシさん、主人公・オラゴン役の福島潤さんが登壇。さらにシークレットゲストとして、本作のキーパーソン・ルシファーを演じる日笠陽子さんが飛び入りで参加!

本作の制作秘話や演技に込めた思いなどが語られた。

まずスケジュールの都合で、初号試写に参加できなかった静野監督は、スタッフやキャスト陣に対して「素晴らしい仕事をしていただいてあらためて感謝します」とコメント。本田さんは2018年3月に行われたという最初の打ち合わせ時のメモを持参。その時点で「友情には力がある」というテーマが提示されていたことが明かされ、映画を見終えた今「その通りになった」と語った。

本作の主題歌「英雄の歌」を制作したオーイシマサヨシさんは、「涙を我慢するのに必死で途中から頭が痛くなってきました」と、コミカルなコメントで場を沸かせるいっぽうで、「自分の歌で泣くほどナルシズムなことはない」と断りつつも、いざ流れた場面では号泣。「作ってよかった」と振り返る。

オラゴンを演じた福島さんも普段は「自分の芝居で涙は出ない」そうだが、クライマックスではついに落涙したそうだ。

タイトルにもなっているルシファーを演じた日笠さんは、「結末を知っているから、冒頭のルシファーの行動やオラゴンが信じてくれる姿に、ずっと胸が痛かった」とコメント。また「わかってくれる友達がいるってすごく大事なんだなと伝えてくれる映画」「ルシファーにスルガトがいてくれてよかった……」と、友情について触れたところで思わず号泣。いかに思い入れを持ってキャラクターを演じていたかがうかがえた。

ここからは試写会参加者から登壇者への質問コーナーだ。

「今回の映画は、なぜこのようなストーリーになったのか」という質問に対し、本田さんは「最初はルシファーも含めたキャラクターたちが巨大な敵に立ち向かうようなイメージで、ルシファーが裏切るという予定ではありませんでした。ただYouTubeのシリーズをやっていた時に、一番熱かったのはルシファーと戦う必要のない人が戦う展開だったという話になり、だったらルシファーとアーサーじゃない?という話になり、そこから一気に話が広がりました」「その2人が戦うなら、絶対にどちかが死ななくてはならない。それは嘘であってはいけない。でもどんな理由があれば2人が戦うんだろうということを考えた」と今回のストーリーが生まれるまでのエピソードを明かした。

静野監督は「本田さんの中では最初から決まっていたのかなと改めて思いました。自分は全員が全力を尽くして死ぬまでがんばる姿を、とことん熱く盛り上げられればいい映画になるとシナリオを見て思っていたので、こういう形にできてよかったです」と語った。

キャスト陣には「苦労したシーン、思い入れのあるシーン」という質問が。

「全部の台詞に『!』がついてるんだもん! 収録が3日に分かれててよかった」と福島さん。「前半部分を取ってから1~2か月くらい空いて後半を録りました。それくらい空いてないと回復できないくらい、1日目でボロボロになりました。1日目のラストのテストの段階で声が出てなくて、のど飴をもらって乗り切ったという記憶があるくらい、全てのシーンに心を込めた叫びを吹き込んだつもりです」と、身を削る思いでアフレコに臨んだことが明かされた。

日笠さんは「ルシファーって笑うことが少ないし、あまり表情も出さないので、感情をどこまで出していいのか。笑って消えていくからこそ、涙を見せないルシファーの感情っていうのを出したかった。その塩梅が難しかった」と、本作のカギを握るキャラだからこその難しさがあったと語る。

そして、感動の主題歌「英雄の歌」を作ったオーイシさんは、「絵コンテの時点で、このシーンから始まってオラゴンのアップのところでサビが来てくださいという指定があった。そこでは自分のスキルをすべて発揮しました。完成映像を見て、それがちゃんとできてると安心しつつ感動もあった」と、演出に合わせてアレンジ、尺をあわせていくという職人的な制作方法が取られていたことを明かした。

また、CD音源では左右のステレオ仕様のトラックダウンをしていたが、今回の映画は5.1chということで後ろからも音が出る仕様になっている。そこで、改めて映画用のミックスで収録していることも明かされた。実際に劇場の音響でそれを聞いたオーイシさんは、「後から回ってくる音にドキドキした。自分の曲なのに」と、思った以上のクオリティに笑顔を見せた。

最後に、「今の職業についてよかったと思った瞬間は?」と聞かれた一同。

静野監督「仕事はいつも楽しんで作ってるけど、作品が完成して皆さんに見てもらえる試写会や初日を迎えるとこの仕事をしてよかったと思う」

本田さん「自分が書いたセリフが、演者さんによって形になっていくのにいつも感動します。もうひとつ、僕は父親に映画を叩き込まれてここまできました。脚本家になったのも、父親から映画を作るなら脚本をかけなきゃだめだと言われたことがきっかけ。その父をこの場に呼べて、見てもらえたのがよかった。親孝行もできたのかな」

オーイシ「今日です。やっぱり自分が作ったものが素晴らしい作品の一部になっていくというのが(嬉しい瞬間)。特に自分がアニソンを作る時は、『黄金のゼンマイ』になりたいと思っています。僕らが作っている音楽というのは作品ありきの役割だと思っています。今日の映像を見て、ちゃんとその役割を果たせていたと思えた時に、アニソンを作る者冥利に尽きるなと思っています」

福島「もちろん役者として表現している以上、誰かに笑ってもらったり涙を流してもらえたら最高。個人的には夢だった役を演じることができたとかもあるんですが、最近嬉しかったのが、『福島さんのお芝居を見て声優を目指したいと思った』というメッセージをいただいたことです。かつて僕が先輩を見て感じたことを、やっと自分もできるようになったのかなと思えて、その瞬間に幸せだと思いました。今回の作品を見ても、そう思っていただけたら」

日笠「今回の映画でもそうなんですが、普段ご一緒できない大先輩とお芝居できるっていうのは、役者人生の中で宝物になる瞬間だなと思います。今日もこんなにすごい人たちとやったんだと改めて思いました。この仕事が好きなんだと思いました」

とそれぞれコメント。

また日笠さんは、「燃え尽きるまで演技をして、ふーっと席に着くじゃないですか。それで『終わりです。お疲れ様でした』と声がかかったところで、たとえば隣の福島さんが『日笠さん、終わったよ』『日笠さん……? 死んでる!』これが理想なんですよ!」と自分の理想の最期を語る。「生涯現役で終わりたい」そんな日笠さんの熱い思いがひしひしと伝わってくるようだ。

こんな熱いスタッフ、キャストによって完成された「モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け」は、現在全国の劇場で大好評上映中。ハンカチを忘れずに、ぜひご鑑賞いただきたい。

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