【インタビュー】SNSでも話題!? 岩崎 琢作曲による「魔法科高校の劣等生 来訪者編」のサウンドトラック盤が発売!

6年ぶりの第2期となったTVアニメ「魔法科高校の劣等生 来訪者編」。そのサウンドトラックアルバムが、2020年12月16日にリリースされる。作曲は第1期、劇場版と「魔法科」の音楽を手がけてきた岩崎 琢。シリアスなシーンが多めの展開と相まって、サスペンスやアクション用のかっこいい楽曲が詰まったサントラとなった。第1期に続き、シンガーのLotus Juiceとコラボしたボーカル曲も収録。クライマックスの放送とともに、サントラを楽しんでほしい!

「来訪者編」の音楽を作って、「魔法科」という作品とより仲よくなれました


──岩崎さんのTwitterを拝見していますが、「魔法科高校の劣等生 来訪者編」の各話をご覧になって、サウンドトラックへの言及がいくつもありますね。

岩崎 いつもというわけじゃなくて、なにかコメントしたら面白そうだなという回に書いている程度です。第1話が放送されたときに「#魔法科高校の劣等生」で検索したら「謎BGM」という言葉がたくさん出てきて、「え、何がそんなに謎なの?」とかなり衝撃を受けまして(笑)。RAPや民族音楽っぽい曲を作るとすぐにいじってくる人は昔からいたんですけど、今回もそんな感じなのかなと思うといたずら心が芽生え、サウンドトラックについて思ったことがあれば書き込むようになったんです。こちらとしては交流のつもりでやっているので、ファンの方が結果喜んでくれているんだったらいいかなと。実はけっこう考えて、いろいろなバランスを取りながらつぶやいてます(笑)。

──劇伴作家の方が、実際に放送を見てサウンドトラックについてつぶやいてくださるのは、僕らファンにとっては貴重な情報源ですし、作品への理解も深まります。「謎BGM」と言われている曲、サントラCDだと2曲目に収録されている「mikamik amore」は、けっこう使用頻度が高いですよね。

岩崎 コミカルなシーンがあると、けっこうかかってますね。そもそも「魔法科高校の劣等生」の第1期のときに、音楽の依頼がきて原作小説を読んでみたら、高校生たちが楽しそうにたわむれている学園モノ的なシーンが多かったので、「あちゃー、これは日常曲をたくさん作らなきゃいけないんだろうな」と思ったんです。

──最初はそういう印象だったんですね。

岩崎 なぜ「あちゃー」なのかというと、学園モノの日常曲には、当たり障りのない音楽が求められるからで、それを大量に作らなければいけないというのは、僕にとっては苦痛なんですよ。音楽で強い印象を残すということに主眼を置いて作曲してきたので、日常曲が多いと音楽に向かう姿勢を保つのが辛くなってしまう。もちろんでき上がった曲のクオリティに、それが現れたりはしませんけれども。実際のところ、音楽メニューを見て頭をかかえてしまったというのが「魔法科」の第1期で、あまりいい出会いではなかったんです(苦笑)。

──でも、その後、劇場版があり、今回の「来訪者編」がありと、長いお付き合いになっていきました。

岩崎 そうですね、ありがたいことに。長く関わってきたことによって、「魔法科」という作品のとらえ方が自分の中で変わっていきました。最初は、主人公である(司波)達也と深雪の兄妹に課せられた運命という、物語の大枠の部分を重要視して見ていたんですけど、だんだん、そこにはそれほどこだわらなくていいんだなと思えてきて。それよりも、達也と深雪のくっつきそうでくっつかない関係や、高校生たちのにぎやかなやり取りを楽しんだり、達也の圧倒的な強さに安心しながらかっこいいバトルシーンに見入ったりと、毎回のキャラクターの描写を楽しんでいけばいい作品なんだなとわかったんです。そう思うと、自分の中でどんどん「魔法科」という作品が面白くなっていきました。


──壮大な設定がある作品ですが、それらも実はキャラクターを魅力的に見せるための仕掛けなのでしょうね。ただ、「来訪者編」は達也と深雪のイチャイチャや学園内のにぎやかなシーンが少なめで、硬派な展開になっています。

岩崎 そうなんです。やっぱり僕はサスペンスやアクションといった非日常的なインプレッションを与える音楽を得意としているので、「来訪者編」は今まで以上にやりやすかったですし、「魔法科」の面白さの枠組みが増えて、より作品と仲よくなれたように思います。

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