アニメライターが選ぶ、2021年冬アニメ注目の5作品を紹介!【アニメコラム】

2021年冬アニメは年が変わる前から新番組がスタート。正月休みの暇がない怒涛のラインアップが待ち構えている。そこで今回は注目の5作品をピックアップ! 人気作のスピンオフ「はたらく細胞BLACK」、野島伸司が原案・脚本のオリジナル作品「ワンダーエッグ・プライオリティ」、「ジャンプSQ.」連載のマンガが原作の「怪物事変」、谷口悟朗×中島かずきによる「バック・アロウ」、ボンズ制作のオリジナルアニメ「SK∞ エスケーエイト」を紹介します。

はたらく細胞BLACK


体の細胞を擬人化した「はたらく細胞」のスピンオフコミックをアニメ化。こちらは不摂生な宿主の体内が舞台で、その労働環境は文字通りブラック企業さながら。オリジナルと同じく赤血球が主人公ではあるが、本作では男性キャラのビジュアルとして表現された。赤いユニフォームも本物の血液のように黒みがかっており、過酷な世界観が伝わってくるほど。あんなにかわいかった血小板ちゃんが「BLACK」では、やさぐれているという事実には絶望しかない。
ナレーションは津田健次郎が担当。NHK連続テレビ小説「エール」でのやさしい語り口からは一転、「飲酒、喫煙、睡眠不足」から始まる声色は恐ろしく、我々の不健康な生活を非難しているかのようだ。「はたらく細胞アワー」として第2期「はたらく細胞!!」と続けて放送される。



ワンダーエッグ・プライオリティ


脚本家・野島伸司が初めてアニメの原案・脚本を務める話題作。アニプレックスと日本テレビの共同プロジェクトで、アニメーション制作はCloverWorksが行う。オリジナルタイトルのため詳細は不明だが、謎の声に導かれて「エッグ」を手に入れた14歳の少女・大戸アイの物語であることが明かされている。オッドアイの主人公をはじめ、金髪にピンクのメッシュが入った少女や、泣きぼくろのある少年など、特徴的な記号の入ったキャラクターたちが、どのようなストーリーを導くのだろうか。
第1弾PVでは、静謐さが感じられるリアルな背景美術、米の粒立ち1つひとつを描いた卵かけご飯といった細部に目を奪われる。「高校教師」や「家なき子」など、社会問題も盛り込んだセンセーショナルな作品を手がけてきた作家ゆえに、現代の要素がどう取り入れられているのかも気になるところ。



怪物事変


“怪物”(けもの)という異形の存在が人間社会に適応して暮らしている現代が舞台。村人から泥田坊(どろたぼう)と呼ばれ忌み嫌われている少年が、オカルト専門の探偵・隠神鼓八千(いぬがみこはち)と出会い、己の運命を変えることになる。
第2弾PVは作品の幕開けを飾る鹿の子村の描写から始まっており、森の中を跳ねる鹿や内臓を食われた鶏の死体がミステリアスな世界へと誘っていく。映像の後半にはキツネやカエルの怪物たちによるバトルシーンがあり、派手なアクションも盛りだくさんだ。監督は「おまえうまそうだな」や「映画 かいけつゾロリ ZZのひみつ」の藤森雅也。恐竜や動物が主人公の傑作映画を手がけてきたクリエイターが怪物たちのダークファンタジーを描く。



バック・アロウ


「コードギアス 反逆のルルーシュ」の谷口悟朗と「プロメア」の中島かずきがタッグを組んだオリジナル冒険活劇。壁に囲まれた世界・リンガリンドに、壁の外から来たという記憶喪失の男 バック・アロウが現われたことで物語が加速していく。
作中の舞台ごとにPVが用意され、リンガリンドの辺境にあるエッジャ村編、武勇こそ人の誉れと考えるレッカ凱帝国編、知性こそ人の誇りであるリュート卿和国編と、それぞれ異なる文化が描かれている。エッジャ村の人たちがカウボーイハットのような帽子を被っていたり、武器にムチを使っていたりと、西部劇のような雰囲気もチラホラ。澄み切った青空が印象的で、痛快なストーリーに期待がふくらんでいく。バインドワッパーという腕輪を付けることによって「信念」が顕現し、ブライハイトと呼ばれる巨大ロボのような姿に変わるという設定にも興味津々。連続2クール放送予定。



SK∞ エスケーエイト


スケートボードに夢中な高校2年生・暦(レキ)が、ルール無用の危険なレース「S」に挑む青春オリジナルアニメ。閉鎖された鉱山をレース会場に、山頂から一気に滑り降りる爽快感が詰まったPVは必見だ。出場者にはイケメンのキャラクターが並ぶ中、ブラックメタルのようなコープス・ペイントをしたシャドウの存在感が光っており、思わず応援したくなってしまう。
そのほか、AI搭載のスケーターを操るCherry blossom(チェリーブロッサム)や、子安武人が演じるヴェネツィア仮面の男・愛抱夢(アダム)など、癖のあるキャラクターが揃っており、ケレン味たっぷりのレースを楽しめそう。そんなキャッチーな部分に目が行ってしまうが、第3弾PVでは路上でリアルなスケーティングを披露する場面も。硬軟織り交ぜたスタイリッシュなアクションを堪能したい。




(文・高橋克則)

(C) 原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社・CODE BLACK PROJECT
(C) WEP PROJECT
(C) 藍本松/集英社・「怪物事変」製作委員会
(C) 谷口悟朗・中島かずき・ANIPLEX/バック・アロウ製作委員会
(C) ボンズ・内海紘子/Project SK∞

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