やっぱり「美少女戦士セーラームーン」は三石琴乃の存在があってこそ──劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」公開記念──三石琴乃×福圓美里インタビュー!

時代、世代を超えて愛され続ける伝説的少女漫画「美少女戦士セーラームーン」が、25年の時を経てスクリーンに帰ってくる!

ちびうさとエリオスの“初恋”とセーラー戦士たちの“成長”を描いた〈デッド・ムーン〉編が前後編で映画化! 劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》が現在、大ヒット上映中。《後編》が2021年2月11日(木・祝)より全国公開される。

今回、主人公・スーパーセーラームーン/月野うさぎ役として作品を支え続けている三石琴乃さんと、本作で大きな成長を遂げるスーパーセーラーちびムーン/ちびうさ役の福圓美里さんの対談が実現した。

久々のアフレコのエピソードや、キャラクターへの思い入れ。そして《後編》への意気込みを語っていただいた。

ーー25年ぶりに「美少女戦士セーラームーン」の劇場版が制作されると聞いたときの心境を教えてください。

三石 大きなスクリーンでセーラー戦士たちの活躍を観られるということがとても楽しみでした。

福圓 私にとって劇場版「美少女戦士セーラームーン」は初めてなので、お話を聞いたときからワクワクしていました。試写会で観た時は、その期待以上のきらめきにあふれていて、とても嬉しかったです。

ーープレッシャーのようなものも感じましたか?

三石 気持ちは大丈夫だと思っていたのですが、楽器としての身体は、月日と共にいろいろと積み重ねていますので、うまく音を合わせられるだろうかと……。だから、音を出すまでは不安もありました。

福圓 25年ぶりという重みですよね。ファンの方がたくさんいらっしゃる作品で、今回の劇場版で、私がちびうさをやっていると初めて知ってくださる方もいると思うので、プレッシャーがないとは言えません。楽器の話で言えば、私もちびうさを演じるのは4年空いているんです。当時からかわいい担当といえばうさぎとちびうさなので、「がんばって楽器を維持しようね」と琴乃さんと固く決意をしたあの日を思い出し、筋トレやボイトレをしながら収録に臨みました。

三石 そうなの? どんなボイトレすればいいの?

福圓 ハイトーンで、「先生に信じられないほどの高音を出しますので」と言ってからやるんです。(と、実際の声を出してみせる)

三石 活字にしづらいね……(笑)。

福圓 (笑)。でも期待が大きい作品なので、うさぎちゃんを始め、みんなに支えられて収録することができました!

三石 それは私も同様で、ありがとうという気持ちです。一緒には録れなかったけど、活きのいいアマゾネス・カルテットの子たちや艶っぽいアマゾン・トリオが違う時間帯にがんばってくれていたんだと思うとエネルギーをもらえたし、きっといい作品になる!と思いました。

ーー今回の劇場版のストーリーの印象をお聞かせください。

三石 「美少女戦士セーラームーンCrystal」シリーズは原作準拠の作品なので、流れはある程度わかっていたのですが、映像になったときに、エリオスとちびうさちゃんの淡い恋の始まり……生意気だったちびうさが、こんなにかわいい表情をするんだ!って感動しました。あと、うさぎとまもちゃん(タキシード仮面/地場衛)は、仲良く順調に付き合っているのですが、ちょっとしたことですれ違ってしまったり、相手を思うがゆえに臆病になってしまったりというところが、不器用だなぁと思ってしまいました。思い切って気持ちをぶつければ、お互いの愛を再確認できるはずなので、改めて恋に勇気は必要なんだなと思いました。

福圓 恋の話でしたよね。恋する乙女役としては、監督から「キュンキュンだからね!」「乙女だからね!」って何度も念を押されました(笑)。

三石 でも基本的に、作品のテーマは夢なのかな。寝ている夢と将来何になりたいかという夢の両方。

福圓 そうですね。みんなの夢の世界に入ったり、現実に戻ってきたり、いつもの「美少女戦士セーラームーン」よりいろいろな時空に行くことが多かったので、画面映えもすごかったです。

カッコいい人に唇を奪われるのは、女の子の夢


ーー実際に完成した映像を見てみて、どうでしたか?

三石 《前編》なので、これからどうなるの?っていうところでは終わるんですけど、キラキラしたものがたくさん散りばめられていると思いました。私が観て感じたのは、常に心地いい風が吹いていたことで、木の葉がサラサラ流れたり、花びらが流れていたり、羽根がばぁ~っと飛んでいたりしたんです。きっといい匂いのする風が吹いている映画なんだろうなと思いました。

それと、ギュッと凝縮した時間内に、たくさんのキャラクターが登場し、その中で自身の魅力を存分に発揮していたので、今千秋監督、ありがとうございます!って思いました。

福圓 本当に極彩色で、風が吹いているというのもそうですし、私は星がきらめいているような印象があったんです。今監督のフィルムだなぁという感じがしました。原作はどちらかというと淡い色味な感じがするんですけど、アニメの場合は極彩色で、展開もどんどんされていくので、見せ場がしっかりと作られているんですよね。だから一緒にワクワクして、時間があっという間でした。

私はこの〈デッド・ムーン〉編が一番好きなんです。それは、ちびうさとエリオスの話だからというのもあるんですけど、敵が本当にかわいいんですよ! デッド・ムーンサーカス団の登場シーンとか、すっごくワクワクするので、それを楽しんでほしいです。試写会で観たときは、「ふぇ~~! カッコいい!!」ってなりました。「デッド・ムーンサーカス団のお出ましだよ!」って感じで入ってくるのがたまらないんです!

三石 やっぱり生意気でかわいいんだよね。

福圓 そうなんです。みんな違って、みんなかわいいんです! 艶やかだなぁって思っていたら、すぐに時間が過ぎていました。それと、エリオスの初登場は、想像以上に王子様だったなと。

三石 ちびうさは、そんな王子様(ペガサス姿のエリオス)に乗って、飛ぶわけですよね。

福圓 あれは一生忘れられない光景だなと、ちびうさ同様に私も思いました。私、天狗と河童はいると思っているんですけど、ペガサスはいないと思っているんです。少なくとも日本には絶対にいないんです!

三石 そ、そうですか(笑)。

福圓 でも、いた!って。絶対に会えないと思っていたから余計にときめきがあって、しかも急にカッコいい男の子姿になっちゃって、チューされるとか、たまらん!!

三石 でもチューしたときは馬だったよ(笑)。そこからハッとなったら、人間体のエリオスくんになってた。

福圓 そうでしたっけ? 私の記憶の中で馬の部分カットされてるな……。

三石 うちの娘にファーストキスをしたのは、馬なんかい! って思った気がする。

福圓 あははは(笑)。

三石 でも、カッコいい人に唇を奪われるって、女の子の夢なところあるもんね。

福圓 ありますね! 私も実際に映像を観て、きゃっ!ってなったんです。台本で読んだ時は、「な、なんで? いきなり何してるの?」って思ったんですけど。

三石 映像になるとありになるんですよね。

福圓 映像の力ですね。

三石 あとお気に入りは、うさぎが小さくなって、逆にちびうさが成長したシーンはかわいくて面白い! ダイアナちゃんがちびうさを追いかけてきて「スモール・レディ!」と呼ぶと、ちびうさは「今のあたしはスモールじゃないわよ」と返す。するとダイアナちゃんが素直に「レディ……」って言うところがツボです!

福圓 従順! たまに(ダイアナ役の)中川(翔子)さんが「プリンセス」って言ってくれたりするんですよ。日常でそんなことを言ってもらえると、なぜかうれしいんですよね。でも、あのシーンでちびうさは本当に、スラッとしているうさぎちゃんに憧れていたんだなっていうのがわかってドキッとしたし、いじらしいなと思いました。



三石琴乃を中心につながっているセーラー戦士キャスト陣


ーーアフレコでの思い出やエピソードがあれば、教えてください。

三石 《前編》ではまもちゃんが、胸を病んで苦しんでいまして、足手まといになってばかりだと悔やんでいたんですけど、この作品ではまもちゃんはヒロインなのです! それでいいんです!(笑)という話を(地場衛役の)野島健児くんとしていました。

福圓 野島さんは、役に立っていないことを気にしてらしたんですよね(笑)。でもそれはしょうがないんですよ、ヒロインだから。

三石 でも《後編》はまもちゃんの力があってこそ立ち向かえるという流れになるので、やっぱり大切な存在です。2人のつながりがあったからこそ、愛のエネルギーによって地球を救うことができます。《後編》の収録はコロナウイルスの影響からみんな別々に録っていたんですが、、私たちと野島くんは一緒でした。 当日は、私と福圓ちゃんの服の色が被っていたんですよ。

福圓 ふたりでピンクの服を着ていたんです。

三石 やっぱり、(アフレコに)持っていきたいエネルギーはこれなんだなって思いました。

福圓 乙女の力を洋服から借りようと思ってピンクにしたんですけど……。スタジオに3人しかいないのに、2人がピンクだから、ドアを開けた瞬間に監督が「ピンク!」って言ってました(笑)。アフレコでいうと、私はエリオス役の松岡禎丞くんとも一緒に録れたんです。松岡くんのお芝居は本当に素晴らしくて、やさしくてちょっと影のある王子様の声なんですよね。でもお互い、実際は王子でもないし乙女でもないので、マイク前に立ったときの切り替わり方がちょっと面白かったです。

三石 本当に素敵だった!

福圓 こんなに甘い言葉をささやいたことはないので、本当に照れちゃいましたけど、一緒に録れなかったらダメだったなと思うので、配慮してくださったことがうれしかったです。

ーー《前編》の収録時は、大人数でアフレコができたそうですが、4年ぶりにセーラー戦士たちと出会えていかがでしたか?

三石 《前編》の収録はまだコロナ禍ではなかったんですよね。仕事としては4年ぶりでしたが、ご飯を食べに行ったり、(「美少女戦士セーラームーン」の)コラボカフェに行ったりとか、集まってはいたんですけど、仕事で一緒になるのは久しぶりだったんですよ。

でもやっぱり戦士が集結すると、にぎやかで華やかで本当に楽しいです。彼女たちがいると、私も安心してセーラームーンができる気がします。

福圓 そんなに時間が経った感じも、実はしていなくて、琴乃さんがおっしゃった通り、ちょくちょく集まる機会もあったんです。ただアフレコ現場で改めて顔を合わせると、ハッ!っとなりました。

伊藤静さんを筆頭に、小清水亜美ちゃんがキャッキャと騒いで、それを見て笑っている金元寿子ちゃんと佐藤利奈ちゃん。その中心にはやっぱり琴乃さんがいて、そこでつながっているメンバーなんだなと、すっごく思いました。

三石 でも「座長としてどうですか?」って聞かれることがあるんですけど、ポンコツですみませんとしか思えないんですよね(笑)。

福圓 何でですか! 全然そんなことないですし、やっぱり琴乃さんありきなんです。

三石 目薬をさしてたら「琴乃さん、目薬(の容器を)は目につけちゃダメです」ってたしなめられたりして(笑)……。そういうことを指摘されてうれしい!みたいな。……さびしんぼか?(笑)

福圓 みんな、琴乃さんの声のセーラームーンが好きという気持ちがあるんですよね。「美少女戦士セーラームーンCrystal」をやって長いですけど、やっぱり最初のTVアニメの視聴者だった頃の気持ちは忘れていないので、

今でも収録で「月にかわっておしおきよ!」という台詞を聞くと、毎回鳥肌が立つんです。プライベートでも、琴乃さんにご飯を食べさせたり……。食べさせたり?

三石 あははは(爆笑)。(おばあちゃん声で)お世話になってるよ……。

福圓 (言い直して)琴乃さんにご飯に連れて行っていただいたり、一緒に舞台をやったりしていても、やっぱりうさぎちゃんの声を聞くと鳥肌が立つんですよね。だから座長ありきなんだと思っています!

三石 ホント? ありがとうございます。がんばれる!

ーーちなみに《前編》での推しのキャラクターというと?

三石 みんな好きなんですけど、私はアマゾン・トリオを推しておきます。原作準拠だから、出番がなかなか少なくて、もったいないなぁ、彼らのお芝居をもうちょっと聞きたいなという感じだったんですけど、特に印象的だったのが今回の映画で追加されたホークス・アイの最後の台詞。「夢を叶えなさいよ」というようなことを、まこちゃん(スーパーセーラージュピター/木野まこと)に言うんですけど、それがいい演出だなと感心しました。

福圓 私の推しは、やっぱりちびうさです。かわいいなと改めて思いました。仕草のひとつひとつがかわいかったです。それと、アマゾネス・カルテットのパラパラちゃんが大好きなんです。90年代のTVアニメ版の頃から好きで、あの幼い感じと、自由奔放な感じがいいんですよね。今回は諸星すみれちゃんが演じているんですけど、これがまたかわいいんです!

ーー今回、主題歌の「月色Chainon」の歌唱に三石さんも参加されていますが、いかがでしたか?

三石 この曲は、小坂明子さんが書いてくださった曲で、メロディラインが素敵なんです。小坂さんは「美少女戦士セーラームーン」と縁が深い方で、セーラー戦士たちの切なさ、強さ、可憐さが伝わってきます。ももいろクローバーZのみなさんと、ほかの4戦士に助けられて、なんとかがんばりました。本当にいい曲になったと思います。

福圓 本当に素晴らしい曲でした! 

三石 《後編》では、えー!ってなるような歌の仕掛けもあるので、楽しみにしていてください。

ーーでは最後に、《後編》の見どころを教えてください。

三石 《後編》はいろいろなものを回収しつつ、ものすごく盛り上がる大クライマックスに注目です! 《前編》が宝石の詰め合わせだったら、それが10ダースくらいになった内容の濃さと重さと輝きになっていると思います。それに作画もすごくよくて、めっちゃ動いてます。だからみなさんも驚いてくださると思います。

福圓 本当に琴乃さんがおっしゃる通りで、見どころは大クライマックスです。熱い熱い熱い展開で、《後編》は張っていない台詞がないんじゃないかというくらいでした。危機的な状況の中での緊迫感、そして見せ場の連続で映像が仕上がって、そこに音が付くのが楽しみです。ちびうさも《前編》で悩んでいたところから一歩踏み出します。うさぎちゃんとまもちゃんから離れて、単独行動もし始めるので、ひとつ大人になった彼女も楽しみにしていただけたらと思います。それから外部太陽系戦士の入りは、好きな方は激熱だと思います!

三石 そうだね。久しぶりにあの人たちに会えますので、お楽しみに!

(取材・文・撮影/塚越淳一)

【作品情報】

■劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《後編》

公開日:前編2021年1月8日(金)、後編2021年2月11日(木・祝)

<キャスト>

三石琴乃 金元寿子 佐藤利奈 小清水亜美 伊藤静 福圓美里 野島健児 皆川純子 大原さやか 前田愛 藤井ゆきよ 広橋涼 村田太志 中川翔子 松岡禎丞 渡辺直美 菜々緒

<スタッフ>

原作・総監修:武内直子

監督:今千秋

脚本:筆安一幸

キャラクターデザイン:只野和子 

アニメーション制作:東映アニメーション/スタジオディーン

配給:東映

<主題歌>

「月色Chainon(シェノン)」

ももいろクローバーZ with セーラームーン(CV:三石琴乃)&セーラーマーキュリー(CV:金元寿子)&セーラーマーズ(CV:佐藤利奈)&セーラージュピター(CV:小清水亜美)&セーラーヴィーナス(CV:伊藤 静)

作詞:白薔薇sumire 作曲:小坂明子 編曲:月蝕會議

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