【インタビュー】デビュー10年を越えての原点回帰!? 中島愛の始まりの色でもある「緑」をテーマにした、爽やかなアルバム「green diary」
声優・シンガーの中島愛の5枚目のアルバム「green diary」が、2021年2月3日にリリースされる。「マクロスF」のヒロイン、ランカ・リー役でデビューした彼女にとって、ランカのイメージカラーでもあった「緑」は特別な色。いろいろな「緑」をテーマに新曲が書かれた本作は、デビュー10年を越えての原点回帰的な1枚となった。
作詞・作曲には尾崎雄貴(BBHF)、清竜人、Soulife、tofubeats、三浦康嗣(□□□)ら、多彩なアーティストが参加し、ディープな音楽ファンでも知られる中島愛らしい、聴きごたえのある内容に。そして、コロナ禍の中にある我々にとっては、緑の癒やしを与えられる、今聴くべき作品になった!
曲ごとにイメージカラーを決めて、歌詞やメロディを書き下ろしていただきました
──2020年はコロナ禍がありつつも、中島さんは精力的に活動されていましたね。
中島 そうですね。海外のライブのお誘いやイベントはキャンセルになってしまいましたが、CDのリリースは予定通りにできていて、思った以上にしっかり活動できたのかなという実感がありました。
──特設サイトなどを拝見すると、今回のアルバムは、去年の夏くらいから制作が始まった感がありました。
中島 新しいアルバムを作ろうという話が最初に出たのは2019年の年末でした。キャラクターソング・コレクション「FULL OF LOVE!!」も同じ頃に決まって、そちらを先に出すことになったので、「FULL OF LOVE!!」の制作が落ち着いてきたころから、ニューアルバムのベースになるテーマを考え始め、夏くらいから作家さんと具体的にお話しさせていただくという流れでした。タイトルが決まったのが夏で、そこから一気に動き出したという感じです。
──「緑」というアルバムのテーマは、それより早く決まっていたということですか?
中島 そうですね、「緑」をテーマにすることは春先には決まっていました。もう3年前になるんですけど、前回のアルバムは「好奇心」というテーマで作って、曲調や歌詞の内容に関しても、今までと違う冒険ができたという実感があったんです。それを超えて、次は自分の芯になるものを決めたいなと思って。私は節目とか周年が好きなので(笑)、5枚目のアルバムでは何か特別なことがしたいなという思いもあって、原点回帰的なアルバムにしたいなと思ったんです。
──原点回帰が、「緑」というテーマにつながったと?
中島 私にとっての原点のひとつは「ランカ・リー=中島愛」としてデビューしたことで、もうひとつは「I love you」という1stアルバムかなと。そこに帰っていきたい。ランカは髪色が緑で、そこから私のライブでみなさんに振っていただくペンライトが緑だったりしますし、「I love you」のジャケットは衣装も背景も緑色が多くて。あの頃は、周りのスタッフやお客さんが、ランカのイメージカラーの緑を私と結びつけてくださっていたと思うんです。その後、ほかのカラーも提示しないといけないのかなと思うようになって、緑をあえて避けてきた部分があって。それを今回は緑に戻ってみることで、原点回帰につながると思ったんです。
──それで8月にまず、アルバムタイトルを「green diary」に決めた、ということですね。
中島 作家さんにお願いするときに、明確なイメージがあるということをわかりやすく伝えられるかなと思って、今回はタイトルを先に決めました。
──今回は、新たに組む作曲家、作詞家が多いですよね。
中島 今回のアルバムのために選ばせていただいたというよりも、歌の活動をしている中で随時気になっていた方にお声がけさせていただいたという感じです。私だけでなく、スタッフさんやディレクターさんからも、新しい世界を開拓してくれそうな方のお名前が出てきて、それらを合わせて、楽曲をお願いする方を決めていきました。
──ということは、楽曲のコンペをしたのではなく、作家さんを決めて、その方に曲や歌詞をお願いしていったと。
中島 そうです。コンペにはコンペのよさがあると思うんですけど、こういうタイプの曲で、なおかつアルバムのどのあたりに入るのかも指定して、それぞれの方に書き下ろしていただきました。
──曲順まで、発注の段階で決まっていたんですか?
中島 もちろん制作の過程で曲順を入れ替えてみたりもしたんですけど、ほぼ発注のときにイメージしていたものと同じ曲順になりました。楽曲の発注の段階で、私はこうしたいと、ここまで発言させていただいたのは今回が初めてだったので、自分のイメージをしっかり固めて臨みました。ありがたいことにすべての作家さんと直接やり取りすることができて、それも初めての体験でした。
──かなりセルフプロデュース色が強いアルバムになったということですね。
中島 私自身がリスナーとして、今、聴きたい音はこれかなという思いを、実現できる場所になったと思います。
──アルバムを通してまとまりがあって、緑という大きな枠の中できれいなグラデーションがついている感じがありました。
中島 アルバムのビジュアルデザインとして、10色の緑をそれぞれの楽曲に当てはめるというアイデアを、私から提案したんですけど、楽曲自体もその色に合ったものになったなと。発注のときに、その曲のイメージカラーを作家さんにお伝えしたので、みなさん、そのイメージを大切にしてくださったんだと思います。
──曲が、いろいろな「緑」のバリエーションから生まれているので、全体的に落ち着きがあるサウンド感なんですよね。
中島 そうですね、かわいい曲や弾けた曲もあるんですけど、どこか落ち着きがあるんですよね。ひと言で「緑」と言っても、いろいろな温度感の色があるということが、改めてわかりました。そんな中にシングル曲の「水槽」と「髪飾りの天使」が入っているんですが、アルバム全体にすごくなじんでいて、シングルとは違う聞こえ方になっているんじゃないかなって思いました。
──「水槽」も「髪飾りの天使」も、すっきりと爽やかなイメージの曲だということがよかったと思います。
中島 「水槽」は水の色も緑に見えるときがありますし、「髪飾りの天使」は「本好きの下剋上」の第1期エンディングテーマで、この作品ではトゥーリという緑色の髪の女の子の役を担当しているんです。しかも、「髪飾りの天使」のシングルのときに、久々に私も緑色の服でジャケット写真を撮ったんですよね。そういうつながりがあって、今回のアルバムにしっくり収まる2曲になりました。
──こういう爽やかで透明感がある曲が並んだアルバムは、今のご時世にすごく聴きたくなる1枚なのではないかと思いました。
中島 コロナ禍を意 識して作ったわけではありませんが、みんなどうしても肩に力が入ってしまって、気が休まらない今だからこそ、落ち着きのあるアルバムを作ることができてよかったなと思います。
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