「アキバ総研アニソン大賞2020」結果発表! コロナ禍の中でアニメファンの心を掴んだアニソンのポイントは「世界観重視」!?
2020年1月20日~2月3日の期間で開催されていたアキバ総研公式投票企画「年間ベストアニソンを決めよう! アキバ総研アニソン大賞2020」の投票が締めきられた。ここでは、その結果を発表しよう。
なお、本投票企画は、2020年の各クールごとに行ってきた「OPテーマ人気投票」「EDテーマ人気投票」において、それぞれ上位4位にランクインした合計32曲に、編集部筋選曲を加えた全38曲をエントリー。2020年に発表されたアニソンの中からベスト曲を、皆さんの投票で決定しようという企画となる。はたして、アキバ総研ユーザーの皆さんが選んだ、2020年ベストアニソンは……??
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ではさっそくトップ10を発表しよう。
1位 渕上舞「Crossing Road」(「食戟のソーマ 豪ノ皿」ED)1264票
2位 藍井エイル「I will...」(「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld THE LAST SEASON」ED)1250票
3位 古川 慎「本日モ誠ニ晴天也」(「啄木鳥探偵處」OP)658票
4位 鈴木みのり「夜空」(「恋する小惑星」ED)430票
5位 ARP「Burn it up」(「ARP Backstage Pass」OP)328票
6位 鬼頭明里「キミのとなりで」(「安達としまむら」ED)314票
7位 高槻かなこ「Anti world」(「100万の命の上に俺は立っている」OP)261票
8位 ELISA「光の星」(「銀河英雄伝説 Die Neue These(NHK版)」ED)222票
9位 鈴木愛奈「ヒカリイロの歌」(「はてな☆イリュージョン」ED)208票
10位 上田麗奈「リテラチュア」(「魔女の旅々」OP)199票
まず印象的なのが、新型コロナウイルスによって大きく変わってしまった世相を反映するかのように、上位曲の多くが心を癒すようなバラードや、美しいメロディのポップスだった点だ。
とりわけ1位の渕上舞さんが歌う「Crossing Road」(「食戟のソーマ 豪ノ皿」ED)、2位の藍井エイルさんが歌う「I will...」(「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld THE LAST SEASON」ED)は、どちらも美しい歌メロに乗せて、包み込むようなやさしさと背中をそっと押すような歌詞を女性ボーカルが歌い上げている。そこに鮮やかなピアノの旋律、ドラマチックなストリングス、ドラムフレーズが絡む極上のポップチューンとなっている。
作品を盛り上げるアニソンという観点から見ても素晴らしいのだが、リスナーの気持ちをグッとリフトアップしてくれる一曲にもなっているのがポイントだ。
この2曲が競り合うように票を集めたのも、納得である。
3位はアキバ総研の声優人気投票企画では、このところ必ず上位に名を連ねる古川慎さんが歌う、「啄木鳥探偵處」のOPテーマ「本日モ誠ニ晴天也」だ。レトロな雰囲気を漂わせる楽曲を古川さんの美声が彩るこの曲にもまた、多くの票が集まった。妖しげなムードに包まれたMVも必見である。
4位は鈴木みのりさんが歌う「恋する小惑星」EDテーマ「夜空」。もともと歌唱力、表現力に定評のある鈴木さんだが、この曲はそんな彼女のシンガーとしての魅力を存分に堪能できるバラードソングだ。天体観測がテーマのアニメということもあり、歌詞や楽曲も星に包まれた夜空を見上げているシーンを彷彿とさせる、ロマンチックな仕上がりとなっている。
作品の世界観とのマッチング具合も含めて、高い人気を集めた。
5位はARアイドルユニット「ARP」のメンバーを描いたアニメ「ARP Backstage Pass」のOPテーマ「Burn it up」。歌うのはもちろんARPだ。楽曲としては今はやりのBASS音強めのEDMで、とにかく熱くてカッコいい。
偶然かもしれないが、人気を集めた女性ボーカル曲は「癒し」のイメージ。男性ボーカル曲は「力強さ」を喚起するイメージと、明確に傾向が分かれたTOP5曲であった。
6位以下を見てみると、女性シンガーがズラリと名を連ねる。とりわけ鬼頭明里さん、高槻かなこさん、鈴木愛奈さんと2019年から2020年にかけてアーティストデビューした女性声優の活躍は目覚ましく、またいずれも高い歌唱力を発揮しているところが特徴だ。
鬼頭さんが歌う「キミのとなりで」(「安達としまむら」ED)は、疾走感あふれるオシャレな作風であり、アニメ同様に爽やかな一曲となっている。鬼頭さんの歌声とのマッチング具合もバッチリだ。
声優アイドルユニット「Aqours」出身の高槻さん、鈴木さんはどちらもソロアーティストデビュー曲でランクイン。1500曲以上ものアニソンを覚えたという伝説を持つ高槻さんは、王道アニソンともいえる超攻撃的なハードロックチューン。地元・北海道では民謡大会で優勝を飾ったこともある実力派・鈴木さんは、その抜群の歌唱力を生かしたポップチューンと、それぞれ強みをいかした楽曲で勝負を挑んできた。その結果は御覧の通り。今後のさらなる活躍にも期待がかかる。
そんな中で個人的に推したいのが、ELISAさんが歌う8位の「光の星」(「銀河英雄伝説 Die Neue These(NHK版)」ED)、上田麗奈さんが歌う10位の「リテラチュア」(「魔女の旅々」ED)である。
ELISAさんはもとよりオペラを思わせる表現力豊かなボーカルが印象的なシンガーだったが、今回の楽曲は、そんな彼女の武器を最大限に生かした壮大な一曲となっている。まさに「銀河の歴史がまた1ページ」刻まれる瞬間に聴いていたい、珠玉のバラードソングとなっている。こんなアニソン、彼女にしか歌えない。
現在、ELISAさんは音楽活動を休止しており、活動再開のために新たな事務所を探しているそうだ。一日も早くシーンに復帰し、アニメソングの歴史に新たな一曲を紡いでいただきたい。
そして10位の「リテラチュア」は、これこそ声優でなければ歌えない一曲として、プッシュしておきたい。もともと歌メロ自体に半音が多く、かなりの歌唱スキルが要求される一曲なのだが、それを歌いこなし、かつブレスや感情表現といった微妙なニュアンスを含ませるという役者ならではの表現力を発揮する上田さんには、もう「参りました」というしかない。歌詞も主人公・イレイナの成長を踏まえたものとなっており、おそらくそういうストーリー性のある歌詞も、歌唱に与えた影響は大きいのだろう。
全体的に変化球、キャッチーさといった派手な要素よりも、いかに音楽としてじっくり聴けるか。また、作品にしっかり寄り添えているか、が評価のポイントとなった印象の2020年のアニソンシーンであったが、ほかにもまだまだ人気を集めた曲が多数エントリーされている本投票企画。
この機会に、ぜひ11位以下の楽曲もチェックしていただきたい。
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