RAISE A SUILENによる主題歌は、憎しみの感情を込めた和ロック!! 新作オリジナルアニメ「擾乱」キャストよりRaychell、伊藤彩沙にインタビュー!

2021年春放送・配信スタートの新作オリジナルアニメーション「擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD」の制作が発表された。

同作は2021年4月からのTVアニメ放送と、メインは同一キャストによる舞台の開催がすでに決定している。アニメーション制作はBAKKEN RECORD、監督は「八月のシンデレラナイン」「攻殻機動隊 ARISE border:4 Ghost Stands Alone」を手がけた工藤進さんが担当する。近代の日本をベースとした歴史のifの世界を舞台に、かなりハードなテイストの物語が描かれるようだ。

初報のMVには、「時は明治64年」「徳川慶喜、いまだ健在」といった印象的なフレーズが並んで話題となっている。今回は声優として花風エレーナ役を演じ、自身がボーカルを務めるバンド「RAISE A SUILEN」としてOP/EDを担当するRaychellさん、中村浅陽を演じる伊藤彩沙さんにお話をうかがった。


──「擾乱」という作品の印象を教えてください。

Raychell 先行PVを見せていただいたのですが、かっこいいな、という印象がまずありました。映像と音、色彩から生まれる世界観が、あまり見たことがないものでした。だからここから作品がどうなっていくのかが自分でも楽しみです。

伊藤彩沙(以下、伊藤) 作品から伝わる重みのようなものを感じます。登場人物ひとりひとりに背景や背負っているものがあって、「生きるということについて」を考えさせられる作品だと思います。「復讐」というテーマは、私が幼いころに両親が見ていた昼ドラをちょっと思い出すかもしれません。

──出演が決まってどう思いましたか?

Raychell 私は声優としての経験が多いわけではないですが、その中でもエレーナは全く演じたことがないタイプの役柄なので、大きな挑戦だと思っています。自分の中にあるいろんな引きだしを見つけながら演じられたらいいなと思います。

伊藤 本当に嬉しかったですし、浅陽役としてお芝居をするのが楽しみでした。全力でがんばりたいと思いました。「擾乱」という言葉を初めて聞いたので、まず意味を調べるところからはじまりました(笑)。

Raychell 漢字も難しいよね(笑)。

伊藤 まずは擾乱という言葉をたくさんの人に知ってもらえたらと思います。

Raychellさん

──演じるキャラクターの印象を教えてください。

Raychell エレーナはフランス人の父と日本人の母の間に生まれていて、容姿には父方の色がかなり入っています。彼女は小説家でありながら娼婦でもあって、そんな彼女がなぜ処刑人という存在になったのかがこれから明らかになっていくと思います。彼女は自分の気持ちに素直で嘘がつけない人で、好き嫌いの感情がとてもはっきりしています。そんな生き方には私も憧れるところがありますね。娼婦なんですけど男性に抱かれるというよりは抱くというような、そんな感じも出していければいいなと思っています。エレーナを演じるのが今から楽しみです。

伊藤 浅陽はお父さんとお母さんを幼い頃に殺されちゃったんです。そういったこともあって、今も子供なんですけど同年代の子たちよりいろいろな経験をしてきていると思います。人前では明るく気丈にふるまっているんですけど、雪に対しての感情を見ていると、見た目以上に大人なんじゃないかと思います。

──PVで役柄を演じる時にはどういったことを心がけましたか? これからの演技方針を含めて教えてください。

Raychell 自分の感情に素直な人なので、男の人に抱かれている時。雪と接している時。子供と接している時。相手に合わせた感情や好き嫌いがはっきり出る人なんです。つややかな存在の中に感情をしっかり込めることをやっていけたらと思っています。監督さんとお話しした時にも、雪と話す時はドライに。男性と話す時はなまめかしく、といった感じでディレクションをいただきました。

伊藤 浅陽は子供ですが、幼くなりすぎないように、ということは意識しております。普通の日常が楽しいなって思う面と、咲羽に対する複雑な想い、葛藤の部分を大切に演じていけたらなと思います。

──PVでの最初の演技前に監督やスタッフさんとコミュニケーションしたことがあれば教えてください。

Raychell 監督にはエレーナが一番人間らしい感情の持ち主だと言われました。きっと物語の中で一番成長が見えるキャラクターなので、そこを見せながら花とともに生きてほしいと言っていただきました。

伊藤 監督やプロデューサーさんからは浅陽は「イノセントな存在」だと聞いています。音響監督の今泉雄一さんからは人間らしいリアルなお芝居をやってほしいとディレクションがありました。

伊藤彩沙さん

──「擾乱」で挑戦してみたいことはありますか?

Raychell 動きのあるアクションシーンで声のお芝居をするという経験がないので、動きの中で声を出すにはどうすればいいのかを研究していきたいと思っています。

伊藤 その人の人生と、そこから見える人間らしさが大切な作品かなと思うので、浅陽の人間らしさを引き出せるようにお芝居をがんばれたらと思います。

──Raychellさんが今まで演じてきた役柄は、「バンドリ!」のレイヤなど、ステージのRaychellさんの延長にいるキャラクターが多かったと思います。声優として、自分とは全く違うパーソナリティを演じる今の心境を教えてください。

Raychell 私はもともと職業的には歌をやっていて、ブシロードさんの作品をきっかけに声優というお仕事をさせてもらいました。実際に経験してみて、声のお仕事ってすごく楽しいなと思ったんです。「擾乱」で花風エレーナという役をいただいて、今のスキルのままでは演じきれないと思うので、今の自分を超えていかなければいけないなと感じています。声優というお仕事をこれからもやっていきたいと思っていで、この役にこれからの人生をかけるぐらいの意気込みでがんばりたいと思っています。

──つやっぽいところがあったり、難しい役がきましたね。

Raychell そうなんですよ! どういう風にすればつややかに演じられるかと考えながら、いろいろな人のお芝居を見て勉強しているところです。


──伊藤さんの演じる中村浅陽にはかなり重たい過去があるようですが、そのあたりの設定や着地点は把握して第一話の収録に臨む感じでしょうか。

伊藤 そうですね、シナリオは事前に読ませていただいています。だから浅陽の心情やこれからの展開をイメージしながら、ていねいに演じて作っていければと思っています。

──「擾乱」では、舞台でも同じ役を演じる予定だそうですね。準備はこれからだと思いますがご自身が舞台で演じるイメージなどをうかがえますか?

Raychell 楽しみです! アニメのビジュアルを見ると、私金髪にしないといけないのかしら(笑)。花魁の格好をするのかも含めてすごく楽しみです。エレーナは結構長めの鞭を武器に使うので、舞台だとどんなアクションになるのかが気になります。

伊藤 私もちょっと戦いたいなーと思いつつも、子供の役なので、どうなるんだろう?

Raychell 大根持って戦えばいいんじゃない(笑)?

伊藤 (笑)。どうなるんだろうとドキドキししています! 衣装はモンペになるのかな?  初めて着ますが動きやすそうだと思います。子供らしい動きを意識して研究したいと思うので、どうなるのかお楽しみに!

──RaychellさんはRAISE A SUILEN(RAS)としてオープニング主題歌「EXIST」を担当しています。作品の世界観を楽曲でどのように表現しているのでしょうか。

Raychell 今までのRASにはない和のテイストの楽曲になっていて、「擾乱」のために書き下ろした、世界観を持った歌詞とサウンドになっています。私の歌い方でも和のイメージを意識して、こぶしを入れたりしています。レコーディングの時のディレクションでは、憎しみの感情を入れてくれと言われたのが印象的でした。だからフルサイズで聴くと、あ、怖いと思う部分もあるんじゃないかと思います(笑)。

伊藤 そうなんだ!?

Raychell すごく憎しみを込めて歌ってます(笑)。OPとEDを担当させていただいてまして、OPがその憎しみを込めたアップテンポな楽曲になります。EDの「Embrace of light」は真逆で、母親のような愛情と包容力を込めた楽曲になっています。この作品の光と影を表現したような2曲になっているので、歌い方の違いにも注目してほしいです。

伊藤 和テイストでかっこよくてテンションが上がりましたし、こう来たか!と思いました。作品のテイストや世界観にもぴったりな楽曲なので、私も早くフルサイズで聴きたいです。オープニングの映像と合わさるとどうなるのかもすごく楽しみです。

──「擾乱」は海外展開も見据えているとうかがいました。海外のアニメファンの盛り上がりを感じたエピソードなどがあれば教えてください。

Raychell 普段日本でライブすることが多いんですが、海外でもライブビューイングをしていただいてるんですね。海外の方もたくさん私たちのサウンドに触れてくださっているんです。海外のイベントに参加させていただいた時に、現地の方が日本語で歌ってくれることにすごくびっくりして、海外の方も楽しんでくれていることを実感しました。「擾乱」も世界に広がって、海外の方が「JORAN」と言ってくれるように届けていきたいです。

伊藤 私も海外のイベントに出演した時に、日本語で歌ってくれるのはすごく印象に残ってます。コスプレをして来てくれたり、熱狂的に迎えてくださるんです。その熱量がすごく印象的なので、この作品も届いてくれたらなと思いますし、きっと海外のアニメファンの皆さんにも好きになってもらえる作品だと思います。

──最後に作品の見どころを教えてください。

Raychell 私たちが生きている現代とはまったく違った世界を描いた作品です。きっと今とは命の重さや、生きていく上での価値観が全く違うはずです。その中でどう生きて、人間らしく生きていくのか。過酷な状況の中で、明日への希望を見いだしながら生きている姿を見ていただきたいです。私たちとは生き方も価値観も違う世界なんですけど、きっと何か通じる部分もあると思うので、そこを見比べて感じながら見てもらえたら面白いんじゃないかと思います。たくさんの方が関わってくださって、これから作品がスタートしています。私も花風エレーナという役を通して作品の魅力を伝えられるように、一生懸命全力で演じていけたらと思います。

伊藤 翌週どうなっちゃうの?と、毎週胸がぎゅっとするようなハラハラドキドキの作品になると思います。作品をひと目見てもらえたら、きっと世界観に魅了されるんじゃないでしょうか。映像が素晴らしいですし、ストーリーも手に汗握る展開です。グッと手に力を入れて、集中して見てしまうような作品だと思うので、楽しんでいただけたらと思います!

(取材・文/中里キリ)

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