悠木碧と三瓶由布子がプリキュアから得たものとは? 「映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」公開記念インタビュー!
2020年2月〜2021年2月に放送された、プリキュアシリーズ17作目となる「ヒーリングっど♥プリキュア」(以下、ヒープリ)。その劇場作品「映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」が、2021年3月20日(土)より全国の劇場でロードショー。
本作は、“ゆめペンダント”の力で心の中に思い描いた夢を映し出すことができる“ゆめアール”体験が大流行している東京を舞台に、映画としては初めて「ヒープリ」メンバー全員が集結。さらに、シリーズ4作目「Yes!プリキュア5」、5作目「Yes!プリキュア5GoGo!」(以下、「5GoGo!」)メンバーも登場し、プリキュアの共闘や新たな変身フォームなど、楽しみな要素満載の内容となっている。
その公開を記念して、夢のタッグを組む両作品より悠木碧さん(「ヒープリ」キュアグレース/花寺のどか役)と三瓶由布子さん(「5GoGo!」キュアドリーム/夢原のぞみ役)のインタビューをお届けする。
当時視聴者だったキャストに声を確認してもらいました
――まずは、完成した映像をご覧になった感想をお聞かせください。
悠木 女子が好きなものだけを選りすぐって集めたような世界観に、ワクワクしながなら観させていただきました。絵がまず楽しくてテンション上がりますし、浴びるタイプの希望といいますか、映画館の大きなスクリーンで観てもらえたら「はぁ〜、めっちゃ楽しい!」ってなると思います。
でも、そうやって絵のキラキラで頭の中をお花畑にしていると、結構深いことがドンと刺さってきて。いろいろな人間模様が重なり、多面的にお話を楽しんでいただける仕掛けになっているんです。最後まで観ていただければ、公開が3月になったからこそできた映像も映るので、私はそこにもウルウルしてしまいました。
三瓶 プリキュアの映画ならではのお祭り的な楽しさもありつつ、私は親子のシーンでお母さんに感情移入してホロリときてしまいました。とても素敵な映画になっていると思います。
――両作品の共演が決まった時の気持ちはいかがでしたか?
悠木 一緒に変身して、一緒に技を放つと思ったらすごくワクワクしました。でも、任せておけば大丈夫!みたいな圧倒的安心感があって、ひたすら楽しみでもありましたね。実際の収録でも、ドリームちゃん(キュアドリーム)の力強さや元気になる声に引っ張ってもらい、普段のグレース(キュアグレース)なら踏み込まない域まで元気になれたというか。ドリームちゃんたちの発するカリスマ性が「ヒープリ」チームにもすごく影響したと感じています。
特にフォンテーヌ(依田菜津さん)とスパークル(河野ひよりさん)はもともと「5GoGo!」が好きだったので、出演される話を聞いた後の収録からウハウハしちゃっていて(笑)。その姿に「よかったね」ってこっちまで嬉しい気持ちになりましたね。
三瓶 私は子供と一緒に毎週「ヒープリ」を見ていたので、子供には言っていなかったですけど、ちょっと優越感がありました。「ママね、キュアグレースに会うよ。うふふ」みたいな(笑)。
――お子さんは、三瓶さんがプリキュアであることは?
三瓶 私がプリキュアということは知らないです。
悠木 それ、超カッコいいですよね!
三瓶 純粋に見てほしいというのもありますし、「ママね、(キュア)ドリームなの」って言うのもちょっとどうなの?と思って(笑)。おかげさまで純粋に楽しんでくれて、毎週オープニングを一緒に歌うところから始まっていました。
「ヒープリ」は最初にテレビで見た時、「お大事に」って言うのが新しい!と思ったんですよ。変身や必殺技はどのプリキュアにもありますけど、最後に「お大事に」って言うのは「ヒープリ」ならではじゃないですか。今までは毎週テレビで見ていた「お大事に」を映画で言うのかと思ったら、緊張もしましたしワクワクもしましたね。
悠木 しかも、敵の中央をビームでバン!と撃ち抜いた後に言いますからね(笑)。浄化なんですけど。
三瓶 ドリームはだいたい力とテンションで乗り切っているから、ドリームでこんなやわらかなセリフを言えるかな?と思ったんですよね(笑)。でも、一緒なら大丈夫かなって。
悠木 神々しかったです!
三瓶 毎週「ヒープリ」を見て勉強して、なんとか言うことができました。
悠木碧さん
――実際のアフレコでの印象的なエピソードがありましたらお聞かせください。
三瓶 ドリームの声が出るかな?ってところがまずは自分の中での関門でした。カグヤ役の(小林)星蘭ちゃんが「5GoGo!」を見ていた世代だと聞いていたので、当時の視聴者である星蘭ちゃんに「ねぇ、ドリームに聞こえる?」って確認したんですよ(笑)。星蘭ちゃんに太鼓判をもらってからは、自信をもってできました。
悠木 星蘭ちゃんは「ドリームだ〜!」ってすごく目がキラキラしていたので、やっぱりドリーム先輩のオーラはすごいなって思いましたね。私自身も、当時リアルタイムで見てはいなかったけど知っている作品でしたので、本物だ!とミーハーな気持ちだったんです。でも、星蘭ちゃんの目のキラキラは、本当に子供の頃に信奉していたものを見た感じで。
三瓶 いや、数年後にそうなるよ〜。「『ヒープリ』見てました!」って。
悠木 ……なんとも言えない気持ちですね。こんなに座りが悪いとは(笑)。
三瓶 私も、「なんか私ですみません。大丈夫? 夢壊れていない?」って緊張はありましたけど、声は本物だよって気持ちで乗り切りました。
三瓶由布子さん
新たな変身フォームのポイントは?
――本作の見どころのひとつに、新たな変身フォームが複数登場することがあります。それについてはいかがですか?
悠木 めっちゃかわいかったです! パートナーフォームは現場に貼られていたポスターで初めて見たんですけど、「え〜、かわいい!」「しましまの靴下履いてる!」みたいな感じで。グレースのうさ耳も、なんでそんなあざといことするの?と思って、語彙力を失うかわいさがありました(笑)。和テイストなのもすごくいいですよね。今までは西洋のドレスっぽい姿に変身していたんですけど、今回は変身バンクも和っぽくて格好いいなと。
三瓶 私は “ココフォーム”はないのかなって思いましたね(笑)。
悠木 いいですね! パートナーフォームでイケメンになったとしたら、超見たいです!(笑)
三瓶 耳が付くんじゃなくて、そっちなんだ。その発想はなかった。
――和のテイストが入るのは珍しいと思うのですが、プリキュアでの和の思い出はありますか?
悠木 私は「キラキラ☆プリキュアアラモード」が好きで、彼女たちも登場した春の映画「映画プリキュアドリームスターズ!」は和をテーマにしていたんですよ。狐のお面の敵と和装の子にテンションがあがりました。それに憧れてきたので、私の夢もかなえてもらった気がします。日本のよさを感じてもらいたい気持ちも考慮したデザインだと思いましたし、すごくかわいいです。
三瓶 プリキュアに変身した姿ってフリルとかリボンのイメージがありますけど、今回の映画をきっかけに、和をメインとしたプリキュアが誕生する可能性もありますよね。
悠木 いいですね! 和のモチーフがすごく好きなので。
三瓶 私たちの代でも、昔話の世界に行く話や和風のお化けが出る話とか、モチーフで少し和のテイストが入ることはありました。でも、衣装として和を取り入れるのは新鮮ですよね。新鮮だけどなじんでいる、和のテイストをプリキュアの世界でかわいく描くとこうなるという職人技を見た気がします。
――キュアグレースとキュアドリームによる変身も楽しみなところですが、こちらはいかがですか?
三瓶 2人で変身した衣装はどっちも白が基調になるから、ダブル花嫁って感じがしますね。
悠木 わかります。2人は結婚するのかと思っちゃいました(笑)。それに、お互いのモチーフがお互いの衣装についているのもすごくないですか? グレースはお花のモチーフが基調となっているんですけど、(ドリームのモチーフである)蝶が胸のところにあったりして。2人の衣装で同じところと違うところを探すのも楽しいですし、並んだ時にめちゃくちゃかわいいバランスになっているんですよね。
三瓶 これは映画を1回観ただけではわからないね(笑)。
悠木 ぜひ繰り返し観ていただきたいです。私服も変身しますし、コミカライズの上北ふたご先生が描いてくださったお洋服なので、めちゃめちゃかわいいんですよ。のどかのハイネック最高です!
三瓶 “ゆめアール”って最高ですね。着たい服が再現されるわけだから、服を買わなくて済むし(笑)。
悠木 (ゆめアールが普及したら)経済は破綻しますけどね(笑)。
大人の夢も詰まっていて、親目線でホロッときました
――では、衣装以外の物語や映画だからこその見どころをお聞かせください。
悠木 何かを犠牲にしたうえで成り立っている希望、それがどう解決するのかをぜひ見ていただきたいです。今回は、革命的な技術(ゆめアール)によって夢をみんなで共有するハッピーな世界観から始まりますが、最終的には「夢を描くのは君たちの心だよ」というところにきちんと着地しますので。それから、私たちの子供のような存在のアース(キュアアース)が初めて銀幕デビューしますので、アースの神々しい姿を見てあげてください。
三瓶 お祭り感やかわいさはありつつ、アクションシーンを見るとホッとします(笑)。戦う凛々しい女の子の姿に癒やされる……というのも不思議な話ですけど、ぜひプリキュアならではの迫力を大画面で体験してほしいです。油断したら、きっと最後は泣いていると思いますよ。
――プリキュアシリーズは子供だけでなく大人も楽しめる作品ですが、大人の目線としてはいかがですか?
悠木 やっぱり今回は、「5GoGo!」の登場がなにより大人たちの気持ちを熱くさせると思うんです。子供の頃に応援していたんですから。自分の推しが10年経って新たに作画されて、変身バンクもあってアクションして動いたら、「あぁ〜推しのカット増えた〜!(感無量)」って絶対になると思いますし、私なら10回観にいきます。いや、10回じゃ少ないかもしれない(笑)。
アニメのキャラクターの魅力のひとつに、時を経ずにそのまま出てきてくれる、プリザーブドフラワーのようなよさもあると思うんです。観ていた当時に戻れるよさは絶対にありますよね。先ほど話したように、フォンテーヌとスパークルの反応は本当に当時に戻っていて、アース(三森すずこさん)と2人でほほえましくなっていました。皆さんもきっと劇場でそうなってくれるんじゃないかなと思います。あと、衣装は大人が見てもドキドキしましたね。
三瓶 変身フォームがいっぱいあって、テレビではなかった姿を見られるのは楽しいですからね。違うパターンの私服が見られるのも嬉しいですし、大人の夢が詰まっていると思います。
――変身シーンの格好よさは、男性が見てもワクワクするんですよね。
悠木 いわゆるロボットが変形するのと同じワクワク感ですよね!
――そうなんです。映像がすごくきれいだからなおさら。
悠木 「やば! 格好いい!」って。しかも、今回はそこからさらに変身しますし。ラスボスだったら超めんどくさいタイプの敵ですよね。何回変身するんだ!?みたいな(笑)。
――確かに(笑)。三瓶さんは、大人というか親目線でどう感じましたか?
三瓶 プリキュアは子供に向けていることをすごく大切にして作られているので、安心して見せられるし、見てほしい作品という信頼があります。それに、今回の映画は親子がテーマとなっていて、特に博士(カグヤの母である我修院セレナ)は愛情の表現が下手なだけで、持っている思いは同じなんですよ。親が見てもホロッと感動しちゃう素敵なお話になっていると思いますので、パパに置き換えてもいいのでぜひ見ていただきたいです。
――では最後に、抽象的なことでも構いませんので、プリキュアを通して学んだこと、得たものをお聞かせください。
悠木 私は最初の頃、のどかのようないわゆる“女の子の理想がつまったキャラクター”と“自分”とが、すごく乖離して見えていたんですね。とっても遠いものだと思っていたし、自分が選ばれた理由もわからなくて。でも、(プリキュアの)先輩たちが後輩に囲まれて「テレビで見ていました」「憧れて髪型を真似したことがあるんです」と言われているのを見て、(今後は)憧れてくれていた人と仕事をすることになるんだ……と思ったんです。こうあらねば!という気持ちがすごく強くなったといいますか。
1年間がんばりたいと思える出会いをいただけたのは、本当にありがたいことです。まだ全部つかみきれたわけではないですが、「憧れてくれる人がいるから、憧れる形でいたい」という気持ちは、とても素敵なことだと学べた現場だったと思います。
また、そのことを学ぶにつれ、グレースはどうしたらみんなの憧れでいられるかな?といったこともいっぱい考えました。対岸から見ているだけではなく、彼女がどういう人になりたいのかも考えなきゃいけないなと思って。そういったことをすごく学べた1年になりましたね。
三瓶 私は、すごく大切にモノづくりをしている現場だなと、改めて実感しました。原作のある作品とはちょっと違い、見ている子供たちに何を届けるか、どういう言葉遣いにするか、食べ物はおいしく食べるといった当たり前のことを当たり前に届ける――そういったことを大切にしているなと。
映画としては、プリキュアが初めて主役として関わった作品なんです。テレビだと見てくれている人の顔はわからないですけど、映画館で子供たちが必死にライトを振っている姿を見て、真剣さが伝わってきますよね。アニメ自体はもっと小さい頃から見ていたとしても、この映画が初めて自分で見る作品になるかもしれない。初めて記憶に残る作品になるかもしれない。だからこそ、より真摯に関わっていかなきゃいけないと感じさせてくれました。そして、こうして年月が経っても愛してもらっているということは、作られたものがやっぱりいいものだったんだと自信にもなっています。
(取材・文/千葉研一)
【作品情報】
■「映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」
・公開日:3月20日(土)
・声の出演:悠木碧、依田菜津、河野ひより、三森すずこ、加隈亜衣、武田華、金田アキ、白石晴香、三瓶由布子、竹内順子、伊瀬茉莉也、永野愛、前田愛、仙台エリ、草尾毅、入野自由
・ゲスト声優:藤田ニコル、生見愛瑠、景井ひな、さぁや /小林星蘭、勝生真沙子/高木渉
・原作:東堂いづみ
・監督:中村亮太
・脚本:金月龍之介
・音楽:寺田志保
・キャラクターデザイン・総作画監督:爲我井克美
・美術デザイン:増田竜太郎
・美術監督:小川友佳子 渡辺佳人
・CGディレクター:大曽根悠介
・色彩設計:佐久間ヨシ子
・撮影監督:髙橋賢司
・製作担当:澤守洸
■「映画 トロピカル~ジュ!プリキュア プチ とびこめ!コラボ♡ダンスパーティ!」
・声の出演:ファイルーズあい、花守ゆみり、石川由依、瀬戸麻沙美、日高里菜
・原作:東堂いづみ
・監督:大塚隆史
・脚本:金月龍之介
・音楽:寺田志保
・キャラクターデザイン:中谷友紀子、稲上晃
・作画監督:稲上晃
・美術監督:小川 友佳子、渡辺 佳人
・色彩設計:佐久間ヨシ子
・撮影監督:五十嵐 慎一
・製作担当:澤守洸
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