アニメライターが選ぶ、2021年春アニメ注目の5作品を紹介!【アニメコラム】

1年でもっとも多くのアニメがスタートする季節がやってきた。2021年春アニメの本数はアキバ総研調べで60本以上。その中から注目の5タイトルを紹介する。実写PVが話題を集めた「極主夫道」、オリジナルSFアニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」、ゴジラのTVシリーズは日本初「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」、電撃小説大賞の大賞受賞作「86―エイティシックス―」、世界生産累計台数1億台を突破した誰もが知るバイク「スーパーカブ」の5作品をピックアップ!

極主夫道


伝説の極道・不死身の龍が裏社会から足を洗い、専業主夫としての道を邁進する任侠コメディマンガをNetflixがアニメ化。真っ黒なスーツにエプロンを身につけ、華麗なドスさばきでキャラ弁を作るなど、極道×主夫の組み合わせが笑いを誘う。龍を演じるのは、本作の実写版PVで主演・監督を手がけた津田健次郎。予告編では「ネトフリさん、ほんまアコギな商売してまんな」と、すごみのきいた声でメタ発言も飛び出し、破天荒っぷりを見せつけている。
監督は「アルカナ・ファミリア -La storia della Arcana Famiglia-」や「Back Street Girls -ゴクドルズ-」でマフィアや暴力団などアウトローな人たちを描いてきた今千秋。「ゴクドルズ」を彷彿させる、あえて動かさない演出は本作でも健在。テンポのいい怒涛のギャグに身をゆだねたい。



Vivy -Fluorite Eye's Song-


WIT STUDIO制作のオリジナルSFアニメ。ファンタジー小説「Re:ゼロから始める異世界生活」の作者・長月達平と、そのアニメで脚本を務めた梅原英司が原作を手がける。シナリオに先駆けて、2人で原案小説を書き下ろすという珍しい手法を採用。主題歌や挿入歌、劇伴といった音楽まわりは神前暁に一任するなど、歌とAIがテーマの世界観を描くために多彩な試みを取り入れた。
主人公は「歌でみんなを幸せにする」という使命を持った自律人型AIの少女・ヴィヴィ。「リゼロ」でも重要な要素となったタイムトラベルが物語の鍵を握っており、時間がどのような役割を果たすのだろうか。ヴィヴィの歌声は新人アーティストの八木海莉を抜擢。第1弾PVではOPテーマ「Sing My Pleasure」が使用され、旅を通じて歌姫として成長するAIを歌声で表現していく。



ゴジラ S.P <シンギュラポイント>


1954年に誕生した怪獣映画「ゴジラ」が、日本初のTVアニメシリーズとして展開。ゴジラのアニメといえば2017年から18年にかけて公開された「GODZILLA」劇場3部作が記憶に新しい。あちらはゴジラによって宇宙移民を余儀なくされる壮大なストーリーだったが、本作は2030年の千葉県が舞台。PV第3弾ではおなじみの劇伴をバックに、ゴジラが寂れた商店街に出現するシーンが描かれ、いやが上にも期待は高まる。ジェットジャガーで始まりジェットジャガーで終わるPV第2弾も意欲的だ。
監督は高橋敦史、脚本はSF作家の円城塔。2人は「スペース☆ダンディ」でもコンテ・脚本としてタッグを組んだ経験があり、文字型宇宙人や記録メディアを扱った物語は、ほかのエピソードと一線を画した深遠な内容だった。今回も第1話から大量のセリフが詰め込まれており、ゴジラだけに晦渋(かいじゅう)な語り口も癖になるだろう。



86―エイティシックス―


原作は第23回電撃小説大賞の大賞受賞作。人間として扱われない「エイティシックス」と呼ばれる人々が、無人戦闘機械・ジャガーノートに搭乗し、無人兵器・レギオンと血みどろの戦闘を繰り広げるミリタリーSFアクションである。
第2弾PVでは戦死者はゼロと喧伝するサンマグノリア共和国や、エイティシックスの犠牲によって成り立っている体制を嫌悪するヒロイン・レーナの姿が描かれた。無人とされている戦闘機械に乗り込み、最前線で戦わされるエイティシックスたちの叫びも胸に迫ってくる。アニメーション制作はA-1 Pictures、CG制作は白組が担当。すでにプラモデルの発売も決定しており、緻密なメカ描写によるアクションシーンも堪能できそうだ。



スーパーカブ


両親も友だちもなくひとりで暮らす女子高生が、中古のスーパーカブを買ったことで少しずつ変化していく青春ストーリー。バイクが印象的な作品といえば、「AKIRA」や「ボビーに首ったけ」、近年では「ばくおん!!」に「天気の子」に「ゆるキャン△」にと枚挙にいとまがなく、アニメとの相性のよさは折り紙付き。協力・監修にはスーパーカブの製造元である本田技研工業が名を連ね、どんなシーンが見られるのか楽しみだ。
監督は「18if」の担当話数でバイクデートの場面を描いていた藤井俊郎。同エピソードではドビュッシーのピアノ曲「月の光」が使われていたが、「スーパーカブ」のPV第1弾では「亜麻色の髪の乙女」が流れており、舞台となる山梨県の静謐(せいひつ)な雰囲気とマッチしている。



(文・高橋克則)

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