猫アレルギーの私はアニメで猫に癒される! 猫スキーにはたまらない「猫アニメ」3選!【アキバ総研ライターが選ぶ、アニメ三昧セレクション 第11回】

擬人化も含めて、動物が登場するアニメは、筆者が好きなジャンルのひとつ。しかし動物は好きだが、動物アレルギーなので、癒しを求めて動物園に行くことはなかなかできず……。そんなわけで動物が見たいときには、映像か写真が定番だ。

なかでも、アレルギー反応が強く出てしまうのが猫。本当は触ってみたいけれど、人生で一度も触れたことはない。そんな自分の猫欲求を解消してくれるのがアニメに出てくる猫キャラだ。リアルな毛並みを再現している猫も好きなのだが、リアルすぎてもアレルギーが出てしまう気がしてしまうので、どうしてもアニメらしい猫キャラを選びがち。

というわけで今回は、癒し、日常、ファンタジーをテーマに3本の猫アニメを紹介しよう。

■3丁目のタマ ~うちのタマ知りませんか?~

2018年に誕生35年を迎えた癒し系キャラクター「タマ&フレンズ~うちのタマ知りませんか?~」。1993年に第1期、1994年に第2期が放送されたTVアニメ「3丁目のタマ ~うちのタマ知りませんか?~」は、3丁目に住むタマやその仲間のネコ(ときどき犬)たちの、ほのぼのとしたストーリーが描かれる、日常系アニメだった。

当時は、ファンシーグッズに描かれるネコという程度の認識しか持っていなかったのだが、2016年に22年ぶりとなる新作アニメが放送されたのをきっかけに、再チェックしてみた。

以降、1993年版を「旧版」、2016年版を「新版」と表記する。

「新版」は、1分間のショートアニメで、タマたちのほんわかとした日常が描かれ、とにかく癒されたいときにピッタリの作品だ。

「新版」放送時に「懐かしい!」「今でもグッズ持ってる!」という声とともによく見かけたコメントが「トラウマ回」という言葉だ。というのも「旧版」は、生命の問題や孤独死、戦争などをテーマとして扱った重厚なエピソードもあり、平成6年度文化庁優秀映画作品賞・子ども向けテレビ用映画部門を受賞した名作なのだ。

その代表的なエピソードが、旧版第1期第17話Bパート「まつりばやし」である。

野良猫・ノラの回想シーンから始まる本エピソードは、“死”にまつわる物語。ある夏の日、縁側には麦わら帽子姿の女性が座っている。しかし、その女性はピクリとも動かないーー。瞳孔が開いた彼女の口元にノラが爪を立てると、そこからはすっ……と血が流れるのである。

場面は変わり、現在のお話へ。

やはり真夏の日中のこと。捨てられた子猫を発見したタマたちは、助けを求めてそれぞれの飼い主の元へと走る。そんな中、ノラはひとり、衰弱しきった子猫に寄り添いながら、助けを待っている。しかし、この日は祭りの日で、どの家も留守ばかり。タマたちが飼い主を連れてきた頃には、子猫はすでに息絶えていた……。すると、ノラの目は涙でいっぱいに。「あのときと同じだ」と自分を拾ってくれた飼い主が縁側で亡くなった日を思い出すと同時に、“死”を理解するのである。

楽し気な祭囃子をBGMに、徐々に衰弱する小猫の姿と祭りを楽しむ人々の姿がオーバーラップする演出はあまりにも衝撃的だ。極端にセリフが少ないエピソードだけに、ビジュアルのインパクトが鮮烈に感じたのかもしれない。

淡々と「死」を描くこのエピソードは、子ども向けアニメとしてはショッキングに思えるかもしれない。と同時に、子どもたちにはしっかりと見せてあげたいエピソードでもある。誰かを助けたいという気持ちだけでは、どうしようもないこともあるのである。

文字で説明するとタマたちのビジュアルからは全く想像のつかないワードが並ぶが、心に響く、何かを残すからこそトラウマ回として今も語り継がれているのだろう。

飼い主とペット、「死」をテーマにしたエピソードはほかにもある。旧版第2期第18話「パラダイス・オブ・カニカン」も、ノラの行動が胸を打つ。ノラのやさしさ、カッコよさ、思いやりが存分に感じられるエピソードなので、チェックしていただきたい!

■泣きたい私は猫をかぶる

新型コロナウイルスの影響で多くの映画館が休業。その影響を受けて公開延期を選択する映画が多い中、劇場アニメーションとして制作された映画にも関わらず、早々に劇場ではなくNetflixで配信することを決めたのが本作だ。かねてより作品として注目を集めていた本作だが、その迅速で大胆な対応でも話題を呼んだ。

制作は「ペンギン・ハイウェイ」のスタジオコロリド。監督は「美少女戦士セーラームーン」「ARIA」「たまゆら」シリーズの監督をはじめ、数多くの作品を手がける佐藤順一さんと本作で長編監督デビューとなった柴山智隆さんのW監督体制で、脚本は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や「空の青さを知る人よ」の岡田麿里さんが手がけた。

声優は志田未来さんと花江夏樹さんがW主演、主題歌はヨルシカが担当。文句なしの豪華メンバーで作り上げた1本だ。

中学2年生のムゲ(志田未来)は、同級生の日之出(花江夏樹)のことが大好きで仕方がない。しかし、「好き」がダダ漏れしているムゲに対する日之出の態度はかなりそっけない。

そんなムゲは、「かぶると猫に変身できる」というお面を譲り受け、猫の姿になり大好きな日之出のもとへ遊びに行くようになる。普段はムゲにそっけない態度をとる日之出は、猫の姿になったムゲを「太郎」と名付け、溺愛する。日之出の態度の違いに、複雑な思いを抱えながらも、大好きな日之出に溺愛されるよろこびには変えられない。

やがて猫の姿を満喫するようになり、猫のままでいいとまで思ってしまうほどよろこびを感じてしまうムゲは、猫(太郎)と人間(ムゲ)の境が曖昧になっていく……。

本作の見どころのひとつが、そのままでもかわいい子猫(ムゲ)が、愛し愛されていく過程でどんどんかわいくなっていくところ。中学2年生、思春期の女の子と男の子、人間同士としてはなかなかうまくいかないけれど、猫の太郎の前では、自分の素直な心を見せてくれる日之出。猫をかぶって会いに行った大好きな相手こそ、普段は、猫をかぶっていたことを知り、そして、その本心やいいところを知ったうえで、日之出への気持ちは増していく。

しかし、猫としてできることは限られてくる。人間であっても猫の姿になっても、葛藤があることは変わらない。自分はどんなときに、誰に対し猫をかぶっているのかなどと、いろいろと考えさせられるのだが、なんといっても惹かれるのは、日之出が溺愛するのも無理はないという太郎のキュートさ。

猫を触ったことはないけれど、手触り、やわらかさを想像できるという点で、大好きな猫アニメだ。

■夏目友人帳

人と妖の心の交流を描く物語なので、厳密に言えば猫アニメではない。しかし、「夏目友人帳」と言えば、主人公・夏目貴志の用心棒、ニャンコ先生を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。癒し系猫が出てくるアニメとして「夏目友人帳」をピックアップしてみた。

原作は累計発行部数1,500万部突破の緑川ゆきさんのベストセラー漫画。人と妖の切なくもあたたかい交流を描く本作は、2008年放送のTVアニメ第1期を皮切りに、これまでに第6期まで制作されている。2018年にはシリーズ初の長編オリジナルエピソードが描かれた映画「夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」が公開。続編を望む声が高まる中、2021年1月にファンに人気の2つの短編エピソード「石起こし」と「怪しき来訪者」が限定上映された。

小さい頃から妖怪を見ることができる少年・夏目貴志は、祖母・レイコが妖怪を子分とする証にその名を書かせた「友人帳」を継ぎ、自称用心棒の妖怪・ニャンコ先生とともに、妖怪達にその名を返す日々を送っている。ようやく手に入れた大切な場所で、友人たちとの深まる絆を感じながら、夏目が妖怪たちとの出会いや別れを繰り返す姿に自然とあたたかい涙が流れる物語だ。

夏目にレイコの面影を感じ取り、友人帳を奪うべく近づいてきたニャンコ先生。「自分が死んだら友人帳を託す。それまでは用心棒になってほしい」という夏目の要望を渋々受け入れた、先生は行動をともにするようになる。面倒くさいといいつつ、なんだかんだピンチを救ってくれる頼れる用心棒的な存在のニャンコ先生だが、その正体は、妖怪の中でもかなり強い揚力を持つ大妖怪「斑(まだら)」だ。普段のかわいらしい招き猫姿のニャンコ先生と、斑の白く美しい獣の姿のギャップも、本作の魅力のひとつだ。

上から目線でふてぶてしいニャンコ先生だが、本当は上級の中の上級、特別な妖怪なので、そのキャラを理解すれば納得だし、かわいいフォルムとのギャップで、より“プリティさ”が増している。

長い間招き猫に封印されていたため、コロンとした容姿がすっかりなじんだ感のあるニャンコ先生。夏目のカバンに潜り込む姿を見る限り、通常の猫よりも少し大きめサイズという印象だ。しかし、視聴者としては「夏目、重そうだな」と心配になってしまう……その理由は、ニャンコ先生が食いしん坊だから。頼み事するときはもちろん、何かにつけて「○○を食わせろ!」とおねだりするのが定番となっている。

エビフライが大好きで、ケーキも、スイカも、駅弁も食べる食いしん坊。「七辻堂」の和菓子が大好きで、新作は必ずチェックし、おねだりするのもお約束になっている。

そして和菓子と同じくらい目がないのがお酒。一升瓶を抱え、お気に入りのスルメも手放せない。「猫がそんなものを食べちゃダメ!」と心配せずとも大丈夫。ニャンコ先生は猫の姿をしている妖怪なので、お腹をこわすこともないのだ。

プリティなフォルムと、表情のバリエーション、お尻をフリフリさせて歩く姿を見れば目が、ていねいな口調から発せられる毒舌を聞けば耳が幸せになるし、一緒にお酒が飲めたらもう最高! 

など想像すれば、脳内も幸せになること間違いなし。

おいしそうに食べる姿を見れば、料理の香りも味も伝わってきそうだ。

五感を刺激して、脳の疲れをとってくれる、最高の癒しの猫キャラ。それがニャンコ先生なのだ。

(文/タナカシノブ)

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