【100時間プレイ】何時間でも飽き足らぬ、令和に始まる新たな「モンハン」。より速く、より遊びやすくなった「モンスターハンターライズ」をレビュー!

人気ハンティングアクション「モンスターハンター」シリーズの最新作である「モンスターハンターライズ」(以下、MHRise)が、2021年3月26日に発売された。発売から1週間で全世界累計出荷数が500万本を記録するなど、シリーズ前作の「モンスターハンター:ワールド」にも劣らぬ勢いを見せる本作。本稿では、そんな「MHRise」を100時間遊んだ筆者のレビューをお届けする。

襲来するモンスターたちから里を守る「百竜夜行」




「百竜夜行」は、カムラの里を防衛するクエストで、本作で追加された新要素である。押し寄せるモンスターの大群を退けていき、「大物」や「ヌシ」を倒すか、砦の「最終関門」を守りきればクリアとなる。過去のシリーズでも類を見ない、まったく新しいタイプのクエストであり、自身の武器だけでなく、「バリスタ」を始めとするさまざまな「狩猟設備」も活用し、プレイヤーは災禍に立ち向かう。クエスト開始直後は準備のための時間があるので、狩猟設備はそれまでに配備すればいい。最初はバリスタなどしか設置できないが、クエスト中にモンスターを撃退し、あらかじめ用意されている「サブ任務」をこなしたりすれば砦のレベルが上がり、「大砲」や「速射砲」といった強力な設備も使える。


百竜夜行は古くから続いており、長年カムラの里を悩ませてきた。50年前の百竜夜行では、壊滅的な被害を受けている


武器で攻撃するよりも、設備を使ったほうが与えられるダメージは大きい。そのため、設備をいかに配置するかが重要なのだが、ほとんどの設備は飛び道具であり攻撃範囲も広く、使い勝手は良好。そこまで配置に悩む必要はない。プレイヤーみずからが操作する搭乗型だけでなく、里の仲間が動かしてくれる自動型もあるので、自分がミスをしてもある程度はフォローしてくれる。


竜寄せカカシは、一定時間周囲のモンスターを引き寄せてくれる。「撃龍槍」や「破龍砲」といった高威力の設備と組み合わせるのがオススメ。


モンスターたちは複数回に分かれて襲ってくるが、それでも数は多く、迎え撃つフィールド自体が狭いこともあって、手こずっていると、瞬く間に画面がモンスターであふれる。最終関門の前にはいくつかの関門やバリケードが配置されているものの、複数のモンスターに突破を許すとたちまち破壊され、最終関門まで接近されてしまう。とはいえ、最終関門の耐久値は高く、最後に現れる大物やヌシの攻撃にもかなり耐えてくれる。


群れを率いる「大物」は、体も大きい。見上げるようなサイズであることも珍しくない


「反撃の狼煙(のろし)」が発動すると、プレイヤーの攻撃力が大幅に上昇。狩猟設備以上のダメージを与えられるようになる。反撃の狼煙は自動で発動するが、砦にある「反撃のドラ」を利用し、任意のタイミングで発動させることも可能だ。設備を使った迎撃が苦手な人は、反撃の狼煙を活用して直接攻撃するのもオススメ。里長のフゲンや、受付嬢のヒノエとミノトといった一部の面々は、使用回数に制限はあるが設備の1種としてプレイヤーの力になってくれる。圧倒的な力を振るう切り札的な存在なので、モンスターが密集しているときや、最終関門を突破されそうな場合に使うのがいいだろう。反撃のドラと組み合わせて一気にしかけるのもありだ。


モンスターには、プレイヤーを優先して攻撃する「強襲」や「射撃」、関門を率先して壊す「破壊」タイプが存在。特にやっかいなのは射撃タイプで、遠くからこちらを狙ってくるため気づきにくい


状況が流動的に進むなか、設備の配置やモンスターの対処を迫られるのはなかなかのプレッシャーで、筆者が初めて百竜夜行に挑んだときは右往左往してしまい、ヌシを相手に2度倒され、最終関門の耐久値ギリギリでクリアする始末だった。ただ、百竜夜行ではいくら力尽きても大丈夫なので、気兼ねなく突っ込み、マルチプレイで倒れた回数を数えてほかのプレイヤーの反応をうかがわなくていいのはありがたい。


アクションとシミュレーションを合わせたような百竜夜行は、これまでとは毛並みの違うクエストではあるが、反撃の狼煙による強化や、NPCとの協力といった狩猟を盛り上げる要素が盛り込まれており、お祭り騒ぎのように遊べるのは新鮮だった。すでに書いたが、何度倒れてもいいのはやはり気が楽で、友人とボイスチャットをつないで遊んだときは、誰かが力尽きてもむしろ敵討ちに盛り上がった。クエストのクリア報酬としてもらえる「百竜撃退の証」は、「百竜スキル」と呼ばれる特殊な武器スキルの付与や、装備するとさまざまなスキルが付く「護石」の製作に使えるのもうれしい。一風変わった狩猟を楽しめるだけでなく、ゲーム的なメリットもしっかりあるので、周回のしがいもある。ただ、もう少しわがままを言うなら、ヌシたちとは通常のクエストでもプレイしたいところ。ここは今後の配信クエストなどに期待したい。



移動や攻防、回避にカウンター……なんでもござれの「翔蟲(かけりむし)」



百竜夜行と並んで本作の目玉と言えるのが、「翔蟲」を用いたアクション。移動や攻撃といったあらゆる行動に結びついており、翔蟲をいかに使いこなせるかで「MHRise」の難易度も変化する。翔蟲を使った移動やジャンプは、一見するとただの基礎だが、モンスターへの接近、攻撃の回避、その場からの離脱といった役割があるのだから、いかに大切であるかがわかるだろう。簡単にジャンプが出せるおかげで、これまで前後左右で展開していた狩猟に上下が加わったのも大きい。モンスターの攻撃を避けるなら、ローリングや飛び込み、走って逃げるのが過去作の定石だったが、翔蟲のおかげで飛び越えるという選択肢が生まれた。飛び越えられるなら、反撃に転じられる。攻めるチャンスが増えたことで、よりスピード感あふれる狩猟が可能になった。


翔蟲ゲージは時間とともに回復。再び使えるまでにかかる時間は、直前に使用した技によって違う


そこに拍車をかけるのが、武器ごとに備わる「鉄蟲糸技(てっちゅうしぎ)」と「入れ替え技」。両方とも、本作に実装されている14種の武器それぞれに存在し、相手から距離を取ったり、攻撃を受け止め直後に反撃したり、攻撃はしないが、さまざまな技の基点になるなど、カテゴリーによって内容は大きく異なる。ただ武器が14種に分かれているだけでなく、入れ替え技や鉄蟲糸技の構成によって、立ち回りは細かく変化していく。攻撃力特化やコンボ特化など、プレイヤーの特色も出やすくなる。


いっぽうで、翔蟲を使ったアクションには制限もある。まず、「翔蟲ゲージ」を必ずひとつ以上消費すること。もうひとつは、消費したゲージが回復するまでにかかる時間が、直前に使用した技によって変わることだ。モンスターからの連続技では、一撃目を受けたときに翔蟲で受け身を取らなければ、2撃目も受けてしまうことも。そのため、肝心なときに翔蟲ゲージがないと命取りになる。翔蟲を用いたアクションは強力だが、使うタイミングを考えなければならないのがおもしろい。



翔蟲は、自身ではなくモンスターにも使うことができる。「操竜」という新技は、文字通り竜を操ることができ、「操竜待機状態」のモンスターに騎乗すれば、対象を好きに動かせる。基本的には弱攻撃と強攻撃しかないのだが、スティックを上下左右のいずれかに入力すれば技が変化する場合も。弱攻撃と強攻撃はつなげられるので、コンボのバリエーションもそれなりに楽しめる。モンスターたちを象徴する技をプレイヤーが使えるのも感慨深く、「リオレイア」のサマーソルトや「ナルガクルガ」の尻尾叩きつけは、中学高校とハンターだった筆者がずいぶん苦労させられた技で、それを自在に操れるのは不思議な感覚だ。


操竜は、いかにモンスターを分断させるかという考えが基本だったそれまでの「モンハン」としては新鮮だ。意図的にモンスター同士を合流させることで、操竜で大ダメージを狙える。とくに2頭を相手にするクエストであれば、狩猟対象を争わせ、最後に両方を操竜で操る。操竜の対象となったモンスターはその後どこかに立ち去るため、2頭を同時に相手取る心配もない。ダメージを与えた分、クエストも早く終わらせられる。



狩りに夢中になれる遊びやすさ



「モンハン」の中でも「ポータブル」系のシリーズが全盛だった筆者にとって、本作の快適ぶりには驚いた。オトモアイルーともどもいっしょに連れていくことができるオトモガルクは、俊敏な動きで積極的にモンスターを攻撃してくれる。こちらが「行動基準」を設定すれば、プレイヤーの位置を参考に、相手を挟むように動く「挟撃」といった具体的な立ち回りも指示可能。まるで別のプレイヤーと共闘しているような気分になる。キノコや鉱石があるポイントは数分で復活し、素材ツアーを利用すれば延々と稼いでいられる。料理はなにを食べても体力とスタミナが一定値上昇するので、自身が求めるスキルにのみ注視すればいい。モンスターの位置は最初から表示され、サブキャンプを開放すればいつでも瞬時に移動できる。


本作の料理はお団子。体力とスタミナの強化値は統一されており、プレイヤーはスキルの選定に集中できる


序盤は必要だから仕方なく集めていたものの、余裕が出てきて放り出し、再び必要に迫られ収集し出す。そうしたアイテムにまつわる悩みは、ゲームを遊んでいればよく直面する。だが、オトモガルクがそうした問題も解決してくれるのはありがたかった。オトモガルクに乗れば、フィールドを高速で移動できるのはもちろん、採取や採掘もできる。1度に最大数まで入手可能だから手間もかからず、通りかかったついでに素材を取ろうと思わせてくれる。狩猟クエストと並行してアイテム収集も進められ、結果、武具の生産・強化でマカライトやドラグライトといった鉱石系なども不足しにくくなる。いいことづくめだ。


「フリーサイドクエスト」を達成すれば、ささやかな報酬が手に入る。どれもクエストの片手間にこなせるものばかり


時代と技術が進み、時の流れも体感的に加速する中、「モンハン」もまた令和のスピード感に対応したのだと思える。そのいっぽうで、モンスターの位置を表示させるペイントボールや、特定のフィールドでは欠かせないホットドリンク、クーラードリンクといった、過去作ではおなじみのアイテムが本作で廃止されたという面もある。遊びやすさにまつわる試みが、ゲームの作業化なのか、親切設計なのかは捉える人次第だが、少なくとも「モンハン」としての楽しさは健在だ。「モンハン」の醍醐味は、雄大な自然を舞台にしたモンスターとの狩りと、集めた素材を使った武具の生産・強化であり、施設の拡充やアイテムの用意は、狩りをするための致し方ない下準備である。要は、なくてもいい。本作ではそうした下準備が手軽になったいっぽう、新要素の百竜夜行と翔蟲を加えることで、狩りの幅やボリュームを大きく強化。努力と見返りのバランスが図られている。本来のメインである狩りで、十分な遊び応えと達成感が確立できるなら、下準備に手間を割く必要はない。「MHRise」の遊びやすさは、開発技術と「モンハン」の発達による正統な進化で、時代への適応なのだと思う。


環境生物を手に入れると体力やスタミナが強化されたり、モンスターに対して利用したりすることもできる。狩りには欠かせない、フィールドを巡るメリットも、本作ではかなり強調されている


カプコンが生み出した作品群でも歴代最高の売り上げを記録した「モンスターハンター:ワールド」の後ということもあり、開発陣のプレッシャーはかなりのものだっただろうが、「MHRise」の売り上げはすでに500万本を突破。「モンハン」の核である狩りはより楽しく幅広くなり、洗練された遊びやすさは、ネット上で瞬く間に広がり、シリーズファンを始め幅広い層も呼び込んだ。4月末には無料アップデートも控えており、本作のボリュームはまだまだ底が見えない。今後の続報に期待しよう。

(文・夏無内好)

【作品情報】
■モンスターハンターライズ
ジャンル:ハンティングアクション
対応機種:Nintendo Switch
プレイ人数:1人(通信プレイ時:最大4人)
価格:8,789円(税込)
発売日:好評発売中(2021年3月26日(金))
CERO:C(15才以上対象)
※画面写真は開発中のもの。

※インターネットに接続して遠くのプレイヤーと協力プレイを行う場合は、Nintendo Switch Online(有料)への加入が必要。
※Nintendo Switchは任天堂の商標。

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