今年のゴールデンウィークは声優YouTuberと一緒に過ごす! 2021年版・アキバ総研がおススメする女性声優YouTuber5選!
2010年代におけるメディアミックス作品の台頭に後押しされる形で、昨今に活躍する声優にはマルチタレントとしての職能さえ求められるようになった。また、2020年春頃は緊急事態宣言の発令に伴う外出自粛要請の影響もあってか、女性声優によるYouTuberデビューが特に目立つ期間だったと思う。
そこで本稿では、今こそ観ておくべき女性YouTuberチャンネル5選をピックアップ。個人からグループ系まで、おさらいとしてご覧いただきたい(※掲載情報はすべて2021年4月25日時点のもの)。
◆417Pチャンネル(現:夏川椎菜 Official YouTube Channel)
まずは、個人活動の声優YouTuberより。2020年4月17日にチャンネル開設。現在の登録者数は4.5万人。毎年4月17日に自身の地元・千葉にてイベントを開催している夏川椎菜さんだが、令和2年度は先般からの情勢を鑑みて開催中止に。同年にイベント内で扱う予定だった“動画編集”について「417の日継続」のスローガンの下、毎週1本の動画を公開していたのが「417Pチャンネル」である。
驚くべきは、企画構成から撮影・編集、さらには声優のスキルを生かして人力効果音まで作り上げるなど、動画に関するあらゆる作業をオールマイティにこなすバイタリティだ。現在は、本職のYouTuberでも編集作業を外注するケースも少なくないが、声優として活躍する傍ら、本職のクリエイター顔負けの仕事ぶりを見せつけるその意欲には恐れ入る。
そんな同チャンネルの動画において、夏川さんが素の状態で登場することもあるのだが、自身作成の台本に基づき、パンダの着ぐるみをまとったプロデューサー・417Pとのかけ合いを見せるのが基本スタイル(417Pは夏川さんにとてもよく似た顔をしている)。映像は、本人いわく「某ボラギノール」のCMのように、複数枚の静止画を動きが出るように組み合わせ、そこにアフレコを重ねたものだ。自身がタレントとして出演すると同時に、声優として役柄になりきる部分は、他チャンネルとも差別化ができている。たとえ真似しようとしても、動画のスタイルが斬新すぎて誰も真似できそうにないが……。
いっぽう、最近では自身のメイクや自宅環境など、ファンが気になるプライベートな表情を公開することも。それでいて、メイク動画で重要な作業過程をすべて省いたり、料理動画と称して漬物の写真ばかりを披露したりなど、真面目に不真面目をする天邪鬼(あまのじゃく)な一面をのぞかせる。
ただ、そうした点を含めても、そもそもこの活動を継続すること自体が、彼女がファン想いな証拠といえる。制作される動画の高いクオリティを見れば、誰も文句のつけようがないだろう。そんな「417Pチャンネル」も、本年の“417の日”を迎えて、今後は不定期更新になることを発表。あわせて、これまでの動画がBlu-ray収録の形で商品化されることも明らかになった。こうした新たな動きを見ても、夏川さんは動画クリエイターとしての才能を開花させ、声優業界におけるYouTube領域の発展に大きく貢献してくれたと言えるだろう。
2020年4月にチャンネル開設。現在の登録者数は3.3万人。声優/女優/アイドルの皮を被った生粋のエンターテイナーである茜屋日海夏(i☆Ris)さんは、体当たり企画の多いYouTubeとも特に親和性の高い印象がある。
実際に「ひみちゃんねる」開設当初は、Official髭男dism「Pretender」を、コーラを一気飲みした状態で歌唱したり(もちろん失敗した)、無理難題ともいえる1分間メイクに挑戦したり(言わずもがな失敗した)、アイドル声優としての力を使い、牛乳を振るだけでバターができるかを検証したり(食塩不使用のためあえなく失敗した)と、一気に声優ファンの話題をさらった人物だ。
最近では特に、ドッキリ企画にて持ち前のエンタメ力を発揮。同じく声優YouTuberの徳井青空さんをコラボ相手に迎えると、検証企画としてボーリング対決中に唐揚げやあんぱんなどを飲み食い。アイドルとして培った体幹の強さだけで、背中にあんぱんを乗せた状態をキープし、徳井さんの目から隠したところは名シーンといえる。また、山北早紀(i☆Ris)さんには“逆ドッキリ”を提示。山北さんは「さきちゃんねる」と称し、茜屋さんとのインタビュー時に自身の胸がどんどん大きくなるドッキリを敢行したが、最後には彼女にまんまとハメられてしまった。
そんな芸人としての恵まれた素質を隠しきれず、生粋のエンターテイナーとしてスベり知らず……いや、たとえスベってもそれすら笑いに変えられるだろうパワーを持った茜屋さん。彼女のキャラクターがあるからこそ成り立つ、唯一無二な声優お笑いチャンネルだ。
2019年3月にチャンネル開設。現在の登録者数は5.1万人。同じ声優YouTuberでも、ほかとはまったく異なるアプローチをしているのが、小岩井ことりさんによる“ASMR”特化の本チャンネルだ。
パソコンを使用した音楽制作(DTM)を得意とし、作曲家やサウンドエンジニアとしても活躍する彼女。2020年春には、悠木碧さんが発起人となった「#せいゆうろうどくかい」において、読み聞かせの伴奏にも使用されたフリー音源を制作するいっぽう、並行して耳かきやくすぐり音など、ダミーヘッドマイクを用いた高感度なASMR動画を発表してきた。そんな自身の“好き”が高じてか、同年10月には自身のASMRレーベル「kotoneiro」を主宰することに。声優/サウンドエンジニアの両側面の知見を余すことなく生かし、自身のこだわりと“いい声による癒し”を届けてくれている。
また、同レーベルでは、アニメイラストを交えてオリジナルのボイスドラマを制作し、過去には山崎はるかさんや愛美さんらをキャスティング。なんでも、声優/サウンドエンジニアの両職で育てた自身の耳があるからこそ、ダミーヘッドマイク映えする声質を聞き分けられるそうだ。小岩井さんのチャンネルは、同ボイスドラマの視聴版を公開するなど、作品のプロモーションを目的としたプラットフォーム的に活用されている印象がある。
仕事の創出という点で考えれば、同ボイスドラマは共演声優に還元するところも大きく、何より声優として本来の職能である“声のよさ”にもフォーカスを当てる点で高く評価されるものだろう。そのほか、VTuberとのコラボ企画も実施するなど、小岩井さんはブルーオーシャンの領域で手広い活躍を見せてくれている。毎日の生活に極上の“癒し”を与えてくれる彼女のYouTubeチャンネルが、もっと多くの人に知られてほしい。
ここからは、グループとして活動するYouTuberの話題に入りたい。2020年3月にチャンネル開設。現在の登録者数は11.8万人。佐々木未来さん、伊藤彩沙さん、愛美さんによる“チームY”は、メディアミックスコンテンツ「探偵オペラ ミルキィホームズ」での共演をきっかけに、プライベートでもよく遊ぶというユニットだ。チームYというユニット名も、同作の関連番組に縁がある。
これまでの動画企画にからめてメンバー個人を紹介すると、「ラーメン二郎」などの手料理で凝り性を発揮し、視聴者の心の“結婚ボタン”を連打させる佐々木さん、「マリオカート」などのゲーム対決で他メンバーにハンデを頂戴しても、見事に敗北を記してしまう伊藤さん、起床後のおでかけ準備模様を映した「GRWM(Get Ready With Me)」では、まさかの“GRWM”をせずに、布団に潜ったまま指先だけの出演に留まる、“青い布団さん”こと愛美さん。本当にユニークすぎる個性派の勢揃いだ。
そんなチームYの活動は、撮影のための部屋を賃借し、時にお泊まり企画などで共同生活をするという本気ぶり。また、活動コンセプトは「真剣に笑いと届けること」らしいが、いっぽうで女の子としての“かわいさ”を念頭に、動画編集もポップなテイストに仕上げ、スキンケアや「キャンメイク」レビューをはじめ、私服コーディネートを披露するなど、女性ファンにも支持されるような方向性にも特に配慮している。タメになるスキンケア動画もあるため、“お肌が気になる”といった男性視聴者にもぜひご覧いただきたいものである。
YouTubeでの活動を単なる企画のひとつととらえず、新たなライフスタイルとしてとらえているところに、チームYの活動の魅力はあるのだろう。深夜に突如として、3名だけの企画会議がLINEで始まるなど、長年の仲のよさを一層に深める姿に、視聴者も思わずほっこりしてしまうのではないだろうか。
最後に、期待の新星を紹介したい。2020年7月にチャンネルを開設し、同年12月に初回動画を投稿。現在の登録者数は6.1万人。2020年春頃より、本人らいわく“やるやる詐欺”を続けてきた「豊田萌絵&伊藤美来のPyxisチャンネル」が、ついに動き出した。
同チャンネルで楽しめるのは、豊田さんと伊藤さんによるラフなガールズトーク。伊藤さんがメイク企画でメイクポーチを忘れるなど、いつも通り天然ボケを繰り広げたり、豊田さんが歯に衣を着せぬツッコミを入れ、それが時にオタク心を熟知しすぎているなど、本当にフリーダムな空間が広がっている。
なかでも、初回投稿の動画は、まさかの本人たちのオーディオコメンタリー付きのものに。一般的に、まず先行した公開作品があり、それに後からコメントを入れてこそのオーディオコメンタリーであるため、順序が逆なのだ。ただ、これには理由があるらしい。なんでも、同映像を撮影したのが公開から遡って四半期前の夏頃であり、本人たちが半袖を着用していることなどを、事前に釈明する必要があったからだという。動画内容のみならず、その公開に至るまでの経緯すら笑いに変えてしまう手法が新しい。
そこから2本目の動画として、メンバーとスタッフが「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!〜」をなんと4時間にわたり遊ぶ様子が公開されたかと思えば、しばらくの沈黙を経て、翌月末に“地雷メイク”に挑戦した動画を公開。こちらも昨年夏頃の撮影動画ということで、再びオーディオコメンタリーにて本人たちのツッコミが入ることとなる。これぞPyxisのスタイルだ。
そんなPyxisの目標は、“月イチ投稿”。あくまでギリギリで越えられそうなハードルを設定するところも彼女たちらしい。現状、本稿執筆時点ではまだ4月更新の音沙汰がないのだが、可能な限りでかまわない。Pyxisのさまざまな表情を深掘りしてくれる動画を、もっと観てみたいものだ。
そのほか、アミューズによる「AMUSE VOICE ACTORS CHANNEL」や、ブシロードグループ・響の「HiBiKi StYle」など、事務所単位でYouTubeチャンネルを運営するケースも見られる。うち前者では、声優ファンの間で話題となったあの動画も。そう、佐藤日向さん、前田佳織里さん、船戸ゆり絵さんが、東京・戸越銀座で食べ歩きをした際、前田さんがなんと牛乳店で瓶ビールを購入し、近場のチェーン酒屋・カクヤスにて栓抜きだけを拝借して開栓。同店の前でラッパ飲みを始め、瞳をらんらんとさせるあの動画だ。こうした貴重映像にも巡り会えるため、声優YouTubeチャンネルは、日々チェックが欠かせないのだ。
(文/一条皓太)
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