【Steam】笑う門には福来たる!? クスッと笑えるPCおバカゲーム特集

アキバ総研をご覧の皆さま、いかがおすごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。突然ですが、皆さんは「バカゲー」で遊んだ経験はあるでしょうか? 理不尽な難易度や低めの完成度の作品を称する「クソゲー」とは違う、「開発者の偏った情熱」や「理解しがたい不可解な世界観」、「思いきったネタ要素」などを含んだ、思わず笑えるおバカなゲームを「バカゲー」と呼びますが、今回はSteamでひときわ異彩を放つ愛すべきおバカなゲームたちをご紹介していきたいと思います。

項目
不可思議系3Dアクション「Panty Party」
シュールでおバカな死にゲーアクション「Mr.President!」
究極のネタ系シミュレーター「One Dollar Simulator」


  • 「Panty Party」(Animu Game)
  • ジャンル:アクション
  • 2017年1月24日発売
  • 価格:980円(2021年4月22日時点)
  • コピーライト:(C) 2017 Animu Game

パンティ。言わずもがな、女性用の下半身用下着を指す言葉で、「パンツ」とはまた違うニュアンスを持った言葉ですが、ご紹介する「Panty Party」は、そんなパンティが主役という、なんとも変わったアクションゲームです。


本作の主人公は、女子高生の夢理花。ある日、彼女は町中で偶然、空を飛び言葉をしゃべるパンツと出会います。そしてパンツから「君は悪いパンツと戦う愛の戦士なんだ!」とわけのわからないことを告げられ、さらにわけのわからないことに、なんとパンツの姿へと変身してしまいます。こうして夢理花は正義のパンツとして、人間を洗脳しようと企む悪のパンツ軍団とバトルを繰り広げるのでした。


……どうでしょうか、このすさまじいストーリー。ゲームの中で見た内容をありのままご説明しているのですが、まるで昨日見た夢の話をしているような、生半可じゃないシュールさをかもし出しています。



本作は、パンツを操作して敵と戦う3Dアクションゲームです。

基本アクションは、移動、ダッシュ、回避、ジャンプ、攻撃という3Dアクションゲームとしてはオーソドックスなものになっています。攻撃方法は3種類が用意されています。敵を斬りつける近距離通常技・スラッシュ、遠距離攻撃のビーム、範囲攻撃のブーメランなど、「パンツが行っている攻撃」であることを除けば、アクションゲームとしてなんら違和感のないラインアップがバラエティ豊かにそろっており、それぞれ再使用可能となるまでのクールタイムが設定されています。

さらに、バトルで溜めたゲージを消費して「情熱」状態になると、一定時間パワーアップが可能。これらのアクションを駆使しながら、フィールド上に現れる敵パンツたちを一掃すると、次のステージへ進めるシステムになっています。



ステージのスタート前とクリア後には、アドベンチャーパートにて夢理花の物語が展開されます。夢理花が次々に新たなパンツと出会い、交流をしていくというストーリーなのですが、なんと豪華フルボイス。ちなみに本作は、登場するキャラクターの大半がパンツなので、なかにはパンツとパンツが会話を繰り広げるシーンもあったります。空飛ぶパンツの立ち絵と、別の空飛ぶパンツの立ち絵が一画面中に並ぶゲームが過去あったでしょうか。というか、自分で書いておいてなんですが「パンツの立ち絵」という言葉も、かなりのパワーワードです。



ステージには「ノーデスクリア」などのミッションが備えられており、それを達成することで新たなプレイアブルパンツを解禁することが可能です。近距離戦が得意なパンツや射撃が得意なパンツ、手榴弾を投げられるパンツなど、パンツたちはそれぞれ攻撃手段が異なるので、パンツを解禁していく楽しみに加えて、自分の好みにあったパンツを探す楽しみも味わえます。それにしても「自分の好みにあったパンツを探す」って、そうそうゲーム紹介記事で書くことのない言葉ですね……!



本作のプレイアブルキャラ17人、もといプレイアブルパンツ17枚の違いは、性能だけではありません。主人公の夢理花のパンツを始め、「縞パンツ」「ドットパンツ」「くまちゃんパンツ」と、すべて見た目もしっかり違うというこだわりの作りになっています。なかには巨大な白鳥が付いたパンツなど、あきらかに日常生活では出会うことのないパンツも混じっており、おバカなゲームとして堂々の貫禄を見せつけてくれます。攻略のためにはどうしても性能で選んでしまいがちですが、たまには純粋にどのパンツの見た目が好きかという観点で遊んでみるのもよいかもしれません。



パンティという珍しい題材にスポットを当てながらも、えっちな内容がなく、老若男女問わずカジュアルに遊べる「Panty Party」。ちょっと変わったアクションゲームで遊んでみたい人はぜひ、パンティを操りパンティと戦うこの不思議な世界観を体験してみてください。



Presidentとは、学長や社長など組織の長を意味する英語ですが、日常生活の中で最も耳にする代表的な意味は「大統領」ではないでしょうか。これからご紹介する「Mr.President!」は、架空の国の大統領が登場する、シュールでおバカなアクションゲームです。なお本作は、記事執筆時点では日本語未対応のため、その点はあらかじめご留意ください。


本作の主人公は、架空の国の大統領・RUMP氏を守るひとりのボディガード。RUMP氏は、顔立ちといい髪型といい体格といい、見れば見るほど誰かに似ており、そもそも名前もずいぶん似ていますが、あくまでも実在の人物とは無関係な架空の存在です。似てるけど!



さて、本作のルールはいたって単純明快。ボディガードを操作して、ゲームスタート後にまもなくスナイパーに狙撃されてしまうRUMP氏を凶弾から守るという、ただそれだけです。守る方法については不問。どういうやりかたであっても大統領を守ることができればそれでOKなので、スナイパーの射線から外すためにRUMP氏に勢いよくタックルを喰らわせて思いきりふっとばしたり、みずからが身代わりになるべく大統領の前に大ジャンプで飛び出したりしましょう。大統領のためならば、自分の体はもちろん大統領の体さえも(!)どうなったってかまわないのです。



「大統領を守るために大統領にタックルを喰らわせる」という、この字面だけでも十分おバカな雰囲気抜群の本作ですが、ずばり最大のおバカポイントは「ボディガードがグニャグニャ」という点にあります。


プレイヤーが操作するボディガードは、大ヒットアクションパズルゲーム「ヒューマン フォール フラット」のキャラクターを彷彿とさせるグニャグニャっぷり。「ヒューマン フォール フラット」のキャラクターは、白くてやわらかそうな見た目だったので、グニャグニャでも違和感はありませんでしたが、「Mr.President!」のボディガードは黒いスーツにサングラス、ガタイのいい体格にスキンヘッドといういかにもボディガードらしいイカつい見た目なので、グニャグニャな動きがあまりにもミスマッチ。キャラを動かしているだけで笑えてくる本作、バカゲーとして完成度が高すぎます。



本作のゲーム的な最大の特徴は、ボディガードの操作のクセの強さです。


ボディガードはグニャグニャであるがゆえに、ちょっとした障害物に触れたり、階段を急いで降りるだけでも、大きく転倒してしまいます。


そして転倒してしまったら最後、復帰にかなりの時間を要します。目と鼻の先にいる大統領のもとにどうしてもたどり着けず、なすすべもなくぐったり床に転がったまま、銃弾に撃たれる大統領をただただ見つめるしかないシュールな無情感をプレイヤーは何度も味わうことになります。

しかしその分、大統領を守れたときの達成感はひとしお。意外にも(と言うと失礼かもしれませんが)トライ&エラーを繰り返していく中で己の上達を感じられるという、アクションゲームの醍醐味をしっかりと味わうことができる作りになっています。


ちなみに本作、リトライがこの上なくスピーディー、もとい一瞬なので、ストレスを感じることなく何度も再挑戦できるのはうれしいポイントです。



キャラの見た目と動きのおバカさだけでもおなかいっぱいの本作ですが、ステージのギミックにもなかなかのおバカっぷりが詰まっています。


序盤こそ「ステージ上に登壇しているところを暗殺者に狙われる大統領」という映画やドラマにありそうなシチュエーションですが、ステージが進むと「上空から降ってくる謎の巨大タコスに押しつぶされる大統領」や「謎の工場で飛び込み台の上を直進して、地上の巨大ヌードル目がけて落下する大統領」など、何をどうしたら思いつくのか見当もつかないシュールなシチュエーションが次々とプレイヤーを襲います。


巨大タコスは、何者が大統領を暗殺するために空から落としている可能性がありますが、巨大ヌードルにいたっては大統領がみずからの意思で落下しているので、なぜボディガードが守らなければならないのかわかりません。それでもプレイヤーは身を挺して彼を守らなければなりません。もう1度言いますが、本作、バカゲーとして完成度が高すぎます。



どこかで見たような大統領とグニャグニャのボディガードという強烈なおバカ要素に目が行きがちですが、リトライを繰り返してクリアを目指す「死にゲー」としても高い完成度を見せる「Mr.President!」。おバカなゲームの愛好家のみならず、高難易度ゲームにチャレンジしたい人にもオススメの作品です。



ろくろを回して壺を焼く「陶芸マスター」や、墨を磨るところから始める書道ゲーム「Chinese Brush Simulator」など、これまでSteamゲームの特集でさまざまなシミュレーター系タイトルを取り上げてきましたが、これからご紹介する「One Dollar Simulator」は、そんなシミュレーターゲームの究極系と言っても過言ではないタイトルかもしれません。いったい何をシミュレーションするのかというと、ずばり“1ドル札”です。


ゲームを起動すると、タイトルやメニュー画面やチュートリアルなどが出ることなく、プレイヤーの目の前に美しい緑色の野原が突然広がります。マウスを操作してカメラをくるくる回転させると、あたりに岩や木の枝が雑多に転がっていることがわかります。人の気配はまったくなく、いかにも大自然といった雰囲気で、音楽もなく、耳に入ってくるのは風の音と鳥のさえずりだけ。はたしてこの緑あふれる環境で、1ドル札をどうシミュレーションするのでしょうか。


しばらくカメラをぐるぐる動かしていると、視点が中心の岩に固定されていることに気づきます。そしてその岩の上には、なにやら白いものが載っている様子。マウスホイールをスクロールしてみると、ズームインすることができました。さっそく岩の上に載っている白い物体を確認すると……それは、ジョージ・ワシントンがあしらわれた、まごうことなき1ドル札の姿でした。




というわけで、何を隠そうこの「One Dollar Simulator」は、岩に挟まった1ドル札を眺めるゲームなのです(それをゲームと呼んでいいのかわかりませんが……)。ときにズームインし、ときにズームアウトして、カメラを動かしさまざまな角度からじっくり気の済むまで1ドル札を眺める。それ以上でもそれ以下でもないのが、本作「One Dollar Simulator」なのです。不思議なもので、大自然の中で風に吹かれる1ドル札を眺め続けて
いると、だんだんと心が“無”になっていきます。もしかしたらこれは、新時代の禅体験ゲームなのかもしれません。

ちなみに本作は、記事執筆時点で購入価格が100円、つまり(およそ)1ドル。『このゲームを購入することで、手元の1ドルをPC画面の中に送り込んだ』というジョーク的な解釈もできるようです。



さて本作、実はただ1ドル札を眺めるだけで終わりではありません。「W」キーを押すと、なんと自分自身が1ドル札になることができてしまうのです!


 ……わけがわからないと思いますが、そうなんだからそうとしか言いようがないのです。


「W」キーを押すと、1ドル札を眺める視点から、「1ドル札として周囲を眺める視点」へと変わり、今まで見ることができなかったまわりの景色を見ることができます。


森があり、岩場があり、廃屋らしき建物があり、風に揺られてガタンガタンと扉を鳴らす小屋があり……という、なかなか細部まで作り込まれた、きれいながらもどこか不穏な雰囲気の漂う風景。


「なるほど……1ドル札から見た世界はこんな風に広がっているんだな……」と、なにが「なるほど」なのか自分でもよくわかりませんが、しみじみと謎の感情を抱く筆者でした。

ちなみに、「M」キーを押すと、近くに置いてあるラジオが鳴り出します。大自然の環境音に飽きたら、ラジオから流れる音楽をお供に1ドル札を眺める(または1ドル札になる)のもよいかもしれません。



大自然の中で1ドル札を心ゆくまでひたすら眺め、そしてときには自分が1ドル札になるという、ゲームと呼ぶにはあまりにも微妙ではありながら、唯一無二の体験ができることは間違いない「One Dollar Simulator」。100円という低価格も相まって、「こんな謎のゲームがSteamにあってさ……」と人に話すネタにするには最高の作品です。気になった人はぜひチェックしてみてください。

#/

おすすめ記事