アニメライターが選ぶ、2021年夏アニメ注目の5作品を紹介!【アニメコラム】

2021年夏の新作アニメの中から話題作と注目のオリジナルタイトルをピックアップ。「comic POOL」連載のブラックコメディ「うらみちお兄さん」、「ラブライブ!」シリーズの最新作「ラブライブ!スーパースター!!」、沖縄の水族館が舞台の「白い砂のアクアトープ」、水中の格闘技・水球がテーマの「RE-MAIN」、老舗スタジオ・マッドハウスの青春SF群像劇「Sonny Boy -サニーボーイ-」をピックアップしました。

うらみちお兄さん


幼児向け教育番組「ママンとトゥギャザー」の体操のお兄さん・表田裏道は酸いも甘いも噛み分けた31歳。普段はやさしいイケメンだが、スイッチが入ると仕事中もネガティブ発言が止まらなくなってしまう人生の悲哀を描く。注目は何と言ってもキャスト陣。主演の神谷浩史を筆頭に、杉田智和、中村悠一、宮野真守、水樹奈々と、多くの作品でメインを張ってきた面々が揃った。アニメ業界の第一線を走り続けているメンバーが教育番組のパーソナリティを演じるという、微妙なシンクロ具合はどのような化学反応を生むのだろうか。
OPテーマ「ABC体操」は番組内の歌という設定。いけてるお兄さん、うたのお姉さんの名義で、宮野・水樹の両名が歌唱を務めるというこれまた豪華な内容だ。童心に帰って楽しみたい作品になるだろう。

ラブライブ!スーパースター!!


「ラブライブ!」シリーズの最新作は、表参道、原宿、青山のはざまにある私立結ヶ丘女子高等学校が舞台。過去のシリーズとは異なり新設校のため、メインの登場人物は全員が1年生。これまでのメンバー9人体制ではなく5人でスクールアイドル「Liella!(リエラ)」を結成する。さらに校名や校章デザインを公募したり、メインキャストを一般オーディションで決めたりと、新たな試みを多数取り入れた。
そのいっぽうで、ティザーPVの最初のカットでは横断歩道を行き来する人々の姿を捕らえており、「みんなで叶える物語」というプロジェクトの理念は変わっていないことが伝わってくる。スタッフは第1作を手がけた京極尚彦監督が再登壇。「ラブライブ!」では廃校の危機を救うために立ち上がった少女たちを描いたが、今回はどういった感情が物語を牽引するのか期待がふくらむ。

白い砂のアクアトープ


P.A.WORKSの新作オリジナルアニメは、同社が得意とするお仕事をテーマにした青春ストーリー。沖縄にある閉館寸前の「がまがま水族館」の館長を名乗る女子高生・海咲野くくると、アイドルの夢を諦めた少女・宮沢風花が出会ったことで、物語が進展していく。
PV第2弾では水族館で働くことになった風花の奮闘っぷりが表現され、ペンギンやウミガメ、ヒトデなど、海の生き物たちも愛らしく表現された。複数の登場人物が行き交う群像劇でありながら、水族館の仕事内容も詳しく知ることができそうだ。沖縄の海と空の描写が美しく、くくるの髪色や水族館の作業着にも青が取り入れられているなど、鮮やかな色使いにも目を奪われる。監督は篠原俊哉、シリーズ構成は柿原優子と、「色づく世界の明日から」のメインスタッフが再集結した一作。

RE-MAIN(リメイン)


フィギュアスケート、体操と、アニメで描くのが難しいスポーツに挑戦してきたMAPPAが次に挑むのは、水中の格闘技と称される「水球」だ。中学時代に全国大会優勝というキャリアを持ちながら、ある理由で水球から離れていた高校生・清水みなと。彼が山南高校の弱小水球部に入学し、新たな仲間たちとチームを組むことになるが……。
みなとが目覚める場面からはじまるティザーPVでは、彼が再びプールに向かうまでの心境がていねいに映し出された。水の中で常に動き回る必要があり、水面下での激しい駆け引きが魅力のスポーツ・水球を映像化していく。総監督はヒーローアニメ「TIGER & BUNNY」のシリーズ構成や、少しシュールなロードムービー「うわばきクック」を手がけた西田征史。本作では原作、シリーズ構成、脚本、音響監督と複数の役職を務め、MAPPAと初タッグを組む。

Sonny Boy -サニーボーイ-


夏休み中に中学校に集まっていた生徒たちが、校舎ごと異次元に閉じ込められてしまうという青春SF群像劇。36人のクラスメイトは不思議な超能力に目覚めており、少年少女たちは理不尽なサバイバル生活を余儀なくされる。
監督はアクションが盛りだくさんの「ワンパンマン」や、落ち着いた雰囲気の「ACCA13区監察課」など、多彩なタイトルを手がける夏目真悟。キャラクター原案はマンガ家・イラストレーターの江口寿史が担当。PVでは、シンプルなタッチで思春期らしい繊細さが感じられるキャラクターや、独特の存在感を持って描かれる学校や教室が印象的な仕上がり。漂流というシチュエーションに加えて、異能バトルものも堪能できそうな設定で、ストーリーの先が見えないオリジナルタイトルらしい魅力が詰まった一作になりそうだ。



(文・高橋克則)

(C) 久世岳・一迅社/「うらみちお兄さん」製作委員会
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