「いつ終わるのか?」「次こそ終わりか?」と危ぶまれつづけた当連載も、おかげさまで1年もちました。さて、そんな記念すべき連載1周年だというのに、今回のアイテムはアオシマ(青島文化教材社)さんのオリジナルデザインのロボット、「古代ロボ ゴダイガー」。300円ガンダムと同じ箱サイズ、当時価格も300円です。
一応、当連載のタイトルは「B級アニメプラモ」となっていますが、コイツは「アニメ」ではないんですよね。だって、テレビ放送も劇場公開も、ましてOVAで発売されてるわけではないからね。では、どうして取り上げたかというと、箱に「アニメスケール 130mmシリーズ」って書いてあるから。
▲ アオシマ愛好家の皆様にはおなじみ、「活躍想像図」という誇らしげな、それでいて逃げ口上にも言い訳にも聞こえる滋味ぶかい惹句(じゃっく)。そして、「アニメスケール」の共通ロゴ。1980年の「伝説巨神イデオン」の「光るイデオン」あたりから使われはじめたブランドネームだよね
でも、「アニメスケール」って一体どういう意味なんだろう? アニメに出てくる架空のメカではあるけど、スケールモデルのように忠実につくりましたよ……的な、メーカーの宣言のようにも聞こえる。まあ、勢いというかノリなんだろうけど、アオシマの300円サイズを代表する言葉だよね。
そして、ちゃんと「ゴダイガー」にはストーリー設定があるんだよ。箱の横にギッシリと刷られているので、落ち着いてじっくり読んでみよう。
▲ このストーリー設定によると、ゴダイガーはアトランジャー([※編注]アトランジャーは、1975年に青島文化教材社からオリジナルヒーローとして発売され「合体マシ ン」というブランド名を定着させたプラモデル。2020年には「新・合体シリーズ」として復活)の「兄弟ロボット守護神」だそうです。ただの「兄弟ロボット」じゃないよ、「守護神」でもあるんだよ。「情報は十字架又はサブ・コンピューターで処理される」って、十字架とコンピューターが一緒なのかよ。世界観がちぐはぐだけど、その個性こそが「作品」ってもんですよ
天然ではなくて、ネタというかウケ狙いした痕跡があるよね、このストーリー設定は。この300円の「ゴダイガー」の発売は1982年3月。テレビでは「戦闘メカ ザブングル」が放送されはじめた頃だけど、まだロボットアニメに対するイメージが洗練されてなかったのかな。
あのね、ストーリー設定なんかより俺が驚いたのは、箱の横の完成画像なんですよ。普通ここには、テストショットを組み立てて塗装した写真が載るじゃないですか。不自然なポーズをとらせてまで、キットの可動スペックをアピールしますよね? ところが、写真じゃなくて絵なのよ。
▲ 右端の2枚を見ると、この足の反った立ちポーズと武器の構え方、「伝説巨神イデオン」「銀河旋風ブライガー」の樋口雄一さんっぽくない? ご本人にメールすれば一発でわかるのかもしれないけど、今回は追求しません。そういう情報精度の高い連載じゃないんで、別の場所でね
▲ ガンダム的に、ヘルメットが両頬まで伸びているデザインなんだな。で、額のマークと両ツノは、斜め上に跳ねている。なおかつ口の部分がガードというかマスク状になっていると、コワモテになるよね。ロボットの顔としては、甲冑型で好きなタイプです
▲ 次に、武器パーツ周辺。この、ガンダム的・大河原的なリアルとは明らかに異なる銃の未来感、青龍刀みたいなスーパーロボット風の剣とかねえ。80年代前半のロボットアニメ文化の混沌を、そのまま形にしたような武器類ですね