【インタビュー】豊崎愛生が4thアルバム「caravan!」をリリース。ベストアルバムを越えての第二章へ

声優・アーティストの豊崎愛生が4thアルバム「caravan!」をリリースする。オリジナルアルバムとしては、約5年3か月ぶり。その間にベストアルバム「love your Best」とカバーアルバム「AT living」を挟んでの、久々のリリースとなった。
今回のアルバムで目指したのは多幸感。幸せを感じながら今を生きることをテーマにしつつ、時代を限定しない普遍性のある楽曲が集まった。そして、「caravan!」というタイトル通り、旅を感じさせる楽曲も複数収録されている。ベストアルバムを越えて、アーティストとして新たな段階に踏み込んだことも意識したという。
やさしく柔らかく、誰の耳にもなじみやすい音色でありながら、ポップスとしての質の高さ、そしてマニアックな部分までを含む豊崎愛生の音楽。楽曲提供したアーティストも多彩で、今回も聴きごたえのあるアルバムとなった!

「caravan!」は、私の新たな旅の始まりのアルバムです


──オリジナルアルバムとしては、2016年3月の「all time Lovin’」以来、約5年3か月ぶりとなるんですね。

豊崎 そうなんです。ベストアルバム(「love your Best」2017年7月19日リリース)とカバーアルバム(「AT living」2018年10月24日リリース)があったんですけど、オリジナルアルバムとしてはだいぶ久々です。しかも、その間リリースしたシングルは2枚なので、カップリング曲も合わせて4曲しか既存曲がなくて。アルバムの半数以上が新曲という、ファンのみなさんにとっても新鮮な1枚になったと思います。

──アルバム用の新曲をたっぷり作れたということですね。

豊崎 新曲の中には2年くらい前にいったん作って、アルバムのタイミングまでずっと温めていたものもあるんですけど、ほとんどはこの1年で曲を作っていただいてレコーディングしてきたものです。制作が始まったのは2020年の春なので、まさにコロナ禍の中で制作したアルバムということになります。世の中の状況や自分のライフスタイルが大きく変わってしまったことをネガティブにとらえるのではなく、目の前にある小さな幸せから世界平和まで、いろいろな角度で幸せを歌った曲を集めて、元気になれるアルバムを作りたいと思いました。

──どの曲も、ポジティブなメッセージにあふれていて、それが素晴らしいと思いました。

豊崎 結果的に、今の時期ではないと作れないアルバムになったと思っているんですけど、テーマを今に限定して歌った曲は、実は1曲もないんです。この1年、世の中では、人と会えない孤独や、未来が見えない不安を歌う曲がいろいろ作られて、私もそれらに共感したり、救われたりしてきたんですけど、自分がアルバムを作るならそういう寄り添い方ではなく、むしろ今だからできることをポジティブに歌いたいなと思いました。

──アルバムタイトルが「caravan!」で、旅にちなんだ曲も少なくないんですよね。それがある種の希望になっていると感じました。

豊崎 私にとっての「旅」のイメージは、自分の音楽活動と重なるんです。2017年にベストアルバムをリリースさせていただいたことで、ひとつの到達点にたどり着いて、音楽活動に区切りがついた印象があって。今は、そこから旅立って、また新たな目的地に向かっているんだということを、みなさんにお伝えするアルバムにしたいなと。「caravan!」は豊崎愛生の第2章のスタート、2度目のデビューアルバムになったと、自分では思っています。

──新しい旅が、ここからまた始まったんですね。

豊崎 この年齢になっても、まだまだ新しい出会いがあること、自分の中に新しい発見があることを楽しんで、全肯定していきたいという願いもこめて、作ったアルバムです。アルバムタイトルにも、今までずっと入れてきた「love」を使うのもやめて、全然違うところから「caravan!」という単語を持ってきました。デビューから聴いてくださっている方はびっくりするかな? と思ったんですけど、逆に新たなスタートだという意思表示になるので、思い切ってつけてみました。

──「caravan!」というタイトルは、どこから発想したのでしょうか?

豊崎 1曲目に収録されている「それでも願ってしまうんだ」は最初にレコーディングして、アルバムのリード曲にすることも早くから決めていました。音楽を奏でることの生命力、パワーがテーマになっている曲で、「caravan!」というアルバムタイトルも、この曲のイメージから連想した部分が大きいです。キャラバンはそもそも、ラクダを連れて砂漠を旅する商隊で、そのスタイルを今のこの時期だからこそ見習いたいという思いもあって。ふと気づくと、目の前の道がわからなくなって、どこまで砂漠が続いているんだろうと不安になるような現状の中で、それでも歌や楽器の音色で心を満たしながら、旅を続けていくということに、希望を感じたんです。

──アルバムタイトルに合わせて、ジャケットではラクダと一緒に写っているじゃないですか。ユーモラスですし、新たな豊崎さんという感じがしました。

豊崎 まさかラクダとともにジャケットを飾るとは、デビューしたてのころだったら思いもしなかったです(笑)。私はいつか砂漠に行きたいと思っていたので、キャラバン風の衣装を着て、ラクダと一緒に写真を撮っていただいたことで、少しだけ夢が叶ったような気がしました。


──キャラバンは家族や仲間と一緒に旅をします。それは、自分の大切な人たちとともに生きていくということで、このアルバムの収録曲に通じるものがあると思いました。

豊崎 そうですね。さっき、変わっていく自分や環境を全肯定していきたいというお話をさせていただいたんですけど、かと言って、今までの荷物を全部捨てて歩いていくつもりはなくて、この12年で出会ったファンの方々、曲を提供してくださったアーティストの方々、そして楽曲たちがあるからこそ、今、新しい挑戦ができると思うんです。今までのすべてが大切な宝物ですし、一緒に歩んできてくださったみなさんには、自分もキャラバンの一員なんだという気持ちで、アルバムを聴いていただけたらうれしいです。ラララとみんなで声を合わせて歌える曲やクラップが入る曲、それに一緒にぴょんぴょん飛び跳ねられるような曲など、ライブで参加していただくための仕掛けがたくさん入っています。

──アルバムを通して、使われている楽器が多彩で、地に足が着いた音色になっているなと。大地の上に人が集まって、みんなで鳴らしている音楽という感じがしました。

豊崎 そう言っていただけるとうれしいです。「それでも願ってしまうんだ」は特に、プリミティブな音楽の力を多幸感とともに表現した曲になりました。「音楽って楽しい!」という気持ちがストレートに伝わって、私も大好きな曲です。

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