【インタビュー】最新シングル「アンダンテに恋をして!」は、angelaには珍しく恋愛曲のみを収録!?

TVアニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった...X」(略称「はめふら」)のオープニングテーマ「アンダンテに恋をして!」を、2021年7月7日、七夕という恋愛にちなんだ日にリリースするangela。
「はめふら」第1期の「乙女のルートはひとつじゃない!」に続くオープニングテーマで、今回もベートーベンの有名な楽曲を引用。angelaらしい遊び心にあふれた楽曲となった。
また、カップリングとしてラジオ番組「angelaのsparking! talking! show!」新エンディングテーマ「愛を謳う」を収録。どちらも恋愛がテーマになっており、angelaとしては珍しいタイプのシングルに仕上がった。
そんなangelaのボーカル、atsukoと、ギター&アレンジのKATSUによる、軽快で楽しいトークをお届けする!

楽曲のヒントになったのは、あの有名映画の1シーンでした


──「アンダンテに恋をして!」を聴いて最初に思ったのは、この曲にギターは入っているの? ということでした。

KATSU 入ってはいます。でも、ギターはリズムを刻んでいるだけですね。アコーディオンとバイオリンがメインで、バイオリンにはフィドルという民族楽器っぽい弾き方をしてもらっています。むしろ、ドラムが入ってないんですね。いないのにいるように感じさせるリズムになっていて、今までの楽曲とは作り方がまったく違う曲です。

──つまり、現代のロックやポップスの作り方ではないということですね。

KATSU そうですね。「はめふら」(乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった...)の世界観が中世ヨーロッパ風なので、主題歌を作るにあたっても現代の音楽ではないことを意識しました。

──angelaは「はめふら」の第1期OP「乙女のルートはひとつじゃない!」も歌っています。こちらはクラシックを引用しながらも、基調となっているのは現代のサウンドでした。

KATSU でも、急な転調があったり変拍子があったりと「乙女のルートはひとつじゃない!」のほうが楽曲的にひねっていて、今回のほうが正統派なんです。

──現代のサウンド感ではないけれども、正統派の曲になっていると。

KATSU 「乙女のルートはひとつじゃない!」で、ワルツなど貴族の舞踏会を意識した音楽をオープニングテーマの中に落とし込むというのはやってしまったので、今回はどうしようかと。考えているうちに思い出したのが、映画「タイタニック」の1シーンでした。

──レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが主演したあの「タイタニック」ですか?

KATSU 三等船室の中で庶民階級の人たちがアイリッシュパーティーを開いているシーンがあって、上流階級のローズ(ケイト・ウィンスレット)がその中に混じり、ジャック(レオナルド・ディカプリオ)たち庶民のおおらかさを知っていくんです。それを「はめふら」の世界に当てはめてみたら、すごく楽しい光景が思い浮かんで。第2期のオープニングテーマでは、アイリッシュダンスとかポルカのような、ヨーロッパの民族音楽を取り入れようと思いました。

atsuko KATSUさんが今説明した今回の楽曲コンセプトは、最初からパッと出てきたわけではないんです。「アンダンテに恋をして!」は私が主に作曲を担当したんですけれども、ここにたどり着くまでに何曲も書いて、どれも今イチだったんですよね(笑)。アニメの制作サイドからは「ステップが踏めるオシャレな音楽」というリクエストをいただいていたんですけど、ちょっと抽象的で的が絞りきれず、「乙女のルートはひとつじゃない!」で「はめふら」のいろいろな要素を一気に詰め込んでしまったこともあって、袋小路に入り込んでしまって。そんな中、KATSUさんが「タイタニック」を出してきたんです。最初に聞いたときは、なぜ? と思ったんですけど(笑)。

KATSU 単純に、「ステップが踏める音楽」という言葉から「タイタニック」が出てきただけなんですよね(笑)。

atsuko 説明を聞いたら、庶民的というキーワードにピンと来ました。「はめふら」の主人公のカタリナも、異世界では貴族的な暮らしをしているんですけど、転生する前は普通の日本の女の子だったので、ヨーロッパの民族音楽を導入するというのはストーリーにも合ったコンセプトだと思いました。それでアイリッシュダンスやポルカをネットで検索して聴いてみて。細かいステップを踏んで、みんなで楽しそうに踊っているんだなというところから、今回の曲の方向性が見えてきました。


──実際に作曲していて、どんな手応えを感じましたか?

atsuko メロディラインも曲の構成も、普段私たちが作っている曲とは違うものになっていく感がありました。跳ねたリズムなので譜割りが細かくなって、それによってスピード感が出てきて。イントロから始まってAメロを歌うと、またイントロ+Aメロが繰り返されるというのも、今までにはない構成です。

──アイリッシュダンスやポルカのようなダンスのための曲を意識すると、構成も変わってきますよね。

atsuko 細かくて早いリズムはまさに庶民の楽しみという感じなんですけど、その中に貴族的な優雅な雰囲気も漂わせたくて、そのバランスが難しかったですね。

──「乙女のルートはひとつじゃない!」にあった貴族感を、今回も残しておきたかったと?

atsuko はい。そのためにコーラス隊を入れることにしました。KATSUさんが最初に言った通り、アコーディオンやバイオリンが村祭りの雰囲気を出しつつ、そこに重厚なコーラスが乗ることでゴージャス成分が加えられたと思います。

──編曲はKATSUさんのお仕事ですね。

KATSU デモの段階からヨーロッパの民族音楽らしさが盛られていたので、それに沿ってアレンジしていきました。

──楽器の編成についてうかがいたいです。

KATSU 編成としてはアコーディオンと、室内楽団くらいの人数の弦楽器。バイオリンのセクションのトップの方には、フィドルっぽくソロを弾いていただきました。リズム楽器はギターとパーカッション。ドラムセットは現代の楽器なので使うのはやめて、いろいろな打楽器を何人もの人に叩いてもらいました。

atsuko ドラムセットって、要はたくさんの打楽器をひとりのドラマーが叩いているんです。「アンダンテに恋をして!」は、まだそのシステムがない時代の音楽を意識した曲なので、いろいろな打楽器を、ひとりにひとつずつ叩いてもらったということですね。普通にドラムが叩けるドラマーをたくさん集めて、ひとりひとつというのは、ある意味とっても贅沢でした。

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