「機動戦士ガンダムZZ」の1/144 バウ、合体変形が無限の可能性を生み出す旧キットを組み立てて、猛暑とコロナに打ち勝つぞ!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第13回

ようやく連載1周年を迎えた当コラムだが、あまりに名前の知られていないプラモばかり取り上げていると読者が離れていってしまうため、たまにはメジャーなキャラクターを投入しなくては……と、割と本気で考えている。担当者も「たとえばガンプラとか?」と言っているので、今回はヤフオクで安く落札できた「機動戦士ガンダムZZ」(1986年)の敵モビルスーツ、1/144 バウを組むことにした。
バウといえば、この人でしょう! そう、グレミー・トト!

▲ 「ZZ」は、グレミーたち新参のキャラクターがギャグをかますのはいいとして、ブライトさんやハマーン・カーンたち旧作から続投しているシリアスな人たちが付き合わされる様が痛々しくてね……。ドリフのコントに出演させられている真面目な歌手みたいな感じ

箱絵のグレミーを見ていると、「ZZ」の独特の雰囲気がじわじわと思い出されてくるよね。モビルスーツに関して言うと、前作「機動戦士Zガンダム」(1985年)でメカデザインをいろいろな人に発注して、「どれもこれも全部モビルスーツだ」と括ったことには、それなりに意義があったんじゃない? 「ZZ」の敵モビルスーツは出渕裕さんがコンセプトから仕切りなおして再出発して、バウも初期に揃えられた機体の一種だけど、コンセプトを統一しようとすればするほど、「どこからどこまでがモビルスーツか?」「いったい何がモビルスーツをモビルスーツたらしめているのか」という実存的問いを蒸し返しているような感じがしてしまう。
とはいえ、やたらバインダーとかファンネルコンテナとかを増やすより、出渕さんのシルエット重視のモビルスーツ群のほうが生理的にはなじむんだよね……。

▲ 組み立て説明書の裏面には、設定画と機体解説が刷られている。バウ・アタッカー(上半身)とバウ・ナッター(下半身)に分離するのはガザ系列の流れだそうだが、モビルスーツ時の胸や足がZガンダムっぽい意匠なのが混乱を招くよね。何か裏設定があるのか?と勘繰らせる仕掛けなのかもしれない

劇中設定はさておき、600円の価格設定の中でモビルスーツと飛行形態2種類を楽しめるのは、プラモデル製品として良心的だと思う。何となく似たような製品ばかり並べるより、失敗してもいいから遊びとチャレンジが入っているほうが、好感が持てるってことですね。
さて、ランナーはオレンジ色が2枚、黄色が2枚、ポリキャップが1枚です。

▲ まず、この細長い板はシールド。シールド表面の5個の穴はビーム砲だそうだけど、見事な一体成型。これだから、この時代のプラモデルは面白い。左右へ向いた穴を、金型の分割面に逆らわないように一気に造形していく……「彫刻」って感じ。これらを5個のパーツに分割するのが正解かと言うと、そうではないような気がする

▲ 見てください、このZガンダムっぽい足。ヒザ関節あたりから伸びている2本の細いパーツは、動力パイプ的な、関節まわりのデコレーションなのでしょう。そういう繊細な内部パーツを、スネの外部装甲と一体成型するのか! カッコいいぜ、そのどんぶり勘定的な発想!

▲ そして、もういっぺん黄色のランナーを見直してみよう。胸のパーツは、やはりZガンダムっぽい。考えてみれば、左右の排熱ダクトがZガンダムの飛行形態時に目のように見えて、キャラクター性を維持していたんだな。その記号性を踏襲してるんじゃないか

▲ 難しい漢字のデカール(これでバウと読むらしい)とポリキャップ。デカールは糊が死んでいるので放置するとして、ポリキャップは大事にしないとね。80年代も後半ともなると、1/144キットにも普通にポリキャップが入るようになった

バウって、確かにオレンジ色のボディに黄色いパーツが全身のあちこちに散ってるんだけどさ、黄色のランナーが2枚は多すぎるよ。箱や説明書には塗装した見本しか掲載されてないけど、素組みしたら一体どんな配色になるのか……! 見てみたいでしょ? 楽しいのう、塗装ナシで組むだけのプラモ作りは!! では次ページから、レッツ・バウ!!

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