全野球ファンの「あれやりたい」「これやりたい」が全部できる! Nintendo Switch「eBASEBALLプロ野球スピリッツ2021 グランドスラム」レビュー!

野球好きにとって、野球ゲームは切っても切り離せない存在である。

野球好きの友達同士によるガチ対戦はもちろん、ナイターでひいきのチームが試合に負けた後に腹いせでCPU相手にボコって憂さ晴らしするなど、その使用方法は十人十色。ちなみに筆者は広島カープファンなのだが、対戦でカープを使って負けると通常の100倍悔しい思いをするので、あえて別チームを使って対戦をするのが常となっている。「対戦前から逃げている」と相手に言われるのが定番になっているのだが、逃げではなくてリスクヘッジなのであり、そこは勘違いしないでいただきたい。

ちなみにファミコン初の野球ゲームは選手名が存在しなかったため、友人同士での対戦では「ドラゴンズの先発ピッチャーは都裕次郎~!」などと言って、お互い妄想とセルフアナウンスのかけ合いをしながら楽しんだものである。

あれから40年近くたった今、選手名どころか、今回紹介する「プロスピ」シリーズのように選手のグラフィックまでリアルに再現されるようになり、プレイヤーの妄想力は必要なくなったのはある意味寂しいことだが、それはそれ。実在の選手をプレイヤーの思いのままに起用できる楽しみが味わえるのは格別なのである。

ちなみに筆者が個人的に思い入れのある「プロスピ」は2009年にリリースされた「プロ野球スピリッツ6」である。この年にオープンした「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」がゲーム内で初登場したことに加え、レフトスタンド後方を新幹線が走り抜けるシチュエーションまで再現されていて、とても感動したのが理由である。野球ファンはこういう細かいこだわりに目がいってしまうのである。

さて、前置きが長くなってしまったが、今回は2年ぶりの「プロスピ」新作「eBASEBALLプロ野球スピリッツ2021 グランドスラム」を紹介しよう。

▲2年ぶりの「プロスピ」新作はNintendo Switchでリリース。モバイル版同様に外出先でも電車でもプレイできるのが嬉しい! カープ期待の新人、森下も使えるぞ!

メーカーがキービジュアル発表した時点から、新しい「プロスピ」のプレイは始まっている

新作「プロスピ」のリリースが発表された場合、最初にチェックしなければいけないのはパッケージなどに使用されるキービジュアルである。
ここには全12球団から選手が1名ずつ登場しているのだが、主に前年に活躍した選手が抜擢されるのが恒例となっている。前述した通り、筆者はカープファンなのでカープの選手を真っ先にチェックするわけだが、本作では2年目の森下暢仁投手が抜擢されている。2019年のドラフト1位でカープに入団し、ルーキーイヤーの2020年は10勝8敗で新人王を獲得。まさにカープ投手陣期待の星である。

他球団で気になるキービジュアルに登場している選手はというと、中日ドラゴンズの大野雄大投手だろうか。ドラゴンズの歴代左腕先発投手は、前述の都のほか、山本昌、今中など、好きな選手が多いのも理由である。

このようにまずはキービジュアルを眺めながら、「ジャイアンツはやっぱり岡本かー」などと独り言を言い始めたりする筆者だが、この時点から新作「プロスピ」のプレイは始まっているのである。

初の4人対戦に公式大会開催など、充実のゲーム内容

さて、いよいよゲームの中身に触れていきたいと思う。
まずは本作がNintendo Switchでは初の「プロスピ」という点。ひとつの筐体にジョイコンが2つ装備されているNintendo Switchの利点を使い、あと2つジョイコンがあれば4人同時プレイが可能という寸法だ。
4人がチームメイトとなってCPUと戦ったり、2人ずつに分かれて2対2で対戦することも可能となっている。プレイヤーが4人集まってゲームをプレイする状況は大人になるとなかなかないものだが、そこはNintendo Switch。野球好き同士で野球観戦したあとの打ち上げ代わりに本作を4人同時プレイ、なんてのもオツだ。

筆者も今年の6月に千葉マリンスタジアムでカープ対マリーンズ戦のナイター観戦をしたのだが、試合後はどこもお店が閉まっていて、打ち上げもできずに友人と2人で寂しく帰路についた。そんな時にNintendo Switchと「プロスピ」があればその場で軽く対戦して盛り上がる、なんてこともできたなと後から思ったものである。筆者と同じ思いをしないように、野球観戦に出かける際はNintendo Switchと「プロスピ」をセットで持ち歩くことを、ぜひともオススメしたい。

▲緑の芝と茶色の土のコンストラクトが美しい内野フィールド。ちなみにこの球場は東北楽天ゴールデンイーグルスのホームである、楽天生命パーク宮城だ

続いてオンラインモードの紹介だ。
通常対戦はもちろん、ゲーム公式で開催される大会に参加し、全国のプレイヤーと対戦できる。大会種別としては全てのプレイヤーが参加できる「プロスピ杯」のほか、初心者向けの大会である「ビギナー杯」と実力派が集まる「マスター杯」といった大会が開催されており、「プロスピ」の腕試しができる場となっている。
長い歴史を持つ「プロスピ」だが、それでも今作が初プレイになるプレイヤーも多くいることだろう。そのようなプレイヤーであってもオフラインで実力をつけて、いずれ大会参加の面白さを味わってみてほしい。

自分だけのオリンピック決勝トーナメントを楽しめる!

本作で最注目なのが「東京2020オリンピックモード」だ。2021年に東京で開催された「東京2020オリンピック」の予選を勝ち抜いた6か国(ただし日本は開催国のため、予選出場せずに決勝トーナメントに出場)による、オリンピック決勝モードを、日本代表を使用チームとしてプレイできるのである。
実際のオリンピックでは日本代表がオープニングラウンドでドミニカ共和国とメキシコに2連勝し、ノックアウトステージでアメリカと韓国を下し、決勝では再度対決となったアメリカに勝利し、金メダルに輝いたことが記憶に新しいが、その余韻を含めて、自分の好きなようにチーム編成をして海外のチームと戦うのは別格の楽しさがある。

▲今年開催されたオリンピックの野球競技を、バーチャル体験できる「東京2020オリンピック」モード。組み合わせも使用チームも自由に組むことができる

また、実際の試合では準決勝以外で1番指名打者・山田哲人、7番セカンド・菊池涼介というスタメンオーダーを組んだ稲葉監督だが、守備位置が被るこの2選手をどうスタメンで使うか……という苦悩をプレイヤー自身が味わえるのも醍醐味だ。すっかり、気分は日本代表の監督である。

また、実際のオリンピックでは対戦することのなかったイスラエルとの試合が組めるのもゲームならでは。プレイヤーの数だけ「if」が楽しめるのである。しかし、何度も言うように、筆者はカープファン。どうしても先発・森下、クローザー・栗林という演出からは逃れようもなく、毎回この2選手をひいき起用して自己満足してしまうのである。これはもうプロ野球ファンなら仕方ないことだろう。

ちなみに「プロスピ」では2013年リリースの「プロ野球スピリッツ2013」で日本代表が使えたが、これは2013年開催のWBCに合わせてチームとして日本代表が使えるようになっていたものであり、今作のように日本代表を使ってオリンピックをバーチャル体験できるのは本作が初である。オリンピックの余韻冷めやらぬ今、ぜひともこのモードを楽しんでほしいところだ。

▲先発オーダーも、プレイヤーの好みで組むことができるが、実際の試合で使われたものと同じオーダーを組んでプレイするといった楽しみ方もオススメだ

「eBASEBALLプロリーグ」の公式使用ソフトとしての可能性は……?

また、気になるのがタイトルに付けられている「eBASEBALL」。これは前述したオンラインによる公式大会開催などの意味合いが含まれていると思うが、これに加えて、2018年に発足した、プロ野球12球団がプロゲーマーと契約してリーグ戦を行っている「eBASEBALLプロリーグ」の公式使用ソフトとしての使用も検討されているのではないだろうか。

これまでは「実況パワフルプロ野球シリーズ」をはじめとして、モバイル版「プロ野球スピリッツA」を使用してのリーグ戦開催が発表されていたが、本作を使用してのリーグ戦開催は現在までに発表されていない。

ちなみに完全に余談なのだが、こうしたプレイヤー同士による野球ゲームのリーグ戦で筆者が思い出すのは、1980年代の「ファミ通」誌上で行われていた編集者・ライター陣によるリーグである。毎号リーグ戦の対戦成績が更新され、順位変動していくさまをなんとなく楽しみに読んでいた企画だ。ゲームとはいえファン心理が働いてカープを応援したくなるのは言わずもがな。ということも踏まえて、ぜひ本作を使用した「eBASEBALLプロリーグ」の開催を期待したいところである。

▲海外の選手との対戦は通常のペナントレースとは違った対戦の面白さがある。選手情報が少ないだけに、手探りの攻め方を楽しもう。

そして、ゲームのトピックにもなっているが、野球ファン心理をくすぐる仕様として、オリンピックの1次リーグ初日で使用された福島県営あづま球場が使用球場として使えるようになっている。プロ野球でも地方球場での公式戦は年間通してもそれほど多くなく、中継で観ていても、いつもと違う風景とシチュエーションで楽しませてくれるプレミア感が得られるのも特徴だ。そんな地方球場のひとつである、福島県営あづま球場を使ってのプレイは、これまでにない新鮮さを感じられることだろう。

筆者にとって地方球場の思い出というと、現地観戦経験こそないものの、小学生時代に毎年ジャイアンツが開催していた「北海道シリーズ」こと、札幌円山球場での3連戦だ。この球場はナイター設備がなく、平日にも関わらずデーゲーム開催なのだが、それでも球場は超満員。そしてその日の夜には編集された録画映像がTV放映されるのだが、基本的に試合結果をあえて知らないまま録画放送を観て楽しむことを自分に課していたため、それを知ってか知らずか、自分の背後から父親が「おーい、今日はカープ負けたぞ!」などと、嫌がらせをしてくるという親子のしょうもないつばぜり合いを思い出してしまうのである。

このように、地方球場の試合には野球ファンの数だけ思い出があるのだ。そんなことに思いを馳せながら、福島県営あづま球場でのプレイを楽しんでみたいものである。

▲オリンピックのオープニングラウンド初日で使用された、福島県営あづま球場がゲームに登場している。地方球場ならではの雰囲気を楽しみながらプレイしたい

秋に向けて加速する野球熱とともに新作「プロスピ」をプレイしよう!

さて、東京オリンピックも終わり、プロ野球ペナントレースも再開。今年も秋に向けてさらに野球熱が高まっていくだろう。この原稿を書いている時点で、セ・リーグではタイガースとジャイアンツ、スワローズが熾烈な首位争いを繰り広げており、我がカープは逆にベイスターズと最下位争いをしている。少し前のカープのセ・リーグ3連覇の記憶を完全にすっ飛ばし、「5位力」と呼ばれた2000年代のカープを思い出すような状況で、「まぁこれはこれで懐かしくていいか……」と自分自身に無理やり納得させながら連日の試合結果を見ている筆者である。

そんな野球ファンたちにとって、「eBASEBALLプロ野球スピリッツ2021 グランドスラム」は必要不可欠なタイトルだ。友人同士での対戦、プロ野球中継後のクールダウン、仕事での接待プレイ、見知らぬプレイヤーとのオンライン対戦など、今年も熱く「プロスピ」を楽しんでみてはいかがだろうか。

(文/風のイオナ)

【商品情報】

■eBASEBALLプロ野球スピリッツ2021 グランドスラム

・発売中

・ジャンル:プロ野球・育成

・対応機種:Nintendo Switch  Proコントローラー対応

・プレイ人数:TVモード:1~4人、テーブルモード:1~4人、携帯モード:1人

・価格:7,678円(税込)

・CERO A

・メーカー:コナミデジタルエンタテインメント

※2人以上で遊ぶ場合、プレイヤー1人につきJoy-Con1本が必要です。

※1人プレイ時は、携帯モードでプレイ可能です。

オンライン チャンピオンシップモードをプレイするには、「Nintendo Switch Online」への加入が必要です(有料)

TM IOC/TOKYO2020/USOC 36USC220506.

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一般社団法人日本野球機構承認  プロ野球フランチャイズ球場公認

ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2020年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。

Japan Baseball Data(株)

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