「そして次の曲が始まる」──TRUEが魅せた渾身のステージ! アニソン44曲にアリーナが揺れた「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」DAY3レポート

世界最大級のアニメソングの祭典「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」が2021年8月27日~29日、さいたまスーパーアリーナで開催された。今回は29日に開催された最終日・DAY3の様子をレポートする。

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で中止となった「Animelo Summer Live 2020」。掲げていたテーマはそのままに、約2年ぶりに「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」が、さいたまスーパーアリーナで開催された。

3日目もカラフルな音楽が数多く披露され、改めてエンターテインメントというものの素晴らしさを痛感させられるステージが繰り広げられた。


スタァライト九九組にArgonavis──作品世界をステージに顕現させる魔法!「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」DAY2レポート

“わずか5000人”の声なき観客と創り上げた世界最高の熱量! 「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」DAY1レポート


DAY3前半のMVPは、ガンダムの歌姫・森口博子!


「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」(以下、アニサマ)3日目のオープニングは、森口博子×TRUE×鈴木このみ feat. NAOTOによるコラボステージが飾った。
歌ったのは、TVアニメ「動戦士ガンダムSEED」EDテーマ「あんなに一緒だったのに」。石川智晶さん、梶浦由記さんによるユニット「See-Saw」のカバー曲だ。2000年代を代表するガンダムシリーズの名曲を、1980年代~1990年代のガンダムの名曲をずっと歌い続けてきた歌姫・森口博子さんが歌うというのは、正しい文脈であるし、そこに現在のアニソンシンガーを代表するTRUEさん&鈴木このみさんと声を重ねるというのもアニソンファン的に胸熱。
そして、アニソンと親和性の高いストリングスをバイオリニストのNAOTOさんが演奏するというサプライズも素晴らしかった。

トピック盛りだくさんのコラボのあとに登場したのは、声優の仲村宗悟さん。2019年にアーティストデビューした仲村さんにとって、ソロとしては初のアニサマとなる。アコギを片手に爽やかなサウンドを奏でる「Here comes The SUN」。そして、ピアノのリフが切なさを助長するポップチューンである現在放送中のTVアニメ「RE-MAIN」のEDテーマ「壊れた世界の秒針は」の2曲を披露。仲村さんならではの、清涼感ある伸びやかな歌声を会場に響かせた。

続いて「SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!」から、アニメに登場したバンドが集結! まずは「DOKONJOFINGER」(通称:どこゆび)がヘヴィなロックチューン「移動手段はバイクです」を披露。バイクじゃなくママチャリで登場するというのがいかにも「どこゆび」らしいが、歌はボーカルのヤス(CV:伊東健人)が、ばっちりカッコよく決めてくれた。

続いてガールズバンド「Mashumairesh!!」が登場。これまで、作品のフェスや自身のライブで生演奏をしてきた4人が、その特訓の成果をアニサマの大舞台で見せつけた。ポップでキャッチーな名曲「キミのラプソディー」、そして聴く人に元気を与えてくれる「エール アンド レスポンス」の2曲をぶちかます。魂のこもった演奏が伝わったのか、客席も大きくペンライトを振って応えていた。

そして最後はアニサマバンドとともに、TVアニメ「SHOW BY ROCK!! STARS!!」の挿入歌「アノカナタリウム」を歌う。この曲では、シアン(CV:稲川英里)とヤスも参加し、声をつなぎ重ねていった。

声優としての活躍もめざましく、かつアーティストしては独自の世界観を追求し、確実に大きくなってきている伊藤美来さんと楠木ともりさんが続けて登場。

伊藤美来さんは、ライブで映える2曲を用意。開放感と疾走感のある「Plunderer」を笑顔とともに歌唱。
いっぽう、ダンスもキュートな「No.6」は、生バンドでぜひ観たかった曲だ。ホーン隊も加わったゴージャスなサウンドもさることながら、ダンサブルなベースラインやテクニカルなドラムソロが体感できたことも嬉しい。だが何より、こんなにカッコいいサウンドの中でも、 “かわいい”を貫き続ける伊藤美来さん……さすがである。
今年アーティストデビュー5年目を迎え、アニサマへのソロ参戦は3度目。舞台を重ねるごとに着実にそのパフォーマンスはレベルアップしている。発表される楽曲も、ひと筋縄ではいかない音楽性を感じさせるものばかりということで、彼女の今後がますます楽しみになるようなステージだった。

いっぽう、客席後方に位置するスペシャルステージにバンドを引き連れて登場した楠木ともりさん。みずから作詞作曲も手がけ、アースティックな方向に振り切って活躍している彼女のステージは、まさに圧巻。

まず自身の歌声から静かに入るという歌い出しからして鳥肌モノだったが、その後も歌唱難易度の高そうな「ハミダシモノ」を圧倒的な表現力で歌っていく。続いて、カバー曲を歌いたいと準備してきたのは、彼女がソロデビュー前からリスペクトを口にしているさユりさんの「航海の唄」(TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」EDテーマ)。この曲では「青い光にしてほしい」と観客にお願いし、青いペンライトの海の中で熱唱したのだが、このパフォーマンスから声優デビュー間もない2018年に彼女が立ったアニサマの舞台を思い出してしまった。当時、新人ながらTVアニメ「ソードアート・オン ライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」の主人公・レンとしてステージに立ち、ピンク色のサイリウムの海の中で笑顔で歌っていた楠木さん。どうやら、デビュー当時から彼女はプレッシャーや緊張とは無縁らしい……。

そして、初日、石原夏織さんのステージで佐藤純一さんがピアノで参加していたり、2日目には佐藤さんが作詞・作曲した楽曲をスタァライト九九組が歌っていたりと、3日間ずっと存在感を示し続けていたfhánaが、3日目にしていよいよ登場した。

劇場版「SHIROBAKO」主題歌「星をあつめて」でハッピーな世界を作り出すと、「小林さんちのメイドラゴン」シリーズから、towanaさんとkevinさんのラップのかけ合いが心地よい第2期「S」のOPテーマ「愛のシュプリーム!」と、みんなで踊ってハッピーになれるアニソンの定番となった第1期OPテーマ「青空のラプソディ」を披露。ここではサプライズで、スーパーちょろゴンず(トール(CV:桑原由気)、カンナ(CV:長縄まりあ)、エルマ(CV:高田憂希)、ルコア(CV:髙橋ミナミ)、イルル(CV:嶺内ともみ))も参加。元気いっぱいにステージを盛り上げてくれた。

前半のトリを飾るのは森口博子さん。サックス奏者のヒロムーチョさんをフィーチャーして披露した「機動戦士ガンダムF91」イメージソング「君を見つめて -The time I'm seeing you-」は、原曲からガラリと雰囲気を変えて、ムーディーなサックスが曲を彩るアレンジに。原曲もよかったが、こちらも1980~1990年代のJ-POPらしさ感じられる聴きごたえ満点のコラボだった。さらにTVアニメ「機動戦士ガンダムΖΖ」のEDテーマ「一千万年銀河」を、今井隼さんのピアノとともにカバー。こちらも改めて言うまでもなく名曲だ。どこか懐かしさを感じさせるピアノアレンジも素晴らしかったが、作詞家・井荻麟こと富野由悠季監督による歌詞がずっしりと重く伝わってきたのもよかった。

元祖バラドルの名にふさわしい楽しいMCのあとに森口さんが歌ったのは、彼女がずっと歌い続けてくれた「機動戦士ガンダムF91」主題歌「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」。この曲には、NAOTOさん(Vn)、そして酒井ミキオさん(Pf)と彼がプロデュースする声優コーラスユニット・Healer Girlsが参加。「機動戦士ガンダムF91」の映像をバックに、色あせない美しい歌声に、目頭が熱くなってしまった。

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