「特装機兵ドルバック」の1/100ボナパルト・タルカスを組み立てて、ドスコイ系ロボの究極進化形を確認しよう!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第14回

前回の「亜空大作戦スラングル」の「1/48チャンサー」(アオシマ)の記事は、思いのほか反応がよくて、ちょっと怖くなったぐらいである。そんなに微妙なアニメメカが好きなら……と慎重に検討した結果、今回は「特装機兵ドルバック」(1983年)。以前、「ドルバック」では脇役メカのパワードアーマー「PAC-48 ガーディアン」を取り上げたけど、今回は主役のバリアブルマシンを選んでみた。グンゼ産業の1/100スケール「ボナパルト・タルカス」、今月はコイツを素組みしちゃうぞ。

ところで、前回も頭を抱えたけど、「ドルバック」って作品は説明が難しい。昔ながらのスーパーロボット物の世界観でありながら、主役ロボットはジープ、ヘリ、戦車から変形する(今回のタルカスは戦車変形ロボ)。そして、それぞれ単一のスーパーメカかと思われた3機の主役ロボットは、番組の中盤から量産されるようになる。つまり、部分的にサンライズ的なリアルロボットの系譜も受け継いでいるんだよね。
そうだ、このキットに封入されているチラシを、ちょっと見てみよう。

▲ 右上の丸っこい2体が人間サイズのパワードアーマーで、それ以外は巨大ロボであるバリアブルマシンなのだが、「キャリバー」「オペロン」「ガゼット」には色違いのものがある。たとえば、左端の「VV-54A キャリバー」は「VV-54AR ムゲン・キャリバー」の量産タイプなのだ

このチラシには、バリアブルマシン3種の変形前・変形後、主人公機・量産機のそれぞれが掲載されている。量産タイプは、主人公の乗るバリアブルマシンに比べて、色と細かな武装が違うようだ。ああ、なるほど。成型色を変えれば、商品点数が増える……このスケールモデル的な当たり前のロジックをロボット物に転用したんだから、そんなに驚くこともないのかな。ガンプラで言うと、80年代に渋めの成型色に変更して既存キットをそのまま発売した「リアルタイプ」みたいなもんですかね。「超時空要塞マクロス」(1982年)のバルキリーも頭部と色の違うバリエーション機が大量に出てきたから、「マクロス」の路線とも言えるけど……「ドルバック」は、世界観がスーパーロボット物なんだよね。

そんなこといつまで考えててもしょうがないので、「ボナパルト・タルカス」の箱を開けてみよう。まぎらわしいけど、「ボナパルト・タルカス」は、主要登場人物のピエール・ボナパルトが乗る(後にスタンレー・ヒルトン)タルカスのロボット形態です(戦車形態の商品名は「ボナパルトAPCタルカス」と、ちょっとだけ名前が違う)。

▲ 「ドルバック」のプラモデルと言えば、このオレンジ色のポリキャップでしょう! ホントに、どうしてこんな目立つ色にしたんだろうか。あと、デカールはロゴデザインのセンスもいいし、なかなか理にかなった注意書きが印刷されている様子

▲ 見てください、このシャープなモールド。いったい、何が設計者や金型屋さんをここまで奮い立たせるのか? このまんま、スケールモデルとして通用しそうなほどきれい。2枚目の写真に、微妙な造形の握りコブシが見えるけど、このコブシも味わいぶかい

しかしまあ、見事に四角いパーツばかり。ランナーだけ見ていても、今ひとつどういう形のロボットなのかわからないので、キットの完成見本を見てみましょう。


まあ、確かに足らしいものが2本あることはあるが、「ミサイルでかいね~」という感想になってしまう。基本的に、四角い箱を重ねただけにしか見えないのだが……? でも、組み立ててみれば何かわかるかもしれない。どんな得体のしれないキットでも臆さず、とにかく素組みする。それが、この連載のエラいところです。
このボリュームのあるボナパルト・タルカスだけど、ひょっとしてゲッター3の流れを汲むドスコイ系ロボなのでは……いいや、とにかく組むんだ! 組み立てればわかるはず!!

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