アニメライターが選ぶ、2021年秋アニメ注目の5作品を紹介!【アニメコラム】
間もなくスタートする2021年秋アニメの中から話題作をピックアップ。Production I.Gのオリジナルタイトル「海賊王女」、人気シリーズの最新作「ルパン三世 PART6」、「アフタヌーン」の青春群像劇「ブルーピリオド」、「週刊少年サンデー」の学園コメディ「古見さんは、コミュ症です。」、「週刊少年チャンピオン」のハイテンションギャグ「吸血鬼すぐ死ぬ」の5作品を紹介します。
Production I.Gが手がけるオリジナルアニメーションは18世紀を舞台とした冒険譚。主人公は娼婦と男娼の島・シャングリラに流れ着き、そこで育てられた少女・フェナ。初めての仕事の日を前に島から逃げ出した彼女は、侍の青年・雪丸に窮地を救われて、父が遺した言葉「エデン」の謎を解くための旅に出る。
キャラクターPVではフェナをはじめとする登場人物たちが表情豊かに描かれた。長く美しい髪を持つフェナだが、映像ではショートカットになった姿もあり、どういった経緯で髪を切るのかも気になるところ。監督は「B:The Beginning」や実写映画「キル・ビル」のアニメパートを担当した中澤一登。日本刀やレイピア、ハンマーに長銃と登場人物たちが扱う武器も多彩で、バトルシーンも盛りだくさんの作品になりそうだ。
TVアニメ放送開始50周年のアニバーサリーイヤーに最新作が登場。シリーズごとに異なる顔を見せる「ルパン」だが今回はロンドンが舞台。イギリスの名探偵シャーロック・ホームズと邂逅するミステリー仕立ての物語となる。ルパンの相棒・次元大介をパイロットフィルムから演じ続けてきた小林清志は本作にて勇退。初回は次元を最後に演じる「EPISODE 0 ―時代―」を放送し、PVでは小林からバトンを受け継いだ大塚明夫による次元の声もいち早く確認できる。
そして見逃せないのが豪華なゲスト脚本陣だ。TVアニメの黎明期から半世紀以上にわたって脚本を手がけ、今年「辻真先のテレビアニメ道」を上梓したことも記憶に新しい辻真先や、かつてルパンの映画企画に関わったものの実現には至らなかった押井守が参加。辻真先は「だってぼくが書いた『ルパン』だよ、絶対に面白いよ!」と頼もしいコメントを、押井守は「この脚本を採用してくれた製作者の皆さまの英断に感謝します」と意味深なコメントを発表しており、期待はいやがうえにも高まる。
日々を器用に過ごしながら物足りなさを感じていた高校2年生・矢口八虎が1枚の絵と出会い、国内最難関の東京藝術大学合格を目指して美術の世界に挑む青春ストーリー。PVでは八虎が専攻する油絵風のタッチも盛り込まれており、タイトルにある青の表現にも目を奪われる。普通の受験とは大きく異なる美大受験のルールやノウハウをしれる機会にもなるだろう。
第2弾キービジュアルでは美術家・山口歴の作品を背景に使用。放送直前特番にはかつてお尻学の権威と呼ばれた美術評論家・山田五郎を迎えるなど、美術をテーマにした本作らしいプロモーションもユニークだ。ときにアート系スポ根マンガとも称される熱い原作を映像化していく。
人とコミュニケーションを取るのが苦手な女子高生・古見硝子が、ごく普通のクラスメイト・只野仁人の力を借りながら、「友だちを100人作る」という夢に向かって奮闘する学園コメディ。しかし高校の個性的な生徒たちを集めるという校訓ゆえに、同級生はひと筋縄ではいかない変わり者だらけで……。
第2弾PVは只野が古見さんに朝の挨拶をする場面からスタート。対面する2人の全身を横位置から収めたレイアウトが決まっていて、背筋をピンと伸ばした古見さんの姿勢のよさと、すらりとした体つきが印象に残る仕上がりだ。その半面、人前だと緊張して意味をなす言葉すら発せないと言う落差が際立っている。筆談をすることの多い古見さんだが、アニメではオノマトペも多数盛り込まれているようで、文字演出がどう扱われるのかにも注目したい。
吸血鬼退治人・ロナルドと高等吸血鬼・ドラルクがひょんなことからひとつ屋根の下で暮らすギャグマンガをアニメ化。ドラルクは不死身ではあるものの非常に華奢で、何か起きるごとに死んでしまう超虚弱体質。PV第2弾では100秒の映像で20回ほど灰になっており、タイトルに偽りがないことは証明済みだ。ドラルク役は早口なキャラクターを多数演じてきた福山潤が担当しており、ギャグのスピード感を一層加速させていく。
なお本作の舞台は神奈川県の新横浜。公式サイトのロケハンレポートでは、原作者・盆ノ木至や、すでに脚本を書き上げたシリーズ構成・菅原雪絵も参加したことが明かされており、作品にかける熱意が伝わってくる。新横浜の名所がどう描かれるのだろうか。
(文・高橋克則)
(C) Kazuto Nakazawa / Production I.G
原作:モンキー・パンチ (C) TMS・NTV
(C) 山口つばさ・講談社/ブルーピリオド製作委員会
(C) オダトモヒト・小学館/私立伊旦高校
(C) 盆ノ木至(秋田書店)/製作委員会すぐ死ぬ
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