【インタビュー】安野希世乃、最新シングル「おんなじキモチ。」をリリース。この曲には“しわあせの神髄”があるんです!
安野希世乃が4枚目のシングルとして、TVアニメ『異世界食堂2』のオープニングテーマ「おんなじキモチ。」をリリースする。食べること、そして大切な人と触れあうこと。日常のしあわせを描いた、彼女ならではのやさしい曲となった。そして、現在、声優デビュー10周年イヤーの真っただ中ということで、今まで演じてきたキャラクターへの思いを歌った「Act 10 ~Dear My Characters~」をカップリング。初回限定盤のBlu-rayには、10周年に突入して間もない今年4月4日に開催された「安野希世乃Acoustic Live 2021~恋するWater Colors~ at 人見記念講堂」の模様を収録。アニバーサリーイヤーらしい、豪華な1枚になった!
アーティストとして歌う曲は、100点を目指すだけでは足りないんです
──声優デビュー10周年イヤーに、すでに突入しているんですね。
安野 そうなんです。2021年3月5日から1年間を10周年イヤーとして、活動しています。「安野希世乃Acoustic Live 2021~恋するWater Colors~」の大阪公演が3月6日で、「10周年イヤーに突入した翌日です!」とご挨拶させていただいたんです。このライブが10周年イヤーの最初の企画ということになりますね。
──声優としての10年を振り返って、どのような思いですか?
安野 自分はドカンとブレイクするタイプではないなと、声優1年生のころから思っていました。それに、声優というのはあくまで裏方としてキャラクターや作品を支える仕事であり、マイク前に立つことで現場の方や視聴者の方に必要とされる存在になるというのが、私の理想の声優像だったんです。なので、自分が思っていたよりも表に出るタイプになったなという感じですね(笑)。
──最初に思い描いていたのとはちょっと違って(笑)。
安野 1年生だった自分に今どんな活動をしているか教えたら、「え、そんなにライブとかイベントに出るようになったの?」とびっくりされるような10年を、牛の歩みでよちよちやってきたなと思いますね。
──最初の転機はなんだと思っていますか?
安野 仕事をするうえで、自分の器以上の何かを初めて求められたのは『アイドルマスター シンデレラガールズ』の木村夏樹で、私の力だけではたどり着けない場所に連れて行ってくれた役でした。「木村夏樹なんだからロックに決めてくれるでしょ?」という私自身にはないイメージを求められて、ずっとそれに向き合ってきたんですけど、今でも自分にとってのエベレストだなと思っていて(笑)。私の役者としての器を外側にぐっと広げてくれた役になりました。
──安野さんはアーティストデビューする前に、キャラクターとして歌ってきた経験がたっぷりあるんですよね。
安野 役によっては上手さとは違うものを求められることもあって、たとえば『冴えない彼女の育てかた』の加藤恵がそうですね。一度、オタクではない友だちに加藤恵のキャラソンを生で聴いてもらったら「このキャラって歌ウマなキャラなんだ」と言われたことがあって、ハッとしましたね。声優として歌に向き合うときは、キャラクターによって大事にしなくてはならないことが変わるんだなって思いました。安野希世乃として一生懸命歌っても、その子の歌になってなければ正解ではないんだって。そうやって、キャラクターを通して、歌について考え続けてきた10年でした。
──2017年7月26日にリリースされたミニアルバム「涙。」が、アーティストデビュー作なので、キャリアの約半分くらいはキャラソンを歌いながら、ご自身の歌を歌ってきたということになりますよね。
安野 声優デビューして6年経ったくらいで、アーティストとしてもデビューさせていただきました。こちらは5年目に入ったところですね。
──アーティストとしての成長を、どのように感じていますか?
安野 成長を感じるところがあるとしたら、レコーディングのときの心持ちだと思います。最初のころは、自分の中の正解を出さなきゃとか歌を完成させなきゃという思いが強かったんですけど、ただ100点を目指すだけではつまらない歌になってしまうかもしれないと考えるようになっていきましたね。
──完璧を目指すだけでは、歌としては十分ではないと。
安野 そうですね。だから、自分が思い描いていたもの、用意してきたものとしては満足がいくテイクが録れたら、そこから先はボーナスステージとして違う歌い方を試してみるとか、新しい表現をしてみるとか、現場でいろいろな球を投げてみようと思えるようになりました。プロデューサーさんとの共同作業が長くなってきたこともあって、いい球を投げたら絶対に見つけてくれるだろうという信頼が生まれたのも大きかったです。
──ここらへんは、キャラソンのレコーディングとの大きな違いですね。
安野 表現としてよりよいもの、より個性が感じられるものを、レコーディングの現場で試行錯誤しながら探していくという傾向は、やっぱりアーティストのときのほうが強くて。安野希世乃の歌に自分が向き合うのはもちろん、プロデューサーさんやスタッフさんも向き合ってくださるんだなという感動がありました。毎回、安野希世乃から何か新しいものを引きだそうとしてくださるのは、本当にありがたいことですね。レコーディングは、「私、大事にされてる」って思える時間です(笑)。
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