【サンライズフェスティバル2021】30周年に明かされたブリード加賀の三日月傷のルーツ!? 「サイバーフォーミュラ」上映トークショーレポート

アニメ「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」シリーズの上映イベントが2021年10月17日、東京・新宿ピカデリーにて開催され、上映前のトークショーに福田己津央総監督、風見ハヤト役の金丸淳一さん、ブリード加賀役の関俊彦さんが登壇した。

本イベントは、2021年10月1日~31日に開催中の上映イベント「サンライズフェスティバル2021 REGENERATION」の一環として行なわれたもの。

「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」は、1991年に放送されたTVアニメからスタート。近未来の架空の自動車レーススポーツ“サイバーフォーミュラ”を舞台にした物語を描いた。その後は「11」「ZERO」「SAGA」「SIN」などOVAシリーズを重ね、風見ハヤトの戦いと少年から青年への成長を描いていった。最終シリーズの「SIN」ではハヤトのよき兄貴分だったブリード加賀が主人公となり、若き帝王・風見ハヤトに挑んでいる。

今回の上映会では「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」より、ROUND5「BURNING!!」、ROUND6「LIFTING TURN」、ROUND7「LOSE HIS WAY」、ROUND8「NEVER」の4エピソードが上映された。

福田己津央総監督

福田監督が雨の中の来場に感謝を伝えてトークショーはスタート。放送開始から30周年であることについて福田監督は「30年も愛される作品になるとは思ってなかったです。その瞬間その瞬間でいい作品を作ることしか考えていなかったので、なんだか不思議な気分です。振り返ってみると、この作品をセル画のアナログで作っていたのは空恐ろしく感じますね」と語り、変わらないファンの応援に感謝を伝えた。金丸さんは当時セル画で制作されていたことを再認識して改めて驚いた様子だ。関さんは「当時は日本でもF1のブームになりつつある時期でした。オリジナルアニメが何作も作られるシリーズになったこと、本当にすごいと思っています。私自身もブリード加賀という役を演じたおかげで声優として認知されたので、本当に思い出深く、参加できて嬉しかった作品です」と振り返った。

金丸淳一さん

福田監督との印象深いやりとりを問われた金丸さんは「(「新世紀GPXサイバーフォーミュラZERO」の制作前に)監督に電話で“ZEROって言葉にどんな観念がある?”って聞かれたんです。1秒前も1秒後のことも考えない今この瞬間がZEROって感じなんじゃないかって答えました」。関さんが「当時監督にブリード加賀の三日月傷ができた理由を聞いたんです。鉄パイプにガンってあたったんだよって言われて、それはないでしょうって言ってたんですけど(笑)。実はドラマCDの『ジャカーのエンブレム』で明かされていたんですよね」と語った。ここで福田監督が「三日月傷の設定は、実は『じゃりン子チエ』の小鉄から来ているんですよ」と明かすと、仰天した関さんは「今日からじゃりン子加賀を名乗らなきゃ!」と返して会場を沸かせた。

関俊彦さん

当時のアフレコ現場でのエピソードでは、福田監督は「サイバーフォーミュラ」の現場では怒ることがあまりなかったと語る。関さんが「ほかの現場では怒るんですか?」と聞くと、監督は「『SEED』の時とか……」と苦笑い。「機動戦士ガンダムSEED」にも出演していた関さんも「“ほ”がつく人がいろいろ言われてましたね」と笑っていた。トークではアフレコ現場での速水奨さんの大人のギャグや、島田敏さんのアドリブフレーズなどについても盛り上がった。金丸さんは大人になっていくハヤトを演じる時に、感情表現が高まると子供になってしまう苦労を語った。福田監督は「最初はチャレンジャーだったハヤトが天才になっていった。レース界の王者になったら風格が必要」とコメントしていた。関さんはシリーズを通して、最初は子供だったハヤトとアスカの関係が大人になっていく変遷が好きだと語っていた。

「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」の最新情報のコーナーでは、来春発売予定のCD-BOX「新世紀GPXサイバーフォーミュラSOUND TOURS -ROUND 5 VOCAL & ORIGINAL DRAMA COLLECTION」が紹介された。復刻収録されるCDドラマについて金丸さんは、「アナザーストーリーのような感じだったり、先の展開が垣間見えたりと、楽しんで収録していたのを覚えています」。関さんは「『SAGAII』のドラマに、僕の大好きな久川綾ちゃんが登場して加賀との交流があったりしたのを覚えてます」と語った。福田監督は「ラジオの『久川綾のSHINY NIGHT』内で放送されるからこそのVAPとのコラボでしたね」と振り返った。

新商品公開の中では、メガハウスから発売される「ヴァリアブルアクション“ヴィジョンアスラーダ”」を紹介。ヴィジョンアスラーダは河森正治さんが新たにデザインしている。サンプルを見た金丸さんは「ブルーの色合いがいい!」。関さんから「監督、これでもう一作、新作作ってください!」とリクエストが飛ぶと、会場からは熱い拍手が起こった。

また、延期されていた展示会「新世紀GPXサイバーフォーミュラ World Tour 東京GP」が、2021年12月24日~2022年1月10日の会期で開催されることが発表された。会場は有楽町マルイ。

ラストのメッセージでは、金丸さんが「30年たっても、きっとまたこのフィルムを見ると新しい発見があるかもしれません。ぜひぜひ楽しんでいってください」と挨拶。関さんは「30年たった今でも色褪せない感動を皆さんの心に刻める作品だと思います。これからもサイバーフォーミュラを語り継いでいただきたいと思います、ありがとうございました」と語った。

最後は福田監督が「『SAGA』は本当によくできているというか、今はもう作れない作品だと思います。CGやデジタルではこうはならない。アナログでがんばった人がたくさんいるので、一見の価値はあると思います」と締めくくった。

(取材・文・撮影/中里キリ)

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