これぞ変形ギミックの宝石箱! 「機動戦士Zガンダム」の1/300サイコガンダムを組み立てて、無限のアイデアの本流に溺れよう!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第16回

「ガンプラを取り上げるとアクセス数がアップするので、たまにはガンプラもお願いしますね」という編集担当者の言葉を折に触れて思い出すうち、いよいよ主役のガンダムを素組みする決意がつきました。ま、ガンダムと言ってもサイコガンダムだけどね。サイコガンダムは「機動戦士Zガンダム」(1985年)の主人公ロボとして提出された案のひとつなので、主役と言えなくもないよね? ヒロインのフォウ・ムラサメの乗機だし……。

▲ 組み立て説明図には、劇中設定や場面カットがカラーでふんだんに使われている。これなら、「Zガンダム」の放映されていなかった地方の人たちにも、どんなモビルスーツなのか理解できただろうね。変形後は「飛行(浮遊)状態」と表記されてます

何しろ、超合金の生みの親である村上克司さんのデザインしたガンダムですからね。そりゃあ、「大鉄人17」のような箱みたいな飛行形態にも変形するでしょうよ。だけど、前作「機動戦士ガンダム」(1979年)の世界観や、「超時空要塞マクロス」(1982年)のバルキリーのスピーディーな変形を見た後に、箱になるガンダムが主役で大丈夫なのか? という不安も製作サイドにあったのでしょう。没になったのもわかるけど、それを悲劇のヒロインの乗る敵役として採用したセンスは見事だよね。

▲ こうしてパーツを見ると、額のV字アンテナといい足首の形状といい、最初のガンダムそのものじゃない? と思ってしまうのだが、別に最初から悪役としてデザインされたわけではないから、前作のフィーリングをていねいに継承しているんだよね

このキットの面白いところは、「1/300」という異色のスケール設定。ちょっとサイズが大きめのモビルスーツやモビルアーマー(アッシマーとかメッサーラ)は1/220として低価格で発売されていたのに、このサイコガンダムとサイコガンダムMk-IIだけは1/300スケール。そして、当時の価格は600円。1/144のディジェが700円で、ディジェよりは少し小さい箱。何とも、微妙なスケールなんです。そこが面白いんだけど。

▲ なんてことない造形のように見えるけど、パーツは2色成型で、ポリキャップとデカール付き。そのうえ、変形可能な設計にすると、やっぱり1/144の大きめのモビルスーツぐらいの値段になってしまうんだろうね

一度も組んだことないから知らないんだけど、こんなオーソドックスな玩具的なロボットの形から、本当に飛行形態に変形するの? あのピラミッドみたいな変な形になるの? それを当時600円のキットで可能なのか? パーツが足りないのではないだろうか……? この不安こそが、すなわち「期待」ですよ。こうなったら、もうツベコベ言わずに組むしかない! 組み上げて変形させれば、何がどうなっているのか明らかになる!

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