【インタビュー】制作期間3年超! 作曲家・石塚玲依が語る「地球外少年少女」サウンドトラックができるまで

「電脳コイル」以来15年ぶりとなる磯光雄監督作品「地球外少年少女」。全6話を前編・後編に分けて劇場上映されるとともに、劇場公開限定版Blu-ray&DVDが2月11日発売、Netflixでの全世界同時配信がスタートする。
それに合わせて、オリジナルサウンドトラックCDも発売。石塚玲依の作曲によるBGM36曲に、春猿火が歌う主題歌「Oarana」を収録した1枚だ。
「地球外少年少女」のサントラが特異な存在であるのは、その制作期間の長さ。磯監督やアニメスタッフとの毎週の会議を数か月も繰り返し、各シーンに使う音楽について、細かく打ち合わせしていったという。その結果、「僕ひとりでは成し得なかっただろうという世界にあふれたサントラになった」と語る石塚。今回のインタビューでは、制作行程について、くわしくうかがった!

2018年4月に磯監督に会ったところから、今回の仕事が始まりました


──まずは、「地球外少年少女」の音楽を引き受けられた経緯から、教えていただけますか?

石塚 「電脳コイル」の磯光雄監督が新作を手がけるにあたって作曲家を探しているという話を、岩瀬智彦プロデューサー(エイベックス・ピクチャーズ)からうかがったのが最初です。岩瀬さんは「電脳コイル」のときはアシスタントプロデューサーを務められていて、その後、担当されていた「プリパラ」で僕はお世話になり、両者とも接点があったんですね。それであるとき、磯監督が新作のために、こういう楽曲を書ける人を探していると、あるアニメのサントラを渡されたんです。僕が得意とするオーケストラ要素の強いサントラだったので、ぜひ自分に挑戦させてほしいと申し出ました。

──岩瀬プロデューサーが、磯監督と石塚さんをつなげたキーパーソンだったんですね。石塚さんが磯監督と最初にやり取りされたのは、いつのことだったんですか?

石塚 2018年4月です。でも、その直後から監督は脚本作業に集中することになり、半年くらい、岩瀬さんを介して音源をメールで送ったり文面で意見交換をしておりました。直接お会いできたのは2018年12月頃でした。

──サントラの制作が、まだ脚本段階のころから始まるというのは異例だと思います。「地球外少年少女」は原作がないオリジナル作品ですし、いったいどんな資料を元に作曲されていたのでしょうか?

石塚 欲しい曲のイメージが磯監督の中にはしっかりとあって、最初に参考曲付きの楽曲リストをいただいたんです。同時にストーリーと登場人物の概要や、いくつかの設定画もいただいて、それらを元にデモを作っていきました。

──デモは具体的なシーンに付けるための曲ではなく、日常曲はこんな感じ、サスペンス曲はこんな感じという、大まかなイメージで作っていったということですか?

石塚 いえ、このシーンにはこういう曲を付けたいというはっきりしたイメージが、脚本制作中から監督にはあったんです。なので、最初から具体的なシーンをイメージして、作曲していきました。


──ということは、石塚さんのデモが逆に、各シーンをどう作り上げるかという監督の構想に働きかけるようなこともあったのではないでしょうか? 作画スタッフが描くイメージボードが各シーンの構想を明確にしていくような役割を、音楽も果たしていたというか。

石塚 それは監督に聞いてみないとわかりませんが、イメージの構築に少しは貢献できたのではないかと自負しています。

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