映画化決定で2022年も注目のアニメ「オッドタクシー」! 現代人の心に刺さる本作の魅力や制作の裏側についてプロデューサーを直撃!!

2021年4月から6月に放送され、衝撃の展開で最終回を迎え爆発的に話題が広がり続けているアニメ「オッドタクシー」。放送終了後に行われた「Blu-ray BOXプロジェクト」は予想以上の受注数となる6038セットを記録。そして、2022年4月1日には「映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」が公開される。

そんな人気の裏側に迫るべく、本作に携わるポニーキャニオンのアニメクリエイティブ本部・伊藤裕史さんと中沢莉奈さんへのインタビューが敢行された。ここでしか聞けない裏話や映画版の製作状況など、ファンならずとも必見のオフィシャルレポートが到着したので紹介する。

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最終回の大反響に驚き!
プロデューサーが注目していたのは田中が活躍したあの回!!


──まず、「オッドタクシー」にて、伊藤さんはプロデューサー、中沢さんはアソシエイトプロデューサーとして、どのような業務を担当されているのでしょうか?
伊藤  僕は、作品全体をビジネス面でどう運用していくかを考えたりして、中沢が現場業務を実行してくれていました。
中沢  そうですね。キャストが声を入れるアフレコ、映像に効果音などを付けるダビング、最終的な映像をチェックしたりするビデオ編集の現場に立ち会いました。


──本作は放送中から現在に至るまで、様々な推察などで盛り上がりをみせていますが、その状況についておふたりの率直な感想は?
中沢  脚本を読んだときから、ミステリー作品としてクオリティが高いと思っていました。考察で盛り上がるだろうと予想はしていたので、そのとおりになって嬉しかったです。意外だったのは、第4話「田中革命」をきっかけに徐々に盛り上がると思っていたのですが、圧倒的に最終回(第13話「どちらまで?」)終了後の反響が大きかったのでビックリしました。あと、著名人の方々が発信してくださったりと、音楽やお笑いなどのファンの方にも口コミで広がって、作品の力を感じましたね。
伊藤  僕も第4話から来ると予想していたんですけどね。プロデューサーとしては、今の時代の理想的な当たり方をしたなと。SNSや口コミはもちろん、Amazon Prime Videoでいつでも観られる状況だったからこそヒットしたと思っています。

──と言いますと?
伊藤  昔は最終回で盛り上がっても、DVDやレンタルなどでしか追いかけられない時代だったと思いますが、今は放送終了後でも気になった方は、Amazon Prime Videoなどで全話観て追いつけるので、その環境が口コミに繋がったと思います。

全特典を製作するのは想定外!?
ドリームを掴んだ「Blu-ray BOXプロジェクト」!

──そして、アニメ市場で稀に見る成功例となった「Blu-ray BOXプロジェクト」。こちらを立ち上げたきっかけというのは?
伊藤  2021年5月後半くらいに「オッドタクシー」の機運が高まっているのを感じて。予定はなかったけど、Blu-ray BOXを出したほうがいいかな、であればクラウドファンディングみたいなことがいいかなと思い、みんなで話し合い立ち上げました。300セットの受注まで何ヵ月もかかると思っていたのに、最終回の盛り上がりを受けて受注開始日には到達し、無事にリリースできることになりました。

──作品のファン層はどのような感じなんですか?
伊藤  Blu-ray BOXの受注で見ると、男女比はほぼ半々で20代から30代が7割。その中でも20代前半が多くて、パッケージビジネスとしてものすごく珍しい作品だと思います。おそらく、各SNSで発信していたことで、作品の本質に惹き込まれた人がいろいろなところにいたんだなと。年齢や性別などのターゲットを絞った宣伝はしませんでしたが、そのおかげで全方位にコツコツと展開して良かったなと改めて思います。この作品が好きそうな人がいそうなところへ宣伝を投下した効果が出たと思います。

──ポニーキャニオンでこういったプロジェクトが成功したのは初ですか?
伊藤  僕の知る限りですが、Blu-ray BOXの受注生産方式では珍しいです。当社には、セールスソリューション本部が手掛けるアニメ通販サイト「きゃにめ」があるので、アニメファンへダイレクトに情報発信ができるのも強みで。Blu-ray BOXの前から特設サイトを立ち上げ、TシャツやNEW ERAとのコラボキャップなどのグッズを販売していたので、「オッドタクシー」のコアファンへの導線、下地も出来ていたのだと思います。そこで、Blu-ray BOXの受注もするというストーリー性のある展開も良かった点ですね。
中沢  そうですね。「きゃにめ」チームには、特設サイトの設置から、「きゃにめ」内でのバナー展開などだいぶ力を入れてもらいました。

──部署間での“共創”がプロジェクトの成功に繋がったんですね。ちなみに、木下麦監督は「当初は3000セットを手の届きそうにない高い目標」と語っていましたが、相当ハードルが高かったのですか?
伊藤  僕と中沢、原作のP.I.C.S.さんと達成特典のアイディア出しをしていたのですが、当初2000から3000セットの間は細かく設定していなくて(笑)。
中沢  あとから、2500セット特典を追加しました。Blu-rayでも3000枚売れればヒットという状況なので、BOXでは難しいかなと想定していたんです。

──となると、6038セットというのはすごい数字なんですね。
伊藤  本当にとんでもないです(笑)。
中沢  3000セット特典の小戸川フィギュアは、木下監督がずっと作りたいとおっしゃっていたので、ドリームとして設定していました。

──最終的には、4400セット特典まで設定されましたが、内容を決めるのも大変ですよね。チープすぎても、コストが上がりすぎても駄目でしょうし。
伊藤  意外とノリで決めていきました(笑)。でも、購入した方が手にしたときに喜んでもらえるものにしよう!という意識はしていました。

──この結果に対しては、どんな気持ちですか?
中沢  受注期間が9月30日までで、27日に3000セットだったのが、最終日には倍に膨れ上がったことにビックリしました。Twitterでの盛り上がりもすごくて、3000セットや6000セット達成時のツイートには2400から3000いいねがついたりと嬉しかったです。
伊藤  そうだね、締め切り1週間前くらいから高揚感がありました。最終日はP.I.C.S.の方含め、グループでやり取りしていたんですけど、23時59分ギリギリに「6000セット達成しました!」と連絡があり、「おぉー!」と盛り上がって、なんかかけがえのない経験が出来ましたね。

──想像しただけで手に汗を握りますね。ちなみに特典は製作中かと思いますが、現状の出来栄えが良いとか、出来上がりが楽しみなアイテムというと?
中沢  「描き下ろしスタッフアートブック」は木下監督はじめ、豪華スタッフ陣によるイラストなんですけど、ネタバレありきで描いていただいているので、作中では見られない特別な絵柄になっています。

──うわっ、それは気になりますね!
中沢  「キャラクターソングEP」には5曲が新規収録されるんですけど、バリエーション豊かでキャラクターに合った楽曲に仕上がっていて。あと、「オーディオコメンタリー」は全話に入れようと思っています。花江夏樹さんや斉藤壮馬さん、ミキさんなど豪華キャスト&スタッフ陣が出演されるので聞き応え抜群かと。
伊藤  受注が終わってからの動き出しだったので、キャスト陣のスケジュール進行などがとても大変でした……。
中沢  全特典を製作することになるとは思っていなかったですから(笑)。

──そんなBlu-ray BOX、ファンの間では再販が熱望されています。そういう予定はあるのでしょうか。
伊藤  立体物がある商品なので、残念ながら再販の予定はないです。ただ、キャンセルなどで在庫ができた場合には、少しでもファンの方に手に取ってほしいので、何かしらの機会を作りたいと思っています。

──では、日頃から「オッドタクシー」のSNSをチェックしないとですね。また、伊藤さんは、4400セット受注達成を記念したWEBラジオ「ODDTAXI RADIO~今いい感じなんです~」にパーソナリティとして出演中です。
伊藤  ゆるりとやらせていただいています。台本は天津・向さんに作っていただいて、フリートークについては日々SNSをエゴサして、ネタ帳にまとめていたりします(笑)。

──第2回では、作中にちなんでカポエィラの先生を呼んで、ラジオなのに実技を披露してもらったりと、企画力が素晴らしいと思いました。
伊藤  僕とP.I.C.S.の平賀大介さんというサラリーマンのプロデューサーがやるからこそ、他ではなかなか出来ないおもしろい企画をやっています。あと、先ほどのBlu-ray BOXについて、こちらでもお知らせしたいと思っています。

映画化に不安なし!
絶対的に信頼の置ける脚本・此元和津也の魅力とは?


──そして、先日発表されましたが、2022年4月1日に「映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」の公開が決定しました!
伊藤  映画でやってみたかったんですけど、どうするか悩んでいて。そんなときに、アスミック・エースさんからお話をいただいて、映画版で観たいという需要があるんだと確信が持てました。

──現在(2021年12月時点)の進行状況は?
伊藤  まだまだです。シナリオもこれからなので。
中沢  でも、新規カットは入りますね。
伊藤  いや~、おもしろくなると思うんだけどな(笑)。絶対的に脚本・此元和津也さんの書くストーリーがおもしろいので、僕らはなんの不安もないですね。

──ちょっと踏み込みますが、単純な続編というニュアンスではないんですよね?
伊藤  そうですね、“映画化”という感じです。ただ、P.I.C.S.さんから内容のプレゼンを受けたときに、“すごい!”と思ったので楽しんでいただけるはずです。
中沢  アニメを観た方も観ていない方も楽しめる内容だと思います。

──楽しみにしています!では、最後におふたりが想う「オッドタクシー」の魅力を教えてください。
中沢  ミステリー作品としての完成度が高く、此元さんの脚本が魅力的なところです。最終回に向けて、様々な事件が伏線として散りばめられているのが衝撃的でおもしろい。プラス、現代人に刺さるブラックだけど共感できるリアルなセリフや設定が、よりおもしろさを引き立てていると思います。

──では、共感したセリフとかありましたか?
中沢  私は、第9話の「ヒーローの憂鬱」で、ドブが樺沢に対して言った「自分に対する極端な否定と嫌悪。そういうとこが自己愛強いって言ってるんだ。普通の人はそこまで自分に興味ない」というセリフにすごく納得しました。現代人の生きづらさにも通ずるところがありますけど、見た目が動物の姿なのでマイルドに受けとれるのも魅力だと思います。

──そのあたりは脚本の力でもありますよね。
中沢  此元さんは会話劇がとても魅力的ですし、セリフの力がすごいですね。

──では、伊藤さんお願いします。
伊藤  僕は内容じゃないところで言うと、「オッドタクシー」が生まれてからヒットするまでに、たくさんストーリーがあるところが魅力でした。

──どんなことがあったんですか?
伊藤  元々違うテレビ局から話があり、そこからテレビ東京さんになったんです。普段そういうことはあまりないんですけど。あと、オリジナル作品ってなかなか成立しづらくて、本作も何年もかかったんです。でも実現したのは、シナリオの良さに魅了された人が各社にいたからで。ゆえに、「Blu-ray BOXプロジェクト」などいろいろなチャレンジも出来ました。作品を取り巻く人たちや環境も楽しめたのが、プロデューサー視点での魅力だと思います。

──そういった裏側、すごく気になります。
伊藤  気になった方は、WEBラジオで細々と喋っているので、ぜひ聞いてください(笑)。スタッフ陣も含めて、主題歌「ODDTAXI」(スカートとPUNPEE)の曲調のようなテンション感なんです。みなさん、等身大というか素でやられている感じがありますね。木下監督と此元さんが絶対にいいものをあげてくれるから、この作品を届けるためにいろいろなことをやっていこう!というフォーメーションができていると思います。
中沢  初見は、オシャレな方が多いなって思いました。
伊藤  あー、確かに。メインスタッフの木下監督、此元さんも初アニメ作品だし、P.I.C.S.さんも初アニメ制作だったからかもね。作品でもアニメではやらないようなことをカッコよく仕上げてきて、そこが受け入れられた感もあります。アニメだからこうやらなきゃではなく、各セクションのクリエイターさんたちが「俺が頼まれたらこうなんだよね」っていう自然体で作品を表現してもらったところの積み重ねがあったと思います。

──そういうところが、視聴者にも斬新に映ったんでしょうね。
伊藤  アニメ業界のみでなく、本当にいろいろなプレイヤーが参加してくれた企画だからこそだと思います。あと、アニメも音楽もやっている当社だからこそ出来た作品のような気もします。「オッドタクシー」みたいな作品を作りたい方は、ぜひポニーキャニオンに入社してほしいなと思います(笑)。

【作品情報】
■「映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ
2022年4月1日(金)公開

■特報映像

■アニメ「オッドタクシー」 Amazon Prime Videoにて全13話見放題独占配信中
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<ストーリー>
お客さん、どちらまで?見慣れた街のはずなのに、この街は少しなにかが違う気がする。平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。


<キャスト>
小戸川/花江夏樹
白川/飯田里穂
剛力/木村良平
柿花/山口勝平
二階堂ルイ/三森すずこ
市村しほ/小泉萌香
三矢ユキ/村上まなつ
大門兄/昴生(ミキ)
大門弟/亜生(ミキ)
柴垣(ホモサピエンス)/ユースケ(ダイアン)
馬場(ホモサピエンス)/津田篤宏(ダイアン)
ほか


<スタッフ>
企画・原作:P.I.C.S.
脚本:此元和津也
監督:木下 麦
副監督:新田典生
キャラクターデザイン:木下麦・中山裕美
美術監督:加藤賢司
色彩設計:大関たつ枝
撮影監督:天田 雅
編集:後田良樹
音響監督:吉田光平
音響制作:ポニーキャニオンエンタープライズ
音楽:PUNPEE VaVa OMSB
音楽制作協力:SUMMIT, Inc.
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:P.I.C.S. × OLM
配給:アスミック・エース
製作:映画小戸川交通パートナーズ

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(C) P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ

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