【発売目前インタビュー!】石ノ森章太郎原作の巨大ロボットヒーロー「大鉄人17」が超合金魂ブランドで復活! 超合金史上もっとも売れたロボットの魅力とは?

1977年に放送された「大鉄人17(ワンセブン)」は、人類に反乱を起こした巨大電子頭脳「ブレイン」と人間の戦いを描く物語だ。主役ロボットのワンセブンは、今風に言えば自律型のロボットであり、主人公の南三郎少年と心を通わせながらブレインに立ち向かう。

このワンセブンが「超合金魂 GX-101」として2022年3月に発売される。放送当時に発売された「DELUXE 超合金 GA-81大鉄人17」は、劇中の活躍を忠実に再現した変形ギミックに加え、腹部に必殺技「グラビトン」を射出する玩具オリジナルのギミックを備えて、超合金史上最高の166万個を売り上げた。

昭和から令和へ。現代によみがえったワンセブンの魅力を、BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の木村禎成さんにうかがってきた。

――まずは商品の開発経緯からお尋ねします。いつ頃から計画がスタートしたのですか?

木村 実は商品化検討用のスケッチが2008年くらいには存在していました。企画自体は歴代の(超合金魂)担当者が温め続けていたんですよ。僕が動き出したのは3年くらい前で、超合金魂の100体目(GX-100)が視界に入ってきた頃です。超合金魂は超合金を進化させて作っているわけですが、もととなる超合金を改めて俯瞰してみると、一番数を売っていて社史にも載っている「大鉄人17」を商品化していなかった……。超合金魂が100体に行くのであれば、その前後でやるべきアイテムなのではないかと思い始めました。

――木村さんご自身の「大鉄人17」への思い入れをお聞かせください。

木村 子供の頃に放送を見ていたのですが、僕は超合金を買ってもらえませんでした。でも隣の家のM君は持っていて、彼の家に行って遊ばせてもらっていたんですよ(笑)。当時の超合金は「飛行ワンセブン」「要塞ワンセブン」への変形を実現しながら、プロポーションが破綻していないのが素晴らしい。変形時は劇中同様に腕をお腹に収納するのですが、その空洞にグラビトン発射ユニットを入れるなど、ギミックも充実していて完成度が非常に高いんです。乗り物のミニチュアまで付いていますからね。

――今回の「超合金魂」版は当時の超合金を踏襲しつつ、それを超えるものを目指したわけですね。

木村 そうです。またワンセブンは他社さんからも発売されていますので、旧商品や他社商品を超えるにはどうするか? そして超合金魂として何ができるのか? というのが歴代担当者の課題であり、私も同様に悩みました。

――では具体的な商品説明をお願いします。

木村 まずは可動ですが、当時の超合金と同じポーズで飾ると、プロポーション的にはあまり変わらないように見えますが、変形機構と相まって可動域がかなり広くなっています。肩が上下にスライドし、それによって腕も横に広がるようになっています。また脚の付け根の軸が変形用に動くのですが、さらに回転機構を入れることで大胆なポーズが取れるようになりました。

新旧の「17」を比較。左が「超合金」版、右が「超合金魂」版

――手首の可動も自由度が高いですね。

木村 これは“瓢箪から駒”なのですが、ワンセブンの手首って大きいんです。これをお腹にきちんと収めるために可動軸を増やしたところ、アクションでも可動域が広がりました。

左が「超合金」版、右が「超合金魂」版

――戦闘ワンセブン(人型)の際には、お腹の空洞に音声と光ギミックを内蔵したグラビトンユニットが入るわけですね。

木村 大きな拳を収納するため、今回の超合金魂はお腹が大きく空く形になりました。スペース的には超合金の倍くらいあります。ここに入るグラビトンユニットは左右にボタンがあり、向かって左のAボタンを押すと目が発光して「必殺技グラビトンサウンド(前期)」が鳴り、Bボタンを押すと機械音が鳴ります。機械音が鳴っている最中に再度Bボタンを押すと、3種類ランダムで「ワンセブンの返事サウンド」が鳴ります。これらに合わせて目も発光するようになっています。目の発光に関しては、劇中では「否定」と「肯定」、「どちらでもない」というリアクションの光があり、それを参考にしました。

左が「超合金」版、右が「超合金魂」版

――ワンセブンは後半になるとしゃべるようになって、音声も変わってきますね?

木村 はい。そちらが音声ギミック「ワンエイト決戦モード」として収録していて、両方のボタンを同時押しすると切り替わります。弟ワンエイトとの会話シーンの台詞や、前期よりもわかりやすく「グラビトーン!」と叫ぶサウンドが鳴ります。ほかにもシークレットのサウンドを入れています。

――格子状に色分けされた目の再現度も高いですね。

木村 光を透過させるギミックは意外と難しく、かなりのパターンを試しています。我々がフィギュアで使っているデジタルプリントやデカールもアイデアとしてありましたが、曲率が高いので最終的にはタンポ印刷を選択しました。目の裏側の色味を検討したり、光漏れで気になる部分を何度も修正を重ねています。発光も開発初期は暗い場所でないとわからないレベルでしたが、最終的には明るい場所でも光って見えるようになりました。目のマス目には未塗装の部分もあって、その隙間から光が漏れることで発光を認識しやすくしています。工場や商品開発に関わっているメンバーからいろいろなアイデアを出してもらい、何とかここまでたどりつきました。

――足首にも、ある工夫が凝らされてるそうですね。

木村 要塞ワンセブン状態でつま先が開いている有名なスチールがあるのですが、足を普通に畳むと足首が奥にあるためハッチが開かないんですよ。そこで、ワンクリック前に出すようにしました。

――その足首内に収納できるサブマシーン(走行タイプ)とシグコンタンク、そして要塞ワンセブンのカタパルトに置けるシグコンジェットとサブマシーン(飛行タイプ)のミニチュアも付属しますね。

木村 このように、ロボット、基地、乗り物になるワンセブンは、実に遊びがワイドなキャラクターなんだと実感しました。超合金魂の遊びとしては、当時の変形や基地遊びに加えてアクションポーズを取らせることができるようになり、目の光と音声ギミックで擬似的なコミュニケーション遊びが楽しめるようになっています。

――当時手に入れられなかった、木村さんのような人にも手にとってほしい内容ですね。

木村 当時の超合金は166万個売れたそうですが、僕のように友達から借りて遊んだ人も含めれば、触れた人間って300万人くらいはいたと思います。でも、「大鉄人17」という作品ってなかなか顧みる機会がなかったんですよ。映像配信のタイミングやDVDなどで観る方法はありますので、ぜひご覧いただけますと楽しめると思います。

内容はAIが人間に反抗するというハードSFで、味方側のレッドマフラー隊がミリタリー寄りなのも特徴です。また兄弟ロボット同士のバトルや、涙なしには見られない最終回など感動要素も多いです。

今回「大鉄人17」という作品やプロダクツを、You Tubeや雑誌などを通じて広く公開できたのは嬉しいですね。この作品を覚えている同年代の方には当時を思い出し、かつての超合金を持っていた人はもちろん、僕のように買えなかった人にも手にとっていただきたいです。

――「超合金魂ワンエイト」についても話をお聞かせください。

木村 変形のない分、フルアクション仕様で、可動域を広げるために関節部の配置を工夫しました。もちろん胸のグラビトン発射口も開きます。また劇中のワンエイトはウェザリング表現されているのですが、東映さんと相談して商品はロールアウト直後のような状態にしました。このようなワンエイトは今まで商品化されていませんし、美しい状態でワンセブンと並べられますからね。僕個人もきれいなワンエイトは気に入っています(笑)。なお、このワンエイトはワンセブンのオプションパーツという扱いで販売されることになっていまして、ナンバーも「GX102」ではなく「GX101X」にしました。

――最後にお尋ねします。近年は「GX-95 闘士ゴーディアン」、「GX-97 超惑星戦闘巨人ダイレオン」、「GX-100 ガイキング&大空魔竜」、そして今回の「GX-101 大鉄人17」と、過去の超合金アイテムの魂化が続きましたが、この流れは今後も続くのでしょうか?

木村 たしかにまだ超合金魂化を果たしていない超合金アイテムも多いのですが、当時品の魅力を生かしつつ、今の時代にアップデートするのは難しいですね。

あまり固執してしまうとユーザー不在になる可能性もありますし。逆に超合金ブランドでは商品化がなかった、「勇者王ガオガイガー」の超合金魂がヒットした実績もあるので、かつての超合金キャラクターに縛られず、なるべく幅広い世代に向けた商品企画を意識しています。先日の「TAMASHII NATION ONLINE 2021」で発表した企画中のアイテム群も、比較的若い世代のお客様に向けたものですし、企画自体も若いスタッフが担当しています。ダイキャスト素材&ロボットという組み合わせはプリミティブなので、今後も世代に捕らわれないキャラクターを超合金魂で生み出したいと思っています。

――ありがとうございました。


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(取材/高柳豊(TARKUS) 文/吉川大郎)

【商品情報】

■超合金魂 GX-101 大鉄人17

・販売価格:19,800円(税10%込)

・発売日 :2022年3月26日発売予定

<登場作品>  

大鉄人17

<主な商品内容>  

・本体

・交換用手首左右

・サブマシン2種

・シグコンジェット

・シグコンタンク

・グラビトンユニット

・LR41×3(テスト用電池付)

<主な商品素材>

ABS・PVC・ダイキャスト

<商品サイズ>

全高:約180mm

<対象年齢>

15歳~

<備考>

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(C)石森プロ・東映

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