【AnimeJapan 2022開催直前!】公式アンバサダーの西川貴教が語る「AnimeJapan 2022」の魅力と日本のアニメ文化【インタビュー】
2022年3月26日(土)、27日(日)の2日間、東京ビッグサイトにて「AnimeJapan 2022」が開催される。
新型コロナウイルス感染症の状況をかんがみて、2020年は中止、2021年は完全オンライン開催となった「AnimeJapan」だが、今年は2年ぶりにリアル開催が実現。豪華メンバーが出演するAJステージ、各社ブース、さまざまな企画など盛りだくさんの内容となっており、AJステージはオンライン配信も同時に実施される。
その「AnimeJapan 2022」にて、2年連続で公式アンバサダーを務めるのが西川貴教さんだ。西川さんは、アーティストとしてアニメの主題歌を数多く担当してきただけにとどまらず、声優としての出演や作品のプロデュースを手がけるなど、アニメへの造詣が深いことでも知られている。
もちろん自身もアニメ好きだという西川さんに、今回の見どころや日本のアニメの素晴らしさ、今後に向けた提言などいろいろお話をうかがった。
「AnimeJapan 2022」がそれぞれの国のことを理解し合う架け橋になれたら
――まずは、2年連続でアンバサダーに抜擢された感想をお聞かせください。
西川 昨年は、残念ながら世の中の状況をかんがみてオンラインでの開催になりました。こういった催し物は、新しい作品などを知っていただくことも大切な目的ではあるのですが、それ以上に普段から応援してくださる皆さんに“特別な時間”を提供することも醍醐味だと思うんです。
もちろん、オンラインでできることもありましたし、逆にオンラインでしかできないこともありました。でも、空気感や高揚感といったものは、できれば会場で共有してもらいたかったので、2年目の今回もお声がけいただけて本当に嬉しかったです。僕自身、いちアニメファンとしてそういう空気が感じられることを楽しみにしています。
――昨年は完全なオンライン開催で、今年はリアルとオンラインの併用となります。オンライン開催を経験したことによって得た部分はどこだと感じていますか?
西川 これまでは関東近郊以外の方には大変ご足労いただいていました。でも、オンラインであればご自宅で、好きなタイミングで、好きな環境で楽しんでいただくことができますし、収容人数以上の方が同時に繋がって新情報などを共有できるのも大きなメリットです。今年はオンラインも同時開催ですから、両方のいいところを味わっていただけると思います。
――西川さんご自身もフェスを主催されていますから、「AnimeJapan」の運営のがんばりや大変さは身近に感じられるのでは。
西川 そうですね。何をすれば正解なのかわからなくなりますし、運営さんのご心労たるや幾ばくかと思います。僕自身もいろいろな催し物に挑戦していますが、常に感染と隣り合わせである状況は変わりません。開催する側、壇上に立つ人間の覚悟が試されているところもありますからね。しかも、これまでのコロナにプラスして現在の国際情勢もあり、皆さんの不安はピークに達していると思うんです。その中で、文化などを通じてお互いがわかり合う、理解しあうきっかけを持つことがいかに大切か感じています。
(言語的に)日本語はマイノリティではありますが、アニメやコミック、ゲームといったものを通じて、「日本語に触れてみよう」「日本の文化を知ってみよう」と思ってくださる外国の方はとても多いんです。我々の考え方や大切にしていることを理解していただき、逆に我々もそれぞれの国や生活習慣を情報共有することで、お互いがお互いをより深く認め合うことができる。「AnimeJapan 2022」は海外にもオンラインで配信されますので、その架け橋になれると思っています。
――不安な気持ちを持っている方も元気になれるイベントですからね。
西川 僕もアニメを通じて海外での公演をやらせていただく機会が本当に増えました。行く先々で感じるのは、作品を通じて日本という国を理解し、好きになって繋がることで、これまでなかったようなコミュニケーションが生まれる、ということなんです。こんな時期に不謹慎なんじゃないかとおっしゃる方もいることは重々承知です。でも、こういうタイミングだからこそ、少しでも皆さんが心を開くきっかけを、本当にわずかでもいいので作っていけたらなと思います。
西川さんが感じた日本の声優やアニメの素晴らしさとは?
――「AnimeJapan 2022」のテーマは「キュー!」です。エンタメ業界ではよく聞く言葉だと思いますが、「キュー」に対して西川さんはどのような印象がありますか?
西川 音楽だと、身近なところで「キューボックス」があります。自分の歌いやすい環境や演奏しやすい状況に、自分でレベル調整できるものですね。それに、ありがたいことに僕も声優のお仕事をさせていただくことが増えていまして、声優として参加する時は……キューランプが怖いです(笑)。日本の収録は独特で、絵と台本とキューランプを同時に3か所見なくてはいけないですし、ほかのキャストがいる場合はさらに注意が分散されます。いつも緊張の中で収録しているので、キューと聞くと背筋が伸びますね。
――声優ということでは、日本のアニメの魅力のひとつに声優があると思います。西川さんから見た、日本の声優の素晴らしさや尊敬するところをお聞かせください。
西川 今や声優さんはマルチなジャンルで活躍されていて、歌って踊る方もいれば、舞台の演出など非常に多岐に渡っています。あれもやりたいしこれもやりたいから声優をやる、という方も増えてきていると思うんです。そういった中でも、結構職人気質な方々と接することも多いですね。素晴らしいなと思うのは、このキャラクターもこのキャラクターも同じ方がやられていたんだと驚くぐらい、声色やニュアンスをキャラクターに合わせていて、ひとつひとつのセリフ回しは作品の中できちんと存在感があるんです。
表情や身振り手振りのあるお芝居もありますが、声優さんの、声で全てを表現していく研ぎ澄まされた感覚はいつも感嘆しますし、圧倒されています。皆さんを見習って、僕ももっともっと(声のお仕事も)精進していきたいなと考えています。
――では、そのほか日本のアニメの素晴らしさはどこだと感じていますか?
西川 海外だとアニメ作品はおおむね3DCGに移行しているというか、そういった作品が増えていますし、日本のアニメの何十倍、何百倍という予算で実写映画になることもあります。でも、日本のアニメならではのスピード感や発想力、醸し出す雰囲気がまるごと補完されるわけではない気がしています。日本のアニメはコマとコマに行間があるというか、間の取り方が日本人独特の感覚のような気がして。それってやっぱり、日本人のモノ作りの素晴らしさがあるのかなと。
――よくわかります。
西川 海外では、日本でヒットして海外でもヒットする作品もありますが、逆に国内で放送されていた当初よりも海外で火がついて思わぬ人気になる作品もあるんです。ですので、今後は国内のみならず海外に向けて、日本の作品がもっともっと羽ばたくような環境作り、グローバルに楽しんでいただける環境作りをしていけたら。そういうきっかけが、「AnimeJapan」を通じて増えていけばいいなと思います。
――西川さんのSNSには海外の方からのリプも多いですからね。
西川 そうですね。それこそお隣の韓国のドラマや映画といった映像作品は、世界中で楽しまれています。あれはグローバルに向けて計算された展開だと思うんです。日本ならアニメで勝負できるでしょうし、絶対に需要がありますよね。そのためにも、作り手の皆さんがきちんと評価されるようになってほしいですし、素晴らしい作品を作り続けていってほしい。モノ作りをする人たちを支える環境も含めて、皆さんと一緒に大切に育てていけたらと思っています。
声優さんはなり手が増えているじゃないですか。それと同様に、アニメーターや演出家といった方たちもきちんと育む環境を整備していく体制も確立していってほしいですね。今まではどうしても実写映画とアニメが比較されることもありました。でも、アニメはある種、文化の輸出品としてしっかりした実績があるわけですから、本当に大切にしていってもらいたいし、我々も支えていく。そういうきっかけとなることが、「AnimeJapan」の意義だと思います。
フェスの魅力が「AnimeJapan 2022」には詰まっています
――「AnimeJapan 2022」の見どころもお聞きします。西川さんが楽しみにされているのはどういったところでしょうか?
西川 今回も人気作品のステージが目白押しですし、(会場に)1日いると話題になっている作品にひと通り触れることができます。推しの作品はもちろんですが、推し以外の作品に触れていただくきっかけにもしていただきたいです。
フェスってそういう魅力だと思うんですよ。自分の好きなアーティストや応援しているグループを目的に行くのと同時に、今まで聴いたことがなかった、触れたことがなかったアーティストの音楽に触れることで「こんなのもあるんだ! いいな!」と新たに応援するきっかけにもなります。「AnimeJapan」にはそれが全部詰まっていますから、アニメ好きの方であれば、たとえば同じキャストでもこっちの作品ではこんな声色でこんな表情なんだ! といったことも楽しんでいただける。多角的に今の日本のアニメの情報が一堂に会しているイベントだと思います。
――西川さんのスペシャルステージはどんな感じになりそうでしょうか?
西川 実は、昨年は(主題歌を担当している)「白猫プロジェクト」の初ステージを「AnimeJapan」にするとか、新しい作品の主題歌を「AnimeJapan」合わせで披露する予定が結構あったんです。でも、リアル開催ができずに全部流れていました。今は人前に立ってパフォーマンスすること自体が非常に貴重ですから、もしよかったら今回のステージで僕自身の今の活動にも触れていただけたらなと思っています。
――西川さんは主題歌、声優、プロデュースとさまざまな形でアニメに関わってきました。今後、こういったこともやってみたい、アニメとこんな関わり方をしたい、といったことがあればお聞かせください。
西川 アニメを通じて海外でパフォーマンスする機会は増えましたが、まだまだうかがってない国が本当に多いんです。感染症が落ち着いたら、そういった方たちへ直接届けに行く機会をもっと作っていきたいですね。アニメ作品と主題歌がひとつのパッケージになった、オンリーワンみたいなイベントを世界中のすみずみにも回して行くとか。今は海外のアニメコンベンションもなかなか難しい状況でしょうし、国内から情報をより早く、自分たち主導でどんどん届けていけたらなと。「AnimeJapan」が日本国内で根付いたように、海外でも根付くものをもっともっと作っていけたらと思います。
――アニメ業界へのひとつの提言ですね。
西川 そうですね。先ほども少し触れましたが、日本よりも海外での評価が高い作品は結構あるんです。なぜその作品が人気になったのか、どういったところを魅力に感じてくれているのかをデータとして取り、今後はその地域の皆さんに特化した作品作りをやってもいいんじゃないかと思っています。それってエビデンスだと思いますし、最初からそういう設計でモノ作りをすれば、もっともっと日本のよさが生かされた形で、各国や地域に合わせた作品ができるんじゃないかと思います。
今って、制作側が「え? そんなにウケてるの?」って後で思うことが多いので、そういうデータを活用すべきだし、それによってよりよい作品づくりに繋がっていくと思いますね。
――西川さんはもともとアニメが好きだったとのことですが、公式アンバサダーとして携わったことで、アニメの見方が変わったとか注目するポイントが増えたとかありますか?
西川 やっぱりアニメの制作に関わるいろいろな方々が、もっと報われてほしいと考えるようになりました。アニメーターや裏で作品を支えてくださる皆さんをいかに育て、次の可能性を伸ばしていくのか。国としてなにかできないかと思うんですよね。アニメ特区じゃないですけど、アニメは日本の文化の輸出品として欠くことのできないものとして、しっかりフォローしていけたらいいなと思います。
――では最後に、今のアニメファンだけでなく、これからも含めた多くの方に向けてメッセージをお願いします。
西川 アニメしかり、ゲームしかり、世代の幅って広がっていると思うんです。そう考えると、今のアクティブユーザーの方にさまざまな新しい情報を提供して楽しんでいただくのはもちろんですけど、会場は若い子ばっかりだし行くのは躊躇するな、恥ずかしいな、と思っている世代の方もオンライン配信で見てもらえればと思います。
読書や映画、スポーツと同じように、アニメは普段の生活の中で楽しんでいただけるものになっていますので、ぜひみんなが楽しんでいる状況を覗いてみませんか?という気持ちです。「AnimeJapan 2022」がそのきっかけになってくれたら嬉しいです。
(取材・文・撮影/千葉研一)
【イベント情報】
■AnimeJapan 2022
・会場:東京ビッグサイト 東展示棟1~8ホール (AJステージのみオンライン配信も実施予定)
・会期:2022年3月26日(土) 、27日(日) 9:00~17:00
・チケット料金:
事前販売入場券:2,300円(税込) 3月25日(金)まで販売
当日券2,600円(税込) 3月26日(土)~27日(日)販売
ファストチケット3,900円(税込) 3月9日(水)~14日(月)販売
※「入場券」と「ファストチケット(優先入場権)」をご購入頂きましたお客様は、メインエリアへ9:00から優先的にご入場頂けます。(※整理番号順)
・展開内容:出展ブース/AJステージ(オンライン配信も実施予定)/主催企画/オフィシャルグッズ など
・主催:一般社団法人アニメジャパン
・後援:一般社団法人 日本動画協会/コミック出版社の会
・公式サイト:https://www.anime-japan.jp
・公式Twitter:@animejapan_aj(ハッシュタグ:#animejapan)
・事務局:AnimeJapan運営事務局(株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ)
※新型コロナウイルス感染拡大防止対策を十分に講じて実施。
※2022年のファミリーアニメフェスタの開催予定はリアル開催/オンライン開催共になし。
※イベントの内容は、状況により変更または中止する場合あり。
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