【対談】エバン・コール×酒井麻由佳。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」ピアノアルバムはこうして生まれた!

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の世界を彩った楽曲が、ピアノアレンジによって生まれ変わる。
作曲のエバン・コール全面監修のもと、作曲家でピアニストでもある酒井麻由佳が編曲、佐藤浩一が演奏を担当した「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」ピアノアルバム「Though Seasons Change ~Violet Evergarden Piano Memories~」が、2022年3月30日に発売される。
TVシリーズ、外伝、劇場版の楽曲44曲を2枚のCDに収録。美しいメロディがたくさん詰め込められており、リスナーの日常を彩る作品に。とにかく心地よく、朝から夜までずっと聴いていたいアルバムだ。また、劇伴を聞き慣れたファンにとっては、原曲と比べて聴くのも一興。新しい発見がきっとあるはずだ。
コミュニケーションを重ねて、アレンジを進めていったエバン・コールさんと酒井麻由佳さんの2人に、アルバムが生まれるまでの過程を語ってもらった!

私の音楽を気に入ってもらえて、ピアノアルバムまで作れたのは、とてもうれしいです(エバン)


──「Though Seasons Change ~Violet Evergarden Piano Memories~」は、エバンさんと酒井さん、そしてピアノ奏者の佐藤浩一さんの3人によって生まれたアルバムです。そもそも、エバンさんと酒井さんは、いつ、どのようにして出会ったのでしょうか?

エバン 最初にお仕事をしたのは2年くらい前だったと思います。「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の劇伴のレコーディングにあたって、僕の音楽データからオーケストラ用の譜面を起こしていただいたんです。

酒井 そうですね。最初は譜面のお手伝いでした。劇場版の劇伴はドイツでレコーディングすることになっていて、エバンさんが多忙で。

エバン 何より、1か月で全曲の作曲をしなければいけなかったので、自分で譜面を作る余裕がなかったんです。酒井さんは譜面を起こしてくださっただけでなく、私のちょっとしたミスに気づくとすぐに連絡をくださって。こんな細かいところまで気づいてくださるんだと思って、感謝にたえませんでした。それで昨年の秋に、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のピアノアルバムを作る話が立ち上がったとき、最初に酒井さんが思い浮かびました。

──エバンさんは、今回の「Though Seasons Change」の企画を打診されたとき、どう思いましたか?

エバン 私の音楽を気に入ってもらえて、ピアノアルバムまで作らせていただけるなんてとうれしくなりました。若いころから、日本のゲームの曲のギターアレンジの譜面弾いたり、ピアノアレンジのアルバムをよく聴いていて、原曲とは違ったよさがあると思っていたんですけど、まさか自分にそんなチャンスが回ってくるとは思っていませんでした。

──そして酒井さんに、編曲の依頼がいったということですね。

酒井 編曲をやらせていただけるというのは、音の部分に関われるということなので、私もうれしくて、制作が楽しみになりました。とは言え、原曲はオーケストラのよさが詰まっていて、それを40曲以上もピアノ1台で弾くためにアレンジするのかと思うと、これは大変だなと(笑)。

──「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の劇伴は、いろいろな楽器が使われていましたし、正統でありながらも特徴的な音楽だったと思います。

エバン この楽器がメロディ、この楽器が伴奏というよりも、楽器が入れ替わってメロディを奏でていくような曲になっているから、それをピアノソロで表現するのは自分的には難しいんですけど、酒井さんの編曲は、素晴らしい構成でした。

酒井 アニメを見ているときは作品の世界に入りこんでストーリーを楽しんでいたんですけど、アニメを離れたときにもエバンさんの音楽はずっと心に残っていて、一緒に歌えるような気持ちになったんです。オーケストラのダイナミックな広がりがありながら、繊細な表現もたくさん含まれていて、人の感情をいろいろな形で描いている音楽だなと思いました。私はあまり映画やアニメを見て泣くことはないんですけど、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は音楽の力も相まって、自分の心を解き放ってくれる瞬間がいくつもありました。

エバン うれしいです(笑)。「Though Seasons Change」は、演奏を劇場版の劇伴でもピアノを弾いてくださった佐藤さんにお願いすることにして、3人で力を合わせて作っていきました。コミュニケーションが円滑で、すごくいい環境で制作できました。

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