【2022春アニメ】「アオアシ」で見えてくる、声優とサッカー選手の意外な共通点!? 青井葦人役・大鈴功起×一条花役・河瀬茉希スペシャル対談!
2022年春アニメ「アオアシ」が、2022年4月9日(土)、NHK Eテレにて放送をスタートする。
「アオアシ」は、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)連載の小林有吾さんによる漫画作品。愛媛に暮らす中学生・青井葦人(アシト)が、Jリーグ有数のクラブ「東京シティ エスペリオンFC」のユースチームを率いる福田達也に出会い、その才能を開花させていくというというストーリー。スポーツライターの飯塚健司さんが監修を務め、リアルな戦術やサッカーの世界が描かれている。
今回、放送に先駆けてアシト役の大鈴功起さんと、彼の「世界で最初のファン」である一条花役の河瀬茉希さんに、「アオアシ」の魅力を語っていただいた。
私を自慢に思ってくれてる母が、今となっては嬉しいんです(河瀬)
──お2人は、サッカーは好きですか?
大鈴 やったことはないんですけど、テレビなどで観るのは好きです。ただ特に好きなチームというのはなくて、強いてあげるのであればFC東京の試合をよく見るくらいです。長友佑都選手が好きなので。
海外サッカーはあまり観なかったんですけど、八代拓さん(冨樫慶司役)が海外サッカー好きなので、収録終わりにどのチームが強いのかとか、どこどこのサッカーが福田達也監督(CV: 小林親弘/「東京シティ・エスペリオンFC」ユースチーム監督)のサッカーに似ているとか教えてくださるんです。マンチェスター・シティが強いというのはわかりました(笑)。
──戦術に関しては、海外のほうが進んでいる印象があって、「アオアシ」を読んだサッカーキッズが戦術の大切さを知ってくれたらいいのかなとは思っています。では、原作を読んだ感想を教えてください。
大鈴 原作を読んだ時に、熱いシーンや感動するシーン、心が震えるシーンがたくさんあったので素敵な作品だと思ったんです。そういう熱いところと人間ドラマのバランスがすごくいいし、シビアな現実もしっかり描いてあるんですよね。たとえばサッカーユースに入っても、みんながプロになれるわけではなくて、途中でやめてしまう選手がいたりするんです。
あとは爽快感! 壁にぶつかってもがく時間がすごく長くて、もがいて苦しんで苦しんで、そこをブワーッと乗り越えたときにバーンとくる感じがすごくいいんです!
──突然擬音が増えましたね(笑)。
河瀬 そういうところもアシトっぽいんですよ(笑)。でも、本当にその通りで、そんなに考える作品でもなくて、感じるだけで涙も出るし熱くなれるんです!
大鈴 そうなんです。考えなくても大丈夫なんです! 考えるがテーマだけど。
河瀬 戦術とか、私はサッカーに詳しくないので難しいのかなと思いきや、言っていることは専門用語だけど、原作の絵のタッチやコマの割り方、キャラクターの見分けやすさなども相まって、私でも福田監督がやりたいこととかがわかるし、アシトと一緒に理解できるんですよね。
周りの選手がパスをくれないのも、技術だけではなく、プレーヤーとしての考え方とかに理由があったり、それがチームメイトとの絆で変わってきたりする。それがわかりやすく描かれているので面白かったです。どこの戦術がいいとかはわからないけど、この選手がカッコいいのはわかる!みたいなのは伝わるんです。
──サッカーマニアだけでなく、サッカーにそんなに詳しくない人でも、十分楽しめるのはいいことですよね。
河瀬 アシトってお母さんやお兄ちゃんの思いも抱えていたりするから、観たくなっちゃうと思います!
大鈴 そうそう。家族思いだし、仲間思いだし、アシトはホントにいい子なんです。
──アシトが、そういうみんなの思いを抱えて上京したりもしますが、お2人の出身地を見たら関東圏で……。
河瀬 バチバチ関東なんですよ(笑)。私、千葉だけど……(大鈴さんは)東京?
大鈴 僕、東京なので上京はしたことないんです(笑)。
河瀬 でも私たちの仕事も、オーディションに受からなければ仕事がないというものなので、そんな中でも応援してくれる両親って、本当に紀子さん(CV.園崎未恵/アシトの母)みたいにやさしいけど強いんだなって思います。
私の母も、最初は声優をやることをすごく心配していたんですけど、今では「職場の人にこの作品に出てるって言っていいの?」と言ってくれるので、そのくらい自慢に思ってくれているんだなと、今となっては嬉しく思います。
──そのお話が出たところで、声優はオーディションが常に行われている世界ですし、ユースの世界もセレクションなので、生き残りをかけた戦いがあります。共感するところも多いのかなと思ったのですが。
大鈴 オーディションもまさにそうですけど、受かったあとも共感する部分が多いです。今の収録現場がまさになんですけど、周りの先輩がみんなうまくて、これはポジティブな意味でなんですけど、僕が一番下手なんですよ。ユースに入ってアシトが化け物だらけの中でがんばっているから僕もがんばろうって毎週思うし、その状況がすごく楽しいんです。
──周りがすごくて折れちゃうことって、サッカーの試合でもあるんですけど、そこで折れないメンタルって大事ですよね。
大鈴 僕はどちらかというとメンタルは強いほうで、心が折れそうになることはあんまりないんですけど、今後そういう事はあるかもしれない……。あっ! でも養成所に通っていた時、1年目に三次審査までいったのに、2年目に一次審査で落ちたときは、3年目に進むかを迷いましたね。でもそこで折れずにいたことで、3年目で事務所所属になれました。
河瀬 でも所属してすぐに「アオアシ」が決まったんだからすごいよ。私は逆に養成所に入って1年目で所属が決まったけど、アニメのレギュラーが決まるまでは3~4年かかっているから。所属が決まって声優になれたと思っても、そこでまず人の多さにビビるんですよね。
養成所って、挙手をしないと発表ができないところなんです。だから、自分は学校では手をあげられないタイプだったのに、養成所に入った瞬間、一番最初に自己紹介をしたり、クラスで一番になるんだ!ってバチバチだったんです。
でもクラスメイトと芝居をするうちに、「この人にはこんなよさがあるんだ」「じゃあ私はこういう役をやってみよう」と周りが見えるようになって、養成所や芝居が楽しい!と思うようになったんです。
それで、そこから声優になれたと思ったら全然オーディションに受からない。ある日先輩のテープオーディションの収録を聞いたら、自分と全然違っていて、こんなに表情を変えられるのか!と思ったんです。「養成所ではがんばっていたほうだけど、何でだ?」って挫折もしましたし、そういう意味ではスポ根だったような気もしますね(笑)。
──今のお話、ほとんど「アオアシ」の世界にも通じますね……。
河瀬 だからこそ、出演が決まったりすると親に報告をしたくもなるし、がんばらなきゃ!って思うんです。
大鈴 僕も養成所3年目に「年48回の授業すべてオーディションと思いなさい」と先生に言われた言葉が心に残っているんですけど、アシトたちもユースの練習で常に見られていて、実力がないものは落とされるし、試合で使われなくなっていくから、同じなんだなと思いました。
絵の素晴らしさと、役者のすごい熱量を見てください!(大鈴)
──お2人の演じているキャラクターの魅力を語っていただきたいと思います。
大鈴 アシトはとにかく情熱的で、真っすぐで、努力ができるキャラクターです。そして作品のテーマにもなっていることですけど、技術やフィジカルに加えて考える力も成長していけるところが魅力ですね。
あと先ほども言いましたが、家族思いで仲間思い。ご飯をおいしそうに食べるところもいいですね。そういうシーンはアニメで結構あって、僕が食べるシーンを演じ終わったあとに、大友栄作役の橘 龍丸さんのお腹が鳴ったときは爆笑しました(笑)。
河瀬 かわいい(笑)。キャラっぽいね。一条 花は、それこそ考えるプレーをする選手が好きなんです。アシトは考えようとしているけど、独りよがりなプレーをしてしまったりする。でも花は、アシトが考えてプレーできる人だって見抜いているんですよね。
あと、明るくてニコニコしていて、ご飯も作れるし献立も立てられる、小さくてかわいい金髪っていうイメージがあるけど、一本芯がある子なんです。
アシトが考えることを放棄しそうになる瞬間に、花が言った言葉を思い出したり、走って行っちゃいそうなところを止めたり、体のことを考えてくれたりもするんです。そばにいてくれたら信頼できて、全部言われた通りに動いちゃうだろうなというくらい力強く支えてくれる子で、友達に欲しいですね(笑)。
──キャラクター表を見ると、男性ばかりなので紅一点ですよね。
河瀬 ヒロインです!(笑)
大鈴 でも本当に魅力的なキャラです。花のおかげで彩りますから。
──演じているときに意識していることはありますか?
河瀬 ベースでは太陽のような明るさを保ちつつ、アシトのことを悪く言われてムッとしちゃったりするところがあるんですけど、そこもやりすぎないようにというか。明るい部分も保ちつつ、花ならどうムッとするのか考えてやっています。
でも彼女の言葉は本当に真っすぐに、いいタイミングでくるので、そこは彼女と一緒に、その時に出た感情のままお芝居ができたらなと思っています。
──お2人はアフレコも一緒にできているそうですが、お互いのお芝居や人柄で感じたことはどんなことですか?
大鈴 河瀬さんの第一印象はクールな人だったんですけど、実際はノリがよくて、よく笑う方だったので、「そういう方だったんだ!」と思いました。お芝居でいうと、河瀬さんのお声から花が想像できなかったんですけど、第一声を聞いた瞬間に、自分の想像していた花だ!と思って、すごく嬉しかったです(笑)。
河瀬 (笑)。私は、「背デカっ!って思いました。しかも顔は小さいしスタイルが良いなと。この大きな体があるからか、声量がすごくあるんですよ。普段はやわらかい感じだけど、ガッと声が出る。カッコいいけど、変にカッコつけてない感じだし、叫んだときにビリっとくるくらいの声量があるからアシトなんですよね。
──では最後に、楽しみにしている読者の皆さんにメッセージをお願いします。
河瀬 映像が素晴らしくて、特に愛媛の景色の美しさがすごいです。東京に舞台が移っても、ユースの施設の圧というか(笑)。本当にこんなところでサッカーができるんだ!って驚くので、背景美術にも魅了されると思います。
大鈴 映像ももちろん素晴らしいんですし、役者の皆さんもすごい熱量でお芝居をしています。自分が収録をしていないシーンも、演技を聞いているだけで絵が想像できるんですよね。皆さん時には絵からはみ出すくらいのお芝居もされているので、放送が僕も楽しみです!
(取材・文・撮影/塚越淳一)
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