セガが生んだ名作ホラーシューティングがSwitchでよみがえる! 「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド:リメイク」をレビュー!

2022年4月7日より、Nintendo Switchでは「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド:リメイク」のダウンロード版が配信された。本作は、セガのアーケードゲームとして1997年に稼働したホラーガンシューティング「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」のリメイク版だ。今回は、そんな本作のレビューをお届けしよう。

原作を忠実に再現したオリジナルモード



物語は、ソフィーと言う女性からかけられた1本の電話から始まる。AMSエージェントのローガンとGは、キュリアン博士による非人道的な人体実験を止めるため、彼の研究所へ向かう。2人は敷地内にはびこるゾンビたちを退けながら、ソフィーや研究員の救出、そしてキュリアン博士の捕縛を試みる。



本作は家庭用機向けのジャンルで言えば、1人称視点のシューティングであり、ファースト・パーソン・シューティングに近い。ステージでは、最初から最後まで決まったルートに沿って進みながら、プレイヤーは道中で現れる敵をハンドガンで倒していく。



銃の照準はJoy-Conに備わったジャイロセンサーで行う。コントローラーの傾き加減がそのまま画面上のカーソルに伝わるので、ゲームセンターのガンシューティングを遊んでいるかのような直感的な操作が可能だ。なお、ジャイロセンサーだけでなくスティック操作にも対応している。本作はカーソルで敵を狙って撃ち、弾が切れたらリロードを行うというシンプルな操作性なため、謎解きを求められたり、特定のギミックを利用して敵を弱体化させたりといった要素はない。遊び方はすぐに覚えられるだろう。


射撃とリロードボタンは別なので、両方を同時に押せば弾を撃ちながら装填するという荒技も可能だ。いくら連射しても弾が尽きないので、ハンドガンでありながらマシンガンのように使うことができる。画面外を撃たなければリロードできなかったアーケード版と比べると隙がないので、弾が切れて敵に攻撃されるという状況にはほとんどならない。


Joy-Conを構えていると、徐々に照準がずれていくことも。Yボタンを押すと位置をリセットできるので、その都度位置を直すクセを付けておきたい


ライフがゼロになるとゲームオーバーだが、10回までなら無制限でコンティニューできる点もありがたい。ただし、11回目以降は、1回につきスコアを5000ポイントを支払って復活することになる。スコアの加算方式には「クラシック」と「モダン」があって、クラシックはアーケード版に近く、モダンはクラシックと比べてスコアがたまりやすい。クリアするのが不安な人は、まずモダンモードで遊ぶのがオススメだ。



本作は「リメイク」を冠しているように、1997年に発売されたアーケード版に基づいていて、その再現度の高さも見逃せない。「オリジナル」モードでは、敵や隠されたスコア獲得用のアイテムの配置を始め、「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」シリーズではおなじみのルート分岐、スコアの成績によって変化するエンディングも、アーケード版そのままといっていい。キャラクターたちのセリフまでも当時と変わらない。当時は小学生だった私も、何回かオリジナルを遊んだことがあるが、その完成度には驚いた。



基本的には原作準拠の本作だが、音楽はオリジナルになっている。とくに原作版ラスボスの戦闘BGMは評価が高いだけに、本作での変わりようは少し残念だった。



もうひとつ気になるのが、部位欠損の描写がなくなったこと。こちらは日本版の年齢対象が17才以上(CERO:D)になったことによる仕様変更だ。オリジナルの「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」では部位欠損が攻略の大きなテクニックとなっていた。欠けた個所の攻撃判定がなくなるので、武器を持ったゾンビの攻撃を無力化することもできたし、同じ部位を狙わないための目印にもなった。


研究員を撃っても誤射にはならない点も、日本版独自の仕様。緊張感は減った半面、難易度が下がり遊びやすくなったとも言える


部位欠損がなくなった代わりに、日本版では破損した部位が黄色く塗られるようになっている。これで欠けた場所を判別するのだが、本作はゾンビの動きが速いのでなかなか難しい。陰影の強さや角度によっては見にくい場合もある。同じ場所は1回以上撃たない、という点を心がけておくだけでも、攻略の難易度はだいぶ変わるだろう。



大量の敵を撃ちまくる「HORDEモード」などの新要素も加わり、リプレイ性も高い



原作へのリスペクトが散見される本作だが、リメイクにあたって新要素もいくつか実装している。特に大きいのは「HORDEモード」で、原作準拠のオリジナルモードと比較して最大15倍の敵が襲ってくるというハードモードだ。恐怖感よりも爽快感が全面に出ていて、もはや別のゲームと言っていい。シリーズ経験者向けに言うなら、「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド 4」に近い感覚だ。



敵の数があまりに多いので、ハンドガンでは到底対応しきれない。HORDEモードでは、連射が利く「アサルトライフル」や、一度に広範囲の敵を巻き込める「グレネードランチャー」といった、リメイク版の追加武器がほぼ必須となる。数の暴力とも言えるHORDEモードを、強力な武器で攻略していく爽快感は格別で、追加の銃が強いために攻略法も特に必要ない。


道中にいる研究員を全員助けると「武器庫」が解放される。以降の本編で出現する武器ケースを撃つと、それぞれに対応した銃が入手可能だ


オリジナルとHORDEモードの2種に加えて、本編の難易度はEASY、NORMAL、HARD、ARCADEの4つに分けられている。クリアにかかる時間が30~40分程度と手軽なので、新しい武器や各種設定を組み合わせれば、それぞれで違うプレイ感覚が楽しめる。



欠損描写の削除やBGMの差し換えこそあるが、本作は当時のプレイ感やシステム面をオリジナル版に寄せており、原作に対する開発側の強い熱意がうかがえる。2,599円(税込)で遊べることも踏まえれば、十分なクオリティだろう。本作の開発を担当したForever Entertainmentは、「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」の続編である「2」のリメイクも担当することがわかっている。シリーズ中でも特に人気の高い同作が、現代にどうよみがえるのだろうか。

【作品情報】

■ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド:リメイク

対応機種:Switch

ジャンル:FPS

発売日:2022年4月7日

価格:2,599円(税込)※ダウンロード版のみ

CERO:D

開発:Forever Entertainment

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