【本日発売】犯人だけではなく“被害者”も推理せよ! 新感覚の頭脳戦がアツい対戦ミステリーシミュレータ「CRIMESIGHT(クライムサイト)」先行レビュー
アキバ総研をご覧のみなさま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。突然ですがみなさま、ミステリーはお好きでしょうか? 謎を解く快感、そして時にどんでん返しで予想を鮮やかに裏切られたときの快感など、登場人物と一緒に「考える楽しさ」が詰まっているのがミステリーの魅力です。今回はそんなミステリーの魅力を対戦で楽しめるゲーム「CRIMESIGHT」をご紹介していきます。
まずは「CRIMESIGHT」の世界観を紹介! 2075年のロンドンを舞台に“Sherlock”と“Moriarty”の戦いが始まる!
「CRIMESIGHT」は、KONAMIから発売された対戦ミステリーシミュレータゲームです。「対戦」で「ミステリー」で「シミュレータ」と、なんだか一見、不思議な組み合わせのジャンルの本作。実際にプレイしてみると、確かに「対戦」の要素があり「ミステリー」の要素もあり、そして「シミュレータ」のプレイ感も含まれているという、他に類を見ないジャンルの作品となっていることが実感できます。
そんな本作ですが、ルールやシステムを説明する前に、まずはゲームの世界観からご紹介していきましょう。
本作の舞台となるのは、今から50年以上先の未来である、2075年のロンドン。AI技術の発達により、未来の犯罪を予測し未然に防ぐことに成功したこの世界では、凶悪犯罪の発生率が、従来より90%の減少を見せていました。しかし、その予測をもってしてもなおその発生を防げない事件を原因として、世界が破滅に向かっていく未来が予測されてしまいます。システム開発者たちはこの事態を憂慮し、破滅の起因となる凶悪犯罪の捜査・解決に特化したAI“Sherlock”を生み出します。
そんな犯罪捜査AI“Sherlock”は、あまたの事件を追う中で、ひとつの事実を導き出します。それは、事件の中心に蜘蛛のように居座る、自分に匹敵する性能を持つ犯罪計画AI“Moriarty”の存在だったのです……というのが、本作の世界観とストーリー。かの有名な名探偵「シャーロック・ホームズ」とその宿敵である大犯罪者「ジェームズ・モリアーティ」の名を冠したAIや、シャーロック・ホームズの主な活躍の舞台であるロンドンの未来をベースに据えた設定など、ミステリーとSFが融合した独自の世界観が、プレイヤーの心をグッと惹きつけます。
ゲーム中、随所で登場するキャラクターたちのデザインや、サイバーな雰囲気の漂うグラフィックも本作の持つ大きな魅力。シャーロック・ホームズのレトロな世界観と近未来な時代設定が融合したユニークなビジュアルが、プレイヤーの目を楽しませてくれます。
「CRIMESIGHT」のゲームシステムを紹介!
“Moriarty”はほかのプレイヤーに紛れて殺人事件発生をもくろむ!
それでは本作のゲームシステムについてご紹介していきましょう。
まず大前提として、本作ではプレイヤーは“Sherlock”サイドと“Moriarty”サイドの2つの勢力に分けられます。なお、本作は2人~4人までのプレイに対応しており、4人プレイ時のみ登場する“Irene”(アイリーン)というもうひとつの役割があるのですが、これについてはのちほど、ご紹介していきます。
“Sherlock”側のプレイヤーの目的は、「ゲーム内の制限時間が経過するまで、殺人事件の発生を回避すること」、または、「殺人事件の実行犯を特定すること」です。
そして“Moriarty”側の目的は、ずばり「殺人事件を発生させること」。しかし、これにはさまざまな条件が必要となり、それらをすべて満たした場合にのみ成立させることができる仕組みになっています。
本作とは似て非なるものではあるのですが、「人狼ゲーム」でたとえると、“Sherlock”は村人側で、“Moriarty”は人狼側のような役割であると考えると比較的わかりやすいかもしれません。
それではまず、“Moriarty”側からご紹介していきましょう。
先述のとおり、本作は2人~4人でのプレイに対応していますが、“Moriarty”側のプレイヤーは、全体の人数に関わらず、必ず1名のみが選ばれます。そんな“Moriarty”の目標は「殺人事件を発生させること」なのですが、本作で殺人を実行するのは、実はプレイヤー自身ではありません。それどころか、殺害の対象となるのもプレイヤー自身ではないのです。プレイヤー同士が戦うバトルゲームでありながら、殺害の対象はプレイヤー自身ではない……。いったいどういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
ゲームの舞台は、吹雪の中にたたずむ、とある洋館です。洋館の内部は複数の部屋がつながって構成されており、さらにマス目状の“エリア”で区切られています。
この洋館には、“Pawn”(ポーン)と呼ばれる6名のキャラクターが配置されます。プレイヤーは毎ターン、このPawnたちを「制御」、つまり指示を出して操作していくこととなります。たとえば「AのPawnをこのエリアまで移動させて、さらに探索をさせる」といった形で、ボードゲームでコマを動かすイメージをしてもらうとわかりやすいかと思います。プレイヤー自身がキャラクターとなって移動やアクションを行うのではなく、あくまでもプレイヤーは第3者視点からPawnを操作するというこの独特のプレイ感覚が、本作が対戦ミステリー“シミュレータ”と名付けられている理由なのでしょう。
そして、6人いるPawnの中には、殺人鬼である「キラー」とその標的である「ターゲット」が紛れているのです。「殺人事件を発生させること」というMoriartyの目標をもっと厳密に言うならば、ずばり「キラー」のPawnで「ターゲット」Pawnを殺害することとなります。どちらの役割でもないノーマルのPawnでターゲットに接近しても殺害は実行できませんし、キラーでノーマルのPawnを殺害することもできません。
ちなみに、MoriartyはどのPawnがキラーやターゲットであるかを把握した状態でゲームが始まるのに対し、Sherlockはそれらの情報がいっさい伏せられた状態でゲームが始まります。つまり、Sherlock側のプレイヤーは、怪しげなPawnの動きや、ゲーム中に手に入る数々の情報から、誰がキラーで誰がターゲットであるかを推理する必要があります。
しかし、ただキラーを動かしてターゲットに近づけば殺害できるわけではありません。殺害にはまだまだ条件があります。
本作では、プレイヤーがPawnを移動させて、屋敷の中に点在する光る点を探索させることで「食料」や「凶器」、「薬」などさまざまなアイテムを獲得できるのですが、この中で殺害に必要となるのは……そう、言わずもがな、凶器です。
というわけで、ずばり殺人成立の条件のひとつは、「キラーが凶器を持っていること」。思いもよらない意外な凶器が登場したり、はたまた凶器が現場から消失していたりと、ミステリー小説では凶器はときに事件のカギになる要素ですが、本作においても凶器はゲームの勝敗を左右する重要な役割を担っているというわけです。
ちなみに、Moriartyはどの探索ポイントに凶器や食料があるか、その位置を把握しているというメリットを持っています。Moriartyにとっては武器となる特徴ですが、Sherlock側にとっては厄介な能力。
残る殺害を成立させるための条件は、「キラーとターゲットが同じエリアにいること」と、「その部屋に、有効な視界を持ったノーマルのPawnが1体もいないこと」です。
「キラーとターゲットが同じエリアにいること」とは、言い換えれば、キラーとターゲットが同じマス目の中に一緒にいる状態ということ。もしも銃や毒などの凶器が手に入ったら遠隔から殺害を狙うこともできるのかもしれませんが、本作に登場する凶器はハンマーや包丁、鹿の角(!)といった、接近戦向けのものばかりなので、同じマスに並んでいなければならないのです。
「その部屋に、有効な視界を持ったノーマルのPawnが1体もいないこと」とは、言い換えれば同じ部屋に目撃者がいない、ということです。ミステリードラマなどでも、近くに目撃者がいる状態で殺人を実行する犯人、というのはあまりに大胆不敵です(もしくはその状況を逆手にとったトリックかもしれません)。しかし、その目撃者に“有効な視界”がないとなると話は別。Moriartyが操るPawnによって館内に「停電」が起きたり、はたまた空腹状態や負傷状態が重なり「瀕死」の状態に陥ったりすると、Pawnは視界を失ってしまいます。そうなると、キラーにとっては「その部屋にいない」と見なされ、犯行を止めることができないのです。
- ・キラーが凶器を持っている
- ・キラーとターゲットが同じエリアにいる
- ・その部屋にほかに誰もいない
この3つの殺害条件を常に頭に入れておくことが、計画実行をもくろむMoriartyにとって、そしてMoriartyの犯行を阻止しなければならないSherlock側にとっても非常に重要なポイントとなります。ちなみに、オプションで「基本ルールHUD」をオンにしておけば、プレイ中、常に画面上にこの殺害条件が表示されるという親切設計が備わっているので安心です。
キラーに凶器を獲得させつつ、キラーとターゲットができる限り接近して、かつ周囲にほかのPawnがいないような状況を作り上げていく、というのがMoriarty側の基本的な勝ち筋。その理想的な盤面を、Sherlockの中に紛れながらひそかに作り上げていくという、この「だまし」と「企み」の体験が、Moriartyを担当するプレイヤーにとっての醍醐味と言えるでしょう。
なお、Moriartyには、勝利のために覚えておくべき特徴がいくつかあります。 そのひとつが、「Moriartyはターゲットを制御することができない」という点。ターゲットが誰なのかはわかっているものの、そのターゲットをキラーのそばに移動させたり、ほかのPawnたちから遠ざけたりといった工作はできません。これは、Moriartyに与えられた弱点と言えます。
さらにもうひとつ弱点があります。それは「Sherlock側よりも1ターン中に制御できるPawnの数が少ない」という点です。Sherlock側は、4プレイヤー対戦および2プレイヤー対戦時は計3人のPawnを、3プレイヤー対戦時は計4人のPawnを制御できるのに対し、Moriarty側は常に2人のPawnしか制御できません。要するに、コントロールできるPawnの数において、常にSherlock側よりも不利な状況にあるのです。
ただし、強みもあります。それは、Sherlockの制御を上書きすることができる、という点です。本作のゲーム中には、制御するPawnの選択がほかのプレイヤーとバッティングしてしまう局面が起こりえます。Sherlock同士がバッティングした場合、どちらの制御が優先されるかはランダムとなるのですが、MoriartyとSherlockがバッティングした場合、必ずMoriartyの制御が優先される仕組みになっているのです。
これら弱点と強みを意識しつつ、Sherlockの防御と推理を上回る頭脳プレイを展開することが、Moriartyの醍醐味。見事、犯罪計画がうまく運んだあかつきには、「悪を成し遂げる快感」で満たされること請け合いです。
“Sherlock”は推理と洞察で事件発生を防ぐ! さらに、4人プレイ時にはSherlockを惑わす“Irene”登場でゲームが波乱の展開に!
“Sherlock”側のプレイヤーの目的は、最初に述べたとおり、「ゲーム内の制限時間が経過するまで、殺人事件の発生を回避すること」、または、「殺人事件の実行犯を特定すること」です。名探偵シャーロック・ホームズの名を冠するだけあって、情報を整理しながら怪しいPawnを推理して、特定していくことがSherlockの基本的なプレイとなります。
“Sherlock”側でプレイするうえでまず重要となるのは、「食料」の確保であると言えます。
食料は、先述したとおり、Pawnに探索を指示した際に見つかることがあるかもしれないアイテムのひとつです。ゲーム内では、昼・夕方・夜の3ターンを経過することで1日が終わるシステムとなっているのですが、この1日の終わりに「食事の時間」が発生します。食料を持っているPawnはこの食事の時間に自動的に食料を食べますが、何も食べずに夜を明かしてしまったPawnは「空腹」状態になります。Pawnは基本的に1ターンに3エリアまで進むことができるのですが、空腹状態のPawnは移動範囲が狭まり、さらに行動順序も下がってしまいます。もしも、行動が制限されているPawnがターゲットであった場合、キラーから逃れにくくなってしまうため、勝利が遠ざかってしまいます。
Moriartyとは違い、Sherlock側はどの探索ポイントに食料が隠されているかを知らない点は不利ですが、とにもかくにも、早めにPawnに食料を持たせていくというのが、勝利のための第一歩と言えるでしょう。
先ほどMoriartyの説明の際に、「MoriartyとSherlockの制御がバッティングした場合、必ずMoriartyの制御が優先される」と書きました。これは一見、Sherlock側にとっては不利なだけのシステムに思えますが、実は大きな推理の手がかりとなります。
というのも、先述のとおり、Moriartyはターゲットを制御できません。そのため、MoriartyがSherlockの制御を上書きできたということは、すなわち、そのPawnはターゲットではないことが確定するというわけです。
さらにもうひとつ、Sherlock側のプレイヤーがMoriartyの計画を阻止するために欠かせない情報があります。それは毎日の終わりに訪れる「AI Sherlockによる未来予測」。これは、1日の最終ターンである夜の時点で、ターゲットの3エリア以内にキラーがいるかどうか、という有力な情報を与えてくれるありがたい機能です。
「Aがターゲットであった場合、BCDはキラーの可能性はない」「Bがターゲットであった場合、ACDはキラーではない」といった情報が、キャラクターのアイコンにバツ印が付く形で6人分ズラズラッと一気に表示されていき、場合によってはキラーでもターゲットでもないノーマルのPawnが判明することも起こります。
情報量が多いため、少々ややこしくはあるのですが、筆者はバツ印が最も付いていないPawnを「現時点で、最もキラーの可能性が高そうな人物」であると考えて、推理を進めるようにしていました。この未来予測の情報をSherlock側・Moriarty側ともに、どのように使っていくかというプレイヤーごとの戦略の構築もまた、本作の奥深さとなっていくのではないでしょうか。
Moriartyとの制御のバッティングや未来予測など、数々の情報を積み重ねて推理をし、ターゲットの目星をつけ、そしてそれを狙うキラーの存在を浮き彫りにしていく……。この推理小説さながらのロジカルな思考を進めていくことこそが、Sherlock側プレイヤーの醍醐味であり、そして本作を「ミステリーゲーム」たらしめる大きな魅力であると、筆者は考えます。
とは言え、次々と提示されていく情報をすべて記憶するのは至難の業ですが、心配はいりません。画面上部の各Pawnのアイコンには各キャラクターに、キラーとターゲットの可能性が残っているか否かという情報が常に表示されており、一目瞭然。さらに、「このPawnがターゲットだった場合、キラー候補の可能性があるのは誰か」という情報も、調べたいPawnにカーソルを合わせてTabキーを押すことで、いつでも確認ができます。
アナログゲームであれば、記憶を頼りにするか逐一メモをするところですが、画面上でいつでも欲しい情報をすぐにチェックできる遊びやすさは、デジタルゲームである本作ならではの強みと言えるでしょう。
さて、本作には、SherlockとMoriarty以外に、4人プレイ時のみ加えることができる“Irene”という役割が存在します。シャーロック・ホームズシリーズに登場するアイリーン・アドラーという女性がモチーフのこの役割は、人狼ゲームで言うところの「狂人」役。Moriartyから派生した捜査撹乱AIであるIreneの勝利条件は、ずばりMoriartyが勝利すること。IreneはMoriartyと同じく、キラーとターゲットが誰かを把握しており、かつ、IreneとMoriartyはお互いを認識している状態なので、IreneとなったプレイヤーはMoriartyが計画を成し遂げられるように、うまく裏で状況を整えていくこととなります。ただし、IreneもMoriarty同様、ターゲットを制御することはできないので注意が必要です。
Ireneの制御はSherlockの信号をカモフラージュしているという設定であり、この制御がSherlockとバッティングした場合、その結果はSherlock同士のバッティングと同様、どちらが採択されるかはランダムとなっています。
しかも、IreneとバッティングしたかどうかはSherlock側には検知できないのです(Sherlock同士のバッティングと区別できない)。そのため、まさに捜査を「攪乱」されるというわけです。
なお、本作にはPingとスタンプというコミュニケーションシステムがあります。これは「このPawnを制御します」「ここに移動します」といった自分の意志をほかのプレイヤーに伝えることができ、簡単なあいさつや定型テキストチャットを送れる機能。ほかのプレイヤーとの連携が重要な本作においては大変重要かつ便利な機能なのですが、IreneとMoriartyには、Sherlockのプレイヤーには検知できない2人専用のPingとスタンプが用意されています。表のPingで「このPawnを制御します」と発言してSherlockのフリをしつつ、裏のスタンプで「キラーは任せろ!」と共犯相手とコミュニケーションする、というような使い方が可能。この「みんなの裏でこっそり悪だくみをしている」という感覚がなんとも刺激的でおもしろく、筆者が今回一緒にプレイをしたメンバーの中では「Moriarty・Ireneでのプレイのほうが好き」という声もありました。また、「Moriartyは、普段はひとりで気を張って戦わなければならないが、共犯者のIreneがいるとかなり気が楽になる」といった声も。
IreneナシでSherlock3人対Moriartyという遊び方も可能ですが、筆者的には、4人プレイ時にはIreneを加えての、より刺激的なプレイをオススメします。
ココがスゴい! 「CRIMESIGHT」の筆者的推しポイント
本作の推しポイントとして筆者がまずあげたいのは、なんと言っても「アツい心理戦とじっくり考える楽しさ」を味わえる、ユニークなゲーム性です。 プレイヤーの中に紛れ込むMoriartyは誰なのか、Moriartyが狙うターゲットは誰なのか、ほかのプレイヤーのアクションの中にブラフは潜んでいないか、提示された相手のPingは本当に信じていいものなのか……。本作のゲーム中には、頭をひねって推理を働かせる局面や、ほかのプレイヤーとの心理的な駆け引きが巻き起こる局面が数多く発生します。頭脳戦と心理戦を思う存分味わえるのは、本作ならではの大きな魅力。人狼ゲームファンや謎解きゲームファンの人はもちろん、パズルゲームやボードゲームが好きな人も楽しめる作品と言えそうです。
少ない人数で遊べる点も、筆者的には大きな推しポイント。人狼系やバトルロワイヤル系の対戦ゲームは、遊ぶために必要な最低人数がわりと多めなものが多い印象がありますが、本作の最低プレイ人数は、ずばり2人。さらに最大人数も4人なので、かなり気軽に友人を誘って遊ぶことができるなと筆者は感じました。(事実、筆者はPCゲームを遊ぶ環境のある友人が周りにあまりいないほうなのですが、それでも今回、仲間内だけで4人プレイを楽しむことができました)
また、見知らぬ誰かと遊ぶ、いわゆる“野良プレイ”では、大人数の部屋やチームに加入して遊ぶのに筆者はちょっと尻込みしてしまうタイプなのですが、そんな筆者でも本作なら、比較的ラクな気持ちで見知らぬ誰かと一緒に遊ぶことができるように感じました。テキストの入力やボイスチャットを必要としない、Pingとスタンプによるお手軽なコミュニケーション機能もまた、対人戦の緊張感やハードルの高さを下げてくれている印象です。
対人戦のハードルを下げると言えば、チュートリアル&トレーニングモードの存在についても語っておかなければならないでしょう。人狼系やバトロワ系の対戦ゲームでは、簡単なチュートリアルはあっても、「あとは実戦で慣れろ!」とばかりにいきなりバトルへ放り出されるようなタイトルもよくあります。結果として、経験者ばかりの中に放り込まれた初心者が、知らず知らずのうちに足を引っ張ってしまったり、専門用語が理解できずほかのプレイヤーについていけなかったりで、ゲームの楽しさを十分に味わえない……といった状況が起こることがあります。
しかし、本作には、AI相手に実際にプレイしながらルールを段階的に学べる詳細なチュートリアルや、AI相手にSherlockサイドでもMoriartyサイドでも実戦を行えるトレーニングが用意されているため、初めての対人戦の前にひとりでしっかりゲームの基礎を覚えることができます。また、チュートリアルもトレーニングも、何度でも繰り返しプレイできるため、対人戦を終えた後でわかりづらかった部分の復習に使う、といようなことも可能。正直なところ、やや複雑なルールを持つ本作ですが、それを補って余りある充実ぶりであると筆者は感じました。
また、細かな部分ではありますが、「途中脱落がない」という点も見逃せないポイント。ゲーマーの中には、人狼ゲームで初日に吊られてしまったり、チーム制のバトロワゲームで自分だけ早々とキルされてしまったり……といった経験がある方も少なくないと思います。自分だけ開催中のゲームから脱落してしまうというのはなんとなく寂しいものですが、本作には、プレイヤーが途中で強制ドロップアウトさせられてしまうようなシステムがありません。初心者も経験者も分け隔てなく、全プレイヤーが最後まで試合を楽しむことができる本作のゲームシステムは、筆者的に推したいポイントです。
白熱の頭脳戦と心理戦にハマる! 「CRIMESIGHT」は何度も遊びたくなる中毒性アリ!
というわけで、「CRIMESIGHT」をご紹介しました。
Sherlockとして推理をし、Moriartyとして企んで人を欺き、そしてIreneとして悪と共謀する……。どの役割でプレイしても思わず手に汗を握る、もとい、思わず脳に汗をかくような充実の頭脳戦と心理戦が楽しめる「CRIMESIGHT」。筆者は今回、本作の先行プレイをしてみて、何度も繰り返し遊びたくなる確かな中毒性を感じました。また、アクションテクニックや反射神経などを求められないゲーム性なので、普段あまりゲームで遊ばないような人でも楽しめる作品であるという印象を受けました。
今までのゲームとは一味違う、新しい対戦ゲームや謎解きゲームを求めている方にはぜひ体験してハマっていただきたい、オススメのタイトルです。
- タイトル情報
- 「CRIMESIGHT」(KONAMI)
- ジャンル:対戦ミステリーシミュレータ
- 発売日:2022年4月15日(金)
- プレイ人数:2~4人
- 対応機種:Steam
- メーカー希望小売価格:2,200円(税込)
- ※本体+オリジナルサウンドトラック:3,300円(税込)
- ※オリジナルサウンドトラック:1,100円(税込)
- CEROレーティング:B
- コピーライト:ⓒKonami Digital Entertainment
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