この1セットで「パトレイバー」の名場面を再現できる! 「MODEROID AV-98イングラム&ブルドッグセット」を作りこんでみた!【泰勇気の週末プラモ 第53回】

社会人ともなると忙しい毎日の中で積みプラが増えてしまいがち……。そんなあなたに代わって、ロボット&プラモデル大好き声優の泰勇気がプラモデル製作に挑戦するのが、この連載!

コンセプトは「忙しい社会人でも、週末の休みを使えばここまでできちゃうよ」。ルールは素組みで、1~2日の制作期間の2点のみ!この連載を読めば、きっとあなたの作ってみたいプラモデルと出会えるはずだ。

というわけで、「声優・泰勇気の週末プラモ!」第52回スタート!

第53回 MODEROID AV-98イングラム&ブルドッグセット

まさかのキット化が続くグッドスマイルカンパニーのMODEROIDシリーズ。今回は「機動警察パトレイバー」から作業用レイバーの「ブルドッグ」が初プラキット化を果たしました。

ブルドッグは今回ご紹介する「イングラム」とのセット版と、ブルドッグ2個セット版(グッドスマイルオンラインショップ限定販売)の2種類の商品がございます。ブルドッグは、キットとしてはかなりシンプルな構造になっているので組み立てるのは簡単。作業用レイバーなので複数用意して、さまざまな情景を再現するのも面白いかもしれませんね。

まずはパッケージから。何らかの原因で暴走してしまったブルドック、そして左下には泉野明に指示を出す篠原遊馬の姿も描かれています。

裏面にはセット内容。イングラムに関してはデカールをTV版や劇場版、REBOOT版から選べるようになっています。

天面と底面には「パトレイバー」のメインロゴ。

箱の左右には、イラストが描かれています。お店で陳列した際、どこからでも雄姿が見られるので探しやすいですね。

2種類のキットのセットなので説明書も2冊。どちらもフルカラー印刷で見やすいです。

こちらはブルドッグのランナー。キャノピーなどはちゃんとクリアパーツが用意されています。ご覧の通り非常にシンプルなパーツ構成となっています。

こちらはイングラムのランナー。単品販売版と同様の内容で、クリアパーツも塗装済みと無色のものが付属します。

イングラムの水転写式デカールに対し、本当に簡単に組み立てられるようにブルドッグにはシールが付属。

まずはブルドッグから見ていきましょう。

■ブルドッグ

作業用レイバーということもあり低重心、力強い四肢のデザインとなっています。頭部にあたるパーツはなく、そこには操縦者が目視で操作するための運転席があります。

背中にはタンクやパイプがあります。腰にはテールランプなどのディテールもあります。

キャノピーの中にはちゃんと運転席も見えます。
今回のキットは1/60スケールなので同スケールのフィギュアを流用して、搭乗させても面白そうです。

肩アーマーのフックなどはちゃんと抜けております。1パーツでよくここまで……。

ボディ上面には、みっちりとディテールが刻まれています。

可動範囲を見てみましょう。

肩は軸回転で、真上まで腕を上げることができます。

水平方向へも、そこそこ持ち上がります。

肘は1軸でおよそ90°曲がります。二の腕の上でロール回転可能。手首はボールジョイントなので、スナップや回転が可能です。

腰はシンプルな軸接続なので屈伸はできないものの、グルっと回転します。

股関節の可動も優秀で、前後、左右とも180°の開脚が可能です。

太ももの上でロール回転可能。膝は1軸で90°曲がります。

足首はボールジョイント接続。前後、左右へのスイングが可能です。

構造はシンプルですが、機体各部が作業用レイバーとしてしっかり動かせるようになっています。

材木などをつかむ時は、こんな前傾姿勢になるでしょうか。こんな体勢でも、しっかり自立しています。

片足立ちもいけます! 足裏には大きく肉抜き穴が空いていますが、空を飛んだりするキャラクターではないし、シンプルなキットということもあってブンドドしている分にはさほど気になりません。

容姿がかわいらしいこともあり、カッコつけようとしてもどこかコミカルな印象になります。

こんな風に、コミカルなポーズをとらせるのも楽しいです。

同スケールの建機のキットなどと組み合わせて、ディスプレイしても面白そうですね。最近はトラスや鉄骨などのプラキットもある時代ですし。

続きまして、MODEROIDイングラムのご紹介。

■MODEROID AV-98イングラム

パトランプは無色のものを取り付けてあります。それ以外は、パーツの分割でほとんど色分けが再現されているのがわかります。胸部の旭日章は塗装済みパーツとなっております。

警察車輛らしく、黒と白による配色です。関節部のシーリングはレイバーの特徴であり、立体化する際に課題となる部分。今回はしわのディテールの入ったプラパーツによって再現されています。

パトレイバーといえば、なんとなく真横からのアングルというイメージ。肩アーマーの穴(所謂ブチ穴)は開口されています。

1号機の頭部といえば、額やマスクパーツのバランスが難しいところですが、今回はサイズ感や「MODEROID」という、キャラクターキットを多く取り扱うシリーズならではの造形としてまとめられているのかなと感じました。

腰部のウインチ部分もしっかり造形されています。ナンバープレートやウインカーのディテールも見て取れますね。

脚部の曲線、曲面のバランスも立体化するうえで難しい部分なのではないかと思いますが、まったく問題ない完成度だと思います。昨今のロボットものプラキットは足が長いイケメン体型も多いのですが、本商品はどっしりと力強い体型。これぞレイバーといったスタイルです。

パトランプ内部の造形もしっかり再現されています。

組み立てたり遊んだりする際は、アンテナの類に強い力を加えないように注意しましょう。

パトレイバーの脚部ってシンプルなラインに見えるんですけど、適度な分割線や曲がり具合がいいバランスでまとまっています。このキットでは、そういう長所がきちんと再現されています。

ここまで見てきてもパーツの継ぎ目には気づかなかったのではないでしょうか。ないわけではないのですが、ほとんど目立たないパーツ構成になっています。

シールドの丸いグレー部分は、裏側からハメこむ別パーツとなっています。

可動範囲。

頭部はボールジョイント接続で、ご覧のようにグリグリと動かせます。

肩の可動範囲。アーマーも跳ね上がってくれるので、水平方向にも90°くらい持ち上がりますし、肩の軸接続部分で回転も可能です。

ボディ側の肩関節にはスイング機構が内蔵されているのですが、これがかなり大きく前方にスイングさせることができちゃいます。

肘の上でロール回転。手首はボールジョイント接続。

肘は1軸でここまで曲がります。

腰の可動はなかなか優秀で、関節を引き出すことにより大きく前後屈伸、横方向への傾け、ひねりも可能。

股関節はデザインの関係上、左右開脚はこのくらい。

また股関節の高さは、左右独立して調整可能。

前後開脚は180°くらいいけます。

膝関節なのですが、脚部後ろ側のパーツが干渉して、このままだと浅くしか曲がりません。そこで……

干渉する部分のパーツを小型のものに交換(小型パーツは左側)。すると……

90°近く曲げられるようになります。

足首はボールジョイント接続。つま先部分だけを少し持ち上げることもできます。

右足ふくらはぎにはリボルバーカノンを収納可能。伸縮アームでリボルバーカノンを取り出すシーンを再現できます。

イングラムはパーツ選択式で2号機を組むこともできます。今回、肩のパトランプ部分は塗装済みのものを組み付けてみました。

実は、完成後も1号機と2号機を組み替えて楽しめるだけのパーツが揃ってまして、無色のクリアパーツを塗装して使用することで、ナンバープレートさえ気にしなければ、ひとつのキットでどちらの姿にも変更可能なのです。

ブルドッグとのセットということで、ここからは2号機でご紹介していきます。

1号機との形状の違いは頭部と肩アーマー。後ろ姿はほとんど同じですね。

頭部のパーツは1号機と2号機で共有している部分はないので両方組めますし、肩アーマーも2種類組めるだけのパーツが揃っています。

イングラムの肩アーマーには左右の区別があるので、デカール貼りやパーツを取り付ける時は間違えないように注意しましょう。

シールド裏には収納状態のスタンスティックが装備されています。

伸びたスタンスティックと組み合わせて、こんな感じで引き抜いているシーンも再現可能です。

「大人しくお縄につけぇい!!」

なんでだろう……。2号機が持つと十手に見えてくる……。

「貴様ぁ! 抵抗するかぁ!」

肩のスイング関節のおかげで、リボルバーカノンを両手で構えた姿もかっこよく決まります。

ライアットガンは折り畳み可能。

「ふっふっふっ、いよいよこいつの出番か…」

「往生せぇやあぁ!!」

「どんなもんじゃい!!」

暴走するブルドッグを取り押さえようとするシーンを再現するなら、2号機で組みたいところ。劇場版では別の作業用レイバーではありましたが。

さて、このあと2号機搭乗者の太田さんはどうなりますやら……。

では、ここで「プラスひと手間」やってみましょう。

都合2つのキットのセット、ということで本当に簡単に挑戦します。

ブルドッグはディテールを強調したいということで、ブラウンによるスミイレを施してみました。

土木作業中の汚しを加えても面白いかもしれません。

比較的簡易なキットということもあり、しっかり仕上げるとなると細かい部分で塗装を追加する必要があります。

胴体上面のディテールはご覧の通り。少ないパーツ数で、このディテールと組み立てやすさを両立させているのは実はすごいことだなと思います。

スミイレをすることで、タンク周辺もくっきりして立体感が出ましたね。

このキットで継ぎ目が気になるのはこの脚部くらいなので、もし全塗装するのであればここだけはがんばって接着、継ぎ目消しに挑戦してみてください。

テールランプ周りは筆塗りが楽でしょうね。

また、使用している建築会社によってはカラーリングが違う可能性もありますので、そのあたりを想像してカラーバリエーションを考えてみるのも面白いかと思います。

続いてイングラムですが、初めてこの連載で「パトレイバー」をご紹介して以降、警察車輛は色数が少なくてすむという理由から全塗装をしてきましたが……、今回もついやってしまいました。

白い部分は成型色だと少しグレー寄りだったので真っ白に。そのほか黒、耳のグレー、関節のみ塗装し、ウインカーなどは付属のデカールを使用しました。塗装で再現する選択肢もあるとは思いますが、細かい部分なのできれいに塗装できるか……、人によって方法が変わってくるかと思います。

「警視庁」の文字が入るとやっぱりいいですね。一気に「警察車輛」感が増します。

肩、パトランプ付近の黒いデカールは直角に曲げて貼り付けないといけないので、マークソフター、あるいはマークセッターなどでデカールをやわらかくしたほうが貼りやすくなります。半面、デカールが破れやすくなるので気をつけてください。

シールドのデカールは、TV版、OVA版などバージョンによって貼るものが違うのでよく確認しましょう。

くぼみをマスキングして黒い部分を塗るのが難しかったのですが、僕はねり消しでくぼみを埋めて塗り分けました。

ナンバープレートも、1号機と2号機で違うのでお間違えのないように。

ウインチはシルバーで塗装しました。本体をラッカー塗料で塗装しているので、はみ出てもふき取れるようにエナメル系塗料をチョイス。

耳の先端の色もバージョンによって色が違います。劇場版のイメージが強かったので、今回、TV版のカラーを改めて確認して驚きました。

「警視庁」のデカールが余るので、何かほかの警察モチーフキットのために保管しておくのもいいかもしれません。

なんでだろう……。やっぱりスタンスティックが十手に、シールドが提灯に見えてきます。

「御用だ! 御用だ!」

ライアットガンも塗り分けてみました。このあたりの配色はモデルガンの写真なんかを参考にさせていただきました。

リボルバーカノンも同様に、グリップをウッドブラウンに塗装してみました。

ちなみにTV版カラーも、プライベートで塗装して完成させてあったのでご覧いただきましょう。

劇場版との塗装変更箇所、デカールの違いがおわかりいただけますでしょうか。

続々と「劇場版」に登場したメカが揃ってきましたね。

僕が初めて触れた「パトレイバー」は劇場版第1作だったので、この辺りのメカが揃ってくることにワクワクしています。

もちろんグリフォンなどもキット化されていますし、ファントムやサターンなどTV版、OVA版に登場したメカも続けてキット化していってほしいところ。

さぁ、MODEROIDのパトレイバーシリーズはどこまで走り続けてくれるのでしょうか。いつも言っていますが、期待していますよ~~!

【商品情報】

■MODEROID AV-98イングラム&ブルドッグセット

・発売中

・価格:5,300円(税込)

メーカー

グッドスマイルカンパニー

カテゴリー

プラスチックモデル、MODEROID

・PS&ABS製組み立て式プラスチックモデル

・1/60スケール

・全高:イングラム約135mm、ブルドッグ約100mm

【泰勇気の出演情報】

・ NETFLIX海外ドラマ「Locke&Key」シーズン1、2配信中(タイラー役)

・ 橘猫工業「ハンドレッドエッジ」PVナレーション

・ YouTubeガンダムベースライブch川口名人のすいプラ」毎週水曜18時配信(アシスタント)

©HEADGEAR

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