【インタビュー】作曲家・藤澤慶昌が語る「エスタブライフ グレイトエスケープ」の劇伴は楽しくスリリングで、なんでもあり!

「コードギアス」シリーズの谷口悟朗が原案・クリエイティブ総括を務めるビッグプロジェクト「エスタブライフ」。その先陣を切って、2022年4月からTVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」がスタートした。
「ご注文はうさぎですか?」の橋本裕之が監督を、「フルメタル・パニック!」の賀東招二がシリーズ構成・脚本を担当し、ポリゴン・ピクチュアズが制作を手がける本作。いくつもの「クラスタ(街)」に分かれて人々が暮らす、近未来の東京を舞台に、逃がし屋の女の子たちの活躍を描く痛快なアクションで、ヤクザが支配する新宿や、ペンギンの獣人が住む池袋など、個性的なクラスタの住人たちも魅力だ。
そんな注目作の音楽(劇伴)を担当するのは、「ラブライブ!」シリーズ、「宇宙よりも遠い場所」などを手がけてきた藤澤慶昌。主人公の少女たちを彩り、各クラスタの個性を浮き彫りにし、アクションシーンに更なるスリルとサスペンスを与える音楽を、数多く生み出した。
今回はその藤澤氏に取材をおこない、「エスタブライフ グレイトエスケープ」を音楽面から語ってもらった!

「エスタブライフ」では、TVアニメとゲームの劇伴を担当しました


──「エスタブライフ」はTVアニメから始まって、ゲーム、劇場アニメとメディア展開していく、大きなプロジェクトですね。藤澤さんはその中で、TVアニメとゲームの音楽を担当されています。

藤澤 最初に依頼を受けたのは、TVアニメの音楽だったんです。そのときに「エスタブライフ」の構想が書かれた企画書をいただいて、TVアニメだけでなく、ゲーム、劇場アニメと世界を広げていくことを、最初から想定した作品なんだなと思いました。世界観をもとに1曲、先んじて作曲してお渡ししたら、ゲームの音楽もお願いします、ということになりました。

──TVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」が4月からスタートして、ゲーム「エスタブライフ ユニティメモリーズ」の最新情報も待ち遠しいですね。

藤澤 どちらの音楽もすでに制作は終了しています。

──最初に依頼を受けたとき、作品について、どのように感じましたか?

藤澤 近未来SFというのは、あまり関わったことがないジャンルで、少しとまどいがありました。企画書には「逃げる」というキーワードと、作品のイメージを伝えるために、既存のアニメのタイトルが2つあげられていて、それが意外な組み合わせだったので「どういうことだろう?」と(笑)。シルエットで描かれたキャラクターのシャープな印象とか、監督が「ご注文はうさぎですか?」の橋本裕之さんであるとか、いろいろな情報があって、最初は全体像がうまくつかめなかったんです。


──劇伴の制作は、TVアニメとゲーム、どちらを先に手を付けたんですか?

藤澤 作曲したのはゲームが先でした。それからTVアニメの劇伴を作曲して、レコーディングしたのはほぼ同時期でした。ゲームはTVアニメよりもシリアス度が高かったので、劇伴もそれに合わせてオーケストラが多めになりました。クラスタをイメージした曲などは、TVアニメとゲームで共通点があると思います。

──TVアニメは、女の子たちが主人公で、コミカルな要素も多めですからね。では、ここから先はTVアニメ「エスタブライフ グレイトエスケープ」の劇伴に焦点をあてて、お話をうかがいたいと思います。

おすすめ記事