今期のアニソンのポイントは「歌」と「ジャズっぽい曲」!? DJ出口博之が選んだ春のアニソン10選+α!「いいから黙ってアニソン聴け! in 2022春」

全国1千万人のアニメファンの皆様こんにちは。流浪のベーシスト、DJの出口博之です。新クールのアニメ作品が出揃う頃に、どこからともなくやってきては勝手に10曲を選ぶ主観がすぎるコラムこと「いいから黙ってアニソン聴け!」の時間がやってまいりました。

おかげさまで当コラム連載から5年となります!

まさかここまで続けさせてもらえるとは。ありがとうございます! 2017年からアニメソングをクールごとにまとめているのですから、5年ともなれば資料性も高まっているのではと思い、2017年春はどんなアニソンを10曲選出していたのか調べてみました。

・アイカツスターズ! 第2シーズン「星のツバサ」シリーズ

OP「STARDOM!/AIKATSU☆STARS!」

・ID-0

OP「ID-0/佐咲紗花 」

・アイドルマスター シンデレラガールズ劇場

ED「キラッ!満開スマイル/島村卯月、小日向美穂、佐久間まゆ、櫻井桃華、双葉杏」

・エロマンガ先生

ED「adrenaline!!!/TrySail」

・境界のRINNE(第3シリーズ)

ED「スキナノカナ/softry」

・進撃の巨人 Season 2

ED「夕暮れの鳥/神聖かまってちゃん」

・パンパカパンツ おNEWさん

OP「パンタスティック!/アイドルカレッジ」

・フレームアームズ・ガールズ

ED「FULLSCRATCH LOVE/FAガールズ」

・ベルセルク

OP「サクリファイス/9mm Parabellum Bullet」

・笑ゥせぇるすまんNEW

OP「DON’T/NakamuraEmi」

こちらが2017年春アニメより選出した10曲です! なるほど!

「この作品がもう5年前?」という気持ちでいっぱいです。選出の基準は今とそれほど変わっていないはずですが、アイカツやアイマスの楽曲を選んでいたのは自分のことながら少し驚きました。こうやって振り返ってみるのも面白い発見があるので、どこかでまとめてアニソン振り返り回をやりたいですね。

というわけで、ここからは2022年に時間を戻して、現在放送中の春クールアニメ作品からアニメソング10曲を選出!

今期の10曲はこちらになります!

・かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-

OP「GIRI GIRI/鈴木雅之 feat. すぅ」

・骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中

OP「嗚呼、我が浪漫の道よ/PelleK」

・キャップ革命 ボトルマンDX

OP「レディキャップ!/岡崎体育」

・くノ一ツバキの胸の内

OP「ハイライト・ハイライト/the peggies」

・TIGER & BUNNY 2

ED「AIDA/ano」

・ダンス・ダンス・ダンスール

OP「鳴り響く限り/YUKI」

・であいもん

OP「菫/坂本真綾」

・BIRDIE WING -Golf Girls' Story-

OP「Venus Line/広瀬香美」

・まちカドまぞく 2丁目

OP「ときめきランデヴー/shami momo」

・遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!

ED「One Way/佐伯ユウスケ」

今期も素晴らしい楽曲が多かったので大いに悩みました。今回の選出テーマは「歌」です。歌唱力、特徴的な声など、歌が曲の中心になっている楽曲を選びました。やっぱり「歌」があっての音楽なので、そのあたりを意識しながら読み進めていただけると幸いです。

・かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-

OP「GIRI GIRI/鈴木雅之 feat. すぅ」


第1期「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」、第2期「DADDY! DADDY! DO! feat. 鈴木愛理」と、鈴木雅之が女性シンガーを迎えるデュエット形式の楽曲をオープニングに起用してきた「かぐや様は告らせたい」、今作も鈴木雅之のデュエット曲で作品を盛り上げています。

一般的には放送クールが変われば主題歌も刷新されるのが普通ですので、3期連続で同一アーティストが主題歌を担当するのは本当に珍しいことです。ここまで続投する理由は、アニメ作品の世界観を音楽で受け止められるのは鈴木雅之以外考えられないところまで作品と音楽がマッチしたから。鈴木雅之のボーカルには、アダルトな男女の恋愛模様だけではなく、恋愛の駆け引きにおける微妙な距離感や俯瞰的な冷静さがあるように思います。

このあたりの魅力がアニメ作品の本質とうまくリンクしているからこそ、3期にわたって主題歌を担当する結果となっているのではないでしょうか。

・BIRDIE WING -Golf Girls' Story-

OP「Venus Line/広瀬香美」


歌い出し一発、1音目でいい曲が確定する突き抜けた爽快感が素晴らしい。1990年代邦楽発展の立役者・広瀬香美がアニメソングを歌うことよりも、アニメ作品と親和性が高いことに新鮮な驚きがあります。「かぐや様は告らせたい」での鈴木雅之起用の際に感じた、歌とアニメが抜群にハマった感に似ている気がします。

他のシンガーの追随を許さない歌唱力もさることながら、声の個性の強さがすさまじい。一聴して誰が歌っているかわかる特徴的な声のボーカリストはたくさんいますが、声と楽曲が結びつくボーカルはそういません。歌のために曲があって、曲のために歌がある。1990年代J-POPの軽やかなアンサンブルが現代版にブラッシュアップされ、より華やかな印象になっているのが最高にかっこいい。

今作をきっかけに、アニメソング界での広瀬香美の活躍を超期待しています。

・骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中

OP「嗚呼、我が浪漫の道よ/PelleK」


この曲もとにかくボーカルの力が強い。圧倒的な歌唱力もさることながら、一般的な男性ボーカルが出せる音域の限界を軽く超える突き抜けるハイトーンボイスを、音楽的にコントロールしているのは人間業とは思えません。ここまでくると歌がうまいとか下手だとかの次元ではなく、体の仕組み(主に喉)が歌うために特化しているという意外にありません。

歌っているのはノルウェーを拠点に、ミュージシャン、俳優として活動するPelleK。自身のYouTubeチャンネルに日本のアニメソングの「歌ってみた動画」を多数投稿しており、生粋のアニメ、アニソンファンとしても知られています。

曲だけ聴けば、歌っているのが外国人とは気付かないくらい日本語の発音が日本人と遜色ない点もこの曲の聴きどころ。バックの演奏もハードなサウンドで音圧は申し分ないのに、PelleKの歌が楽器を完全に上回っています。

動画ではなく、いつかライブでこの圧倒的な歌を聴いてみたいです。

・であいもん

OP「菫/坂本真綾」


坂本真綾といえば、最近はさまざまなジャンルの楽曲をリリースし、年を重ねるごとに表現力が増しているように思います。2019年放送「BEM」オープニング「宇宙の記憶」ではこれまでにはなかったタイプのアダルトな存在感を発揮し、この流れでよりアダルティな世界観に向かうのではと思っていたのですが、今楽曲では見事に斜め上の方向で驚きました。

アダルトとかそんなことではなく、装飾のない「坂本真綾」がそこにいて、それだけで世界のすべてが成立しています。

くるり・岸田繁によるシンプルで朴訥としたメロディーも、坂本真綾を映す鏡のようにまっさらな透明感があります。どこまでもやさしいのに、やさしすぎて切なさが残るような曲。こういう曲に突然出会うことができるから、アニメソングは深いし面白いです。

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