【DXドンオニタイジン特集!】「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」DXドンオニタイジン登場&発売記念! 白倉伸一郎プロデューサー×大張正己スペシャル対談!

スーパー戦隊シリーズ46作品目にして、怒涛の展開が話題の「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」。そんな「ドンブラザーズ」で、遂に登場した五体合体ロボがドンオニタイジンである。

ドンブラザーズの5人がアバターチェンジし、ロボタロウの姿に。そしてそのまま合体してしまうという、これまでにないフォーメーション。その「これまでにない」は玩具になってもそのままで、スーパー戦隊シリーズの1号ロボとしては過去最大級の大きさ(約36cm超!)で商品化される。

どのようにしてこのようなドンオニタイジンは完成したのか? 「ドンブラザーズ」の白倉伸一郎プロデューサーにその全貌について迫りつつ、さらに「これまでにない」ゲストとしてロボットアニメの魂を引き継ぐクリエイター・大張正己監督が登場!! 

大張監督の目にはどのようにドンオニタイジンが映ったのか? 

バンダイでスーパー戦隊シリーズの玩具に携わる寺野彰氏立ち合いのもと、特撮とアニメにおけるロボット表現の違い、それぞれの仕事に対するインプレッションなど、ここでしか聞けない貴重な話をうかがった。

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戦隊ロボの常識を打ち破るドンオニタイジン

――まずは素朴な質問です。ドンオニタイジンはどのようなアイデアから生まれた合体ロボットだったのでしょうか?

白倉伸一郎氏(以下、白倉) スーパー戦隊シリーズでは長年、「ヒーローの等身大戦」と「ロボットの巨大戦」という二本柱でやってきました。これを「ひと粒で二度おいしい」と言いながら「2つもいらないかも」……と内心ジレンマを抱えてきました。その2つをどうしたらシームレスにできるかを考えて、前作「機界戦隊ゼンカイジャー」ではヒーローがそのままロボットとして合体するという流れを作ったんです。そうしたことで、キャラクターをキープしたまま等身大戦から巨大戦に行けると思ったんですよ。ただ、設計やデザインというのは、玩具のスケジュール上、番組制作に比べてかなり先行して動いています。なので、「ゼンカイジャー」放送中に気付いたことがあっても、時はすでに遅いんです。なので、リベンジの意味も込めて作ったのが、「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」のドンオニタイジンです。

デザインで特にこだわったのは、ドンモモタロウをはじめとする5人のヒーローの顔がひと目でわかること。これはデザインチームにかなり無理を言ったんですが、全員の顔が正面を向くようにしたんです。そうすれば、分離しなくても誰がどこに合体したのかすぐにわかりますからね。

白倉伸一郎氏

――大張さんはドンオニタイジンが公開された際、すぐにTwitterでも反応されていましたね。

大張正巳氏(以下、大張) ネットで拝見したとき、正直に言えば自分の絵みたいなロボットだなと思って(笑)。自分が描いたようなプロポーションで、立体物で、しかも戦隊ロボ!! 

そう感じた驚きをそのままツイートしたんですよ。戦隊ロボといえば、村上(克司)先生(※1)から連なるカッチリ感がパッと思いつきますけど、ドンオニタイジンはそれとは異なる画期的なデザインですよね。アニメーションで描くうえでの理想的なプロポーションをしていて、頭身も理想的。強さとカッコよさが両立した合体ロボだと思います。

大張正巳氏

――先ほど白倉さんがおっしゃったように、5人の頭がすべて正面を向いているところもいいですよね。

白倉 映像上だとドンモモタロウ、サルブラザー、オニシスターのロボタロウ単体はスーツで登場するので、動けるようにデザインしないといけないんですよね。そういう縛りがあるので、デザインチームはかなり大変だったと思います。

大張 あえて人間の関節を外したところで括り付けている形も、自分が描いているものに似ている気がして、他人に思えなかったんです。俗に言う「大張立ち」を立体化しているような気がして、観たかったものがそのまま出てきちゃったものだから驚きでしたね。

寺野彰(以下、寺野) 僕やデザイナーの鶴巻(拓也)さん(※2)が大張さんの作品直撃世代なんですよ。白倉さんと大張さんが金曜や土曜の夕方にいろいろやられていた作品をいっぱい観ていたわけです。だから自然とそのエッセンスが出たのかもしれませんね。


――村上さんから連なるデザインというお話もありましたが、大張さんはこれまで、スーパー戦隊シリーズにはどのような印象を持たれていましたか?

大張 特撮はスーツの中に人が入らなければならないので、そもそもアニメと表現方法が違いますよね。その中でも、実写じゃないとできない映像表現をちゃんとやっているものがスーパー戦隊シリーズだと思います。その中でも僕は、合体シークエンスが好きなんですよ。特に「光戦隊マスクマン」の第1話。カット割りやBGMの入るタイミングも絶妙で、ガジェット萌えとしてはたまらないんですが、その次の第2話に来る合体シークエンスがとにかく素晴らしかった。戦隊シリーズはずっと長く観てきていますけど、インスパイアされるものもかなりあるんです。特撮への憧れがあったからこそ、「戦え!!イクサー1」(※3)のようなアニメができた気がします。先輩である森木(靖泰)さん(※4)のように近くで戦隊に関わっている人もいたのですが、自分には縁がなく、ちょっと遠い存在だと感じていました。なので、こうやって取材で白倉さんにお会いできて嬉しいです。

白倉 こちらこそありがとうございます!


――白倉さんはロボットアニメに関して、どのような印象をお持ちですか?

白倉 ずっと憧れの存在ですよね。特撮ではスーツ前提でデザインをする以上、プロポーションをそんなに変えられないんです。前年のロボや、同じシリーズの1号ロボ、2号ロボとデザインこそ変わっていても、プロポーションはそのままだったりしますよね。でも、アニメーションならプロポーションごと変えることもできますし、複数登場しても描き分けられる。そこがとてもうらやましいんですよ。

大張 最近は3DCGも増えてきていますけど、手描きなら自分の中で計算しつつかなり自由に描けますから、実写と比べて確かに描き分けはしやすいです。でも、実写にもスーツだからこそ出せる重量感とかライティングのカッコよさもありますよね。

白倉 最近は特撮でもCGを使うロボットもありますから、ツールとしての使い分けを意識しています。でも、かなりデザインチームにご迷惑をおかけしていますね。

寺野 ドンロボタロウがまさにそうでしたね(笑)。CG前提でデザインを進めていたら、途中でスーツになりました。でも、そういう紆余曲折があったからこそ、こういう足が尖ったプロポーションになったんですよね。

※1 村上克司……工業デザイナー。1970年代よりポピー(現・バンダイ)で商品企画およびデザインを担当した。スーパー戦隊シリーズには第1作の「秘密戦隊ゴレンジャー」から空中要塞やロボットなど多くのデザイン提案に携わっている。

※2 鶴巻拓也……プレックス所属のデザイナー。スーパー戦隊シリーズのアイテムでは、これまでに「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」や「機界戦隊ゼンカイジャー」でデザイン面を率いてきた俊英。

※3 「戦え!!イクサー1」……1985年から1987年にリリースされた全3巻のOVA作品。人造人間・イクサー1と、彼女を作り出し地球侵略を目論む組織・クトゥルフの戦いを描いた。大張氏は本作でメカニックデザインと作画監督を担当している。

※4 森木靖泰……メカニックデザイナー。「星銃士ビスマルク」でデビュー以降、アニメ・特撮・玩具などのメカニックデザインで活躍する。スーパー戦隊シリーズでは「超新星フラッシュマン」「鳥人戦隊ジェットマン」でロボットデザインに携わった。

大張監督がスーパー戦隊でやってみたいことは……!?

――ドンオニタイジンの玩具が今、大張さんの手元にありますが、実際に触ってみた感想はいかがですか?

大張 顔がいいですよね。顎が引いているのがよくて、ディスプレイすると映えると思います。「デカい」「スゴイ」「カッコいい」の三拍子が揃った玩具ですね。クリアパーツも目を引きます。

白倉 試作品を見た段階から、すでに大きかったんですよね。去年のゼンリョクゼンカイオーより大きい。箱も大きいので、店頭では目立つと思います。

大張 箱のイラストもいいですよね。玉座に構えて座っているポージングも素晴らしいです。

――大張さんはこれまでの「ドンブラザーズ」をご覧になって、どのような印象を受けましたか?

大張 どうなるかわからない展開が面白いですよね。仕事でご一緒する機会が多い「スーパーロボット大戦」の寺田(貴信)さん(※5)とも一緒に盛り上がっているんですが、予想をしても違う方向に進んでいくのがさすがです。オープニングの映像がとても好きで、カット割りがいいんですよ。何度も観ちゃうし、CDで何度も聞き返しています。ドンモモタロウがどういう存在で何をしたいのかがあの歌詞に込められていて、グッと来ちゃいますね。

白倉 (及川)眠子先生の歌詞は、簡潔な言葉にいろんな要素を詰め込んでいるのが素晴らしいですよね。展開に関しては、本当にスタッフの誰もこの先どうなるのか知らないんです。番組として面白いと思いながら作っているんですけど、どんどんエスカレートしないようにある程度自制しようと思っています(笑)。

大張 いつになったら全員で決めポーズを取るのか、楽しみにしていますね。

白倉 「ドンブラザーズ」の現場はどんぶらこ、どんぶらこと漂流し続けていますけど、世間一般にあるスーパー戦隊シリーズのイメージに収まるような作品には絶対しないので、お楽しみいただければ。あ、ドンオニタイジンだけは漂流せずに圧倒的なカッコよさのまま、最後まで登場します!

――これからの展開も楽しみです! ちなみに、今後のスーパー戦隊シリーズで、大張さんが観てみたい合体ロボや展開はありますか?

大張 人類の叡智が集って作られたロボットに、訓練した人が乗り込む展開は観てみたいですね。あと、アニメ的ではありますが、合体に失敗したり未完成のものを引っ張り出したりする流れをあえてスーパー戦隊で見てみたい気がします。

白倉 スーパー戦隊シリーズは番組枠的として「長浜ロマンロボシリーズ」(※6)の流れを汲むものなので、ロボットが出てくるんですよね。それが変形や合体をするようになり、五体合体も珍しくなくなってきた。試行錯誤の連続で、まだこれといった正解は見えていないんです。ロボットアニメの流れを汲みながらも、映像表現としてまだまだ実写ならではの答えを出せていないわけですから、まだまだこれからそういった展開にも挑戦してみたいですね。

大張 個人的には一度、スーパー戦隊シリーズの合体シークエンスの絵コンテを書いてみたいんですよ。アニメーションのオープニングコンテは40本近く書いてきたんですが、特撮ものは一度もやったことがないので、ぜひ挑戦したい。アニメっぽくしたいわけではなく、戦隊ロボだからこそできる表現に挑戦してみたいんです。

白倉 ありがとうございます。その時はこの名刺の連絡先にメールをお送りして大丈夫ですか?(笑)

大張 お待ちしています(笑)。

――その日を楽しみにしています。

※5 寺田貴信……ゲームプロデューサー。ロボットアニメ好きが高じ、「第2次スーパーロボット大戦G」から最新作「スーパーロボット大戦30」までプロデュースを担当。今日まで続く「スーパーロボット大戦シリーズ」の礎を築き上げた。

※6 「長浜ロマンロボシリーズ」……1976年から1978年まで放送された、長浜忠夫総監督の巨大ロボットアニメ三作品(「超電磁ロボ コン・バトラーV」「超電磁マシーン ボルテスV」「闘将ダイモス」)の総称。どの作品も東映テレビ事業部が企画している。

(取材:五十嵐浩司、太田祥暉/構成:太田祥暉[TARKUS])

【商品情報】

■DXドンオニタイジン

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」に満を持して登場した巨大ロボット。ドンロボタロウを中心に、5体のロボタロウが合体する。スタイリッシュなデザイン、各関節の可動とチャレンジを満載したアイテムとなった。全高は約36cmと、サイズも巨大感にあふれている。武器としてキジンソードが付属。また、初回購入特典として、店頭で特製ロボタロウギアが配布される(特典配布はなくなり次第終了)。

・販売価格:9,350円(税込)

・2022年5月28日(土)発売予定

・発売元:バンダイ

■大張正己画集 OBARISM


アニメーター、メカニックデザイナー、アニメ監督など、マルチなフィールドで活躍するクリエイター・大張正己氏の作品を収めた画集が登場!! ロボットアニメを中心に、描き下ろし版権イラスト、商品パッケージ用イラスト、絵コンテなど作品資料も収録。大張氏が監修した立体作品も掲載しており、さまざまな角度から大張氏の仕事を俯瞰できる一冊だ。

・販売価格:4,950円(税込)

・発売中

・発売元:ホビージャパン

・オフィシャルサイト:#

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